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大気汚染防止法の改正(アスベスト)
大気汚染防止法の改正について
大気汚染防止法の一部が改正され、令和3年4月1日から順次施行されます。
法改正により、特定粉じん排出等作業の規制が強化されますので、お知らせします。
「大気汚染防止法の改正概要チラシ(解体等工事業者向け)」 [PDFファイル/570KB]
1 規制対象の拡大
これまで、吹付け石綿(レベル1建材※)、石綿含有断熱材等(レベル2建材※)の除去作業について、大気汚染防止法の規制の対象とされていましたが、令和3年4月1日から、石綿含有成形板等(レベル3建材※)の除去作業についても、新たに規制の対象とされ、作業基準が適用されることとなりました。また、石綿含有仕上げ塗材については、施工方法によらず、吹付け石綿及び石綿含有断熱材等以外の特定建築材料(レベル3建材※)として取り扱うこととなりました。
なお、石綿含有成形板等及び石綿含有仕上げ塗材の除去作業については、特定粉じん排出等作業実施届出書の提出は不要となります。
分類 | 区分 |
特定建築 材料の種類 |
建築材料の具体例 |
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吹付け石綿 | レベル1 | 吹付け石綿 | (1)吹付け石綿、(2)石綿含有吹付けロックウール(乾式・湿式)、(3)石綿含有ひる石吹付け材、(4)石綿含有パーライト吹付け材 |
石綿含有 断熱材等 |
レベル2 |
石綿含有断熱材 |
(1)屋根用折版裏断熱材、(2)煙突用断熱材 |
石綿含有保温材 |
(1)石綿保温材、(2)石綿含有けいそう土保温材、(3)石綿含有パーミライト保温材、(4)石綿含有けい酸カルシウム保温材、(5)石綿含有ひる石保温材、(6)石綿含有水練り保温材 | ||
石綿含有耐火被覆材 |
(1)石綿含有耐火被覆板、(2)石綿含有けい酸カルシウム板第二種、(3)石綿含有耐火被覆塗り材 | ||
石綿含有 仕上げ塗材 |
レベル3 |
石綿含有仕上げ塗材 |
(1)セメントリシン、(2)シリカリシン 等 |
石綿含有 成形板等 |
石綿含有成形板等 |
(1)石綿含有けい酸カルシウム板第一種、(2)スレートボード、(3)スラグ石膏板、(4)押出成型品、(5)石綿含有ロックウール吸音天井板、(6)石綿含有石膏板、(7)スレート波板 等 |
※レベル1、2、3の区分は、建設業労働災害防止協会による区分であるが、一般的に広く認知されていることから、便宜的に使用
2 作業計画の作成
全ての特定工事(※)の開始前に、元請業者は、特定粉じん排出等作業の計画を作成し、作業計画に基づき特定粉じん排出等作業を行うことが必要となりました。
※特定工事:特定建築材料が使用されている建築物、工作物の解体、改造、補修作業
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元請業者が、作業内容を他の者に請け負わせる場合、下請負人に対する作業計画の事項説明が義務付けられています。
3 事前調査の実施
全ての解体等工事について、元請業者による事前調査の実施が義務付けられているところですが、新たに事前調査の方法が規定され、書面調査(設計図書その他書面による調査)及び目視調査(特定建築材料の有無の目視による調査)が必要となります。
書面調査及び目視調査により、解体等工事が特定工事に該当するか否かが明かにならなかったときは、分析調査が必要となります。ただし、解体等工事が特定工事に該当するものとみなして措置を講ずる場合、この限りではありません。
また、これまで、事前調査結果を発注者に書面で説明することとされていましたが、これに加え、全ての解体等工事について、元請業者は事前調査結果の記録及び発注者への説明書面を3年間保存することが必要になりました。
※令和4年4月1日からは、事前調査結果を岐阜県に報告する必要があります。
※令和5年10月1日からは、事前調査は「建築物石綿含有建材調査者」等の資格者が実施することが必要になります。
方法 |
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記録 事項 |
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届出対象の 特定工事の場合 (レベル1、レベル2) |
届出対象外の 特定工事の場合 (レベル3) |
特定工事に 該当しない場合 |
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説明時期は、特定粉じん排出等作業の開始の日の14日前まで(※2) | 説明時期は、解体工事の開始の日まで(※2) |
特定工事に該当する場合 (レベル1、レベル2、レベル3 全て対象) |
特定工事に該当しない場合 |
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※元請業者は事前調査の内容を公衆に見やすい場所に掲示をしなければなりません。
掲示板のサイズは 42cm×29.7cm以上(A3サイズ以上)となります。
4 作業基準
