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知事記者会見録(令和6年2月8日)

記事ID:0346992 2024年2月15日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

※知事及び記者の発言内容については、事実誤認や単純ミスと思われる字句、重複した言葉づかい等を整理の上、発言の趣旨を損なわない程度に整理して作成しています。

令和6年2月8日(木曜日)15時00分

司会
 それでは、ただいまから令和6年度当初予算に関する知事記者会見を始めさせていただきます。

 

​知事
 
来年度予算につきまして、資料に基づいてご説明させていただきます。まず、お手元の資料1―1をご覧いただけますでしょうか。データ的なところから概略を説明させていただきます。まず、一般会計の当初予算の規模は8,861億円ということで、令和5年度当初予算8,897億円に比べ、▲36億円、▲0.4%でございます。これまで、平成24年度をボトムに拡大の一途を辿っておりましたが、12年ぶりにマイナス予算ということでございます。
 まず歳入歳出の内訳をご覧いただきますと、次の2ページ目が歳入です。まず「県税」は、▲24億円になっておりますが、実は国の定額減税が導入され、これだけで▲53億円ですので、この部分がほとんどということでございます。ただ、この分については、別途国から地方特例交付金が出ておりまして、これがその他収入の中に入ってきております。そのため、定額減税については、県税が下がって、その他収入が増えてトントンということでございます。それから、「地方交付税」ですが、+48億円になっております。一方で、「臨時財政対策債」は、県が本来地方交付税でもらうべきものを、借金を肩代わりするというということでございますが、これがある時期、急速に増えて問題視されたわけですが、このところ、これを減らす方向に国も動いておりまして、これを減らして、地方交付税を配慮するという流れになっておりますので、+48億円ということです。それから、「県債」は、臨時財政対策債がマイナスの中、トータルとしては増えておりますので、臨時財政対策債を除いた通常債については、+79億円ということになります。そういう意味では、増えてはいますが、県債の構成比の欄をご覧いただきますと、令和5年度が7.2%、令和6年度が7.6%となっており、この歳入全体に占める県債の割合、私ども県債依存度と言っておりますが、県債依存度が若干の増になるということです。あと、「国庫支出金」が大幅に減っておりますが、これは、コロナ関係の予算が5類移行とともに大幅に減ってきており、それがここに反映されているということです。「繰入金」は、+189億円になっておりますが、このほとんどは県債管理基金からの取り崩し、繰入れによる増で、この分が+178億円になっています。この県債管理基金とは、公債費に充当するための、いわば県債償還のための基金でして、来年度の公債費を一定程度減らすために、この県債管理基金を取り崩して充てるという流れでございます。県債の通常債は伸びておりますが、その主なものは、公共枠と県単枠の伸びですが、これらは、予算の骨格の中にありますように、強靱な県土づくりということで、特に、この度の能登半島地震に鑑みて、防災減災に向けて様々なソフト・ハードの対策を打っていこうという中で、ハードについてもかなり予算を設けておりますので、その部分が増えているということでございます。
 歳出の方では、「人件費」がかなり増えてきております。これは、給与改定などの影響による増、ベースアップでして、人事委員会からの勧告を踏まえてのものです。もう1つは、定年延長による増が非常に大きく、退職手当の+85億円のうち、定年延長によるものが+89億円で、それ以外の普通の退職手当はマイナスになっています。これは、2年に1歳ずつ定年が延長されていきますので、61歳や62歳になるまで退職金を貰わず、退職金を貰う年になったら、貰うわけですから、1年おきに定年退職者がどっと出るわけで、来年度は61歳定年の退職者が出る年になります。この方々が60歳で退職金をもらっていないわけですから、そういうことでの大幅のプラスであります。いずれにしても人件費が増えているということです。それから、「公債費」については、先ほど申し上げましたとおり、県債管理基金を取り崩し、できるだけ公債費に充てるようにしているわけですが、じわり増えてきており、+21億円でございます。また後ほど過去からの流れを見ていただきますが、4年連続でじわじわと公債費が伸びてきているということです。それから「社会保障関係経費」が大幅減となっていますが、コロナ・物価高騰対策とそれ以外に分けてみますと、コロナ対策が5類移行でどんどん終わっていきますので、▲393億円がコロナ・物価高騰対策の減です。令和5年度に417億円あったものが、令和6年度は24億円となり大幅減でございます。それ以外のいわゆる社会保障関係経費は+48億円ということで、高齢化に伴って、後期高齢者の医療や障がい者に関する様々なサービス利用者が増えてくることで毎年着実に増えてきています。それから、「普通建設事業費」が+140億円となっていますが、これは先ほど申し上げました、公共枠、県単枠の増でありまして、強靱な県土づくりということで、この分が増えるということでございます。こう見ますと、歳入も歳出も、コロナ部分がごそっと落ちて、そこはトントンになるわけですが、それ以外で、歳出で言えば、人件費、公債費、いわゆる通常の社会保障関係費、そして、強靱な県土づくりに関する経費がそれぞれ一定程度伸びていく。これを歳入面でどうカバーしていくかという中で、県債発行をやや慎重にしながら、また、繰入金も活用しながらということで、何とか若干のマイナス予算として仕上がっているということでございます。
 それから、4ページは「県債発行額の推移」です。下側のグラフ「うち臨財債以外」は通常債を表していますが、平成27、28年度頃から、施設の老朽化など様々な災害対策といったもので急速に伸びてまいりました。それから、令和3、4年度辺りは新県庁舎の経費が掛かっており高止まっていた中で、令和5年度は、かなり減ってきており、今年度の当初予算も減ってきているという状況です。上のグラフと下のグラフの間が臨時財政対策債に当たるわけですが、臨時財政対策債の発行が急激に減ってきているということで、この2年くらいは(通常債と臨財債の)両方が減って、急速に右下がりになっております。特に臨時財政対策債の減がかなり効いてきているということでございます。
 次の5ページ、「県債残高の推移」については、県債発行額の推移に少し遅れて、流れが出てくるわけですが、平成29年度辺りからじわじわと一般債が伸びてきております。令和6年度予算については、このまま進めば若干の減となります。臨時財政対策債が減ってきている効果が令和4年度から現れており、トータルの県債残高は下がり始めているということです。
 それから、6ページが「公債費の推移」でございます。平成21年度が公債費のピークで、そこから着実に減らしてまいりましたが、ここ4年間じわじわと増えてきているということで、令和6年度も慎重に検討させていただきました。全体の流れの中で、少し増やしていかざるを得ないということですが、この辺りは、この先も慎重に見て行く必要があると思っております。
 それから、最後のページが「実質公債費比率の推移」ということで、これは実質的な歳入に占める公債費の比率ということです。18%を超えると起債許可団体ということで、本県としては(平成21から24年度の)過去4年間連続で18%を超えたことがありましたが、そこから急速に改革が進んで、(令和2年度には)5.9%まで下がりました。このところじわじわと県債発行の増、公債費の増を反映して、実質公債費比率が上がってきており、令和6年度は推計値として、9.5%でございます。この後、仮に令和6年度のペースでそのまま推移すれば、だいたい13%辺りをピークに資料のような流れになるということです。今のペースを守れば、18%に達することはないと思いますが、ここも慎重に推移を眺めながらやっていく必要があると思います。なお、この各年度の数字は、その前の2年間と併せて、3年間の平均値を見ているものです。それから、この(令和2年度の)5.9%という一番低いところは全国で低い方から3位、令和4年度の確定値7.2%は全国で少ない方から4位ということで、したがってまだ上位にはあるということです。一方で悪い(平成21から24年度の)、19.1%、19.6%、19.7%、18.7%の辺りは全国47都道府県ではワースト3でした。以上が今度の予算の数字の面での姿でございます。

