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知事記者会見録(令和5年9月13日)

記事ID:0320802 2023年9月15日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

※知事及び記者の発言内容については、事実誤認や単純ミスと思われる字句、重複した言葉づかい等を整理の上、発言の趣旨を損なわない程度に整理して作成しています。

令和5年9月13日(水曜日)15時00分

司会

 それでは、ただいまから知事記者会見を始めさせていただきます。

知事
 いくつかご報告がありますが、最初に、「岐阜県農業フェスティバルと全国農福連携マルシェinぎふの開催」についてでございますが、10月28日、29日の両日、この県庁舎周辺の一帯を会場として開催したいと思っております。農業フェスティバルは、県下最大の食と農のイベントということで、かれこれ30年以上の歴史がございます。4年ぶりの開催ですが、コロナ前の令和元年には約18万人の方々にご来場いただいております。様々な岐阜の農産物、料理、花き、さらにはスマート農業などその時々の農業を巡るテーマや産品の魅力などをご披露するという場でございます。今回は新庁舎に移転した後、最初の開催ということですので、「20階清流ロビー」や県庁前の「ぎふ結のもり」も活用しながらやっていきたいと思っております。
 それから、もう1つは、私自身が会長を仰せつかっております農福連携全国都道府県ネットワークがありますが、そのネットワークのイベントとして、各県で様々行っている農福連携の産品を同時に集めてアピールしようというプロジェクト「全国農福連携マルシェ」を岐阜で開催します。しかも、農業フェスティバルにあわせて開催するということで、より多くの方々に、全国の農福連携の取組みを知っていただこうということでございます。先般、主催団体の会長さんが岐阜にお出でになられ、農業フェスティバルと一緒に開催することは非常にありがたく、素晴らしいということを盛んに言っておられました。この機会に、改めて地産地消や田園回帰、農と食などについて、色々と考える機会になればと思っております。

 次は、「地方創生フォーラムin岐阜」であります。総務省の外郭団体である一般財団法人地域活性化センターでは、全国各地で地方創生というテーマでフォーラムを開催されておりまして、岐阜ではこれまでやってきておらず、是非やりたいということで、岐阜県と共同開催ということでやらせていただきます。岐阜県にとっての地方創生ということで、基調講演を日比野克彦さん(岐阜県美術館長・東京藝術大学学長)にお願いしており、おそらくは、来年の国民文化祭を念頭においた講演をされるのではないかと思います。そのあと、パネルディスカッション等々ございまして、11月21日に県庁1階ミナモホールで開催しますので、よろしくお願いいたします。

 それから3つ目が、「リトアニアNOW2023」の開催でございます。10月27日から開催する予定ですが、これは平成30年度から始まっておりまして、今年で6回目を迎えます。コロナ禍でもずっと続けており、杉原千畝さんのご縁から交流を進めているわけですが、岐阜県として毎年リトアニアの魅力をご紹介するというイベントでございます。リトアニア側からは、リトアニアに対して、日本で最も密度の高い交流や対応をしてもらっているのが岐阜県であり、その象徴が、毎年開催されるリトアニアNOWであると、高くご評価を頂いているところであります。今年は、杉原千畝の領事館があったカウナス市を拠点とするフォークダンスグループ「ジルヴィティス」による伝統的なフォークダンスをご披露するということです。リトアニアは、歌と踊りの国とよく言われますが、4年に1回、「歌謡と舞踏の祭典」という国を挙げてのとてつもない、まさに歌と踊りの行事をやっておりまして、そのものがユネスコ世界無形文化遺産になっています。ちょうど昨年、「郡上踊」もユネスコ世界無形文化遺産になりましたので、私どもとしては、無形文化遺産である「郡上踊」をご披露し、コラボしていこうということでございます。その他、リトアニアに関連する文化・料理・伝統工芸など様々なリトアニアの魅力を感じ取っていただくようなプログラムがございますので、よろしくお願いしたいと思っています。