法改正により、新たに石綿含有成形板等(レベル3建材)が規制対象に追加されたことに伴い、作業基準の見直しが行われました。また、元請業者だけでなく、下請負人も作業基準を遵守することが義務付けられます。
作業の種類 |
作業基準 | |
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1 |
吹付け石綿及び石綿含有断熱材等を除去する解体作業 (5に掲げるものを除く。) |
次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。 イ 特定建築材料の除去を行う場所(以下「作業場」という。)を他の場所から隔離すること。隔離に当たっては、作業場の出入口に前室を設置すること。 ロ 作業場及び前室を負圧に保ち、作業場の排気に日本工業規格Z八一二二に定めるHEPAフィルタを付けた集じん・排気装置を使用すること。 ハ イの規定により隔離を行つた作業場において初めて特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始前に、使用する集じん・排気装置が正常に稼働することを使用する場所において確認し、異常が認められた場合は、集じん・排気装置の補修その他の必要な措置を講ずること。 ニ 特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始前及び中断時に、作業場及び前室が負圧に保たれていることを確認し、異常が認められた場合は、集じん・排気装置の補修その他の必要な措置を講ずること。 ホ 除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。 ヘ イの規定により隔離を行つた作業場において初めて特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始後速やかに、及び特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始後に集じん・排気装置を使用する場所を変更した場合、集じん・排気装置に付けたフィルタを交換した場合その他必要がある場合に随時、使用する集じん・排気装置の排気口において、粉じんを迅速に測定できる機器を用いることにより集じん・排気装置が正常に稼働することを確認し、異常が認められた場合は、直ちに当該除去を中止し、集じん・排気装置の補修その他の必要な措置を講ずること。 ト 特定建築材料の除去後、作業場の隔離を解くに当たつては、特定建築材料を除去した部分に特定粉じんの飛散を抑制するための薬液等を散布するとともに作業場内の清掃その他の特 定粉じんの処理を行った上で、特定粉じんが大気中へ排出され、又は飛散するおそれがないことを確認すること。 |
2 |
石綿含有断熱材等を除去する作業であって、かき落とし、切断、又は破砕以外の方法で除去する解体作業 (5に掲げるものを除く。) |
次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。 イ 特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生すること。 ロ 除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。 ハ 特定建築材料の除去後、養生を解くに当たっては、特定建築材料を除去した部分に特定粉じんの飛散を抑制するための薬液等を散布するとともに作業場内の清掃その他特定粉じんの処理を行うこと。 |
3 新設 |
石綿含有仕上げ塗材を除去する解体、改造、補修作業 (5に掲げるものを除く) |
次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。 イ 除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。(ロの規定により特定建築材料を除去する場合を除く。) ロ 電気グラインダーその他の電動工具を用いて特定建築材料を除去するときは、次に掲げる措置を講ずること。 (1)特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生すること。 (2)除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。 ハ 特定建築材料の除去後、作業場内の特定粉じんを清掃すること。この場合において、養生を行ったときは、当該養生を解くに当たって、作業場内の清掃その他の特定粉じんの処理を行うこと。 |
4 新設 |
石綿含有成形板その他の建築材料を除去する解体、改造、補修作業 (1,2,3,5に掲げるものを除く) |