 どのような政策をベースに考えているかが、資料1-2でございます。来年度の当初予算案のタイトル、目指すところとして書いていますが、「『清流の国ぎふ』づくり ~ 確かな未来の創造 ~」ということです。その意図は、本格的なアフター・コロナの課題に取り組んでいく、また、我が国も岐阜県も直面している内外共の課題、困難を乗り越えていくという思いを込めて「確かな未来の創造」とさせていただきました。ここに至る姿勢を基本方針として書いていますが、1つは、能登半島地震や3年ぶりの鳥インフルエンザなど、1月にいろんなことが続いており、やはり「県民の生命と生活を守ること」が、まず最大の任務であるということの再認識と、特に今回の地震の状況に鑑みて、災害に強いインフラの構築を含めた県土の強靱化への絶えざる努力が不可欠であるということを意識するということ。それから、3年余に亘るコロナとの闘いについては、一つ乗り越えてきたわけですが、そうした自然災害だけでなく、世界的な国際情勢の緊張・不安定が、燃料・食糧危機、物流の停滞等々につながり、本県でも燃料費や食糧費の高騰、あるいは、県民生活、中小零細企業の経営に大きな影を落としています。それから、グローバルアジェンダ(すべての人々が取り組むべき課題)として、SDGsや地球温暖化防止に向けたGX、新エネルギー活用等々、当然真剣に取り組まなければならないということでございます。それから、国内的には、人口減少・少子高齢化が一段と加速しているというトレンドは、本県も同様です。そうした中で、ヤングケアラーや老々介護等、生活上の困難に直面している方々への支援も必要であるということを踏まえて、3つの政策群で構成しています。3つの政策群は次のページにありますが、1つ目が、「持続可能な『清流の国ぎふ』を目指して」という政策。2つ目が、「暮らしやすい『清流の国ぎふ』の実現」。3つ目が、「『清流の国ぎふ』の魅力向上と発信」と整理をしております。それと同時に、持続可能な財政運営にも十分意を用いなければいけないということで、何とか、バランスをとって(予算を)組んできておりますが、県債残高が高水準で推移しておりますし、それに伴って、公債費、実質公債費比率も増加に転じています。それから、社会保障関係経費も着実に高齢化とともに上がっており、県土の強靱化についても必要な予算を確保しなければなりません。そういうことで、基金の取り崩しも避けられない状況でございまして、政策課題について重点的な配分を行いつつも、事業見直しの徹底等々、メリハリのある編成に努め、トータルとしては、12年ぶりのマイナスということでございます。
 詳しくみますと、次の3ページ、4ページですが、最初の政策群「1 持続可能な『清流の国ぎふ』を目指して」の、1丁目1番地は「(1)県土と危機管理体制の更なる強靱化」ということで災害対応力の強化、これは、様々な計画の見直しや訓練といったことに繋がるわけです。それから、インフラの整備や、(災害避難者及び被災地の)支援のあり方について、様々な手を打っていく必要があるだろうと考えています。それから、人への投資、産業への未来投資、GX・DXの推進と整理しております。
 それから、「2 暮らしやすい『清流の国ぎふ』の実現」では、物価高騰その他困難な状況からの脱却に向けての経済対策、どちらかというと緊急対策的なものを挙げています。それから、「(2)暮らしの安全安心確保」ということで、医療・福祉、あるいは、「誰もが」ということで、不登校やケアラーといった対策を行っていこうということです。それから、少子化対策は引き続き課題であり、子育て世帯への支援による自然減対策や、若者向けの移住定住促進による社会減対策等々を進めていこうということでございます。それから3番目の政策が「3 『清流の国ぎふ』の魅力向上と発信」ですが、この1つが「(1)清流文化の創造・発信」ということで、今年は全国高等学校総合文化祭、国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭もあり、いわば文化イヤーですので、清流文化の創造発信をこの機会に取り組んでいくということです。それから、「(2)観光・交流の推進」に向けて、インバウンド及び国内誘客については、まだまだ飛騨地域を除いては戻ってきていませんので、さらに力を入れていくということと、国際交流も文化・教育・産業と多面的な交流に深化していく必要があるだろうと考えています。それから、「(3)地域の新たな魅力創出」に対して、県として、積極的に応援していく必要があるだろうという体系で組み立てております。