 4番目の項目にある、イギリスの「ヴィクトリア&アルバートミュージアム」は、名前のとおりイギリス王室ゆかりの博物館で、ここはロンドン・デザイン・フェスティバルが開催される、芸術・デザイン分野では、いわば最高峰の場所であり、年間400万人の方が訪れる博物館です。そこに、岐阜県の伝統工芸の一つである美濃和紙がビジュアルアートということで展示していただけることになり、私どもとしては大変名誉なことと思っております。これまで英国で様々な岐阜の魅力のプロモーションを行ってきた流れの中で、美濃市の美濃まつりの花みこしがロンドンの方々の目に留まりまして、これを何らかの形でビジュアルアートとして展示をしたいということで、先方からも岐阜にお出でになって、色々と見ていかれました。(今回展示されるのは、)ロンドンで活躍しておられる日本人建築家の早津毅さんが花みこしの花の部分をアレンジして仕上げた作品で、この花に使われる美濃和紙は岐阜県から提供したものです。花を枝に取り付ける作業は、美濃まつりでは、町内総出で枝に花を付けておられますが、同じことを博物館でもやりたいということで、かなり多くの方が参加をして、枝に花を付ける作業をロンドンでおやりになり、その結果が作品になったということです。この展示にあわせて、美濃和紙ワークショップや日本酒試飲会、県産品の展示もやらせていただきます。まさにイギリスあるいは世界の芸術デザインのトップブランドとなるような場所で、美濃和紙、花みこしが展示されるということで、大変楽しみにしているところで、今月16日からロンドン・デザイン・フェスティバルの一環として展示されるということでございます。

 5番目は、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の新館長の委嘱でございます。平成30年3月から松井孝典先生に館長を務めていただいていたわけですが、今年3月に急逝されまして、この間、後任館長の選定を進めてきたところです。今回、常田佐久先生にお願いをしようということで、9月22日に委嘱式を予定しております。常田先生は、松井先生の後を追いかけるように、宇宙政策の分野で活躍されてこられた、いわばこの分野の国内トップの専門家でありまして、内閣府宇宙政策委員会委員長代理に松井先生の後任としてなられています。また、国立天文台長でもあり、JAXA宇宙科学研究所長もやっておられまして、日本の宇宙開発についての最高権威の1人でございます。かつ、かかみがはら航空科学博物館の本格的リニューアルを、平成26、27年頃に議論をしたところですが、その意見交換会のメンバーでもございましたので、空宙博については熟知しておられます。そのため、この方しかいないという、うってつけの方と思っておりまして、お願いに参りましたら、即ご快諾を頂いた次第であります。22日の委嘱式には、各務原市の浅野市長にもお越しいただき、セレモニーをしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、モロッコ王国中部で発生しました地震に係る対応についてでございます。現地時間の9月8日深夜にモロッコ王国の中部で、マグニチュード6.8の地震が起きまして、今3,000人近くと報道されておりますが、お亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表する次第でありますし、ご遺族にもお悔やみを申し上げたいと思っております。また、多くの建物の倒壊もあったようでして、被災された方々にも心からお見舞いを申し上げたいと思っております。とりわけ中部地区の中心であるマラケシュ=サフィ州は、その中心都市がマラケシュであり、いわばモロッコの観光の中心です。私どもは2018年4月に覚書を交わし、私も現地に行き、当時の州知事との間で、友好交流していきましょうということで交流を進めてきました。行政や民間企業の方々も、岐阜にお出でになっていろんな交流をやってきておるわけでして、大変胸が痛むわけですが、昨日、私の名前でマラケシュ=サフィ州の州知事と、それから、東京の(モロッコ王国大使館の)ラシャッド・ブフラル特命全権大使にお見舞いのメッセージをお届けしたところです。併せて、被災地へ少しでも義援金をということで、募金箱を設置することにいたしました。本庁舎及び各総合庁舎、それから、モロッコガーデンのあるローズガーデンにも募金箱を置かせていただいております。同時に、岐阜モロッコ友好協会でも同様に義援金を集めてられますし、美濃加茂市、可児市もそれぞれやっておられます。それらの方々と語り合って、最終的には集まった義援金を全部束ねて、オール岐阜でモロッコの方にお届けをしようということで、今は四者それぞれが義援金を、皆さんにお願いをしているということでございます。私の方からは以上でございます。

