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知事記者会見録(令和7年2月6日)

※知事及び記者の発言内容については、事実誤認や単純ミスと思われる字句、重複した言葉づかい等を整理の上、発言の趣旨を損なわない程度に整理して作成しています。

令和7年2月6日(木曜日)15時00分

司会
 
ただいまから江崎禎英知事就任記者会見を始めさせていただきます。
 知事よろしくお願いいたします。

知事
 
改めまして、皆様こんにちは。岐阜県知事に就任いたしました江崎禎英でございます。おかげさまで4年間という準備期間を経てという形になるかと思いますが、知事というポストに就かせていただきました。
 これから県民の皆様と共に、「安心とワクワク」、そして「人やモノが集まる岐阜県」を創っていくと、そのような思いで今日初登庁させていただきました。そして早速、今朝は大雪ということで、私も(山県市)美山の出身ですので雪の大変さは存じ上げているつもりですが、今のところ人的な被害は伺っておりませんが、これからこの寒波は続きますので、迅速に対応できるように、いついかなる時でも対応できるように、そのような準備をしたいと思っております。
 そして、今日が(記者会見が)初めてということで、皆様とこれからここで(記者会見を)やりますね。今までと少し違うかもしれませんが、当選証書授与式や引継ぎの時にも申し上げましたが、やはり皆さんとの関係を大事にしていきたいと思っております。なので、会見は週1回火曜日の(午後)3時にここ(記者会見場)で実施させていただくと。こちらからの報告がなくても実施するということで、できるだけこの場で対応していくような形にしていこうと思います。以前も申し上げましたが、(メディアの)皆様の働き方改革ということで、原則、美山の方にはいませんが、たまにいるかもしれないと思って(美山へ)行ってしまってえらい目に遭った人もいるやと聞きましたが、皆さんの働き方改革もそうですが、夜中、深夜みたいなことは、皆さんとしてはやらないといけないのかもしれませんが、逆に言うと、その時には一切答えないということにしますので、従って無駄な時間を使わないようにしていただければと思います。その代わり、緊急案件やその他の時は近くにおりますので、ここで基本的に実施しますので、(私が)どこにいるのだろうかといって探す必要もありませんし、その時は広報課に連絡いただければ、ちゃんとお話をしますし、囲み、ぶら下がり(取材)というのも大変だと思いますし、バタバタするのでははく、こうした形で皆さんにお伝えすることが大事で、丁寧にやりたいと思っております。なので、皆様の上司の方には、「とにかく朝まで待っておけ。」とか、「夜に行ってこい。」といった指示をしても無駄だということを知事が言っていたとお伝えください。皆さんには、よく寝ていただくと言いますか、今日の最初の就任時に(職員に対して)お話をしましたが、その時に管理職に対して話をしたうちの特に3つ目である「健康でいる」ということは大事なことで、我々は判断することが大事な仕事になります。皆様には正確に記事を書いていただいて、県民、国民の皆様にお伝えいただくという大事な役割を担っていただいておりますので、疲れた状態ではなく、すっきりした頭で、そしてどこに行ったら情報を取れるのかということではなく、県に関してはここで全部発信していきたいと思っております。また、個別にインタビューも受けますので、皆と一緒の場所だと嫌だということであれば、しっかり対応いたします。ニュースとなるものはここから発信していくということで対応したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、話題ごと、テーマごとに関係する方に来ていただくようにしますので、広報に関する情報収集はここでできるようにしたいと思っております。もちろん、個別の希望やその他についても聞きますので、原則そのように実施したいと考えています。
 皆さん是非、しっかり体を休めて良い仕事をしてください。これは県庁だけではなくて、県民の皆さんにも同じことをお願いしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。私からは以上です。

記者
 
(本日)午前中に登庁されて、いろんな職員の方とコミュニケーションを取られたのかなと想像するのですが、それを経て、気持ちを新たにしている部分などありましたらお願いします。

知事
 今朝の初登庁は、なかなか寒い朝でしたが、非常に美しい朝でもありました。そういう意味で、非常に身の引き締まる思いで(県庁舎に)入りました。玄関のホールにはたくさんの方々、職員だけではなくて、ご支援をいただいた方もたくさんいらっしゃって、本当に感慨深く入らせていただきました。
 その後、幹部の皆さんともお話をする中で、ほとんどが「お久しぶりです。」とか「待っていました。」という話が多くて、新しいところへ行くというよりは、帰ってきましたという感じでありますので、職員の方々とお話しする中で、彼らもいろいろ期待するところがあると思いますが、一緒にやっていこうと、そのような思いがありました。

記者
 
早速、(会見場の知事の背後にある)バックボードがこれまでと変わったと思ったのですが、バックボードに込められた思いがありましたらお願いします。

知事
 
まさに、「共に未来を」と「安心とワクワク」ということを選挙を通じてお話をしてきましたし、まさにこれから実現していくと。選挙の時だけのキャッチフレーズでは意味がなくて、これを実現していくんだという思いを込めました。早速、バックボードにしていただいて、少し私も感動しています。

記者
 
当初予算案についてですが、考え方によって骨格予算でいくのかという部分もあるかと思いますが、今お考えになっている部分をお知らせいただければと思います。

知事
 
就任するまではほぼ職員の方と接触がないということでしたので、これから皆さんから予算についての話を聞きたいと思っています。基本的には新しくなるということで、世の中的には骨格予算ということをベースにしながらも、ただ、その骨格の柱ということが、これまでお話をした10本の柱とか、そういったものに極力合わせるような形で、県民の皆さんに、私が知事になって、こうやって政策をやっていくんだと、予算というのはその一つの表れになりますので、そういったものもしっかりお示しできるように準備をして、来週か再来週に皆さんの前でお話をできるようにしたいと思っています。

記者
 
先程のバックボードの話に戻りますが、以前ですと「清流の国」というワード、そしてマスコットキャラクターの「ミナモ」が付いていたと思うのですが、それが無くなったと言いますか、今回のようなデザインに変わったのだと思いますが、今後「清流の国」であったり、「ミナモ」というものを江崎知事としてはどのように考えていくのでしょうか。

知事
 
「ミナモ」については、バックボードからいなくなったんだと私も思ったぐらいなので、所々に入れても良いかなと思ったり、それぞれのテーマによって「ミナモ」を変えても面白いねという話を今朝もしていましたので、これまで私が言ってきた形でとりあえず作ってみました。今後、「ねんりんピック」などのいろんな活動の中で、「ミナモ」に出てきてもらっても良いと思っていますし、柔軟にいきたいと思っています。塗り替えたというよりは上に乗っかったイメージだと思いますので、そのうちまた滲み出てくるのではないかと思いますし、柔軟にいきたいと思います。