 それぞれについて、どのような予算項目があるかが5ページ以降にございます。これはまた、明日、各部局からご説明させていただきますので、詳しくはその時に聞いていただき、取材していただければと思いますが、ざっと眺めていただきますと、5ページの「[1] 災害対応力の強化」は先ほど申し上げましたように、「岐阜県強靱化計画」、「岐阜県地震防災行動計画」、「岐阜県新五流域総合治水対策プラン」を、今回の能登半島地震のケースを踏まえて、しっかりと見直そうということでございます。その見直しをする中で、2番目の「[2] 災害に強いインフラの整備」として、住宅、空き家、緊急輸送道路、それから、流域全体における、流域治水とよく言っていますが、水害・土砂に対する対策や、下水道・水道対策、農業用ため池の対策、それから、治山施設、森林整備による山地の防災力の強化。東海環状自動車道西回り区間について、整備を着実に進めていきます。この東海環状自動車道は南海トラフ地震など震度6強以上の地震に見舞われる確率の高い地域の外側を走るルートと目されておりまして、そういう意味では、避難・救援などいろんな意味で重要な高規格道路でございます。令和6年度(には山県ICから大野神戸IC間が開通予定)、令和8年度(には養老ICから(仮称)北勢IC間が開通予定)ということで、最後は養老山脈を抜けますので、これを確実に進めていこうということでございます。それから、「[3] 災害避難者及び被災地への支援」ということで、孤立集落、ライフライン途絶等々を踏まえた資材の備蓄、女性の方々などの視点を踏まえた避難所の環境改善のほか、緊急消防援助隊の備蓄食料や警察の災害用装備機材を追加拡充していきます。それから、給水活動に必要な給水タンク、運搬車両の追加、マンホールトイレあるいは応急対策用資機材を備蓄する拠点(の追加整備)など。また、災害対策をサポートする人材の育成・強化や、消防団員の確保、被災地の医療機関で看護していただく災害支援ナースの派遣体制の充実等々、広く目配りをしていこうということでございます。
 それから、2番目が「(2)人への投資」ということで、子ども若者対策ということで、高等学校における遠隔授業の本格実施や、外国人児童、不登校児童生徒、生活困窮世帯の子ども、入院中の児童生徒、それから、学生へのキャリア教育支援、空宙博(そらはく)の新企画棟の活用等ですが、いろんな立場・状況にある子どもから学生まで、きめ細かく目配りをしていこうということでございます。それから、「[2] 地域や産業を支える担い手への投資」ということで、県内企業に就職する若者に対して、企業と連携して、奨学金の返還を支援していく新しい制度を創ります。それから、医学生、専門研修中の医師に対する資金の貸付、看護学生に対する貸付、県内小中学校の新規採用教員に対する奨学金の返還支援など資金面、あるいは奨学金の返還面での支援をしていくことで、若者、医師、看護師、教員といった方々に県内に定着していただこうと考えております。あと、物流2024年問題の一環で、トラック・バスのドライバー対策、それから、農業者、木材運搬技術者、建築現場での従事者等々、それぞれの分野での担い手づくりということを考えております。それから、「[3] 多様な人材(の活躍推進)」ということで、障がい者支援、農福連携、障がい者の就労支援、外国人県民に対する日本語の支援を行います。次の7ページの外国人の雇用、定着に向けたサポート体制、また、女性ということで、ワーク・ライフ・バランスや、「ぎふ女のすぐれもの」等々、女性の活躍推進(にも取り組んでいきます)。
 それから、「(3)産業への未来投資」については、スタートアップの支援、テクノプラザを中心とした新しいビジネスモデル創出の支援、試験研究機関と企業とのコラボによるイノベーションや研究開発。それから、物流2024年問題に関して、スマート物流と言いますか、デジタル技術を活用した様々な物流面での対策。それから、物流業・荷主が連携してこの問題に取り組むということでの体制づくり等々。それから、企業立地支援の中にGX枠を設けまして、環境対策をしっかりとやっていただくところには支援をさらに拡大するということを考えております。それから、グローバル・アンテナ・ショップ(GAS)を更に広げていくことによる県産品の海外販路拡大。それから、「[2] 農林畜水産業への投資」につきましては、ブランド化、生産性向上のほか、米粉や飼料米とかを積極的に応援していきます。それから、今、国が非常に熱心で、これに呼応して知事会も対応していこうということですが、オールジャパンでの海外プロモーションを、まず農畜水産物でやっていこうということになっています。そのとりまとめを私どもに頼まれておりますが、オールジャパンでの海外プロモーションの中で、本県の農畜水産物の輸出拡大も図っていこうと考えています。また、和牛日本一奪還に向けての対策。それから、8ページ目は木材の方ですが、住宅以外の建築物の木造化の支援でありますとか、森林サービス産業とは新しいコンセプトですが、森林空間を活用した様々な新しいビジネスを応援していこうということで、林政部挙げていろいろと頑張っております。それから、バイオマスの資源林を整備して、短い期間のサイクルで、植えて、育てて、切って、バイオマス発電に使うというサイクルを構築していこうということがこの次の新しい政策であります。それから花粉対策。それから、ドイツにプロモーション拠点を設けて、そこから県産の木製品を海外に売り込んでいこうということで今準備が進んでおります。
 それから、「(4)GX・DXの推進」について、GXは太陽光、水素ステーション、省エネ・再エネ、有機農業、小水力発電等々。それから、国の「J―クレジット」については、すでに販売段階に入っておりますが、この対象にならない森林など、もっと対象を広げた使い勝手の良い制度として創設した、岐阜県独自の「G-クレジット」についても本格運用に入ろうというところでございます。それから、先ほど申し上げましたバイオマス。それから、次の9ページ、「[2] DXの推進」では、これもいろんな分野で一斉にプロジェクトが進んでおりますが、市町村のDX支援、企業のDX支援、デジタルインボイス、それから、先ほど見たスマート物流。それから、観光事業者と一緒にデジタルマーケティングということで、外国人の観光客向けのウェブサイトのアクセス状況を見ながら、傾向を探って新しいマーケティングを行っていくことを考えております。それから、公共施設についての予約管理システム。県の事務としては、オンライン上で決裁を完結させようということ。それから、データを活用した農業の推進や、警察の犯罪発生などの情報を地図上に表して注意を促すという新しいGISの運用もあります。

