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知事記者会見録(令和5年8月24日)

記事ID:0316467 2023年8月28日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

※知事、中津川市長及び記者の発言内容については、事実誤認や単純ミスと思われる字句、重複した言葉づかい等を整理の上、発言の趣旨を損なわない程度に整理して作成しています。

令和5年8月24日(木曜日)15時00分

​司会
 まず発表項目の1つ目として、「中津川市のぎふ木遊館サテライト施設整備」について、本日は、施設整備を行う中津川市の青山節児市長にも出席いただいております。まず知事から発言いただいたのち、青山市長からの施設概要のご発言、そして、質疑応答、最後に写真撮影という形で進めさせていただきます。まずは、知事から中津川市のぎふ木遊館サテライト施設の事業決定について説明いただきます。

知事
 私の方から経緯をご説明申し上げて、施設については、青山市長からお願いします。今、ご紹介がありましたように、ぎふ木遊館は、岐阜の長良にありますが、大変好評で、令和2年7月にスタートしまして、丸3年経った今年7月に入館者数が10万人を達成いたしました。コロナ禍ですから、時間制限や人数制限をしたり、あるいは完全に閉鎖したりと、いろいろやり繰りしてきたわけですが、それでも施設に10万人を超える方が既にお出でになったということで、大変ご好評を頂いていると思っております。ただ、入館者の内容を見てみますと、岐阜圏域の方々が全体の8割位を占めておりまして、それ以外の地域の方から、子供たちが木で遊び、木に親しむ同じような場を、他の圏域でも是非作ってもらいたいという声がかなり前からございまして、私どもとしては、昨年、希望する市町村や団体に対して、候補地の募集を行ったところでございます。その結果、中津川市と高山市内の民間団体の2者から、具体的な応募がございまして、今年3月に、両方とも候補地として決定をさせていただきました。
 そのうち、中津川市さんが、施設について整備構想を固めて、今月上旬に提出いただきました。私どももいろいろと審議をさせていただきまして、本日、正式に事業決定ということで発表に至ったということでございます。
 内容については、後ほど(中津川市長から)ご説明がありますが、県としては、サテライト施設の整備にあたりまして、一定の整備費や遊具の導入費などについて支援させていただくと同時に、基本設計の作成などの協力を、中津川市と連携協定を結んでおります「森林文化アカデミー」の方で行ったということです。それから、具体的な木育体験プログラムや、指導者の養成といったことについては、岐阜市にある「ぎふ木遊館」、あるいは美濃市にある「モリノス(森林総合教育センター)」も協力させていただきます。木育の推進という観点から、中津川の新たな木遊館において、東濃圏域を中心に広く木育を体験していただけるように、大いに期待させていただいております。

中津川市長
 改めまして、中津川市長の青山でございます。本日は、知事記者会見の席にお招きいただきまして、誠にありがとうございます。
 今、知事からお話がありましたように、令和2年7月に、現在のぎふ木遊館がオープンされました。実は、私も10回以上足を運ばせていただいて、様々な場面、とりわけ小さな子供さんがお父さんお母さんと一緒に木に触れて楽しんでいただいている風景を何度となく拝見をいたしました。そうした中、中津川市の森林や木の製品等の展示も、ぎふ木遊館で実施していただきました。私自身、訪れるたびにこうした施設が中津川市にもほしいなという思いがだんだん強くなってまいりました。そうした中、昨年、ぎふ木遊館のサテライト施設という形で募集があり、間髪入れずにすぐに手を上げさせていただいたところでございます。手を上げましたら、どのような施設にするのかということになるわけですが、私どもは、森林文化、とりわけ、「切って使って、植えて育てる」というサイクルをしっかりと実現できている地域という思いで、今までも発信をしてまいったところです。この「切って使う」という部分については、この木遊館が木に対する親しみ、また木の良さを知っていただくことのできる施設であり、「植えて育てる」という部分については、その現場が非常に近いところにあります。そのため、これらを一体化した中で、サテライト施設として、多くの皆様に木が育つ、使われるという場面をしっかり見ていただける場、そうした作りをしてみたいと考えていたところでございます。
 そうした中、連携協定を結ばせていただいております、森林文化アカデミーの木造建築専攻の辻教授の指導のもと、アカデミーの学生さんからアイデアを頂きました。コンセプトは「motto(もっと)」になるわけですが、この「motto(もっと)」の意味合いとしては、もっと多くの人を中津川市に誘い、もっと木のことを知ってもらい、もっと森のことを好きになってもらう。このことが実行できることで、中津川市すべての人と森とをつなぐ「森の入口」になるという思いが籠っているという説明を受けました。そして、詳細となる設計のアイデアもいただいたところでございます。大変私も気に入りまして、知事にもお礼を申し上げたところでございます。そして、この内容ですが、中津川市の国有林の中にあります(木曽ヒノキ)備林の中には、合体木というものがあります。これはヒノキとサワラが成長して一緒になった、数百年の年数が経つ大径木ですが、それを1つのシンボルツリーとして、館内に設置をし、様々な子供さんが楽しんでいただける5つのゾーンに分けております。1つは、「シンボルツリー」を中心にしました「まなび」のエリア、そして、「あそび」のエリア、そして、生活の中に木とふれあうという楽しさを分かっていただく「いきもの」。これは山の中にいる小動物も大きな動物も全て含めた「いきものひろば」。また、森林から私どもが資源として活用させていただいております「ぶんか」。また、それによります「くらし」。このエリアを5つのエリアに分けまして、現在、計画が進んでいるところでございます。また、森林文化アカデミーさんとは、これからも私どもの森林資源を大いに活用していただき、勉強の場としていただくこととしており、モリノス(森林総合教育センター)を参考とした森林環境のプログラムを実施する計画としております。今年度中に工事にかかりまして、令和6年度中には完成の見込みとなっております。そうした中、大変期待も大きいですし、多くの皆様にも、今からPRをさせていただけるということで、今日準備が出来ましたので、どうかよろしくお願いを申し上げまして、説明とさせていただきます。本日はありがとうございます。