記者
 
「清流の国」の方についてはいかがですか。

知事
 
「清流の国」についても、私が知事になったら清流がなくなるわけでありません。美山出身の私としては、清流をもっとアピールしていきたいなと思っています。そのアピールの仕方はいろんな工夫があると思いますが、使っていきたいと思います。

記者
 
定例会見を週1回に増やして、囲みやぶら下がりには応じずに、緊急の時も会見をするという認識でよろしいでしょうか。

知事
 
実際に事が起きてみないと分からないですが、そんなに遠くにいませんので、バタバタと外でやるよりも、皆さんとしてもこうやって座って仕事をした方が良いのではないかと思います。立ってやるよりは良いかなと思ったのですが。

記者
 
イメージとしては、週1回の会見と、緊急時のぶら下がり、囲みに準ずるような形の会見みたいなものを実施するということでしょうか。

知事
 
そのとおりです。

記者
 
20年前に古田知事が就任した時に、古田知事は梶原知事の政策の総点検であったり、検証するということを言われたのですが、江崎知事として、5期20年間の古田県政を検証したり、総点検をするようなお考えはありますでしょうか。

知事
 
初めて知事になった場合には、だいたい1期をかけて実施するらしいのですが、私の場合は元々4年間県庁におりましたし、この4年間、私は第0期をやってきたつもりなので、総点検のような形でやるつもりは今のところありません。実際、県の中には、政策点検をする部署もあり、それを踏まえたこともありますし、10の項目も含めて、この4年間の集大成としてやらなければいけないことが目白押しですので、それを即スタートしたいと思っています。

記者
 
人事面について、現在副知事が1人欠員となっていますが、先日も古田知事からの引継ぎ式の時に「君が良いと思う人を置けば良いのではないか。」とのお言葉がありましたが、江崎知事として副知事の人柄であったり、人物像であったり、具体的に思い描いている方はいらっしゃいますでしょうか。

知事
 
私がお世話になった頃の方々は皆さん先輩で、そしてついに私が1番年上になってしまい、皆さんいらっしゃらなくなりました。その当時にお話をできなかった方もたくさんいらっしゃいますから、これから皆さんを見て、仕事の中身、いきなり副知事にというよりは、一旦自分でしっかり見た上で考えるようにしたいなと思っています。

記者
 
選挙活動の中で訴えていた政策について、お伺いします。
 「政策オリンピック」というお話がございました。まず、その「政策オリンピック」について今回の予算でしっかりと予算付けするという思いでいらっしゃいますか。

知事
 
ものにもよりますが、予算に即繋がるものもあれば、多分そうでないものもたくさんあるかなと思っています。それと、「政策オリンピック」についてしっかりと説明した方が良いかなと思うのは、10本の柱を「政策オリンピック」で行うのではなくて、10本の柱は政策の目標です。その中で、例えばもう少し噛み砕いた中で、いろんな方が自分のアイデアを出しやすいような仕組みにして、それについて募集をすると、そのような仕組みを考えたいと思っています。ただ、今の組織ではすぐにはできないかもしれないので、それも含めて、今後の対策を考えたいと思っています。

記者
 
10本の柱があって、具体的な事業について政策を求めるということで、お話を聞いていて思ったのが、梶原県政の時に「夢おこし」という政策を競争する、特に市町村間で良い政策を競い合うという、コンテスト形式でやるようなコンペティションがあったのですが、そのようなものを想起させるような部分もあるのですが、江崎知事の中で、梶原知事が行ったような政策競争、あるいは「夢おこし」、そういったものにインスピレーションみたいなのはありますでしょうか。

知事
 
私は、ご質問があった「夢おこし」を知らないので、それよりもトップランナー方式と言うのですかね、要するにある取組みについて最も良い取組みをした人をまず応援をすることによって、後からそれに続く人たちがその真似をする。それがある意味、政策の進め方と言いますか、ボトムアップ型の政策のやり方でもあるのですが、その場合は社会保障だとか、本当に弱い人を救うやり方もあるのですが、例えば鳥獣害対策だとかをのべたんにやるだけではなくて、ある地域ではこういう良いことをやっていて、そのためにはこういう取組みをしたいということを応援した上で、非常に効果があるのであれば、他の地域もそれに準じてやってくださいと。例えば教育の場所で、こういうやり方を地域でやった時に、いじめが減ったとか、そういうものがあるのであれば、それを今度他の地域でもやってはどうかというように広げていくと、そのような形でいわゆるトップランナー方式を考えています。

記者
 
そうすると、「政策オリンピック」と、そのトップランナー方式で各地の動きと言いますか、挑戦を応援することと、少し別軸で考えた方が良いかもしれないということでしょうか。

知事
 
予算の面から言うと、予算が潤沢にあるのであれば、皆同じように配れば良いのですが、おそらく少ない予算、県民や国民の皆さんの税金をいかに効果的に使うかという時は、分散して使うのではなく、本当に必要なところにまず(予算配分を)やってみて、それを仕上げてしまう。その結果をもって他に広げていくし、それが県のお金で難しければ、国に持っていきたいと思っています。それは教育にしても、鳥獣害対策にしても、こういうやり方を岐阜県でやって非常に成功したということで、他の岐阜県内でやってからではなくて、直ぐに国へ持っていって、国の政策としてこれを取り上げてくれないかと。そしてまた、配分される予算を持って他の地域へも広げていくと、そのようなところです。

記者
 
特区のようなイメージということでよろしいですか。

知事
 
特区と言うと、規制緩和のようになってしまいますが、特別に応援する、そこを競っていただけるとありがたいと思います。

記者
 
二拠点居住、二拠点生活というお話をされていました。ご自身も東京と美山を往復してという話がありましたが、今、国の石破政権の方が二拠点居住、二拠点生活ということで、国家公務員の方に国と各市町村に、どちらかと言うと、企画政策が弱い所にというような話でしたが、岐阜県の市町村に手を挙げさせるような、そのパイプになるような気持ちはありますでしょうか。

知事
 
国がそういうことを進めることは非常に良いことだと思っていますし、実は県でもそれをやりたいと思っていました。市町村と県がバラバラに仕事をするのではなく、例えば先程の、このテーマはうちの市でやりたいというのであれば、県のリソースを集中投入するし、場合によっては人もある意味兼務してもらうような形で行うと。石破さんが思っていることと同じことを県でもやりたいし、それを国がやってくれるのであれば、それも活用してやっていきたいと思っています。

記者
 
当初予算を10本の柱に合わせていくということですが、6月補正で本格的なことをやるというよりも、できる限り当初予算で、1週間後には発表になると思いますが、そちらの方で修正を加えることになりますか。

知事
 
やり方は両方あると思います。これから予算の建付けをお伺いすることになっておりますので、元々が骨格予算になっているのであれば、今おっしゃったようなことかもしれませんし、そうでなければ、可能な限り後で修正するっていうことで、多分その予算そのものもメッセージですので、10本に合わせるというか、10本の括りで整理できるところから整理した上で、いきなり10本全部できるわけではないでしょうから、6月なのか翌年なのかも含めて、その整理をこれからやっていきたいと思っています。

