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知事記者会見録(令和5年2月8日)

記事ID:0278239 2023年2月15日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

※知事、財政課長及び記者の発言内容については、事実誤認や単純ミスと思われる字句、重複した言葉づかい等を整理の上、発言の趣旨を損なわない程度に整理して作成しています。

令和5年2月8日(水曜日)15時

​​​司会
 ただいまから知事記者会見を始めさせていただきます。知事、お願いいたします。

知事
 来年度当初予算の予算編成作業が一段落しましたのでご報告させていただきます。
 例年通りでありますが、お手元の資料に沿って、私の方からは予算の全体の骨格を説明させていただきます。明日から順次テーマごとに詳しく聞いていただくということになっておりますのでよろしくお願いします。
 まず、資料1-1をご覧いただきますとグラフや表になっております。まず、当初予算ですが、1ページにありますように来年度の予算規模が8,897億円ということで、令和4年度の当初予算に比べて28億円のプラスで、0.3%のプラスということでございます。微増ということでございます。トレンドとして見てみますと、私どもとしては行財政改革、アクションプランというものを徹底的にやっておりました平成20年代前半、平成24年度がこのアクションプランの最終年度でありまして、その辺から予算規模が改革と共に少しずつ余裕がでてきて、伸びてきたということでございます。令和4年度の予算が8,869億円で、過去最高となる平成13年度の8,762億円を抜いたということで、昨年は過去最高値ということでしたが、今年は若干増えましたので、2年連続で過去最高を更新してきているということになります。これを歳入と歳出の内訳としてどのようなことになっているか見ていきますと、次の2ページが歳入であります。当初予算同士の比較ですが、特に特徴的なところを申しますと、県税、地方譲与税はいずれも令和4年度の雇用・所得環境の改善といったこと、それから全国の企業収益の動向など様々な調査の結果を踏まえて、いずれも増になると見通して設定しております。
 それから、新たに発行する県債、借金でありますが、令和4年度当初予算で848億円、9.6%になっておりますが、この県債依存度、歳入に占める県債の割合が10%を下回ったのが令和4年度で、平成5年度以来29年振りということでございます。令和5年度はこの依存度がさらに減りまして、7.2%ということでございます。そういう意味で新たな県債発行については、慎重に対応しているということです。内容は臨時財政対策債、これは国から強いられた借金と言いますか、本来、国が交付税を出すべきものを一時肩代わりするという借金であり、いずれまた交付税で返ってくるということになっているわけですが、これについて国としてもこういう臨時財政対策債そのものを全体として減らしていきたいということと、それから、国から見ましても全国的な企業収益の回復ということで、財源的なところを見ても臨時財政対策債を減らす方向に向かっているということで、本県でもこれを減らすことにしました。それ以外の、通常債と俗に言っておりますが、それ以外の県債については、マイナス138億円ということで大きく減っております。この減っている主たる原因は、県庁舎建設費、それから県庁舎の外構等関連施設の経費、これらに関する県債が減ったというのが一番大きな理由でございます。それから、国庫支出金が少し増えておりますのは、コロナ関係の交付金が増えるということを見込んで、こういう数字になっております。
 次に、歳出の方を見てみますと、3ページでありますが経費別に整理しました。人件費は80億円の減になっております。これの主たるものとしては職員給与と退職手当がありますが、このうち退職手当が大幅に減ってきております。これは令和5年度から国の国家公務員制度に倣って私どもも2年に1歳ずつ定年を延長していくということでして、65歳まで定年を伸ばしていくということでございます。令和5年度末に60歳を迎える方が、通常であればそこで退職金を受け取るわけですが、相当数の方がもう一年残られるであろうということを想定しますと、退職手当がぐっと減るということです。ただし、その翌年度はそれらの方々が61歳として定年退職されますので、その分急速に増えるということになります。いずれにせよ、この退職手当がマイナス91億円ということで大きな数字になっております。それから公債費については、また後でトレンドを見てもらいますが、過去の借金の返済費ということであります。このところ3年連続で伸びてきております。新規発行は慎重にやっておりますが、過去の積み上げ分がじわじわと増えてきており、その結果としてこういうことになっているということで、プラス57億円ということでございます。それから社会保障関係経費が増えておりますのは、一つはコロナ関連です。もう一つは、社会保障関係経費の自然増で、高齢化に伴って増えていくものでございます。それから、また後でご説明しますが、県独自の新たな少子化対策の予算ということで、この3つが相まって社会保障関係経費は大幅に増えております。それから、逆に普通建設事業費が大幅に減ってきておりますが、この主たるものは、県庁舎建設費、外構等関連経費といったものの減ということでございます。この他にも可茂特別支援学校の施設整備が終わりますので、これも減の要因になっているということで、普通建設事業費は大幅な減ということでございます。