記者
 モロッコ地震の被災地支援ですが、まずは募金ということですが、今後の展開として、人的、物的な支援をお考えでしょうか。

知事
 
その点については、大使とも電話で話はしておりますが、まずは状況を見ながらということで、私どもとしてはできる限りのことをさせていただきたいと思っております。

記者
 
欧州3か国の訪問が終わりました。改めて成果や今後に繋がることなど、総括をお願いします。

知事
 8月28日から9月6日まで、フランス、ポーランド、ハンガリーの3か国を訪問させていただいたわけです。これまでのトップセールスは主として県産品や、飛騨牛をはじめとする食品等のキャンペーンを一つの軸にしながら、いろんな交流をやってきたわけですが、今回、県産品のPRについては、パリのダローザという有名レストランで、飛騨牛のメニューフェアのキックオフに参加しまして、いいスタートを切れたのではないかと思います。それから、ハンガリーとポーランドの大使館には飛騨牛を持ち込んで、お客さんに振舞ってもらいました。ハンガリーの大使公邸で開催した食事会に参加されたヘレンド社のCEOは「翌日になっても、あの牛肉の味が忘れられない。どういう肉なんだ。」と言っておられ、まだ(飛騨牛は)ハンガリーにはほとんど持って行っていないのですが、これはハンガリーにも通用するのだと思ったところです。食材についてはそのような状況です。
 ポーランドについては、むしろこれから交流をスタートするという、スタートポイントでして、東京オリンピックの際に(恵那市の)笠置峡でカヌーの選手が合宿されて、岐阜のおもてなしに大変感銘を受けられ、是非交流したいということで、シロンスク県に行ってまいりました。聞きましたら、ポーランドの県が日本の県と1対1で交流をするのは、ポーランドとして初めての試みということで、先方の知事さん以下、非常に張り切っておられまして、本当に行き届いた歓迎を受けた次第です。シロンスクからは今度、ポーランドで1、2を争うと言われる舞踏団が11月に岐阜にまいりますが、これから積極的に交流、特に文化交流をやっていこうという話をしてまいりました。
 ハンガリーは、逆に、来年が交流30年目でございまして、これまでの交流の蓄積について、特にコロナで少し途絶えましたので、その辺りを再確認しながら、来年の30年目に向けて、さらに、その先に向けていろいろと議論してまいりました。そういう節目の中で、これまでの岐阜県とハンガリーとの交流の成果を、ハンガリー政府が真正面から評価をしていただいたということで、その象徴的な表れとして、私に国家勲章と言いますか、騎士十字功労勲章を、国会議事堂のゴブランの間という貴賓室で授与式をやっていただきました。私自身も大変光栄なことでしたが、それ以上に、あの世界に冠たるリスト音楽院の先生方が、本当に我が事のように喜んでいただきました。つまり自分たちが岐阜県と一生懸命コツコツとやってきたことが高い評価をされているのだということで、授与式の時に自分はハンガリー側に立つのか、日本側に立つのかと言いながら、岐阜県側に立って祝福していただきました。あれほどハンガリーの方々や、ヘレンド社の関係の方々に、私どもとしては思いもよらないくらい、喜んでいただけたのは良かったのかなと思っております。いずれにしましても今回は美濃焼を持って行きましたので、ヘレンドというヨーロッパを代表するブランドの地に、美濃焼を持ち込みました。かつ、あの地の陶芸作家が、美濃焼の陶芸作家とコラボして、ハンガリーの土と岐阜の土を混ぜ合わせて、そして、双方の技術を融合させて、何か新しい陶芸というものを作ってみたいということで、実際にも陶芸家同士の交流も始まっております。それに関連する展示もございました。また、ヘレンド磁器博物館の中に、堂々と美濃焼の展示をさせていただいて、岐阜から行かれた美濃焼の関係者も大変感激しながら、一生懸命アピールしておりまして、30年の交流の成果が、こういうところにたどり着いたのかなということでありました。ちょうど今年は、ヘレンド社があるヴェスプレーム県がヨーロッパの文化首都になっております。ヨーロッパでは毎年どこかの都市を選んで「文化首都」ということで、1年間、ヨーロッパワイドの文化行事を地元のものを含めて実施されています。