記者
 
副知事の人事の件について、議会の3月定例会で追加提出という形になるのか、それともそれ以降の可能性もありますでしょうか。

知事
 
いろんな人に会ってじっくりお話を聞くことから始まりますので、今おっしゃった全ての選択肢を残しておこうと思っています。

記者
 
細かいところになるのですが、河合副知事の枠となると、県職員出身者の方が就くポジションという慣習になっていると思うのですが、現役かどうかはともかく、県職員経験者の中から選ぶという認識でよろしいでしょうか。

知事
 
限定する必要はないと思いますが、やはり行政経験があるというのは結構大事かなというのもあります。一方で大きく変えないといけないということで、地域によっては民間からということもあります。今のところはそこまで大きなことは考えておりませんが、これからいろんな方に会う中で、選択肢を絞り込んでいきたいと思っています。

記者
 
知事公邸の話なのですが、知事公邸に入居されたということでよろしいですか。

知事
 
いいえ、入居していません。

記者
 
今後公邸へ入居されるご予定はありますでしょうか。

知事
 
今は、どこにも入ることができない、エアコンが壊れているとか、床が抜けているとかで。入ることができるようになってから考えるかという感じです。

記者
 
公邸の関連で、例えば静岡県のように、公邸を廃止するということが、都道府県の中で動きとしてあると思うのですが、そのようなことはまだ早いかもしれないですが、選択肢としてお考えはありますでしょうか。

知事
 
ある方は「ここに入居したら良いんじゃない。」と言って、見に行こうと思ったら、もう廃止されてなくなっていてということで、そもそも選択肢がほとんどないのと、一つ考えなければいけないのは、今までは単なる候補者でしたけど、知事となるとセキュリティの問題だとか、先程申し上げた皆さんとの関係、何かあったらすぐ飛んでいけるような場所とか、そのようなことを考えると、どこでも良いわけではないと思いますし、特にセキュリティのことを考えた時に、何でも廃止すれば良いというわけではないかなと思ってます。これから秘書課の方と相談していこうと思います。

記者
 
訓示を職員の皆さんにされたと思うのですが、その中で難問に挑戦してほしいというお話がありましたが、江崎さんにとって今、岐阜県が直面する難問というのは何なのかお伺いします。

知事
 難問というのは、実は一般論というよりは、全てのことに必ず難問はあるということです。国にいる時に、30近いポストをやりましたが、全ての課の中に簡単なところからそうでないものまで全部揃っているんです。その簡単な方ばかりを皆さんがやりたがるということがあるのですが、私にとっての難問という意味においては、まさに人口減少問題もそうですし、それに連なる働き方、また、特に子どもたちの教育、35万人の不登校、これも国の難問そのものですね。それはしっかりやっていきたいと思っていますし、個人的に近いものはやはり鳥獣害対策です。これもまた日本中が悩んでいることですし、あとは山ですね。「木の国、山の国」と言っておきながら、ほとんど山が荒れている状況の中で、この国のモデルになるようなものを作っていくと。場合によっては国を相手にいろんな制度づくりが要るかもしれませんし、普通なら法律が絡むと皆逃げたくなるのですが、果敢に挑戦していきたいと思っています。

記者
 
先程の予算に関する質問とも関連するのですが、今おっしゃった人口減少対策、それから教育。3月議会に入る前に、10個の項目の中である程度強弱をつけて、これをやっていきたいということはありますでしょうか。

知事
 
もちろんです。予算になったらもう少し姿が見えると思うのですが、人口減少対策と働き方改革と農業と教育というのは実はセットなんですよ。ただ、皆さんバラバラに政策を言いたがるのですが、実はこれらは全部関連してくるので、そうしたものが動けるような形、これから各部長さんから思いを聞いた上で、これとこれはまとめた方が良いのではとか、そうした姿が、時間がそんなにありませんので、結構大変な作業でありますが、可能な限りそれを県民の皆さんに分かるような形にお示しして、それでも積み切れないところは、6月補正予算なりになっていくのかなと思っています。

記者
 
リニアの件でお伺いします。
 就任されてまだ初日なので、決まっていないことばかりかもしれませんが、現時点でJR東海の丹羽社長と会談の場を持つということは考えていますでしょうか。
 それで、もし会いたいということであれば、会った上でどういったことについて話し合いをしたい、またどういったことを聞き出したいと考えていますでしょうか。

知事
 
JR東海の方から祝電をいただきましたので、電話をしたのですが、誰もいらっしゃらなかったので、とりあえずそこで一旦終わっておりますが、今後まさにリニアの取組みについて、県庁内から伺った上で、彼ら(JR東海)が事業の実施主体ですから、県としてやはり申し上げていくべきこともあるのだろうと。そのところをしっかり整理した上でと考えています。あとは市町村、やはり実際に住民の方々の課題をしっかり踏まえた上で何ができるか、そして時間も含めてどういうことになるのか、しっかり考えていきたいと思っています。今のところはまだ何日(にお会いしたい)という申し入れはしていませんので、これからやっていこうと思います。

記者
 
先日の古田前知事との事務引継ぎの時などに、県職員の働き方改革を実施していきたいとおっしゃっていたかと思います。課題があるから改革をするということかと思いますが、現状どのように課題があると認識されていて、どのようにそれを変えていきたいとお考えでしょうか。

知事
 
梶原さんが知事の頃からですが、岐阜県庁はいつも人がいるなと。国にいる頃は、何時に岐阜県庁に電話しても必ず電話に出るということで有名な所でした。やはり職員の方も良い仕事をするためには、きちんと家に帰って寝るということは大事かなとということが1つ。そしてもう1つは、本人が健康であることだけでなく、ご家族にとっても、例えば家族が揃って食事をするとか、子育て、その他にもやはり父親が子育てに参加するということ。割と女性が前提で議論することが多いのですが、そうではなく、男女にこだわらずに参加できるようにするということがとても大事なことかなと思っていますので、私が以前にこの県庁でお世話になった4年間もそうですが、結構皆さん夜は遅いし、いろんな形で土日も仕事をすることがあるでしょうから、その時には必ず代休を取るなりで、お金で支払うということもありますが、それよりもやはり家族との時間を大事にする、しっかり体を休めるとか、特に体を休めるのは体だけではなくて精神的にも休むことが重要だと思っていますので、思い切り仕事をしたら思い切り休むというメリハリのある仕事の仕方ができれば良いなと思っています。

記者
 
休むと言っても、仕事があるから休めないというようにおっしゃる方もいるのかなと思いますが、江崎さんが商工労働部長の時に部下の方の休みを推進されていたということだったかと思いますが、具体的にどのようにすれば、休みを取ったりすることができるというお考えなのでしょうか。