 次のページが「2 暮らしやすい『清流の国ぎふ』の実現」では、物価高騰を乗り越えるための対策ということで、これまでやってきた政策の延長に加えて、さらにきめ細かく、小規模事業者や介護職員、看護補助者に対する賃上げ支援でありますとか、農畜水産業では、電気ショッカーボートの本格運行によるコクチバス対策や、鳥インフル対策、鳥獣被害対策等々あります。
 「(2)暮らしの安全安心確保」では、医療・福祉ということで、新たな感染症への備えや、検査画像を共有する遠隔医療も含めて、IT化を促進するということでございます。それから、子宮頸がん検診の受診者の自己負担額を無料化することも導入します。それから、次の11ページが、医学生・看護学生や、介護・障がい福祉等々のそれぞれについて、様々な支援策を行うということです。それから、「[2] 誰もが安心して暮らせる社会の実現」として、ケアラー、児童養護施設、ひきこもり、不登校、生活困窮世帯、入院中の児童生徒、困難な問題を抱える女性に対する支援、ひとり親家庭等々にも、きめ細かく目配りをしていこうということであります。
 12ページが「(3)少子化対策の推進」でありまして、新婚世帯に対する引越や新居の家賃等の支援、また、これは継続ですが、特定不妊治療費の支援を行います。それから、児童手当は国がかなり対象を広げ、地方の負担分があるわけですが、これは国と一緒にやっていくということでございます。それから、若者移住定住としては、支援金の拡充や、先ほど申し上げましたが、若者への奨学金返還支援や、Uターン奨学金など、いろいろと奨学金あるいは新規貸し付けによって積極的に応援していこうということです。

 13ページ、「3 『清流の国ぎふ』の魅力向上と発信」では、「(1)清流文化の創造・発信」ということで、国民文化祭、全国高等学校総合文化祭のほか、地芝居・伝統芸能や、文化祭に合わせた県産品のPR販売、食文化の発信であります。それから、県産材の利用促進、「匠の国ぎふ」の技の継承、万博に向けて関西圏で県産品のプロモーションをやろうと考えております。
 「(2)観光・交流の推進」では、インバウンド拡大のため、さらに付加価値の高いコンテンツや、県内に「もう一泊」してもらうため、できるだけインバウンドのお客さんを県内広く回そうという発想で、「もう1泊」のためのプランを、旅行エージェントと一緒に作っていこうと考えております。それから、関ケ原を核とした戦国・武将観光。それから、電子観光クーポンを行いますが、これは観光の消費拡大という面もありますが、利用データを分析して効果的なプロモーションを構築していくという面でデータとして色々使えるということであります。あと、「[2]国際交流の深化」は、国民文化祭に合わせて、ポーランド、フランス、中国、ハンガリー、リトアニアと一段と交流を進めていこうということであります。
 それから、最後ですが、「(3)地域の新たな魅力創出」ということで、各地域の取組みが並んでいますが、飛騨では、奥飛驒ビジターセンターがリニューアルオープンされますし、これを含めた「松本高山Big Bridge構想」ということで、この松本-高山間を積極的に人流や観光をつないでいこうという構想としていろんな手立てがありますが、これを積極的にやっていきます。それから、(フランス)アルザスと連携した「ONSEN・ガストロノミーウォーキング」。それから、「南飛騨アートプロジェクト」は南飛騨の自然環境の中で、地域の歴史・文化などを活かして、アーティストと住民との協働でつくるアート作品の展示などを行うプロジェクトであります。それから、木曽川中流域の関連市町、愛知県側も含めて連携して、このところ、新しい観光地づくりということで進めていますが、これを積極的に応援していこうというところです。それから、「岐阜未来遺産」を2か所認定しましたが、これをさらにブラッシュアップしていくとか、3年に1回の「国際陶磁器フェスティバル美濃’24」が令和6年秋に開催されますので、その支援を行っていきます。薬草についても、商品開発、情報発信など、薬草に着目したプロジェクトを進めていこうと新たに考えております。あと、名鉄名古屋本線鉄道高架化も着実に(進んでおり)、詳細設計から用地取得に移っていくということでございます。リニアについても、駅周辺の整備の在り方や、リニア開業を見据えた地域発展のための人づくり政策などを議論していこうと考えています。少し細かくなりましたが、来年度の大きな三本柱の下での政策体系を、この予算で推進していくということでございます。