日本にはそうした制度はないのですが、言ってみれば国民文化祭というのは、特定の県がその年の国の文化首都になるんだと、そういう意味で来年は岐阜県が日本の文化首都になるのだということで、我々は今、国民文化祭の準備をしているという説明を、ポーランド、ハンガリー、フランスのアルザスでしてきました。これは非常に皆さん分かりやすくて、是非参加したいということで、来年の国民文化祭では、地元開催県の魅力発信と、オールジャパンの文化交流に加えて、世界に開かれた文化交流の場としての国民文化祭というエレメントを積極的に加えていけるのではないかということで、それぞれ参加の方向で、これから検討するということでございました。これも一つの成果であったのかなと思っております。
 それから、リスト音楽院の方は来年の30年目を迎え、既に600人を超える方々が音楽院の教授からいろいろと指導を受けて、その中で選ばれた100人を超える方々がリスト音楽院を既に卒業して、世界の各地で活躍しています。岐阜のご縁でリスト音楽院を卒業された100人の方々全員に、来年、岐阜に集合して大コンサートをやろう、その呼びかけをリスト音楽院の方からやろうということで、私共も一緒になって(進めていく予定です)。実際にそれぞれのスケジュールがありますから、どのくらいの規模になるか分かりませんが、積極的に声掛けをして、リスト音楽院の大コンサートを来年やろうではないかという話をしておりまして、一つ一つ、これまで30年の蓄積を感じた次第であります。
 それから、フランス・パリの郊外のル・ブルジェ航空宇宙博物館に行ってまいりましたが、かなり大々的に改修がされましたので、前回見たものとは、はるかに内容的に充実したものになっておりました。今後の交流について、向こうの館長は、航空と宇宙とそれぞれ同じように本格的に並べている博物館は世界にいくらもなく、有数の博物館がル・ブルジェ航空宇宙博物館であり、岐阜の空宙博であるということで、これまでの交流に加えて、人事交流もしたいということで、ル・ブルジェ航空宇宙博物館の運営について協議する委員会に岐阜から専門家を出してもらえないかということでした。それはもう大歓迎ですが、それなら逆に、岐阜県の空宙博にも、ル・ブルジェ航空宇宙博物館から人を出してもらい、博物館の運営について積極的に貢献してもらおうではないかということで、人事交流についてもそのような話し合いがあり、また一歩進んだという感じがしました。
 それから、アルザスについてですが、オ=ラン県の「ラン」というのはライン川のことで、「オ」というのは上流ということですが、ライン川の上流の県と私どもはずっと交流してきて、もう10年になります。今回、フランスの行政区画の変更に伴って、上流・下流合わせた、アルザスヨーロッパ自治体という行政区ができましたので、その行政区画との交流協定について、署名を再度やるということで、向こうの議会の議場でやってまいりました。対象のエリアが、これまでの倍以上になるわけでして、私どもとしては望むところでございまして、先方としても、既に10年続けてきた岐阜県との交流、岐阜県対先方の県、高山市対コルマール市、白川村対リクヴィル村、お酒とワインの交流、それからガストロノミーウォーキングの交流について大変評価しておられまして、先方もより広域的に対応したいということでありました。
 今、お酒の話が出ましたが、ちょうど私どもがフランスに到着した初日に、フランスで、確か1000種類前後の日本酒を集めた「Kura Master」という、毎年フランスのパリで行われる日本酒の品評会が行われておりました。そこで岐阜の八百津町の「玉柏(純米大吟醸)」が最高賞(の「プレジデント賞」)を取りまして、訪問先でいろんな人から連絡を受け、また祝福をされました。玉柏を何本か持って行ったので、少し配りましたが、ヨーロッパでも岐阜のお酒がナンバーワンであるということの評価を受けたということで、大変岐阜のお酒に対する関心も行く先々で寄せられており、これまたちょうどいいタイミングでいいニュースが得られたと思っております。
 それぞれ趣が違いますが、従来の飛騨牛や食材等の枠を超えて、文化やいろんな面で広い交流に広がるような良いきっかけになったのではないか、特にコロナでずっとご無沙汰しておりましたので、そこら辺の関係の再構築がしっかりできたのではないかと思っております。