知事
 
私自身ができることもあるのですが、やはり部、課長さん方の行動で、どうしても仕事というのは上に対するリスクヘッジで増えてしまう部分があるので、先程の話ではないですが、決めていくということが大事だと思います。できるだけ手戻りしないような仕事の仕方をするということがあります。もう1つは、さっさと私のところに(案件を)上げてもらって、そこで決めていくということも大事かなと思ってます。
 それともう1つ、私が部長時代にやったのは、突然言うから大変なことになるので、早めに言っておくということ。先程皆さんに申し上げたように、いきなり夜中深夜に私の家の前に来ても喋らないよと言われても大変だと思うので、初めから喋らないよって言っておけば、私の所へ来る必要はなくなるので、やはり見通しが効くような仕事の仕方が大事かなと思っています。

記者
 
リニアの問題に関してなのですが、瑞浪の水位低下の問題があるかと思いますが、まずこの問題に関しては何から取り組んでいきたいとお考えですか。

知事
 
まさにこの4年間の間にいろいろ聞いてはいるのですが、県としてどういう対応をしてきて、JR東海との関係がどうなるのかと、あとはまさに瑞浪市が何をやってどんなことになっているのかということをしっかり聞いておきたいなと思っています。今までは一候補者の立場で聞いてきましたが、今度は県として、何をやってきて、これからどうするつもりなのかと、そこをしっかり聞いていきたいと思っています。

記者
 
近々、市の方に視察に行くとか、そういったご予定はありますでしょうか。

知事
 
今のところ、まだスケジュールに入っていませんが、予算の作業が大変なことになると思いますので、それが終わったら順次行きたいと思っています。

記者
 
産業施策について伺いたいのですが、来週予算は出るので、来年度というよりは中長期的にこういうことをしたいとか、こういったことが課題だということを伺えればと思います。

知事
 
今、この国、岐阜県も含めて経済的に一番の大きな問題は、仕事はあるけど、人が足りないという問題が1つ。それともう1つは、最低賃金を上げるか上げないかというところで、大企業は上げられるが中小企業が上げられないという中で、非常に難しい議論になっているなと思っています。私は、ここは多分、アプローチの仕方が間違っているのだろうと思っていて、最低賃金を上げることだけが解であるかのような議論が世の中ではされているのですが、そうではなくて、一般の方は可処分所得が増えることが大事なのだろうと思います。生活が楽になるという意味においては、使えるお金が増える。これは必ずしも最低賃金を上げることだけが解ではないと思っていて、特に今カツカツでやっている中小企業さんにとって、最低賃金を上げたらそもそも会社が成り立たないという中で、非常に国全体がずれた議論をしているなと。もっと言えば、先程の働き方改革にも繋がってくるのですが、要するに、かつての、いわゆる生産性を上げるには、徹夜残業で気合と根性で頑張るという、それはまだ残念ながら、県内でもベースとしては残っています。ところが、どちらかというと仕事そのものがあるのですが、そんなに増えているわけではない時に、やはり残業しないと給料が増えないと思っている働き方をしている人は、5時までの仕事を8時まで引っ張ってしまうと。それによって企業全体としては生産性が下がっている状態で、最低賃金を上げろと議論をされているから、多分これは難しいのだろうと思います。逆に言うと、私も健康経営を推奨してきた中で、例えば5時までの仕事を4時までに終えられるのであれば、給料を割増にするという会社があるんです。会社側からしてみても、割増にしなくても同じ仕事を4時までに終わってくれるのであれば、別に給料払ったって全然問題ないわけです。その方が、今度は4時以降にまた別の仕事をすることができるのであれば、トータルとしての世帯所得が増えるわけです。企業としても、別に無理して払う必要はなくて、本来やってほしい金額を払ってもらう。今度は、時給換算すればこれが上がるわけです。それがまさに最低賃金の議論としてカウントすることができれば、最終的に仕事はあるので、問題は何かというと働けるタイミングがないということです。9時5時が前提で、できれば残業できる人という募集の仕方をするから人が集まらないだけで、逆に午前中だけだとか、特に子育て中の女性はすごく良い仕事をして能力もあるのに、社会自体が彼女たちに働く場所を提供していないということが大きな問題で、この4年間回ってきても、それを実現した上にものすごく生産性が伸びている会社もたくさん見てきました。そうしたものを、まさに先ほどの「政策オリンピック」ではありませんが、推奨し喧伝することによって、他の企業さんたちに、人手不足を解消するとともに生産性が上がる、結果的に働く人にとっての可処分所得・世帯収入が増えるという解を、この国自体がやらなければいけないと思っているので、そのモデルをこの岐阜県から進めていければ良いかなと思っています。

記者
 
リニアの関係なのですが、リニアに関する今後のJR東海の対応についてですが、古田県政では、JR東海に対して、リニアに関しては工事をすることに対しては反対ではないが、環境影響評価については厳しい姿勢で臨まれていた印象なのですが、江崎知事になられてからは、県から申し上げていくというのは、主にどういったことをJR東海に申し上げていくのか。あと、県として、どういうことを瑞浪市の地元の方たちがやってほしいのか。これから聞いていくとおっしゃってましたが、知事になられるまでの4年間で、県内を歩いて回られる中で、要望とかお話を聞いていたと思うので、現段階で、知事としてどういう対応を取って、どういうことができるのか教えていただければと思います。

知事
 
今ほとんど答えをおっしゃっておられたのですが、実は県ができることというのは環境アセスなんです。実施主体はJR東海なので、我々は実施主体ではないので、それに対して、環境影響に関して県としては意見を述べることができるという、その根拠に基づいてアセスをし、意見を述べていると。これは古田政権と全く変わらないですから、これはやれることをやっていただけの話です。あとは、そこを超えていろんなことを要望していくというのは、実際これは市が中心になるのですが、実際に被害を受けられた方がどんなことに困っていて、それから今後の被害の可能性について、それをどう不安に思っているのか、ここは実際、JR東海の方でもいろんな検討対策を練っておられるでしょうから、そこをまず繋いでいくということになろうかと思っています。そしてもう1つ、4年間回っていれば当たり前ですが、この水の問題は最近起きたことではあるのですが、リニアに対して「じゃあ止めるか。」という、それを市民の方がみんな望んでるかというと多分そうでもないので、そうすると、そこの辺りで全体のバランスを見ながらしっかり対応しなければいけませんし、実際、困っておられる方は、まずはやはり優先的に対応するというのは当然のことなので、そこは従来どおりしっかりやった上で、あとは県として何をやっていくべきなのか、どうなってきたのかというのを、これから聞いて対応したいと思っています。