 もう一つ、資料1-3が組織改正の資料になります。令和6年度はあまり大きな見直しはありません。組織改正の概要でいくと、令和4年4月にデジタル推進局ができましたし、昨年4月には観光国際部ができたわけですが、令和6年度は、部、局いずれも現状のままということです。あとはコロナが落ち着いてきましたので、感染症対策調整課と感染症対策推進課の2つの課で今までやってきましたが、課を一つにするということで、「感染症対策調整課」を形としては廃止にするということで、課を▲1ということでございます。同時に、「医療・検査体制対策室」と「ワクチン接種対策室」も廃止して、残る感染症対策推進課の中でこれらの問題についても、はるかに小さい規模で対応していくということになろうかと思います。それから、「水産振興室」も「コクチバス対策室」に模様替えするということです。それから、「ぎふワールド・ローズガーデン企画推進室」を「都市緑化フェア推進室」に衣替えするということで、課内室は▲2ということになります。
 次のページにいろいろ解説がございますが、大筋今のようなことであります。森林経営課の中に「林業改革室」を設けて、木質バイオマス産業係において、木質バイオマス発電を念頭に置いていますが、これを積極的に進めていこうということでございます。
 それから、「コクチバス対策室」を置いて、里川振興課を「里川・水産振興課」にするということで、川の保全と産業振興を一体的にやっていこうということでございます。それから、感染症は先程申し上げましたように、2課体制を1課体制にして、感染症対策推進課で全ての感染症対策を集約してやっていくということで、大分組織的には小さくなります。それから、子ども相談センターは、児童虐待相談をはじめ今非常に相談が増えてきておりますので、児童福祉司や児童心理司等のスタッフを思い切って増やしていくということでございます。
 それから次の3ページが、少子化対策関係です。「こども政策調整監」を子育て支援課に置くということで、これは、こども基本法が国の方で作られ、こども大綱もできました。それに合わせて、県としてこども計画を作っていくことになっておりますので、こども計画の企画立案を通じて、こども対策のとりまとめをする調整監を置くということでございます。
 それから、文化の関係では文化祭の事務局、それから、一旦中止になったねんりんピックが復活して令和7年度に行われますので、これに向けた事務局に、今課長級でやっておりますが、次長級に格上げするということです。また、文化伝承課に「伝統技術支援監」を設けて、伝統的な匠の技の技法の保存・伝承をしっかりやっていこうということです。それから、都市緑化フェアを令和7年度に予定しておりますが、この推進室を新たに設けるということです。
 このように全体としては一定の調整をしておりますが、大きな変更はないということでございます。全体の組織図がA3の紙ですが、以上のことを赤色と黄色で書き分けておりますので、説明は省略させていただきます。少し長くなりましたが、私からの説明は以上でございます。

記者
 普通建設事業費について、能登半島地震の影響も考えた県土強靱化のための施策との説明だったかと思います。発生から1か月少しというところで、昨年後半から予算を考えていく中で、能登半島地震の発生及び被害の状況をいろいろ見た上で新たに積み上げた金額は、この普通建設事業費の中でどの程度あるか教えてください。また、これに関して増加率が12.6%になっていますが、今回の地震の影響を受けた県土強靱化対策でどれくらい積み増したのでしょうか。また、実質公債費比率を出されていますが、地震の影響などを考えると、新年度だけではなく、その後も県土強靱化に必要となってくるかと予想されますが、来年度以降の推計値は、その分を加味したうえでの推計値を出されているのでしょうか。