記者
 2点質問があります。まず1点目ですが、先ほど知事からは、本館では岐阜圏域が8割の方が来場され、家族連れやお子さんが多いという話があり、市長からはサテライト施設でもっと多くの方に森林文化を知ってもらいたいというお話がありました。今回、道の駅に作られるということで、観光客の方も一定数訪れると思うのですが、ターゲットはどのような人を考えられているのでしょうか。
 2点目ですが、岐阜市の本館の方では、企画展やイベントを数多く実施されていますが、このサテライト施設との連携については、どのようなお考えでいるのか教えてください。

中津川市長
 ターゲットについてですが、まずは、岐阜市にありますぎふ木遊館の中で地元の皆さんが、親子連れで大変楽しんでみえますので、このようなことを地元の皆さんにも経験をしていただきたいというのが1点目です。そして、今年の夏シーズンには、すぐ近くにあります、付知峡と言いますキャンプ場を中心としたエリアに、実に多くの方にキャンプへ来ていただいております。こちらには子供連れの方が多く、そして、必ずと言っていいほど、道の駅に立ち寄っていただいております。そうした中、木を使った施設の中で遊び、一定の時間を過ごすという楽しさを、地域外の方にも大いに味わっていだたきたいと思っています。従いまして、若い層の子供連れさんに加え、子供と訪れるのは、親さんだけでなく、おじいちゃんおばあちゃんという層もありますので、広く子供連れの方をターゲットとしています。

知事
 
後段については、「木の国・山の国」と岐阜のことを言っておりますが、地域によって、同じ木でもかなり趣が違いますし、中津川は中津川ならではの森林、木もありますので、せっかくサテライト施設ができたあかつきには、企画展の共同開催や、指導者養成といった研修や木育体験の相互乗り入れなどは十分あり得るのではないかと思います。私どもとしては、次は高山市に広げ、他の圏域にも広げていきたいと思っておりますので、ネットワークの中でオール岐阜の木育の体系を作り上げていくということが最後の目標になると思います。

記者
 「くらし」や「ぶんか」など施設をゾーン分けされているというコンセプトは分かり、「あそびば」と「いきものひろば」はイメージしやすいのですが、それ以外のところはどういった展開にしようとしているのか、もう少し具体的に分かるところがあれば教えてください。

中津川市長
 あと3つは「まなびば」「ぶんかひろば」「くらしひろば」になるわけですが、「まなび」については、私も山の民の知恵という言葉を使うのですが、山の中で作業をしたり、遊んだりする中で、生活に関わる危険予知能力といいますか、また、植物との年間を通じた成長の中で、人としての関わり、人以外との関わりを学ぶことがありました。また、山にいるときに、里とは違った、日暮れ時のスピードの速さや怖さも学びました。そういうことも1つの背景としてあるわけですが、やはり、木を使った遊具、木を使った小さなおもちゃ、そうした中から木の良さを学んでいただきたい。この辺りが一番の主題になってくると思います。そして、「いきもの」ですが、動植物がたくさんいる山の中に足を運んでいただくきっかけになるものを施設の中に導入することが、生き物を知っていただくというエリアになると思います。「ぶんか」ですが、先ほど申し上げました、「切って使う」という部分は、地元にも産業として根付いております。建築、木工はもちろん、現在は、様々な燃料的な使い方、そして、木を切った後には、植えて育てるといった、これはまさに持続可能な繰り返しになってくるわけですが、そうした文化が根付いております。木遣り(きやり)保存運動は全国の森林があるところにあるわけですが、私ども中津川市には「おんぽい節」があります。これは木遣りとは違った中で、山で仕事をする人を応援する歌になるわけですが、こうしたものが存在しているということが、全て意味を持って文化にも繋がっていくと思っております。そして、色んな意味が最後のテーマの「くらし」にも繋がっていきますので、こうしたところへも誘導できる意味でも文化の発信もしていきたいと思っております。

司会
 
それでは、写真撮影に移らせていただきます。

 (写真撮影)

司会
 以上で、本日の発表項目の1つ目について、終わらせていただきます。ありがとうございました。中津川市長には、ここでご退席いただきます。
 それでは、改めまして、他の発表項目に移らせていただきます。知事お願いします。