記者
 
先般の知事選で、4年間県民の声を聞いたというのが財産だとおっしゃったと思います。今後知事に就任されてからも県民との交流の場、声を聞く場というのを設けるお考えはありますでしょうか。

知事
 
おかげさまで、この4年間でいろいろ声を聞かせていただくと言うか、支援していただいた方々、新しい組織ができておりますので、これは引き続き維持していきたいなと思っています。特にこれから、知事になってからできた組織と、知事になる前からできた組織と、やはり期待されること、言っていることというのは、多少ずれるのだと思います。なので、知事でない時にそうした情報をいただいた流れというのは、これからも是非大事にしていきたいなと思っています。

記者
 
対話集会であったり、そういったものを開かれるお考えとかはありますでしょうか。

知事
 
4年間は、個人のご自宅に呼ばれて、「近所の方10人集めたから話聞かせてよ。」というのがありましたが、そこまでは時間がないかもしれないので、その集大成としてできている、例えば女性ですと、「飛翔ぎふちょう会」だとか、あとは「みらい創成研究会」だとか、そういうところの方々と一緒に、将来を考える取組みをしてきた方々からどう見えているのか、どういう部分が足りないのか、ということは、やはりしっかり聞いていく必要があると思っていますので、対話集会になるか、それとも県政報告という言葉が良いか分かりませんが、そんな取組みをしたいと思っています。早速、実は何件か既に想定されていますので、それは実施していこうと思っています。

記者
 
先般の古田知事との引継ぎの中で、市町村との関係、付き合い方という言及があったかと思います。県と岐阜市では、古田前知事と柴橋市長が良好な関係を築いていたと思うのですが、今後江崎知事は岐阜市との関係をどのように築いていきたいのか、お考えをお聞かせください。

知事
 
私は、商工労働部長の時、細江さん(前岐阜市長)とは全然(関係が)悪かった記憶がないので、特に「APEC中小企業大臣会合」があったと思うのですが、あの時は大分細江さんにも活躍してもらいましたし、柳ケ瀬の活性化で「やなな」、「くまモン」の2代前のグランプリを取った彼女を「ときどき商工労働部長」に任命する時の任命式は、今は無きと言ってはあれですが、高島屋(※)の舞台の上で彼と2人で辞令交付をしたり、そういう点で、私自身は仕事をしていく中で、市との関係が悪かったという記憶は全くなくて。あと、柴橋市長も議員になられた頃から知っていますし、私が国に帰ってからも、東京に出張するたびに私の部屋に来て、いろいろ意見交換をしていましたし、今もいろんな場面でご一緒してますから、別に全然悪いという雰囲気はありませんので、引き続き良好にやっていきたいと思います。

記者
 
古田前知事は5期20年務められまして、多選というご指摘がありました。江崎知事は現段階で何期務めたいかというお考えはありますでしょうか。

知事
 
それは全然考えていなくて、この10の項目を実現したいという、それが終わるのであれば終わったところで終われれば良いと思っていますし、やはりその後のことも考えておかなければいけないと思っていますので、これから若い人たちがこの後県政をやっていくためのいろんな取組みを応援していきたいなと思っています。

記者
 
経済政策のことについて伺いたいのですが、企業誘致についてですが、4月に山県-本巣IC間の東海環状自動車道が開通するということもあって、交通インフラの改善からの企業立地もここ数年、全国的にも高水準で続いていると思うのですが、現状、この企業立地という点についてどういう認識を持たれているかと。課題・改善すべき点があるとすればどのような点があるとか、もしくはこういった産業を育成していきたいみたいな青写真がありましたら教えていただけますでしょうか。

知事
 
実は私、商工労働部長の3年間というか、都合4年間が、多分1番県内で企業を誘致した本人だと思います。というのは私がやったというよりは、東海環状自動車道東回り区間が開通した後だったものですから、ちょうど「アクアシルヴァ」とか、最初部長に就任した時に結構連れていかれて、「こんなとんでもなく広いところに本当に誘致するのか。」と思ったのですが、おかげさまで就任早々に全部埋まりました。商工労働部長時代の記憶で申し上げると、常時数十件ぐらいは好案件を持っていて、それをどこにはめていくかというのと、ある意味、先方の要求する条件とこちら側が提示できる条件というのは必ずしもぴったりではないと。あともう1つ、やってみて分かったことは、来るなら何でも良いわけではなくて、やはり近隣の企業さんとの関係だとか、これはある意味、1番自分でも頑張ったかなと思うのは、どうしても戦略的に欲しい企業、これは親会社の取締役会まで乗り込んで行って取りに行ってきたというのもありますが、それがこの地域が発展するために重要な作業もあります。ですから、その辺りを見極めて、企業誘致をするというのはあるのですが、ただ東回り区間に比べて西回り区間の方が土地がそんなにないので、そこをしっかり見なければいけませんが。一方で西回り区間の方は水が豊富ですから、それに伴う産業の誘致の仕方というのはあるかなと思います。ただついでながら申し上げると、どうしても地域活性化には企業誘致というのが必ず常套句のように言われますが、今単純に持ってくるだけだと外国人労働者が増えて終わりというのがありますので、やはり企業誘致には働ける人がいるのかどうか、これは先方からの要求もありますし、逆にその企業さんが来たことによって、地域の雇用、この後ご質問があるかもしれませんが、やはり若い人たちが働きたがるような、そういう働き方も含めたことも考えた上で誘致をしていくということが、これから大事かなと思っています。

記者
 
先程、記者会見を週に1回、これまでよりも頻度を上げるというお話がありました。県民に向けての情報発信ということと理解しましたが、県民に対してどういったことを発信していくための場なのか、そして県民に対して期待してほしいこと、伝えていきたいことはどういったことになりますか。

知事
 
実はこれは残念なことですが、岐阜県ということがやはり県外にあまり知られていないという、いろんなデータも出ているのですが、やはりまずは県内の方々が、実は自分が住んでいる県はこんなに良いところなんだということを分かってもらう。そのためには、県の職員の方々も一生懸命仕事をしていることが、誰も知らないまま、知る人ぞ知るで終わってしまっては、やはりモチベーションの問題もありますので、せっかく良い仕事をしているのであれば、それを積極的に発信をしていくというのが1つ。それによって、県外の方の県に対するイメージが変わってくる。それが先程の二地点居住もそうですが、本当に多くの人が日本の真ん中にある岐阜県というものを、価値あるものとして見ていただく、これはとても大事なことだと思っていますので、皆さんにとっては書きやすい記事、書きにくい記事があるかもしれませんが、まずは県としては積極的に発信をしていきたいというのが1つ。あと、私は国にいる頃からそうだったのですが、これは皆さんとの関係で、皆さんも中身があろうとなかろうと記事を書かなければいけない立場なので、やはり情報発信が少なければ、皆さんの推測だとか伝聞で書くことになってしまうので、それが記事の正確性を毀損してしまう可能性があるのであれば、まずは県からとにかく発信をする、それをまず皆さんが記事にしていくという、この関係は本当に大事かなと思っておりますので、そうしたある意味宣伝になるという意味以上に、県民の皆さんに正確に情報を提供していくという意味においても、これは頑張ってやりたいなと思っています。