次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。 イ 特定建築材料を切断、破砕等することなくそのまま建築物等から取り外すこと。 ロ イの方法により特定建築材料(ハに規定するものを除く。)を除去することが技術上著しく困難なとき又は令第3条の4第2号に掲げる作業(←改造又は補修する作業)に該当するものとして行う作業の性質上適しないときは、除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。 ハ 石綿含有成形板等のうち、特定粉じんを比較的多量に発生し、又は飛散させる原因となるものとして環境大臣が定めるもの(←ケイ酸カルシウム板第1種)にあっては、イの方法により除去することが技術上著しく困難なとき又は令第3条の4第2号に掲げる作業に該当するものとして行う作業の性質上適しないときは、次に掲げる措置を講ずること。 (1)特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生すること。 (2)除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。 ニ 特定建築材料の除去後、作業場内の特定粉じんを清掃すること。この場合において、養生を行ったときは、当該養生を解くに当たって、作業場内の清掃その他の特定粉じんの処理を行うこと。 |
5 |
人が立ち入ることが危険な状態の建築物等の解体作業その他あらかじめ特定建築材料を除去することが著しく困難な解体作業 |
作業の対象となる建築物又は工作物に散水するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。 |
6 |
吹付け石綿及び石綿含有断熱材等に係る改造、補修作業 |
次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等の部分に使用されている特定建築材料の除去若しくは囲い込み等を行うか、又はこれらと同等以上の効果を有する措置を講ずること。 イ 特定建築材料をかき落とし、切断、又は破砕により除去する場合は1の項イからトまでに掲げる事項を遵守することとし、これら以外の方法で除去する場合は2の項イからハまでに掲げる事項を遵守すること。 ロ 特定建築材料の囲い込み等を行うに当たっては、当該特定建築材料の劣化状態及び下地との接着状態を確認し、劣化が著しい場合又は下地との接着が不良な場合は、当該特定建築材料を除去すること。 ハ 吹付け石綿の囲い込み若しくは石綿含有断熱材等の囲い込み等(これらの建築材料の切断、破砕等を伴うものに限る。)を行う場合又は吹付け石綿の封じ込めを行う場合は、1の項イからトまでの規定を準用する。 |
5 作業実施状況の記録の作成
吹付け石綿及び石綿含有断熱材等のかき落とし等、作業区画の隔離養生が必要な特定工事を行う場合、元請業者又は下請負人は、施工の分担関係に応じて工事が終了するまでの間、特定粉じん排出等作業の実施状況の記録を作成するとともに、特定工事が終了するまでの間、保存することが必要になりました。
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6 特定建築材料の除去等完了後の目視確認
全ての特定工事において、特定建築材料の除去等の完了後に(除去等を行う場所を他の場所から隔離したときは隔離を解く前に)、元請業者は、除去等が完了したことの確認を適切に行うために必要な知識を有する者(※)に、目視確認をさせることが必要になりました。
※環境省通知にて、建築物石綿含有建材調査者、義務付け適用前に(一社)日本アスベスト診断協会に登録された者、石綿作業主任者とすることが示されています。
7 発注者への作業結果の報告
全ての特定工事において、元請業者は、特定粉じん排出等作業が完了したときは、その結果を遅滞なく、発注者に書面で報告するとともに、特定粉じん排出等作業に関する記録を作成し、記録及び書面の写しを3年間保存することが必要になりました。
特定粉じん排出等作業に関する記録 |
発注者への報告書面 |
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・元請業者の現場責任者の氏名、連絡場所
・下請負人の現場責任者の氏名、連絡場所
・発注者の氏名、名称、住所、代表者名
・特定工事の場所
・特定粉じん排出等作業の種類、実施期間、実施状況
・作業完了後、目視確認をした年月日、確認の結果及び確認を行った者の氏名(確認の結果に基づいて特定建築材料の除去等の措置を講じた場合にあっては、その内容を含む)
【吹付け石綿及び石綿含有断熱材等のかき落とし等、作業区画の隔離養生が必要な除去作業を行う場合】
・集じん・排気装置が正常に稼働することを確認した年月日、確認の方法、確認の結果、確認者の氏名
・負圧に保たれていることを確認した年月日、確認の方法、確認の結果、確認者の氏名
・隔離を解くに当たって、特定粉じんが飛散するおそれがないことを確認した年月日、確認の方法、確認の結果、確認者の氏名
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・特定粉じん排出等作業の完了年月日
・特定粉じん排出等作業の実施状況の概要
・除去等作業完了後の目視確認を行った者の氏名、必要な知識を有する者に該当することを明らかにする事項(証明する書類の写しを添付)
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環境省ホームページにも大気汚染防止法の改正について、掲載されています。<外部リンク>