記者
 英国国立博物館における美濃和紙を用いた花みこしの展示に関して2点お伺いします。
 まず1点目は、先程ご説明いただきましたが、今回の展示に至った経緯についてもう少し詳しく教えてください。
 2点目が、美濃和紙は海外でも絵画の修復等で評価が高いと思いますが、このロンドン・デザイン・フェスティバルで展示されることについて、どれくらいの価値があるのか、意味があるのかについて教えてください。

知事
 
私も専門家ではありませんので詳しくはないですが、経緯として、私どもはずっと、ロンドンでも百貨店での岐阜フェアをやったり、現地セレクトショップを通じた岐阜のPRをしたり、ロンドンのジャパンハウスなど、いろんな機会にやっております。美濃和紙は、おっしゃるようにイギリスで言えば大英博物館が大量に岐阜から購入をしております。元々東洋画の修復に使っていましたが、薄くて、強くて、均一だということで、最近では洋画の修復にも使っておられ、美濃和紙に対する関心と評価が非常に高いという背景の中で、今年のロンドン・デザイン・フェスティバルをやるうえで、先方から、美濃和紙を一つのテーマに出展できないかという話がありました。最初からこれと定まったわけではなく、美濃和紙についていろいろと検討したいということで、この博物館の東洋部門の部門長の方とキュレーターが本県に来られまして、岐阜提灯や和傘といったものに至るまで、様々見ていただいたわけであります。そういう中で、花みこしがぴんときたというか、面白いということで、それでいこうとなったと私は聞いています。そういう意味で、向こうの感性に合うものがあったということだと思います。
 それから、この「ヴィクトリア&アルバートミュージアム」、よくV&Aミュージアムと言っておりますが、まずここに出展すること自体が一つのステータスです。このところ3年やって私どもはやめましたが、ミラノサローネに陶磁器などを岐阜県は出展しておりました。ミラノサローネに出展するということが一つのステータスで、そういう意味で、世界のトップブランドが名を連ねるような場に美濃和紙も登場することができたということです。そういうところに出展するというステータスを得たということで、これをきっかけに、これ1回でおしまいではなく、次にどんな方々がどのように関心を持ってつないでいくか、我々もこれを一つのステップとして、どのように売り込んでいくのか、むしろこれからの話だと思います。少なくともその舞台に立てるということ自体が大きな進歩、進展でないかと思っております。当然、世界中のデザイナーが注目して見ていただけるということですから、その世界中のデザイナーが、この花みこしの美濃和紙についてどう感じられるかということで、そこから始まるのだと思います。

記者
 モロッコの地震の関係について、モロッコとのつながりで言いますと、岐阜県は自治体の中で一番強いと思いますが、知事ご自身もモロッコの政府関係者の方と、古くからいろいろとつながりがあるのではないかと思います。被災地のマラケシュ=サフィ州など、関係する方々へのこれまでの関わりの中での思いなどを教えてください。