記者
 
教育についてなのですが、ご承知の通り、教員不足とか、年度当初に本来持っていない免許の方が別の教科を教えるというのが、県内ではかなり事例が多いというのを私は存じておりますが、どのような解決策をお考えでしょうか。

知事
 
まずは実態をしっかり把握するということは大事かなと思っていますし、私自身としてはそういうことではなくて、そもそも教科担当が教科を教えるということ自体も、乗り越えていく必要があるかなと思っています。というのは、先生が黒板に向かって書いたものを生徒がノートにとって復習をして、翌日チェックをするというような教育の仕方自体も、そろそろ卒業しても良いのかなと思っています。私は国で「未来の教室」という政策を担当していましたし、内閣府で文部科学省改革担当審議官でありましたので、やはり文科省としても、その教育の仕方でこれまでもこれからもやっていけるかどうかについては、即抜本的にとはいきませんが、やはり何か考えなければいけないという時代にあります。「未来の教室」の中では、むしろ生徒同士が教え合う、先生がティーチャーからコーチャーに変わる、そういった方が、昔のようにどんどん子どもの数が増えていて、読み書きそろばんを効率的に教えるということではなくて、多様な子どもたちがやはり多様な学びの場を必要としているし、おそらくその多様性に先生がマンツーマンで対応しようとするから、おそらく先生の数も足りないし、一人の生徒にかけるコストがあまりにも大きいという中で、やはり今の教育の仕方そのものが限界にきているのだろうと思っています。なので、まずはそうは言ってもすぐには変われないので、できる限り本来専門でない方が教えている状況をできるだけ解消する。一方で、抜本的にそうした教育そのものの形を変えていく。これも是非トップランナー方式でやりたいなと思っていて、これまで4年間見てきた中でも、それによってやはり明らかに生徒が変わっている、それによって先生方もやり方を変えていく、それを最終的には文部科学省にフィードバックして、この国の教育そのものを変えていきたいと思っています。

記者
 
今おっしゃったような内容や、候補者としても異年齢学級ということをキーワードに出されていましたが、そのような取組みについて、新年度予算あるいは補正予算で、来年度中にそういう教育に関する政策で色が見えてくるというような理解をしてよろしいのでしょうか。

知事
 
是非やりたいと思っているのですが、実は県というのは高校しか所管していないので、そういう意味では、まさに市町村との連携が重要かなと思っています。ただ、この4年間の間にもういくつか当たりは付けてありますので、その中でそういう取組みをやっていただいたところにスポットライトを当てて、その中で子どもたちがどう変わっていくのか、いじめの問題、不登校の問題もどうなっていくのかということを、おそらく文部科学省も1番知りたいと思っていますので、それを少なくともできるだけ早く手を付けたいと思っています。

記者
 
先程、企業誘致に関する質疑の中で、単純に企業を持ってくるだけだと外国人労働者が増えて終わりといったようなお話があったかと思います。現状、岐阜県で、外国人労働者、外国人の人口が増えている市町村がいくつかあると思いますが、そういった地域で、今江崎知事が考えられている問題点・課題みたいなのがあるとすれば、教えてください。

知事
 
それは外国人労働者の問題点ということですか。

記者
 
外国人労働者が増えて終わりと、あまりポジティブな言い方ではなかったと思います。ある種それはネガティブな意味も含めての発言だったと思いますが、どういった問題意識からそういう発言をされたのか。実際に増えている地域も県内にもありますので、そういった地域でどういった施策が必要だと知事として考えていらっしゃるのか教えてください。

知事
 
私が商工労働部長時代のことをご存知な方がいらっしゃればお分かりだと思いますが、ちょうど私が商工労働部長の時に、リーマンショックで、当時は美濃加茂市のソニーとか、まさに日系ブラジル人の方に頼って会社をやっていたというのも結構たくさんありましたが、そこは軒並み大変になって膨大な失業者が増えたことを経験しています。本当に皆仕事がなくて、1つのアパートのひと部屋に10人か20人で住んでいて、そのうち仕事を持っている人は2人だけみたいな状況です。これは全国的な課題だったのですが、その時に国に先駆けて、岐阜県主導で帰国支援ということをやりました。
 そうしないと彼ら自身が本当に生きていけない状況になっているというのは、ある意味ネガティブというよりは、景気は変動するものですから。ある意味助っ人としての労働力としては大変良かったのかもしれませんが、景気が悪くなった時に彼ら自身が非常に苦しい思いをして、県、それから市町村も含めて、いろんな対策をしながら凌いできたというのを我々は経験しています。なので、今仕事があるから、ちょうど日本人が来ないからどんどん外国人(に来ていただく)といった時に、これはすごく難しい問題を孕んでいて、私も国で外国人労働者の担当をやっておりましたが、全国を回って言えることは、割と外国人労働者というのは真面目に働くし、賃金は安くて便利な労働力だと思っている人は、残念ながら未だに少なくありません。ただ、実際に彼らと話をしてみると、日本人が嫌なことは外国人だって嫌なんです。そこの部分が捨象されてしまっていると、まさに今円安になって給料が目減りしたらもうサーッと外国人がいなくなってしまう。だから、そういったことをしっかり踏まえて、外国人労働者に来ていただくのであれば、日本人と同じ処遇、まさにその能力を活かせる場所を持った上での企業誘致をしていかないと、ただ仕事があるから、安いから外国人労働者をという流れは、この過去の経験も踏まえて見直していく必要があるかなと思っています。

記者
 
10の項目について実現したいとおっしゃっていました。この10の目標をそれぞれ柱にして、具体的な政策を募集するなり、発案して実施されていくかと思いますが、この10の目標が実現できたと評価する、評価の仕方はどのように考えていますか。

知事
 
これは2つありまして、政策評価の仕組みは県にもありますから、おそらく立てるであろうKPIか何かの指標で見るというのが1つと、あとは県民の皆さんです。これはできてないのではというのか、それとも、もうできたからいいよと言うのか。それはそれぞれあると思います。最終的に3番目に判断するのは私です。もうできたなと思えば、そこまで。

記者
 
県民の皆さんの評価というのは、県から積極的に聞いていくという、そういう姿勢なのでしょうか。

知事
 
そうですし、おそらくまた、選挙というものの中で、これできていないじゃないかと、逆になっているじゃないかということ自体は問われていくと思いますので、そこはむしろ発信し、問うていくことになると思います。

記者
 
先程、国であったり、県内の市町村との連携といったお話があったと思いますが、他に隣県であったり、他の同じような課題を持つ都道府県、共に県のトップとして連携していきたい考えや案があればお願いします。