知事
 
まず、お手元に「フランス・ポーランド・ハンガリーにおける友好交流の深化と飛騨・美濃じまん海外戦略プロジェクトの推進」という資料がありますが、来週の28日(月曜日)から9月6日(水曜日)まで、9泊10日で3カ国を周ってまいります。ざっとしたスケジュールは資料に日程表がありますのでご覧いただきますと、最初、パリに入って、パリからポーランドに行き、ハンガリーに行き、それからアルザスを通って、またパリに戻って帰ってくるという1周りの計画でございます。コロナ禍を経て、このところ、オンラインその他いろいろと交流をしてきておりますが、今回の訪問は、ヨーロッパの国々と、新たに交流を深化発展させる、あるいは新しい絆を結んでいくということでの訪問であります。先般のアジアの時とは、少し趣が異なるわけですが、これらの交流を進めることを通じて、来年、国民文化祭がありますが、国民文化祭とは国民の中に閉ざされたものであってはならず、むしろ、海外に開かれたものとして、国民文化祭のテーマにつながっていくように国際交流を高めていきたいと思っている次第であります。
 ざっとスケジュールを申し上げますと、「ダローザ」はレストランの名前ですが、マクロン大統領も学生時代から割とご贔屓にしておられるレストランで、私どもは2014年ごろから9年、岐阜の飛騨牛をはじめとして産品を持ち込み、様々な岐阜の食のフェアを、レストランとしてやっていただいております。そこで、改めて28日から飛騨牛、メロン、桃といった岐阜の食材を使用した新しいメニューフェア、しかもこのレストランでは根尾産の1枚板のテーブルを新たに使うということで、元在日のフランス大使のご夫婦や、パリのセレクトショップで岐阜の産品を販売していただいている方々、日本大使ご夫妻など縁のある方々を招いて開催する、岐阜フェア初日のディナーが最初の予定でございます。翌日訪れる、ル・ブルジェ航空宇宙博物館とは、すでに協定を結んで様々な交流をやっていますが、先方は2019年に大幅にリニューアルしましたし、私どもは新しい館長が近く誕生いたします。パートナーシップ協定がちょうど今年10月に5年間の期限を迎えますので、第2ラウンドということで、さらに5年間の様々なパートナーシップ協定を結ぶということで、ル・ブルジェ航空宇宙博物館に行ってまいります。この博物館は、ヨーロッパで圧倒的に最大の航空宇宙博物館でして、日本とEUの様々な宇宙探査分野での協力、プロジェクトが進んできておりますので、今後、そういったものを共同で展示するなど、いろんな次の展開についても議論していきたいと思っております。
 この後は、ポーランドに参りますが、シロンスク県とは、ポーランドの南部のチェコ、スロバキアと接しているところでありまして、県の規模としては、首都ワルシャワのあるマゾフシェ県に次いで、ポーランドでは2番目に大きい県です。所得水準はポーランドで一番高いということで、工業、鉱業、農業など、内陸県でいろんなことが盛んです。今回、恵那市長と共に参りますが、東京オリンピックの際に、ポーランドのカヌーチームが(恵那市の)笠置峡で合宿をして、メダルを2つお取りになっておりまして、以来、ポーランド側から、岐阜県には非常にお世話になったということで、是非、ローカルとローカルの交流をということで、随分熱いエールを送られたところです。実は、この春にも招かれておりましたが、どうしても都合がつかなかったので失礼したのですが、先方は既に知事をはじめ、代表団を組んで、2か月ほど前に岐阜においでになって、岐阜の各地をご覧になられました。今回、その答礼訪問といいますか、改めて「経済・観光・スポーツ・文化」それぞれ4つの分野を中心にこれから友好交流を進めましょうということで、覚書の調印を行います。また、先方のご案内で、シロンスク県の文化等々見せていただき、シロンスク県がどういうところであるか、現地でどんなことが行われているかなど、私どもとしては学ばせていただく訪問で、その上で、新たな文化交流の道を模索していくという、新規のプロジェクトでございます。
 その後は、ハンガリーのブタペストに参ります。特に、ハンガリーとは既に1990年代中頃から30年近くコツコツと交流してきており、リスト音楽院を通じる音楽の交流では、既に留学生を百数十人出しております。それから、陶磁器大国でございますので、岐阜の美濃焼と、ハンガリーの陶磁器との交流ということで、一昨年は、陶磁器産地でありますヘレンドの展示会を多治見でやりましたし、今年は、オールハンガリーの陶磁器展を多治見で開催しました。今度は逆に、美濃焼について、日用的に使う美濃焼から、芸術作品としての人間国宝による美濃焼まで、幅の広さを見ていただこうということで、ヘレンド磁器博物館で美濃焼展を開催し、その開会セレモニー及び工場見学に参上するということでございます。
 もう1つ、ハンガリーとの関係でいうと、ハンガリーは温泉大国でありまして、各地に温泉保養施設があり、その施設の一つ一つが例えばオスマン帝国の時代の施設など、非常に何百年の歴史の中で培われてきた温泉文化、温泉観光を有しています。このあたりに下呂の方々も関心を持たれ、コロナの前にハンガリーに行って、先方の温泉団体と交流協定を結んで、いろいろと情報交換、意見交換をやっておられます。そういう、音楽と陶磁器と温泉ということで、今まで積み上げてきたわけですが、加えて、ここに書いてありませんが、9月2日の午前中ですが、ヴェスプレームというヘレンドのすぐ近くの町を訪問します。そこは今年、欧州文化首都になっておりまして、欧州文化首都とは、毎年、どこかの市、地域を指定して、そこが1年間、欧州文化の中心として、様々なイベントや情報発信をしていくということですが、ヴェスプレームがどういう形で、欧州の文化首都として発信していくのかを視察していこうと思っております。これも来年の国民文化祭に繋がると思っております。ヴェスプレームの方々は、かつて岐阜に随分おいでになっておりますし、既に交流はありますので、そういう意味で改めて絆を再確認するということかと思います。それから9月3日はリストの方々と懇談をしますし、それから、リスト音楽院としての一般のコンサートをやっていただくということでございますので、鑑賞させていただきます。それから、このことと関係があるのかわかりませんが、8月20日がハンガリーの建国記念日で、毎年、建国記念日と3月15日の革命記念日に、ハンガリー国としての叙勲の発表があります。今年8月20日の発表の中には私の名前があったということで、私としては突然の話で驚いておりますが、ハンガリーという国の勲章でございますので、これまで1990年代からずっとコツコツと続けてきた、岐阜とハンガリーとの交流ということをハンガリーが国として評価していただいたのではないかと。そういうことの1つの象徴的なこととして、今回の勲章に至ったと推測しているわけですが、大変光栄でもあります。今回の出張に先立って、そういう発表がありましたが、ヨーロッパの勲章というのは、功成り名を遂げるといって差し上げるような、日本の70歳過ぎてというものでなく、むしろもっと働け、もっと交流しましょうという意味を込めた勲章という性質もあります。そうしたことも含めて、これを機会に益々ハンガリーとの様々な交流をやっていきたいという気持ちでおります。具体的な授与式をどこでどのようにやるかは先方がお決めになるのでよく分かりませんが、いずれにしましても大変ありがたく思っているところでございます。
 それから、ハンガリーからフランスのアルザスの方に周りまして、アルザス欧州自治体(CeA)との協力協定調印式ということでございます。ライン川のことを、フランス語ではランと言いますが、そこに2つの県があり、上流ライン県のオ=ラン県と下流ライン県のバ=ラン県がございまして、岐阜県はオ=ラン県と2014年以来協定を結んでいます。岐阜県とオ=ラン県のほか、県庁所在地であるコルマールと高山市、オ=ラン県の丘陵地帯のブドウの産地である観光の1つのメッカでありますリクヴィルという小さな村と白川村。それから、アルザスワイン街道と飛騨地酒ツーリズム協議会。それから、岐阜の(一社)ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構とアルザスのディスティネーションツーリズム(とも交流を進めています)。私も現地へ行きましたし、向こうの知事も来ましたが、お互いに交流をして、野山を歩きながら随所に美味しいものやお酒が置いてあり、おしゃべりをし、飲食しながら、場合によっては足湯に浸かることもできます。岐阜の場合には、温泉を付けて、温泉ガストロノミーウォーキングと呼んでおり、日本でも徐々に盛んになりつつあり、岐阜県がいわばその先陣を切ってずっとやってきておりますが、ヨーロッパではアルザスにガストロノミーウォーキングのための団体があるわけです。このように、5階建ての交流をずっとやってきておりまして、そのうちに、オ=ラン県とバ=ラン県とが合併をしまして、アルザス欧州自治体(CeA)という名前のエリアになりました。そういう名前になり、これまでの協定の主体が変わるものですから、これまではオ=ラン県という上流域とやっていたのですが、今度は下流域も含めたアルザス全域、下流域の首都はストラスブールと言いますが、そのアルザス全体の広域的な地域と岐阜県が交流を結ぶという協定に調印します。先般、向こうの議会も通過したということで、調印するばかりになっています。そのうえで、これまでの交流について、さらに地域が広がりましたので、どう交流を広げていくかについて話し合うということです。最後はパリ経由で帰ります。このアルザスには白川村長にもご一緒していただきます。それから、ハンガリーの美濃焼展は多治見市、土岐市、瑞浪市の3市長もおいでになるということでございます。それから議会関係、陶磁器関係、商工会議所等の方々もそれぞれご参加いただきます。
 冒頭申し上げましたように、コロナ禍で少し途絶えておりましたので、改めて、交流の絆の確認、拡大発展、あるいは新規展開と言ったことをやってまいりたいと思っております。