知事
 モロッコは、自ら「日沈む国」と言いますが、日本は、昔から「日出ずる国」と言います。私が初めてモロッコに行ったときに、日本ではかつて聖徳太子という方が「日出ずる国から日沈む国へ」と言って、中国の当時の隋にレターを出したら、相手が「『日沈む国』とは何事か」と物凄い勢いで反発を受けたが、そこはどういうことなのでしょうかと話しましたら、我々はこのユーラシア大陸の東の端と西の端で、出ずる国と沈む国ということで、まさに両者が交流して親しくするのはピッタリだから、まさに日登る国から沈む国へ、沈む国から登る国へということで、何の支障もなく、むしろ、いかにピッタリしているという話を聞きまして、そういう思いで先方も非常に親しくしていただきました。
 それから、私自身がОDAの仕事をしていた時代、モロッコとはアフリカの中ではいわばリーダーで、先進国であり、モロッコが音頭をとって、アフリカの最貧国に対する様々な援助をするわけですが、当時、三角協力と言っていましたが、アフリカの最貧国を支援するモロッコを日本が支援するという三角協力で最終的にアフリカの最貧国対策をするというシステムを一つ作り上げました。これも日本のアフリカ貢献の一つのパターンとして評価され、しかもそれをモロッコスルーでやるというやり方についてモロッコ自身が日本との関係を大変評価してくれたという部分もあります。
 それから、モロッコは自国の文化に対する誇りを非常に持っておられますので、岐阜のモロッコガーデンに来て、以前のものはどうも気にいらないところがいくつかあるということで、いろいろ苦労はありましたが、新たにモロッコガーデンを再整備したわけであります。今、岐阜にあるモロッコガーデンは、モロッコ人による、モロッコ素材による、モロッコデザインによるモロッコガーデンですので、我々は側面から応援はしましたが、全く日本、岐阜の手が入っていない完全にモロッコ製のモロッコガーデンです。しかも、モロッコでナンバーワンの庭のデザイナーがやってくれまして、そのデザイナーによると、いまや岐阜のモロッコガーデンは、アルハンブラ宮殿の中庭と同格ですというようなことを彼女が言っていました。これはモロッコの国家事業であり、日本の岐阜というところに本物のモロッコガーデンを作るということで、大臣も来られ、進捗状況を逐一国王に報告するというようなことで、非常に岐阜県に対する親近感と、それからやはりモロッコの誇りというものを感じました。そういったことから随分お付き合いが続いてきている中、今回の被災ということで、大変心を痛めているところであります。大使とはほぼ毎日のように電話はしておりますので、状況を聞いて、出来る限りのお手伝いをしたいと思っております。

記者
 
特定外来生物のコクチバスが長良川水域で相次いで確認されている件についてお伺いします。鮎などへの食害が懸念される魚になりますが、明日、滋賀県から借りた電気ショッカーボートによる実証試験を行われると思います。現時点で知事がどのような危機感を抱いているかということと、今後の対策について考えていることがあれば教えてください。

知事
 とにかくこれは、ひとたび持ち込まれると大変な勢いで繁殖して、しかもどんどん流域的に拡がっていきます。岐阜県にとって、特に鮎漁にとって、大変な被害を受けることは間違いない話なので、とにかく何としても持ち込ませないということを中心にやってきているわけです。ひとたび見つかった以上は、何としてもこれを阻止しなければいけないということで、漁連も含めて県を挙げて全力でやれることはみんなやろうということで相談しております。なにせ流域が徐々に拡がってきているところもありますし、いろんなところで発見されているため、非常に危機感を持って、最大限のことをやろうという姿勢で臨んでおります。しかし、何か特効薬のような、何か1回である程度という話ではありません。粘り強く、とにかく見つかったら、見つかった流域で一つひとつ丁寧に抑え込んでいく、あるいは、絶えず全流域に目を光らせていくという強い危機感を持ってやっていくしかないと思っております。関係者のみなさんも私どもと同じ危機感で、全力でやっていただいておりますので、そういう意味では、最強最善の方法でいくら時間がかかっても進めていくということではないでしょうか。