 次に、これは予算書の仕分けですが、分野別に見てみますと、今の説明と若干重複するところがあると思いますが、総務費がマイナス179億円と大幅に減ってきております。この総務費の減は、退職手当の減に加えて、この分野別の表の中では県庁の建設費はこの総務費に入れておりますので、この新庁舎の建設に関わる部分と退職手当の減の2つが主たる原因で大幅に減ってきているということでございます。それから、民生費のプラス 32億円は、コロナ以外の社会保障関係経費の増ということでございます。それから次の衛生費が98億円と増えているのが、コロナ関連というのがメインでございます。あとはそこそこの増減ということでございます。公債費は前の表と全く同じ数字が並んでいます。
 それから、5ページ以降に県債についてのトレンドを用意しております。県債発行額ですが、二重線がトータルです。それから実線がいわゆる通常債、点線が国から強いられた借金(臨時財政対策債)ということです。この臨時財政対策債は、平成13年に始まっておりまして、やむを得ず始めたものが、結局は平成20年代前半にはかなりの額になってきたということでございます。これは全国的にも同じような現象ですが、今、国としては、国の地方に対する借金ということになりますので、これを徐々にですが減らす方向にあるということで、特に令和5年度については、かなり減少した形になってきております。それから、それ以外の通常債もこのところ数年間、上向きでありますが、これは国土強靱化の補正予算でありますとか、災害復旧とか、施設老朽化対策とか、それに県庁舎の建設関係といったようなことが加わって、平成30年頃からぐっと増えてきているわけですが、私どもの当初予算では、ここにありますように新規発行を慎重に計算させていただいて、557億円にしたということでございます。そして、その両方を合わせたものがトータルの動きということでございます。それから今のは発行ベースでありますが、今度は過去の借金の積もり積もったものはどうなっているかという残高が次の6ページになります。これでいきますと、まず通常債と言いますか、臨時財政対策債以外のものについては、平成15,6年頃から減ってきたものが、ここに来て、少し増加に転じているということでございます。これは先程申しましたような、様々な国土強靱化絡みの対策が主たる原因でありますが、それにこれまでの臨時財政対策債の蓄積分がありますので、ずっと右肩上がりできておりますが、今度の年度当初予算としてのベースでは、県債残高はトータルでは減になるということになっております。
 それから、次の7ページが過去の借金の返済費としての公債費ということであります。公債費の推移は、平成21年がピークでございまして、臨時財政対策債を除いたものでも、それから臨時財政対策債を加えたものでも、平成21年をピークにしてじわじわと減ってきているわけでありますが、ここへ来て増加へ転じたということで、先程見ていただいた、県債残高の推移に見合って公債費もここへ来て上向き始めたということでございます。実質公債費比率、支出に占める公債費の割合ということですが、18%以上になりますと起債許可団体ということで総務大臣の許可なしに1円たりとも借金が出来なくなるということでございまして、岐阜県は平成21年度から平成24年度までの4年間、起債許可団体水準でございました。毎回、県債を発行するごとに総務大臣の許可をとるといった時代を過ごしたわけであります。この頃は、全国で「ワースト3」に入っていた時期です。そこから、様々な改革を通じて急速に実質公債費比率が減ってきまして、令和2年度が5.9%、令和3年度が6.1%ということで、今度はいずれも全国で「ベスト3」ということでございます。それから推計値でありますが、令和4年度末で恐らく6.9%、令和5年度末で、この予算を前提に考えますと7.7%ということでございます。全国の平均もじわじわと下がってきている中で、私どもとしては少し伸び始めましたので、この辺は先々を見ながら新規の県債発行については慎重に考えていくということにならざるを得ないわけであります。以上が私どもの予算の大まかな流れでございます。いわば改革を経てかなり改善をしてきたわけですが、このところの様々な対策費の積み重ねの中で少し、持続的な財政運営という観点からは慎重に考えるべきところも出てきているという状況でございます。
 次に、令和5年度の当初予算案の概要でございますが、資料1-2でございます。一番最後の3ページをご覧いただきますと、これがいわば予算案の体系というべきものでございます。大きなテーマとして「社会経済の回復・再生・転換」ということをまず第一に考えております。もう一つは「人口減少社会からの脱却」ということで、このコロナ禍の中で人口減少、少子高齢化が一段と加速しているという認識の中で精一杯の対策をやっていこうということでございます。そういう意味で、足元の対策、それから中長期的な構造転換、そして人口減少社会からの脱却というところを切り口にして予算案を組み立てております。
 「社会経済の回復・再生・転換」の中の柱が4つありまして、1つが「コロナ禍・物価高騰等からの本格回復・再生」ということで、まさに文字通り足元の厳しい経済情勢からの回復・再生ということでございます。特にインバウンドのV字回復、国内観光の本格回復といったようなことを考えております。
 それから(2つ目の)「社会経済構造の転換」については、「成長分野・スタートアップへの支援」を強化していこうということでございます。あと「DXの推進」、「SDGs・脱炭素社会の実現」ということで、これはアフター・コロナの方向に向けてということでございます。