知事
 
おっしゃる通りで、岐阜県だけで閉じる政策はあまりないかなと思っていて、もちろん教育その他はモデル的にやれば良いと思っていますが、例えば「農業」「林業」「鳥獣害対策」というのは、岐阜県から追い出したら隣の県に行ってるだけでは意味がないと思いますので、やはりその解を求めているときに、隣県との連携が重要だと思っています。
 そして、1番私が大事だと思っているのは「防災」で、恐らく東海地震、東南海地震はかなりの確率で起こるでしょう。その時に、岐阜県は被災県であると同時に、三重県、愛知県の被災者を受け入れる県になるだろうということも、選挙の時には訴えてきましたので、その準備をしておく。災害が起きてから、じゃあどこにプレハブを立てますかということではなくて、まだ各知事さんへは、祝電のお礼の電話をしただけなので、各隣県の知事さんや市町村の方々ともそういった話を積極的にしながら、交流をしていく中で、そうした準備も合わせてしたいということは是非やっていきたいと思います。

記者
 
先程、お礼の電話をされたという話がありましたが、さらに防災であったり、いろんな施策を進めていくにあたって、アプローチしていきたいタイミング、時期はお考えとしてありますか。

知事
 
「防災」は早めにやりたいと思っていますが、お礼の電話はほとんどが秘書課の担当者が出て、「ありがとうございました。」で終わりだったので、先程は高知県知事から電話がありましたが、直接話ができる中で、少しずつ、できるだけ早く意見交換したいですねということは話をしたいと思っています。

記者
 
幹部職員らに対して、三訓のお話されていました。先程は幹部職員への三訓だったのですが、県の(幹部以外の)職員に対してはどういったことを知事としてお話されたいというのはありますでしょうか。

知事
 
2つのことということで、(会場には)幹部職員が立ってましたが、イントラで全職員にも配信されていますので、前半の公務員であることの意義、身分保障があることの意味、皆さんのお客さんは今の有権者だけではなくて、未来の、まだ生まれてない子どもたちも含めて、県民に対して責任を負っていると、それがお客さんだという思いで仕事をしてくださいというのが1つ。
 それから、今たまたま管理職でなくても、いずれ皆さん管理職になっていただけるので、2つ目の三訓、特に大事なのは、覚えておられると思いますが、「仕事は難しい方から手をつけろ」、そして「人は活かして使え」、そして「健康でいろ」ということです。あの時は、基本的には判断をするのが仕事なので、判断をしてくださいと、その中で1つ加えて言うと、やはり我々がやる判断というのは、いろんな状況の中で選んでいく訳ですが、それが正しい判断かどうかというのは、多分我々が評価することではないと思います。最終的に歴史が判断することだと思います。なので、我々がやるべきは、健全な判断をすることだと思います。ですから、ある意味、いろんな事情の中で判断する中で、誰が考えてもやはりこれだよねという健全な判断ができるかどうか、そのためには疲れていてはいけないし、いろんなしがらみに捕らわれてはいけないし、寝不足でもいけないし、ということにおいて、まさに県職員全員が健全な判断をして、未来に政策を打っていくということを、是非、職員の皆さんに訴えたいと思っています。

記者
 
「人やモノが集まる岐阜県」ということで、今掲げられていますが、具体的にはどのような姿の岐阜県になっていれば良いなというか、その言葉の通りと言われたら、それまでかもしれないですが、何かイメージというか、具体的に伺えるとありがたいです。

知事
 
「人」というのはわかりやすく言うと、岐阜県には素晴らしいものがありますので、これを観光という言葉で言ってしまって良いかどうか分かりませんが、今日、NHKのニュースでもありましたが、観光自体がモノを買うような観光から、体験するような観光に変わっていったという話がありました。私、まさにその通りだと思っていて、そうなってくると、ある有名な何々があるから人が集まるのではなくて、岐阜県というものが持っているいろいろなポテンシャルを生かした時に、まず観光の人が来るというのが1つ。もう1つ大事なのは、先程、二地点居住の話がありました。都会の方にとって、もう1つ居住するとしたらどこが良いかといった時に選ばれる岐阜県であると。幸い土地は安いですし、食べ物が美味しい、自然環境が良い、そしてもう1つは教育環境が良いというのは結構大事だと思っていますので、そうした方々に選んでもらうことによって人が集まる岐阜にしたいと思っています。
 もう1つの「モノ」が集まるというのは、講演の中でも申し上げていましたが、岐阜県は日本の真ん中にあります。そして今、岐阜羽島駅を中心に、外国のお客さんが、すごく集まって、ここを拠点に京都、奈良、大阪、東京に行っておられます。その時に彼らが買うであろう、買われるであろう土産が、もしこの中部に全部揃っているとすれば、彼らにとってもありがたいですし、マーケットもあるわけですから、そこに全国のお土産を持ってくる、ないしは、物産を持ってくるというのが1つ目。もう1つが、やはり防災その他を考えた時に、いろんな工場、サテライト(施設)を、今度リニアができた時、58分で東京のど真ん中から、地盤の安定した東濃に、移動することができるのであれば、積極的に研究拠点やオフィスをもってくる。将来的には防災庁のようなものを置くことができれば、「人」も「モノ」も集まるような岐阜県にすることは可能だと思っています。一朝一夕にはいかないにしても、それに向けた準備をしていきたいと思っています。

記者
 
防災庁というお話もありましたが、それは国と掛け合って、岐阜県にどうですかということを、今後動いていきたいという意気込みと受け取ってもよろしいでしょうか。

知事
 
昔、東濃に首都圏をという話があったのを覚えてる方は少ないかもしれませんが、本当にあれはただの掛け声ではなくて、特にリニアができることによって、非常に現実味を帯びてくるものになってきます。そして、あの辺りはゴルフ場もすごく多かったりするので、東京の方がこちらに来て、商談をする時も良いし、防災だけではなくて、いろんなことをやる場所としては非常に最適な場所が生まれることになります。そして、津波が来なくて地盤が安定していて、万が一、富士山が噴火したとしても、煙は西の方には流れませんので、そうしたあらゆることを考えても、東濃は有利であるということは訴えていこうと思っています。もちろん、他の候補地はあるでしょうし、また防災庁そのものができるかどうかという問題がありますが、そういった議論がある時は必ず、岐阜県がその選択肢に上るような活動をしていきたいと思っています。

記者
 
先程、観光の話が出ましたが、もう少し知事の観光政策についてお尋ねしたいのですが、例えば、高山がインバウンドで盛り上がっていますが、岐阜市は全く素通りしてしまうという話が古田知事からございましたが、その辺はどのようにお考えでしょうか。