 それから、次の資料がちょっと今までにない珍しい話ですが、アメリカの「Travel + Leisure(トラベル・アンド・レジャー)」という観光関係の雑誌についでです。米国三大旅行雑誌というものがありまして、「Condé Nast Traveler(コンデナストトラベラー)」と、「NATIONAL GEOGRAPHIC TRAVELLER(ナショナルジオグラフィックトラベラー)」、そして、「Travel + Leisure(トラベル・アンド・レジャー)」という三大雑誌があるのですが、この雑誌の中に、“Gifu the Great”というテーマで、8ページにわたって岐阜特集が組まれております。私どももここまで大きく取り上げられたとは、ちょっと驚いたのですが、岐阜の様々な魅力を出しております。コロナ禍にあって、常日頃申し上げておりますが、持続可能な観光地岐阜というキャンペーンをやってきた中で、雑誌社の方から、是非、持続可能な観光地である岐阜の取材をしたいと申し出がありました。1週間かけて、県内を周られまして、その上で、向こうのイニシアティブで、いよいよインバウンドの観光が軌道に乗りつつあるタイミングに満を持して、この記事を出していただいたということです。北米、カナダを中心に月間100万部近い売り上げを誇っている世界屈指の旅行雑誌であるということと、読者は旅行経験が豊富な高所得者ということで、私どもにとっては、インバウンドの本格回復と観光消費額拡大に向け、非常に大きな弾みとなるのではないかということで、大変(期待しています)。非常にアートっぽい写真と言いますか、芸術的な視点で岐阜の魅力を彼らなりに捉えて、出していただいているということでして、また見ていただければと思います。話がそれますが、聞くところによりますと、この雑誌に1ページ広告を載せるとなると、今の為替レートで換算すると、約3,000万円するそうです。だから、8ページですから2億4,000万円ということになるのですが、これは広告ではなく、正規の記事として書いていただいているものです。そういう意味で、この時期にこうやって取り上げていただけるのは、我々としてはいい弾みになり、ありがたいと思っています。

