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「出土した岐阜の逸品」No.5唯一無二!?特殊な文様をもつ国産の銅鏡
【逸品No.5】唯一無二!?特殊な文様をもつ国産の銅鏡
逸品情報

概要
銅鏡直径8.5センチメートル
弥生時代終末期から古墳時代前期頃につくられた国産の銅鏡で、完全な形を保っています。
本鏡は13個の半円形(弧文(こもん))をつらね、弧文の内側に円形の文様(珠文(しゅもん))を1つずつ表現しています。また、その外側には小さな丸を線で繋ぎながら環状に表現した文様(円圏連珠文(えんけんれんじゅもん))がみられます。これらの文様は、本来一つの鏡の中で組み合わせられることはなく、本例は全国的にみても類例のない特殊なものです。
こうした文様が組み合わさった背景を考えることは、弥生時代から古墳時代にかけての鏡つくりのあり方を考える上できわめて重要な意義をもちます。
出土遺跡
荒尾南遺跡(大垣市荒尾町)
大垣市西部に位置し、標高6メートル前後の緩扇状地から自然堤防帯にかけて立地する弥生時代前期から古墳時代前期にかけての大集落です。弥生時代前期から古墳時代前期の方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)、縄文時代晩期から古墳時代前期の竪穴建物、弥生時代後期から古墳時代前期の掘立柱建物跡をはじめ、多数の土坑や溝状遺構がみつかりました。また、弥生土器・土師器(はじき)、木製品、石器など、多くの遺物が出土しました。
出土状況
銅鏡は遺跡の東部を南北に縦断する大溝の岸辺から多数の土器片や木製品とともに出土しました。この大溝は弥生時代中期に人工的に掘削されたと考えられ、古墳時代前期までかけてゆっくりと埋没していきました。その規模は長さ450メートル以上、幅は5から10メートル、深さは1.5メートルに及びます。銅鏡はベンガラで赤色に着色されており、銅鏡が出土した付近からは、ミニチュア土器と呼ばれる小型で非実用的な土器が数点出土しています。これらの状況から銅鏡は祭祀に使用された後に、大溝に土器とともに廃棄されたと考えられます。
銅鏡が出土した大溝
銅鏡の出土状況