知事
 
まず前段からいきますと、説明上、新たに積み上げたものは何かと言えないことはないですが、岐阜県としてずっと一貫して様々な計画をもって対策しているわけですので、いろんな意味でのやらなければならない課題もかなり明らかになってきています。そういったものを今回の状況を見ながら、計画の改訂作業を行いつつ、急げるところはかなり前倒してやっていくということでございます。そういう意味では、何か新しいことというよりは、先程見ていただいたように、既にある課題について今回の状況に合わせてさらにスピードアップやスケールアップをする、あるいは、さらに強靱なものにしていくということはこれから当然あるわけで、何かそういう検討が終わるまではじっとしているということでもありませんので、やれるところからどんどんやっていくということです。
 それから、ここに出した数字は、厳密にこれだけしかやりませんということではなく、ある種の幅といいますか、柔軟性をもった枠の中で、まず頭に浮かぶものを先程いくつかご紹介したわけです。これは作業しながら、積み上げながら、順にやっていくということで、積み上げて終わりとして、それにもう一つ足すためにはまた予算が必要というつもりはありませんので、財政全体を考えると、この予算の中で優先度を考えながらプロジェクトをどう進めていくかということを考えるということになろうかと思います。
 それから、実質公債費比率は、先程申し上げましたように、実質公債費比率の状況や、公債費の状況、基金の取り崩しの状況など、いろいろ考え、令和6年度については、強靱化という点では、ある程度全体のバランスの中で考えて置いた数字ですので、それをそのまま、その後も継続してやっていくと13%位までで留まるだろうということです。そこから先、仮に何か起こって、さらにまた積むことになると、当然、全体は変わってきますので、ここから先は積めば積むほど厳しくなっていくということで、私どもとしては、この13%台で先々見ていけるぐらいが良いところかなとは思います。しかし将来どんなことが起こるか分かりませんので、その辺りは毎年毎年、前後左右眺めながらよく考えていくというやり取りになります。とりあえずは、先程申し上げた前提でいけば、令和15年から先に延ばしてもだいたい13%そこそこで横ばいだろうということですので、それをいろんな方に見ていただいて、もっと増やすという議論もあるでしょうし、多すぎるという議論もあるでしょうし、こういう見通しの中での、令和6年度の数字ということで、まずはご理解をいただいて、そこから議論していくということになると思います。

記者
 
マイナスの予算になった要因について、定額減税の影響については国が補填するということで、その辺の影響は回避されたと思いますが、結果的にごくわずかではありますがマイナスになっているというのは、コロナ関連の予算がかなり落ち着いたという部分が大きいという見方でよいのでしょうか。

知事
 
持続可能な財政運営という意味では、かなり慎重に、年々、細々見ながら重点的なところにはしっかりと(予算を)つけていく、それから見直すところは見直すということで、これから見ていかないといけないということのシグナルでもあろうかと思います。

記者
 
県単独の新規事業で、あまり先例がないようなユニークな事業はありますか。

知事
 
森林サービス産業というのは、どちらかというと林業ではなく、森林という環境を人々の生活の豊かさや、レジャー、観光を含めた観光資源といいますか、豊かさの資源としてどう使っていくかというものです。それからまさにGXとして、森林の持つ環境価値を一つクレジット化するということを含めて、森林サービス産業というコンセプトで林政部の政策を一つ貫いていくというのは、他県がどういうことをしているか詳しくは知りませんが、岐阜県ならではのアプローチかなと思います。
 それから、奨学金の返還を積極的に支援するという形で、学生の就職、それから教員、医師、いろんな立場になる人に岐阜に留まってもらうということで、これを包括的にやっていくというのも岐阜県ならではかなという感じがしております。
 そういう意味で、岐阜県独自ということを意識したわけではありませんので、むしろ担当部局の方からまた、いろいろ(説明が)あると思いますが、今ふと思いついた感じとしてはそういうことです。

記者
 コロナの歳入歳出予算が数百億円規模で減少した中で、マイナスとは言え微減ということです。いわゆる紋切り型で積極予算とか堅実予算などの括りとしては、見た目としては積極予算と感じるのですが、その辺りの知事の受け止めはいかがでしょうか。

知事
 先程申し上げましたように、コロナ(・物価高騰対策経費の減)は300億円台ですが、国の予算がかなり入ってきており、差し引きトントンなわけで、逆に増えていく要素は非常にたくさんあるわけです。人件費もその一つですし、社会保障関係経費もコロナを除けばかなり(増えています)。これは毎年、構造的に増えていくわけなので、そういう構造的に増えていく要素をどう飲み込んでいくかは考えていかなければいけません。それからこれまでの蓄積の上で(県債)残高は非常に高いところにありますし、従って公債費も着実に増えていきますので、まだこれはしばらく増え続ける見通しですが、それをどう飲み込んでいくのか。また、新しい課題は課題としてやっていかなければならず、コロナという一点だけを掴まえて、減ったなら穴が空いているではないか、あるいは、それを言い出すと、例えば県庁舎も完成したのだから県庁舎分だけ余裕があるということではなく、逆に相当苦労して、県庁舎は県庁舎の財源を確保するためにいろんなやりくりもしてきたということもあり、余裕があるとか、ひどく積極的とかいうイメージはないです。
 それから、公共枠及び県単枠もコロナ禍では逆に抑え込んでいました。そういうこともあって、ある程度、当時の水準まではいきませんが、少し戻していくということになります。しかし、戻し分も財源手当てをしないといけないですので、ということでの足し上げていった結果ということです。何か積極的とか緩いというよりも、バランスを取りながらどの辺りまで県債を抑え込めるか、どの辺まで県債依存度をという、先々のことを考えながら(予算を)組んできたという実感の方が強いです。

記者
 
積極というよりは必要なものを必要に(積み上げた結果)、上がる部分もありますし、今回の能登半島地震のことも県土強靱化を1丁目1番地にされて積み上げていく中でこういった形になったと思いますが、全体としては。

知事
 何とか優先度の高い必要なものは盛り込むことはできたのかなと思っています。

記者
 「『清流の国ぎふ』づくり~確かな未来の創造~」というタイトルで予算編成をされています。健全財政に配慮しながらということですが、(今回の予算に)込めた思いを改めてお伺いできますか。予算に名前をつけていただきたいというところまではいきませんが、改めて今回の予算の思い、予算編成で伝えたいことをお伝えいただけますか。