 それから、次がパートナーシップ宣誓制度についてでございます。かねてから、私どもは議論してまいりましたが、令和3年2月にワーキンググループを設けて、様々な調査・研究を重ね、今年7月に要綱案のパブリックコメントを出させていただきまして、各方面からコメントを頂きました。そうしたことを踏まえて、9月1日から岐阜県パートナーシップ宣誓制度を制度としてスタートするということでございます。
 この制度は、お互いを人生のパートナーとして、協力して継続的に生活を共にすることを宣誓した性的少数者、それから、婚姻届を提出しない事実婚の方に対し、県がそれを証明するものということであります。
 そして、証明するものとして、カードサイズで持ち運びが容易な「宣誓書受領証」を交付いたしまして、宣誓者はそれを見せることで、行政や民間において様々なサービスがパートナーとして利用できるようになります。また、この受領証の裏側に同一生計を営む未成年の子どもの氏名も掲載できるようになっておりまして、そのお子さんもパートナーシップ制度の対象になるということでございます。
 この受領証を使って、どんなサービスが利用できるかでございますが、私どもとしては、市町村や民間事業者と、このところ調整を進めてきておりまして、できる限り幅広く希望する方が適切に受けられるようにということで進めていきたいと思っておりまして、例えば、現時点では、公営住宅については、県と25市町村において、同居家族として入居が可能になります。それから、生活保護申請、要介護認定申請、保育所の入所申込などについてもパートナーとしてご利用いただけます。それから、医療機関についても、パートナーとの面会、緊急連絡先の指定、治療方針の説明といったときに、受領証を利用することについて、49の医療機関に承諾を得ているところでございます。それから、民間サービスについては、パートナーとの住宅ローンの利用や、生命保険金の受取り、賃貸住宅の入居申込みなどといったようなサービスをご利用いただけることになっております。今後も大事なのはどういうサービスを作っていくかですので、市町村、関係民間事業者とも調整を進めて、更なるサービスの拡充を図っていきたいと思っております。また、人権啓発イベントの開催や企業向けのLGBTセミナーや、人権に関する教職員向けの研修会など様々な機会を通じて、人権啓発の取組み、あるいは多様な性に関する理解を深めるといったことについて、しっかりと進めながら、制度を利用しやすい機運を作り出していきたいと思っております。
 お手元の資料の3ページ目以降に、具体的にどんなサービスが受けられるかが列挙してありますので、ご覧いただければと思います。9月1日からスタートということでございます。

 それから、最後に、「清流の国ぎふ女性の活躍推進フォーラム」の開催でございます。10月31日に、毎年秋に開催しており、今年で5回目となります。清流の国ぎふの女性がいかに活躍をしているか、また、女性のしなやかな強さを持った活躍を応援していこうというもので、今回は、ぎふ女(じょ)の力を日本へ、世界へと発信していくということをテーマとして、フォーラムを開催することとしております。
 毎年、「ぎふ女のすぐれもの」の認定をしておりますので、その認定と併せて、セミナー等々をやっていきたいと思っております。これが10月31日にあります。よろしくお願いします。私の方からは以上でございます。

記者
 欧州への訪問の件で教えてください。ポーランドとの交流は岐阜県にとっては初めてのことかと思います。もちろん当日に関係者の方とお話をしてからだと思いますが、知事としては、ポーランドのシロンスク県とはどういった形で今後展開していきたいかお聞かせください。

知事
 発端が東京オリンピックの事前合宿から始まっています。そこから、お互いを知り合うというところからスタートしたところですので、知り尽くしたうえで、あれをやる、これをやるというよりは、おそらくポーランド側にとりましては、第一印象が猛烈に良かったのではないでしょうか。岐阜県という非常に素晴らしいところがあると、こんなことも素晴らしかった、こんなおもてなしがあったということで、それが広がって、先方側でいろいろ考えて、シロンスクという場所を選んでいただいたということです。実はオンラインではすでに話はしています。(覚書を)調印しましょうという話もしています。まずはとにかく知り合うということで、スタートがスポーツですから、スポーツの交流ということもあるでしょうし、それからポーランドは私もこれで5回目くらいになりますが、観光の観点からも、いろいろ歴史的な様々な素晴らしいものがあります。それから何と言ってもショパンの国でありますし、ショパン・コンクールがありますし、テーマとしては盛りだくさんだと思います。それにお互い内陸県ですから、その森林文化もあるでしょうし、いきなりプロジェクトなどというよりかは、そのあたりを探っていくという訪問になると思います。ただ、人の交流は今の状況で自由にできるわけですから、こちらから先方に行き、向こうからもという行き来はできるので、そういうところから始めていくのかなと思っています。それから若い人にも欧州、あるいはあの地域の歴史を知ってもらうということは大事ではないかと思っています。

