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水質汚濁防止法における排水基準と測定義務等について
水質汚濁防止法では、特定施設を設置する工場・事業場(特定事業場)から公共用水域へ排出される排出水について排水基準等が定められており、特定事業場の設置者は、排水基準等を遵守しなければなりません。
また、排出水の汚染状態について測定義務等が定められています。
排水基準について
一般排水基準
一般排水基準は「排水基準を定める省令」により特定事業場に対して国が一律に規定している排水基準です。特定事業場から公共用水域に排出される排出水に対して排水基準が適用されます。排水基準により規定される物質は大きく2つに分類されており、健康項目と生活環境項目に分類されます。健康項目については、全ての特定事業場に対して適用され、生活環境項目については、日平均排出水量が50立方メートル以上の特定事業場に対して適用されます。
該当する業種や排出先など、特定事業場の状況によっては適用されない基準項目があったり、暫定排水基準が適用される場合があります。
上乗せ排水基準
都道府県は一般排水基準では水域の実情からみて、水質汚濁防止法上不十分と考えられる水域については、条例で、さらに厳しい排水基準(以下「上乗せ排水基準」という。)を定めることができると水質汚濁防止法に規定されています。
岐阜県において、上乗せ排水基準を設定している水域は以下の7水域です。
- 木曽川水域
- 長良川水域
- 土岐川水域
- 神通川(宮川)水域
- 揖斐川水域
- 水門川水域
- 矢作川水域
上乗せ排水基準は県が定める「水質汚濁防止法に基づく排水基準を定める条例」で規定されています。一般排水基準より厳しい排水基準と日平均排出水量が50立方メートル未満の一部の特定事業場に対しても生活環境項目について排水基準を設定しています。
水質汚濁防止法に基づく排水基準を定める条例(昭和四十六年十二月二十八日条例第三十三号)<外部リンク>
※水質汚濁防止法に基づく排水基準を定める条例の各別表備考欄の規定についてもご確認をお願いします。
総量規制基準
水質汚濁防止法では人口・産業等が集中し水質汚濁が著しい広域的な閉鎖性水域について、一律の排水基準だけでは環境基準の確保が困難な場合に、産業排水のみならず、生活排水等も含めたすべての発生源からの汚濁負荷量を全体的に削減しようとすることを目的に総量規制基準が設けられています。指定地域内の特定事業場で、日平均排出水量50立方メートル以上のものを指定地域内事業場といい、これらの事業場には1日に排出できる汚濁負荷量の許容限度として、総量規制基準が定められています。
排出水の測定について
排出水の汚染状態の測定頻度(全国一律基準)
(1)特定事業場の排出水に係る排水基準に定められた項目のうち、特定施設設置(使用・変更)届により知事に届け出た項目(*1)については1年に1回以上測定すること。(旅館業(温泉を利用するもの)は、一部の項目(*2)については3年に1回以上測定すること。)
- (*1)届け出た項目
排水基準が定められている項目のうち、通常排水口から排出される項目や排出されるおそれがある項目(特定施設において使用等している物質や副生成等により存在すると推定される物質を含む)に関して、届け出る必要があります。 - (*2)一部の項目
砒素及びその化合物、ほう素及びその化合物並びにふっ素及びその化合物並びに水素イオン濃度、銅含有量、亜鉛含有量、溶解性鉄含有量、溶解性マンガン含有量及びクロム含有量
(2)その他の項目については必要に応じて測定すること。
測定時期
測定のための試料は、排出水の汚染状態が最も悪いと推定される時期及び時刻に採取すること。
測定結果の記録
測定結果の記録は、計量証明事業所が発行した証明書や測定に伴い作成したチャートその他の資料とともに3年間保存すること。
水質測定記録表(様式第8) [Excelファイル/29KB]
水質測定記録表(様式第8)[PDFファイル/80KB]
都道府県等による上乗せ
水質汚濁防止法に定められた測定頻度は、全国一律の必要最低限の頻度として定められたものであり、都道府県等が地域の実情等を踏まえ、上乗せできることとされています。
岐阜県における測定項目及び測定頻度
岐阜県では、条例により測定頻度に対する上乗せを規定していませんが、水質汚濁防止の観点から、これまで実施されていた項目及び頻度で引き続き排出水の測定を実施していただくようお願いします。
|
特定施設の規制区分 |
測定項目 | 排出水量の規模等 | 測定頻度 |
|---|---|---|---|
| 水質汚濁防止法 | 健康項目 (有害物質) |
排出水量にかかわらず排水基準が適用 | 1回/月以上 |
| 生活環境項目 | 排出水量50立方メートル/日以上 | 1回/月以上 | |
| 排出水量50立方メートル/日未満で、上乗せにより排水基準の適用を受ける排出水量以上 | 4回/年以上 |
特定事業場設置者におかれましては、特定施設設置(使用・変更)届の状況・記載内容を確認していただくようお願いします。
(参考)岐阜県公害防止条例について
岐阜県では「岐阜県公害防止条例」により、水質汚濁防止法で定められている特定施設以外の施設についても、条例上の特定施設として定め、排水規制を行っています。
| 番号 | 特定施設 |
|---|---|
| 1 |
出版印刷、同関連産業の用に供する写真製版施設 |
| 2 |
陶磁器、同関連製品製造業の用に供するスプレー式施釉施設 |
| 3 |
段ボール製造業の用に供するのり付け施設(コンスターチ使用の場合に限る。) |
| 4 |
畜産業の用に供する畜舎(牛若しくは馬の飼養頭数が十頭以上、豚の飼養頭数が三十頭以上又は鶏の飼養羽数千羽以上のものに限る。この場合において、牛、馬、豚又は鶏を合せて飼養するときは、豚三頭又は鶏百羽を牛一頭に換算する。) |
| 5 |
自動車整備業(自動車の車体若しくは車軸の整備修理業又は中古自動車、エンジンの解体若しくは再生業をいう。)の用に供する車体洗浄施設及び部品洗浄施設並びに給油所 |
| 6 |
吹付け塗装業の用に供する排気洗浄施設 |
| 7 |
大理石製造業又はテラゾー製造業の用に供する石材切截施設及び湿式研磨施設 |
| 備考 | 水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第二条第二項に規定する特定施設を除く。 |
岐阜県公害防止条例において測定頻度の定めはありませんが、以下の項目及び頻度で測定を実施いただくようお願いします。
| 特使い施設の規制区分 | 測定項目 | 排出水量の規模等 | 測定頻度 |
|---|---|---|---|
| 岐阜県公害防止条例 |
健康項目 (有害物質) |
排出水量にかかわらず排水基準が適用 | 1回/月以上 |
| 生活環境項目 | 排水基準の適用を受ける排出水量以上 | 1回/月以上 |
届出書類について
特定施設の設置・変更には、事前に知事(岐阜市にあっては岐阜市長)への届出が必要です。届出書類については以下のページをご覧ください。
水質汚濁防止法及び岐阜県公害防止条例に関するご相談先
特定施設の妥当性や届出については、管轄の県事務所等 [PDFファイル/97KB]までご相談ください。