知事
 コロナを経て、本格的に様々なグローバルな課題や、当面の経済・政治情勢から来る様々な課題、あるいは、天変地異・自然災害など、コロナは乗り越えても課題が山積しているわけです。そこで、アフター・コロナの課題をしっかりと見つめてこれに向き合い、それに必要な予算をどう組み立てていくかと、同時に一定の限度の中で慎重に持続的な財政運営も考えてやっていくということで、そういう意味で言うとバランス、あるいは、メリハリといいますか、そのような予算です。一方に特に偏したという感じはないです。ただ、先程見ていただきましたように、できるだけ岐阜県の直面しているテーマについてきめ細かくやれることは丁寧に目配りしていこうということは各部局でも汗をかいてもらったのではないかと思っています。

記者
 再度申し訳ないですが、県土強靱化も含めてきめ細かくというところで、より暮らしやすいや、過ごしやすい、生きやすいといったイメージを感じたのですが、確かな未来の創造ということで、その辺りはどうでしょうか。

知事
 
私自身の頭にあるのは、アフター・コロナをきちんと見据えるということと、それから、世界的にも、全国的にも、岐阜県にとってもいろんな課題が山積しているということで、それを乗り越えていくんだという意志ができるだけ明確になるような、とりわけ、能登半島の地震もありましたし、鳥インフルエンザも3年ぶりにありましたし、高速道路の立ち往生もありましたし、飛騨牛の輸出自粛の問題もありましたし、この後、PFASの問題もご報告できると思いますが、そのような安全の問題もあります。とにかく油断できない課題が非常に多いわけですので、それをきっちり乗り越えていく、克服していくという思いを「未来の創造」という言葉に託したという感じです。

記者
 
昨年度当初予算では、2本柱の一つに「人口減少社会からの脱却」を掲げておられました。今回も「人への投資」や「少子化対策の推進」といったところにそうした要素が入っていると思います。令和6年度の当初予算案で、知事がよく言われる社会増と自然増というお話がありますが、そちらのところで込めた思いや、県としてこういった施策で自然増、社会増を促していくんだというところや思いを改めて聞かせてください。

知事
 
昨年はやはり、(コロナを)第5類にいかにスムーズに移行していくかと、ウィズ・コロナからアフター・コロナへどう移行していくかという意識が強かったものですから、最初の柱に「社会経済の再生・回復・転換」という言葉を使っていました。それと合わせて、少子高齢化の問題を書いてきたわけですが、これもコロナの3年間の間に実はこの問題がもっと酷くなっているということに目を向けなければいけない、決して忘れてはいけないという思いもあって2つ目の柱に掲げて、包括的な対策を出したわけであります。今回はそれをさらに、少子化対策という項目や、人への投資という項目など、いろんなところに分散している部分もありますが、この問題の重要さは変わらないと考えています。コロナゆえに酷いことになっているということを言いたかったというのが去年の状況で、今年については、基本的な政策の方向は大きくは変わらないと思います。例えば、自然増であれば、出会いから結婚出産、それから幼稚園、保育所、小学校、中学校、高等学校、それから大学、就職と。このレベルごとにどういう支援をしていくかということで、国は今回、かなり大幅に児童手当を大きく(予算を)入れました。県も負担するわけですが、この分はこの分できちっと埋めていくということで、去年まで県が単独でやってきたことと、国が児童手当で埋めて、県が協力していくというところはかみ合ったところで、相変わらず、出会いから就職までの流れがあります。それから特に来年度意識しているのは、社会増の方で、先程も申しましたように奨学金というツールをインセンティブに、貸付や返済免除などをいろんな分野に広げていくこと。これまで学生さんと医師の関係でやってみたら非常に評判がよく、教師も随分手が挙がっています。やはり奨学金の返還支援はそれぞれの分野で、皆さんからは大変評価されているということも分かりましたので、これを看護師に広げるなど、とにかく広くそういう面での経済的な支援を包括的にやっていくことは、令和6年度に、一歩さらに進めたと感じています。対象も更に広げるとか、金額をどうするとか、まだまだ改善の余地はあると思いますけれど、そこのところは力強くやっていきたいと思います。

記者
 
「人への投資」に関連するのですが、「外国人県民のための日本語教育総合支援センターの開設」が新規に入っていますが、今、政府でも特定技能の要件を緩和していますし、外国人の受け入れは地方の人口増という意味でも課題になってくるかと思います。日本語教育総合支援センターを、新たに開設するための予算を組まれることへの思いというか、外国人在住者への支援についての思いがありましたら教えてください。

知事
 
やはり言葉というのは、コミュニケーションする上で一番大切なところですし、できるだけ現地の言葉を学んでもらって馴染んでもらって、そのニュアンスも理解してもらうこともありますし、いろんな資格を取るにあたっても、一定レベルの日本語は求められます。岐阜県としてきちっとした門構えを作ると、これに力を注いでいることを示していくことは大事なことだと思います。積極的に受け入れていくというスタンスで今回、こういうものを書いているということです。