記者
 ハンガリーについて、ヘレンド社、欧州文化首都のヴェスプレームもそうですが、来年の国民文化祭に向けてというお話が先程もありましたが、具体的にどういったところを参考にしたいとか、どういったところを注視していきたいというところはありますか。

知事
 すでにいろんな交流をしていますが、ハンガリーの舞踏団とか、リスト音楽院の先生方なり演奏者といった方々に、一番手っ取り早いのは、国民文化祭の時に岐阜にお出でいただいて、そしてハンガリー音楽祭というか、ハンガリー民族音楽の夕べというプロジェクトも十分ありうるのではないかと思っています。

記者
 全国知事会の会議が本日16時から開かれ、新しい会長の選任が議案となっています。既に宮城県の村井知事が(次期知事会長)候補として決まっていますが、知事が推薦者のお一人になられたかということと、予定通り村井知事が会長となられた場合、求めたいことや期待したいことをお願いします。

知事
 私自身、村井さんについては推薦人に名を連ねています。彼も5期目ですし、いろんなところで知事会を通じて、それから、特に東日本大震災の時に、お見舞いに行ったり、いろんな行き来があり、よく存じ上げております。直近では、知事会の国民運動本部長ということで、国政選挙のあり方、あるいは国政選挙に地方あるいは知事会の様々な提言をどう反映していくのか、あるいは、知事会の枠の外にある、例えば経団連や日本医師会などといったオールジャパンの様々な組織の方々と知事会との橋渡しという役回りをやっておられまして、非常に熱心にやられています。ご本人もやる気まんまんですし、結構だということで推薦させていただきました。

記者
 あえてこういったところを期待したいや、求めたいことはありますか。

知事
 コロナも5類になったとはいえ、まだまだいろんな課題もありますし、コロナ禍で学んだこともたくさんあります。知事会として一つにまとまって、各地方の声をどのように束ねて、国全体としてバランスのとれた政策をやっていくか、また、とりわけ様々な危機管理上の自然災害が増えています。課題がたくさんありますので、そういった意味で力を発揮していただけるのではないかと思っています。

記者
 アメリカの旅行雑誌「Travel+Leisure」について、掲載内容のところで、白川郷や高山の街並みはメジャーで分かると思いますが、養老天命反転地など割とマイナーな観光地も含まれています。この掲載をきっかけに、今後どのような観光誘客の展開を考えているのか教えてください。

知事
 岐阜に住んでいる人の岐阜目線で仮にマイナーに見えても、彼らからみればメジャーなんですよね。養老天命反転地のあのデザインについて、非常に高く評価したということは一つの表れだと思いますが、逆に観光というのはいろんな人の目線で岐阜の魅力を捉えているということが大事なので、そういう意味では、この「Travel+ Leisure」というアメリカの大旅行雑誌から見て、岐阜県がどう見えるかというのは非常に参考になります。養老天命反転地は、ここ5,6年、7,8年はインバウンドのお客さんが非常に多いです。日本人があの場所を見つめる目とは全く違います。非常にインバウンドの多い観光地になっていますので、これも一つの表れかなというのが最初の印象です。そういう意味でいろんな人の目線で岐阜を語ってもらうというのは大変良いことだと思います。

記者
 豚熱に関する質問です。2018年9月に県内の養豚場において、国内26年振りとなる豚熱が確認されました。来月でそれから5年の月日が経つわけですが、現在も県内では野生いのししの豚熱陽性が確認されています。直近で、知事は全国知事会でも連携を呼びかけたり、農水省にアフリカ豚熱の国内侵入の水際対策を求めておられました。今月30日には、岐阜県北部の地域でワクチンの広域散布が始まります。今後の豚熱対策に関する県の方針と、知事の思いをお聞かせください。

知事
 まず豚熱の現状といいますか、全体の姿を申し上げますと、平成30年に最初に発生したわけですが、岐阜県では丸4年の間に防疫措置を行った20農場のうちの14農場が経営を再開しました。6割に相当する7万頭の豚を殺処分しましたが、今、ほぼ豚熱発生前の水準にまで戻ってきているということで、回復に今ほぼ近づきつつあるという状態です。かつ、令和元年にワクチン論争があり、いのししへの経口ワクチンの効果は如何ということもありましたし、そもそも豚にワクチンを打つべきかどうか議論がありました。令和元年10月に豚へのワクチン接種に国が踏み切ったわけですが、それ以降、岐阜県では全く豚熱は発生していません。ということで、こと岐阜県について言うと、豚へのワクチン接種というのは、かなり効果があるのではないかということです。それから、おそらく発生以来、格段に衛生管理のレベルが上がっているのではないかということです。そういうことから、何とか今のところ岐阜県ではまだ発生の無い状態でこの4年続いておりますが、一方で、感染した(野生)いのししの発見頭数はこのところ非常に増えてきておりますし、発見した(野生)いのししの12、3%は(豚熱に)感染しています。それから、全国では、豚熱に感染した(野生)いのししは、本州全域と愛媛県を除く四国全域で発見されています。それから、豚熱そのものは、例えば、昨年栃木県で56,000頭を69日間かけて殺処分した、大規模な豚熱発生もありまして、全国的に見ると、まだ起こりつつある状態、拡がりつつある状態ということで、岐阜県も何とか頑張って守ってきていますが、全く油断できない状態です。加えて、コロナも一段落した後で、水際対策についてはいろんな規制は緩めたわけです。人の出入りも自由になってきたわけですので、それに伴って我々が一番恐れている、ワクチンのないアフリカ豚熱が日本に入ってくると、現に、ごく少数でありますが入ってきた事例があります。それに(国内の)豚が罹ったことはないですが、このアフリカ豚熱に対する警戒はむしろ高めないといけないということで、国との議論の中でも水際対策をいかに徹底してやるかということについては、まだまだやるべきことはたくさんあるという議論もしています。
 それから、栃木県で56,000頭を一挙に殺処分されましたが、今は、豚の飼育農場のどこか一箇所でも豚舎で発生したら、その農場は全部殺処分しないといけなくなります。そういう全部殺処分ではなく部分的な殺処分でなんとかならないかという議論も今起こってきていまして、果たして線が引けるかどうかということなど、専門家の間では意見が分かれるところであります。そういう罹ったあとの処分のあり方についてもまだまだ議論が残っているところです。この問題は、たまたま今、岐阜県では少し小康状態に見えますが、日本国全体としては終わっていないので、そういう意味では注意深く丁寧に打てる手立てを打つということでやっていこうというのが今の状態であります。そのことを知事会でも、それから農水省に対しても強く申し上げているという状態です。そのスタンスは続けていかないといけないと思っています。