記者
 V&Aミュージアムでの花みこしの展示についてお伺いします。県産品と言いますか、県のモノがV&Aミュージアムに展示されること自体が初めてということでよろしかったでしょうか。

知事
 
全く初めてです。そういう意味では、美濃和紙が置いてもらえるということで、私どもとしては、第一報を受けた時は驚きと感激でした。

記者
 
先日、各務原市におけるPFAS関係の調査で、一部の井戸で(暫定目標値の)9倍の検出がされたということがありましたが、県としての受け止めですとか、何か住民への健康調査をされる予定はないのか、この先の見通しを教えてください。

知事
 
まずは、どの辺りまで拡がっているか、そして暫定目標値をどの程度超過しているかについて実態把握が大事ですので、第1ラウンドは県も市も一緒になって44本の井戸について水質検査をし、そのうち13本で超過を確認しました。最初は、三井水源地で見つかったので、その周辺について半径500mを調査し、そこで13箇所の井戸で(超過が)見つかったということです。今度は(超過が見つかった)それぞれの井戸で半径500m(の範囲)を調査するということで、まずはこの拡がりと超過の幅の状況をきちんと見届ける仕事を大至急やろうというのが一つの流れでございます。
 それから、小中学校と高等学校に浄水器を入れてもらいましたが、実際入れましたら、間違いなく効果はあるということですので、不安をお持ちの方には、まずは当座の措置としては、浄水器というのは効果があるということです。
 それから、浄水場における対策については、これも今着手したところです。それがどの程度効果があるかということを見届けながら、浄水場そのものもシステムを変えていくことがその先のステップとなります。そこで、継続的な調査と合わせて、暫定的なとりあえずの浄水器、それから本格的な浄水場のシステムの見直しという辺りを各務原市と私どもと連携してやっていきたいと思っております。

記者
 住民への健康調査をされる予定はありますか。

知事
 
今のところそういう具体的な影響があるという情報は得ておりませんが、(水質)調査と並行してそういった実態があれば、きちんと把握していかないといけないと思っております。

記者
 チャットGPTについてお伺いしたいのですが、先日、全国知事会では専門のチームが作られ、県内の大垣市や飛騨市では、一定のルールを設けて、試験的な導入が進められています。今のところ県庁では、まだその辺りの検討をされている段階なのでしょうか。

知事
 今のところは、デジタル局を中心に勉強会をやっているという状況です。特に、行政面でどんなメリットがあるか、どんなやり方があるか、その辺りを丁寧に勉強してもらっていますので、ある程度方向性が出てくれば、そこを専門家レベルに上げて、きちっと対応していくことになると思います。

記者
 オーバーツーリズム、観光公害に関しまして、白川村がオーバーツーリズム対策としてチケット制を導入しており、国も、今年秋までに対策をまとめていくようです。県として、オーバーツーリズムの問題に対して、これからどのようなアプローチをしていくのか、知事のお考えをお聞かせください。

知事
 まず今の状態ですと、岐阜県の場合、まだまだ観光客が戻りきっているわけでありません。特にインバウンドは、岐阜県は非常に品質が高いわけですが、(外国人宿泊者数はコロナ前と比較し)まだ6割位の状態であります。一方で、どのようにコロナ以前に回復させるか、あるいはさらにその先に向けた戦略(を考えていく必要もあります)。観光公害といっても、場所により状況により様々ありますので、2019年の時が(インバウンドの)ピークでしたが、あの時点で少し綻び始めたところと、白川村のように、明らかに(影響が)出てきたところと、まだまだ十分受け入れられるキャパがあるところとありますので、地域ごとに目を光らせていくということかと思っております。県としては、まだ統一的な岐阜県全体をまとめて何かするということではありませんが、個々の状況に合わせて協力していくということかと思っています。

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