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御望A遺跡
御望A遺跡(ごもA)
所在地
岐阜市御望(ぎふしごも)
地図<外部リンク>
時代
縄文時代から近世
発掘区近景(北から撮影)
発掘区近景(南から撮影)
発掘状況
御望A遺跡は、東西を旧河川に挟まれる紡錘形の微高地上に立地する遺跡であり、遺跡の北側及び北東側には御望山があります。御望山南麓には犬塚古墳群、御望古墳群、洞第1古墳群、洞第2古墳群といった古墳時代後期を中心とした古墳群が所在します。平成28年度に実施した発掘調査では、縄文時代前期から古代にかけての竪穴建物28軒のほか、掘立柱建物や溝状遺構、土坑などを検出しました。
竪穴建物、掘立柱建物
縄文時代前期、縄文時代中期、弥生時代後期から古墳時代前期、古墳時代後期、古代の大きくわけて5時期の建物を確認し、当遺跡では、縄文時代前期から古代まで断続的に集落域として土地利用されていたことが分かりました。
縄文時代前期
縄文時代前期後葉の竪穴建物を3軒確認しました。下の写真の建物3では、建物のほぼ中央と思われる位置で地床炉を検出しました。また、建物1の床面では、石皿(皿型で、穀物や木の実などを磨り潰すための台として使われたと考えられる石器)が据え置かれている状況で出土しました。
出土した縄文時代前期後葉の土器は、西日本系、東日本系、在地系のものからなり、表面に赤彩を施すものもありました。
縄文時代前期後葉の竪穴建物
建物1の石皿出土状況
縄文時代中期
縄文時代中期後葉の竪穴建物を1軒確認しました。建物のほぼ中央には石囲炉(周りに石をめぐらした炉。今回の調査では、2つの石が炉の周りに残っていました。)があり、炉の底面では焼土を検出しました。また、建物の柱穴を結ぶように巡る溝を確認しました。埋甕が見つからなかったことや検出範囲では壁際溝が途切れる箇所がないことから南西側が建物の出入口であった可能性があります。
縄文時代中期後葉の竪穴建物
炉からは台付深鉢の脚台が出土しました。
石囲炉遺物出土状況
古墳時代後期
古墳時代後期の掘立柱建物を3棟検出しました。他にも同時期の竪穴建物を14軒検出しており、人々の活発な活動が認められた時期といえます。御望山に立地する古墳群の造営時期と重なることから、古墳群を造営した集団の居住域の候補地の一つとして想定できます。
古墳時代後期の掘立建物
古代
古代の竪穴建物を4軒確認しました。北壁にはカマドがあり、底面では焼土を検出しました。カマドの袖部の内側では、カマド天井部を構築していたとみられる焼土や炭化物を含む埋土、被熱した土器片を確認しました。また、カマド燃焼部では、被熱面からやや離れて刀子(とうす)が出土しました。
カマドの袖部の内側から出土した被熱した土器片
カマド燃焼部から出土した刀子