記者
 ヨーロッパ訪問の件で、7月のアジアへの訪問は岐阜ブランド売り込みですとか、インバウンドの回復を目的としたトップセールだったと思うのですが、今回の内容を見ますと、トップセールスという側面よりも、ポーランド、ハンガリーなどでは友好交流を目的とされているように感じます。改めて、今回はどのようなテーマをもってヨーロッパを訪問されるかお聞かせください。

知事
 基本的に、岐阜県の海外戦略はワールドワイドでまんべんなく、飛騨・美濃じまん海外戦略プロジェクトと称して、観光と食材とモノづくりを三位一体として、官と民、それからJETROなど様々な国の機関、大使館、領事館が一体となって、県、国の組織、民間との、二重の三位一体で総合的に展開してきたところです。それが、コロナで途絶えてしまい、私どもとしてはできる限り、コロナで人は動けなくてもモノは動くということで、モノは動かしてきたつもりです。今回、ようやく我々自身も動いて、この3年間のギャップを埋めていくということで、その埋め方は相手国、行先によって異なると思うのですが、前回のアジアでは、特に今、我々がインバウンドを積極的に進めようという観点から重点的に考えたところ、どうしても確認しておきたいところや、飛騨牛の推奨店としてしっかりと押さえておきたいところ、あるいは鮎のキャンペーンなど、そういうところへ前回は参りました。今度は途絶えていた様々な交流、文化であったり、スポーツであったり、観光であったり、様々な交流についての絆をもう一回再確認すると、そして今後にどう発展させていくかということをやっていくことと、ポーランドはある意味では、コロナ禍だったからこそ、恵那に来ていただいて、恵那でのおもてなしの素晴らしさを感じていただいて、そこから交流を始めましょうということになったので、そういう意味で、コロナゆえに始まった交流を大事にしていこうということがメインであるかもしれません。ただ例えば、冒頭のダローザはまさに飛騨牛や岐阜の食材の売り込みです。今、飛騨牛の推奨店は世界で66店舗ありますが、ヨーロッパにも少なからずあり、その言わば代表格がダローザで、しかも我々が行った日からメニューフェアをやっていただけますので、ここはきちんと押さえておこうということです。
 他は、ハンガリー、ポーランド、フランスへは岐阜の食材を持って行きます。それで現地で、大使との懇談等がありますので、できる限り岐阜の食材を使ってもらって、食べてもらおうということは可能な限りやろうと思っております。それから、例えば刃物に関心がある方や陶磁器に関心のある方、もちろん陶磁器は岐阜の魅力ですし、モノと食と観光と、その濃淡の違いはありますけどやれることはやっていこうと考えています。
 ヨーロッパとの交流となると文化であり、文化というと来年の国民文化祭にどう繋がっていくのか、あるいは欧州文化首都というのは何をやっているのかということが、我々にとっては参考になるのではないかと考えています。

記者
 教育委員会のことになりますが、小中学校の非常勤講師の働き方についてです。岐阜県内の公立小中学校で働く非常勤講師の授業の準備に使った時間の残業代が支払われないという労働法令違反が広がっている恐れから、教育委員会が改善に乗り出しています。この教育委員会の改善策の裏を返せば、昨年度までは非常勤講師のサービス残業や残業代の未払いがあったという蓋然性が高いと言えると思います。県の組織において法令違反の疑いがあったということについて知事の所感をお聞かせください。

知事
 既に会計年度任用職員、いわゆる非常勤講師については、教育委員会の内規というか運用で、授業3時間について1時間程度の準備の時間を設けるとはっきり書いてあるわけで、書いてあることが丁寧に、徹底されていなかった。しかも今の世の中、働き方改革ということで、教師の超過勤務が、今年と言わず既に数年来、話題になっているわけですから、そういう時に、しかも内規を用意していながら、そこにきちんとした手を打てていなかったのは大変残念なことだと思います。しかも今回の話は、昨年だったと聞いておりますが、外部の方からの指摘を受けて、それで教育委員会も(調査に)乗り出して、昨年の年末に改めて準備時間の位置づけを的確にやるようにということを、市町村の教育委員会に指導していると聞いておりますが、これもきっかけが外部からの指摘であったというのがそれも残念な所と思っております。これを一つ残念な教訓として徹底していってもらいたいということで、教育長ともそういう方向で今日、話をしたところです。