知事
 
私が商工労働部長時代に、下呂温泉の立て直しに行ってこいと言われて、あの頃は本当に人がいないような所でしたが、今やまさに年間通して人でいっぱいに変わりました。多分、やり方なんだろうと思います。その時に感じたのは、あそこは千年やっている温泉の中で、今までのやり方に乗っかっていくと人は来ないのですが、どんなお客さんが来ていて、何を望んでいるのかということを、皆さんが共有することで、あそこまで変わることができるという体験をしています。逆に、高山はすごく人気があるのですが、夕食を食べる場所が足りないという問題があります。一方で、羽島は特段の観光地ではないのですが、国内のホテルが変動価格制になったがゆえに、高いホテルを渡り歩くようだったら羽島に1週間泊まって、そこを拠点に、彼らは新幹線のフリーパスを持っていますので、京都、奈良、大阪、東京に全部行けると。そうなると、あそこはただの場所だけにするのではなくて、あの地に日本の美味しいものを食べる場所にする、いろんな珍しいものを買える場所にする。そうなった時に、1つだけ申し上げると、羽島から岐阜城が見えるのですよ。岐阜城は皆さん、山の上にあるものだけが城だと思っているかもしれませんが、岐阜市民会館の緞帳を見ていただければお分かりのとおり、山全体が城なのです。将来的には、山の中腹に櫓を作ることによって、新幹線から見ても、金華山そのものが城に見えるようになれば、当然降りて行きたくなる。今、自転車もありますから、途中で墨俣城でも寄りながらというコースになった時に、岐阜というのは、本当に素晴らしいものがたくさんありますし、関ケ原もそうです。三大古戦場でもあったり、点ではなくて面として楽しむことができれば、観光をやるには最高の場所だと思っていますので、あとは発信の仕方を工夫したいと思っています。

記者
 
議会とのコミュニケーションについてです。市町村とのコミュニケーションというところもありましたが、特に議会、県単(予算)のこととか、予算の要求もあるものだと思われます。どのようにコミュニケーションを取っていかれますでしょうか。

知事
 
先程、議長さん、副議長さんとの面談でも皆さんお感じだと思いますが、昔から知っている人ばかりなので、そういう意味で、個人的なプライベートなコミュニケーションも含めて、非常にやりやすい環境になっています。ただ一方で、当たり前ですが、議員の先生方はそれぞれの地域の声を背負って来られます。予算には当然限りがありますので、その中での優先順位を付けていくということになると思いますが、そのためにも、ガチンコというよりは、お互いの事情をよく分かるような仕組みにしておくということと、できるだけクリアに、どのように決まっていくというプロセスをしっかりとしたいと思っていますし、あと多分、親しいがゆえにバラバラ来られても、おそらく対応できなくなってしまうので、そういう意味では、党なら党の意見集約の仕組みがありますので、それをしっかり活用していただいて、その上でしっかり対応していきたいと、そんな仕組みにしたいなと思っています。

記者
 
先程、若者の流出について質問があるかもとのことだったのですが、若者の人口流出について、特に最近、人口移動調査(の結果)が出て、岐阜県から流出が続いているというところで、ただ一方で、仕事を持ってくるだけという意味では、愛知県も近年流出が続いていて、なかなか愛知ほどに仕事を集めても若者は出ていってしまうという現状があると思います。この状況下で、岐阜県で若者を集める、人口を増やしていくためにはどのような政策を打っていかれますでしょうか。

知事
 
今半分、答えを言っておられて、仕事があれば人が来るわけではないですよね。実はうちの研究所で調べたところもそうですが、仕事があっても流出するところは流出する。何が起こるかというと、若い人達にとって、ただ働く所があれば良いのではなくて、やはりワクワクしながら、自分の能力を発揮できるというような、そうした観点は絶対いるかなというのは1つ。あと、これはうちの事務所の女性の方々が言われたのが「オシャレ」。質実剛健も良いのですが、素敵なものがある。「オシャレ」というのは広い意味で、それは見て綺麗というのもあるのですが、生き方がオシャレというか、本当にスマートであるというようなこと。これは、例えばブランド品があるという意味でのオシャレというのは、名古屋にはなかなか太刀打ちできないかもしれませんが、本当に自然であったり、子どもたちがのびのびと生きていたりとか、やはり働き方のオシャレさというのがあるかなと思っていて、産業界の皆さんと共に考えていきたいと思っていますが、やはり若い人、特に女性に選ばれるような働き方ということが、大事かなと思っていますので、そういったあたりを差別化して、むしろそれを応援をすることによって流れを変えたいなと思っています。

記者
 
就職はもちろんですが、大学への進学を機にという流出もかなりの割合であります。例えば、大学の誘致といったことについてのお考えはありますでしょうか。

知事
 
大学の誘致もそうですが、場所は結構大事で、通学しやすい場所もそうですし、今、高山の方でも新しい取組みが始まっていますし、あと、場合によっては必ずしもその場所でなくて、オンラインもあったり、いろんなやり方はあると思っています。ただその中で、一度は行ってみたいと思うことからきっかけを作っていくし、やはりコロナが終わって、オンラインも良いけれども、リアルの大切さも分かってきているので、まずはきっかけとして、そしてあらゆるチャンスを捉まえるのと、大学という括りだけではなくて、何かを学ぶ、体験する、そういう場所として岐阜県を発信できれば良いかなと思っています。

記者
 
先程、企業誘致のお話もあったのですが、中心市街地、特に岐阜市の柳ケ瀬商店街は先程も言われたように、高島屋(※)が閉店して以降、なかなか人通りが戻らない現状があり、地元の民間の方々は頑張って動いている方もいらっしゃるのですが、知事として、この中心市街地の活性化、特に柳ケ瀬商店街についてどのように立て直しというか、盛り上げていきたいとお考えでしょうか。

知事
 
これこそまさに岐阜市との連携が一番大事な仕事だと思っていて、よく皆さん、柳ケ瀬の活性化とおっしゃるのですが、もともと柳ケ瀬が活性化していたのは問屋町が活性化したからなんですよ。だから、問屋町があの状態のまま柳ヶ瀬が活性化することは非常に難しいと思います。なので、まずは駅前にある問屋町がいかに人が集まる場所になるか、その流れを汲んで、飲食店である柳ケ瀬が活性化するという、その順番が要るかなと思っています。
 そしてもう1つは、今の中心市街地という意味においては、駅そのものはきれいになりましたが、問屋町だけでは人は来ない。そうすると、ぐるっと回って、先程の金華山も含めて、岐阜市のエリア全体でどういうまちにしていくのか、これこそまさに岐阜市の一番の大きな仕事だと思っていますが、そのために住民の方々と話をして、道をどうする、観光地をどうする、場合によっては、交通手段をどうする、それこそがまさに中心市街地の活性化の不可欠なテーマだと思っています。

(※)高島屋の「高」ははしご高