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令和6年度調査事業計画「何が見つかる?今年の遺跡」
芥見町屋遺跡(国事業)
所在地:岐阜市祇園1丁目・2丁目
主な時代:縄文時代から近世
芥見町屋遺跡は岐阜市東部、長良川左岸の芥見・町屋地区に存在する広大な集落遺跡で、その推定範囲は南北約800m、東西約400mにも及びます。かつて長良川を渡河する「芥見の渡し」が存在し、遺跡を南北に貫くように「郡上街道」が通るなど交通の要所でもあった場所です。当センターではこれまでにも発掘調査を行っており、平成22年度に実施した遺跡の北西部の調査では、鎌倉時代から明治時代にかけての集落跡が検出され、多くの建物が現代まで残る一定の地割りに基づいて建て続けられていることが判明しました。
令和3年度からは国道156号線岐阜東バイパス工事に伴い、遺跡の南東部で発掘調査を継続して実施しています。これまでの調査で、弥生時代後期から古墳時代初め頃の竪穴建物跡、奈良時代の竪穴建物跡や大型の溝、土器焼成遺構、鎌倉・室町時代の井戸、墓穴、江戸時代の郡上街道の路面などの遺構が検出され、弥生土器や土師器、須恵器、灰釉陶器、山茶碗といった数多くの遺物が出土しています。本年度は昨年度までの発掘区の北側が調査対象で、事前に行った試掘調査の状況などから、主に弥生時代から古墳時代の遺構が高い密度で検出されると予想されています。今回の調査で、芥見町屋遺跡の集落としての成立時期や変遷過程がより詳細に明らかになることが期待されます。
写真:今年度発掘区の調査前風景(南東側から撮影、発掘区は写真中央赤枠部、左手奥は長良川)
事業者:国土交通省中部地方整備局岐阜国道事務所
事業名:国道156号岐阜東BP(バイパス)建設事業に伴う埋蔵文化財発掘調査業務
芥見町屋遺跡(県事業)
所在地:岐阜市祇園1丁目
主な時代:縄文時代から近世
芥見町屋遺跡は岐阜市の北東部、長良川と武儀川、津保川が合流するやや下流左岸に形成された、自然堤防上から後背湿地にかけて広がる遺跡です。昭和47年の工事中に発見され弥生時代から古墳時代の竪穴建物が調査されました。その後も岐阜市教育委員会や当センターが部分的に発掘調査を行い、弥生時代から古墳時代、古代から近世にかけての集落跡が確認されています。令和3年度から国道156号岐阜東BP(バイパス)建設事業に伴う発掘調査を遺跡の東部で行っていますが、今年度からは岐阜県が行う公共道路メンテナンス事業に伴う発掘調査を遺跡の西部でも行います。今年度の調査では、長良川に近い場所での発掘調査となり、古代から中世の遺構や遺物が見つかることが期待されます。
写真:調査前発掘区遠景(南東から)
調査前発掘区(A地点)近景(西から)
事業者:岐阜県岐阜土木事務所
事業名:公共 道路メンテナンス事業(主)川島三輪線藍川橋工区に伴う埋蔵文化財発掘調査
改田遺跡
所在地:美濃市極楽寺
主な時代:古墳時代から近世
改田遺跡は、美濃市西南部の長良川右岸の河岸段丘上に立地する古墳・古代(奈良)・中世の遺跡です。平成8・26年度に美濃市教育委員会が実施した発掘調査では、中世の掘立柱建物、溝、旧河道、中世から近世の掘立柱建物、柱穴、土坑などを確認し、主に中世から近世の遺物が出土しました。また、平成14年度に財団法人岐阜県教育文化財団文化財保護センター(現岐阜県文化財保護センター)が実施した発掘調査では、柱穴や溝を確認しました。今年度の発掘区は平成8・26年度の発掘区の東側に位置しており、掘立柱建物や溝の確認が期待されます。発掘作業終了後には整理等作業も実施します。
調査前発掘区全景(北西から)
事業者:岐阜県美濃土木事務所
事業名:公共社会資本整備総合交付金(道路改築)(主)岐阜美濃線道路新設改良工事に伴う埋蔵文化財発掘調査
名滝(なたき)遺跡
所在地:瑞浪市土岐町
主な時代:中世から近世
名滝遺跡は瑞浪市の中央部を東西に流れる土岐川の河岸段丘上に立地します。
令和元年度と令和2年度に発掘調査を実施しました。令和元年度は中近世と考えられる井戸1基の他、溝、柵を確認しました。令和2年度は中近世と考えられる掘立柱建物2棟、柵1列、溝状土坑16条の他、土坑、小土坑列を確認しました。令和元年度と令和2年度の調査で出土した主な遺物は中近世陶磁器類で、このほか縄文土器、土師器、須恵器、石器、木製品、金属製品を確認しました。
令和6年度は令和元年度と令和2年度に行った発掘調査の整理等作業を行います。
令和元年度発掘区遠景(北東から)
令和2年度C地点発掘区遠景(北東から)
事業者:国土交通省中部地方整備局多治見砂防国道事務所
事業名:国道19号瑞浪恵那道路事業