記者
 関連して、教育委員会は独立した行政機関ではありますが、知事は、教育委員会の委員の任免であるとか予算の編成など間接的に責任を負われているという立場だと思います。
 非常に細かい話になりますが、今お話しになった4分の1というルールについて、実際には、その教科担当の科目や担当する学年によってさまざまであると思います。それに対して、一律で4分の1というルールに当てはめるというのが、正しく勤務報告がされないということの温床になっているのではないかと考えられます。この際、非常勤講師の勤務実態を正確に把握して、まさに知事の権限で、必要に応じて予算編成を講じた上で、正しく給与を支払うということが、コンプライアンス上、非常に大事になると思いますが、教育委員会と連携して改めて、非常勤講師の勤務実態について調べられるという考えはありませんでしょうか。

知事
 実は、同様の趣旨のことを私も言っておりました。つまり、3時間講義があり、1時間準備がありますと言うけれど、本当に1時間なのか、2時間かかったらどうするのか、3時間かかったらどうするのか。また、3時間かかっても登録するときは1時間で登録しなければいけないのではないかという議論をしております。教育委員会としては、実際にかかった時間を勤務計画に盛り込んでいただければ、それに合わせて対処するとしているということです。ただ問題はそれをどう証明するか、確認するかということはありますが、考え方としては、3対1というのは一つのスタンダードであって、実態がさらにもっとかかっていればそれは支払わなければいけないという原則のところは、教育委員会も理解しているということで、そのことについての徹底と、どう運用していくのかということをしっかりやろうという話はしておりますので、その方向で動くと思います。

記者
 パートナーシップ宣誓制度の導入について伺いたいのですが、こちらの制度はこの前の議会の一般質問にもあったように、結構多くの方にとって望まれているような制度になると思います。今回、9月1日から導入するということになったことについて、改めて、知事の所感を伺いたいと思います。
 また、他県でも導入事例があると思いますが、県によっては子どもの扱いについては、対応が分かれているところがあると思いますが、今回は受領証に子どもの名前を記載することとなった狙いや利点について、もしあれば教えてください。

知事
 誰もがこの清流の国ぎふの一員であるということで、多様性を尊重しながら、それぞれに十全に生活していく、生きていけるという環境づくりをするのが基本であると思いますし、そういう中で、お互いを尊重し合える社会構築という観点からのパートナーシップ宣誓制度が大事なことではないかと思います。いろんな意見がございますし、それからいろんなアプローチの仕方もありますし、どこまで広げていくのかということもあります。そういう意味では一昨年の2月から時間をかけて県内外を広くどういう制度をどうやっているのか、既にやっているところを調べまして、かなり突っ込んだ議論をしてもらってきたわけですが、私どもはいわゆる多様な性に関する問題から来るものと、事実婚についても対象に入れております。それから、未成年のお子さんは、きちっと守ってあげるべき人は守ってあげなければいけないという立場で、未成年のお子さんについては対象に入れようと判断したわけです。ただし、これはスタートでありますので、これでやってみて、そういったことがどういうサービスが与えられるかとの見合いで、どういうサービスがどういう人たちを対象に与えられるかということのバランスもありますので、まずは出来るだけサービスを広げ、対象を事実婚と未成年のお子さんまで広げて、特に未成年のお子さんはしっかり守るというところまでは整理をしてきました。やりながらさらにまたいろんな意見があろうかと思いますので、そういう意見を聞きながら、制度についてはまだまだいろいろと考えるところもあるかもしれませんので、柔軟に考えていきたいと思いますが、まずは9月1日にこの内容でスタートしていきます。全国的に見てもかなり広く捉えた制度になっていると思いますので、そう私も理解しております。

記者
 パートナーシップ制度の関連で、県内だと関市と海津市でそれぞれ1年前と今年導入した自治体がありまして、聞いたところまだ一組も宣誓していないという実態、課題があります。専門家の方にその理由を聞いたところ、制度を利用したくても地域の目があって公にしづらい人もいる。制度が絵に描いた餅にならないように、県には理解を深める活動をお願いしたいという声がありました。こうした課題について知事の考えと、今後の周知の方針を教えてください。

知事
 制度を作っても、それが制度としての使い勝手の問題や、制度に対するさまざまな目線によりせっかくの制度が活用されないのは一番残念なので、私どもも時間を掛けて作ったわけですから、出来上がった制度について、徹底的に広く説明やキャンペーンをやっていくことは必要だと思います。県がそういうことで広く周知を図る、いろんな機会をとらえて制度について話をしていくこと自身が、いろんな目線を変えていくことにつながると思います。
 この別表のいろんなサービスは、一つ一つを企業と調整しています。それぞれの企業、サービスを出す方の企業も、一つ一つ考えて、わが社のサービスをこういうケースにどう提供するのかを一つ一つ考えた上で、一社一社議論して積み重ねてきてここに至っているわけです。私どもとしては、より多くの会社で、より多くの必要なサービスがという観点から、これで十二分だとは思っていませんが、これを積み上げていくプロセスも理解を得ていくプロセスであったように私は思っております。そういう意味では制度を導入したらそれでおしまいというわけではなく、しっかりとしたフォローがいると思っています。

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