記者
 
森林サービス産業という、この新しいビジネスに、岐阜県が来年度予算に計上して取り組む、その意義を教えてください。

知事
 
伝統的な林業政策というのは、やはり植えて、育てて、切って、それを活用していくという建築用の木材をきちんと供給していくというのが一つ大きなメインの流れとしてあり、それに伴う林業政策や森林政策が長い間、中心的に言われてきたわけです。それこそ人口減少で、新たな新規住宅着工件数も減ってきますし、そういう中で、木材をどう活用していくのかという流れとして、木質バイオマスが一つの出口である、として議論している訳です。それと同時に「岐阜は木の国・山の国」と言われる中で、山や森の価値を、植えて育てて切って使うという、建材にフォーカスするだけでなしに、もっとトータルに環境価値であったり空間の価値であったり、いろんな価値を岐阜県としては求めていくのが大事ではないかと。そういう中で森林サービス産業という、産業という言葉を使ったのは、何となくいい所というイメージではなく、そこに価値が生まれ、その価値がビジネスとして積極的に活かしていけるんだという、多くの方々にとっての参加意欲を盛り上げていくというか、補助金で何かを作って、はいいらっしゃいというのではなくて、まさにビジネスとして価値あるものと評価をされて、物事が回っていくエリアではないかということで、森林サービス産業と、あえて産業という言葉を使っています。これも一つ大きな、森林空間を活かしていくというか、活性化していくアプローチではないかとそんな思いでいます。

記者
 
公共事業、災害対策などの県土強靱化に関することですが、昨年と比べて12.5%増えたのは、今年に入っての能登半島地震を受けた災害対策が増加した分と考えてよろしいですか。

知事
 
マクロ的に、予算全体をどのように組んでいくかという時に、そのカテゴリーでどのくらいの財源を割り振れるかとなります。県土強靱化という意味で言えば既存のものも含めてですが、(資料1-2の)5ページにありますように、いろんなテーマが山積しているわけで、しかもコロナ禍で当初予算ではかなり削っていましたので、その分をある程度戻していくというのは数字的には可能です。この数字の中でさらに優先度をつけて仕事を進めていく上で、どう優先度をつけていくかという時に、この能登半島地震の状況をしっかり踏まえながら本当に急ぐべきところは急がなければならず、備蓄資機材についても欠けたるところは急がなければいけないということで、通常の予算のように、全部きちっと数字を固めて、足し算をして、これで全部ですと、それ以外はできませんというのではなく、ある程度、このぐらいまではいけるであろうということで、この数字が出てきているとご理解いただきたいと思います。その上で、優先順位をつける中で、能登半島地震が大きな切り口になりますが、ただ何となく能登半島地震というわけではなく、強靱化計画やこの地震防災行動計画の中で、この能登半島地震を踏まえて何をしなければいけないのかというのを明確に文章化して、その形に沿って増やしていく部分もあると思うので、今時点で全部を言い切ってしまうのは難しいと思います。

記者
 
大きな目で見ると、コロナでこれまで削っていた分が戻って増えたということでしょうか。

知事
 
完全には戻ってないですが、ある程度戻したということです。

記者
 
その中で、細かく見ると能登半島地震があったことで優先度をつけていったと。

知事
 
はい。

記者
 
知事の任期の4年目ということで、サイクルで考えると最終年になるのですが、そういう意味では今回の予算は知事としてはどう見ていらっしゃるのか。コロナ禍で始まった4年間ということで、いろいろとご説明されていると思うのですが、改めてお願いします。

知事
 この4年間というのか、私自身スタート時点で、最大の課題はコロナをどう乗り越えていくかということでした。その時点ではまだお亡くなりになる方も日々おられましたし、大変厳しい状況で手探りの状況でしたので、どのくらいのタイミングでコロナ禍を乗り越えていけるのか分からない中、とにかくある程度目途が付くまではコロナ対策が最優先だとずっと言ってきたわけです。結果的に4年間のうちの2年半近くで5類に移行したということですから、2年半がコロナ対策最優先と、そこから移行時期を挟んで1年ぐらいがどうスムーズに移行していくかというウィズ・コロナからアフター・コロナへの移行ということをスムーズにやっていく期間で、最後の1年が本格的なアフター・コロナを打ち出していくべき年というふうにあえて図式化するとそのように考えられるのかなと思っています。そういう意味では、今回の令和6年度予算というのは、本格的なアフター・コロナの時代にしっかり向き合っていく、様々な課題を克服していく本格アフター・コロナのスタートの年になるという位置付けかと思っています。

記者
 
基金の状況について伺いたいのですが、令和6年度の見込みで、財政調整基金が100億円を切るということです。知事が言われるように、県土の強靱化の面でこの財政調整基金は災害対応に重要なお金だと思いますが、この100億円を切っているという状況について知事の評価をお願いします。

知事
 
この財政調整基金は、令和5年度は155億円取り崩しています。今回のプランはそれより16億円少なく、取り崩し額としては、むしろ減っているといえます。ただ、財政調整基金は一定ですから、減っている増えているで全てが語れるわけではないですが、そういうことになっています。それから過去を眺めてみますと、大体100億円前後で当初予算はスタートするのですが、できる限り節約したり、いろんな工夫をして、特に財政が厳しい時代からの流れは続いていますので、大体100億円前後からスタートして、毎年150億円前後が積み増されて、年度末になると大体250億円前後になって、それを翌年に使っていくという感じなので、そのサイクルからすると今回もそんなにそこは変わっていないと思っています。その範囲にとどめて、96億円、ほぼ100億円前後は確保しながら、またスタートしたところで厳しく執行も見つめていこうということで、例年通りというか場合によっては例年以上に厳しく見つめながらやっていこうということで組み立てたつもりです。

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