 それから(3つ目の)「幸せと豊かさの実現」ということで、来年の秋に国民文化祭がございますので、そこを一つの契機として「清流文化の創造」ということで様々な文化活動への支援を進めていこうということでございます。それから、孤立・孤独等や障がいその他「困難に直面している方々等への支援」、それから「人づくり」という辺りをここに掲げております。
 それから(4つ目の)「安心・安全・強靱な地域づくり」ということでございます。これは何といっても「感染症対策の徹底」ということで、5月8日から「5類」になるという方針になっておりますが、その方向に即しながら感染症対策をしっかりやっていくということでございます。それから「防災・減災、国土強靱化等の推進」ということも当然必要でありますし、その他生活の「安全・安心の確保」ということでございます。
 それから、「人口減少社会からの脱却」については、「自然増」に向けてどう取り組んでいくかということで、いわゆる少子化対策でございます。出会いから結婚、そして子育てまでライフステージに応じた支援をしていこうということでございます。それからもう一つが、「女性の活躍と子育てを社会で支える環境の整備」ということで予算を用意しております。
 それから、2番目が「社会増に向けた取組み」ということで、コロナ禍の中で新たな地方分散の動きも出てきたということで、人材を県内に呼び込んで定着してもらうための取組みということでいくつかのテーマを書いております。
 以上が予算の骨格でありまして、その辺について1ページから2ページに解説しているところでございます。特に2ページは、そういった課題の中でも持続可能な財政運営に十分意を用いていかなければならないということで、県債の発行が増加していっているということで、公債費も増えていくということを念頭に、また社会保障関係経費も高齢化とともにさらに増えていくということでございますので、メリハリのある予算と言いますか、政策課題への対応と事業見直しの徹底といったことを進めながら、持続可能な財政運営ということも目配りしていこうということが来年度当初予算の大まかな姿でございます。
 そして、資料1-2の参考資料1は、今申し上げました骨格ごとに、例えばどんな予算があるのかといったご紹介でありますが、一つひとつは、明日以降、さらに詳しく聞いていただけますので、どんなテーマが挙げられているかということでご覧いただければと思います。
 「コロナ禍・物価高騰等からの本格回復・再生」ということでは、「(1)再生に取り組む事業者等への支援」ということで、小規模事業者の事業転換とか、それから海外も含めた市場開拓でありますとか、それから大阪・関西万博を一つのきっかけとした販路拡大とかいったことを書いております。それから、「(2)インバウンドのV字回復、国内観光の本格回復」については、持続可能な観光というコンセプトが、今世界的に言われておりますが、岐阜県としては「岐阜未来遺産」という認定制度で、まもなく認定しますので、それを踏まえた様々な受け入れ環境の改善、支援をしていこうということです。あるいは、海外誘客プロモーション、それから戦国・武将観光といったようなことが念頭にございます。
 それから、その下の「社会経済構造の転換」としては、やはりドローンビジネスの推進でありますとか、スタートアップ創出のためのコンソーシアムの設置でありますとか、スタートアップの事業化を支援する補助制度とかいったことに力を入れていこうということでございます。「(2)DXの推進」については、「岐阜県DX推進コンソーシアム(仮称)」の設置を通じた様々な技術開発等の支援、それから製造業のDX人材の育成、あるいは農業におけるDXの導入等、いろいろと分野ごとに掲げております。それから「(3)SDGs・脱炭素社会の実現」については、SDGsについて多様な教育機会の提供でありますとか、脱炭素では太陽光発電の設備導入支援、あるいは本県ならではの森林によるCO2吸収のクレジット制度創設等を挙げております。
 それから、「幸せと豊かさの実現」では、「(1)清流文化の創造」ということで、来年秋に行われます文化祭、「総文」というのは、高校生の総合文化祭でありまして、これが夏に行われるわけでありますが、この文化祭に向けて県民運動を展開していくということでございます。それから国際的な文化交流ということで、ハンガリー、ポーランド等との交流を予定しております。それから「(2)困難に直面している方々等への支援」ということで、不登校等児童生徒、ヤングケアラー、農福連携といったようなことに注目した予算を掲出しております。それから「(3)『清流の国ぎふ』を支える人づくり」については、社会人向けのリスキリング、学びなおしのための機会の提供でありますとか、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館については新たに企画棟を設けて、特に子どもたちを念頭に置いた様々なコンテンツを整備していこうということでございます。また、ぎふ木遊館のサテライト施設を是非造ってほしいという声が大変強いものですから、県内の東濃と飛騨地域に一箇所ずつ木育の拠点としてサテライト施設を造っていこうということでございます。
 それから、「安全・安心・強靱な地域づくり」では、まずは何といっても「(1)感染症対策の徹底」ということでございます。感染症法が改正されまして、新たな協議会を作るというようなことが法律上書いてありますので、その設置とか、様々な衛生資材の備蓄といったことをやっていこうということでございます。それからその後の「・」は継続事業でありまして、「2類」から「5類」への移行の中でどのように制度が変わっていくかにもよりますが、私どもとしては必要なものは用意しておこうということで予算を立てているということでございます。それから「(2)防災・減災、県土強靱化等の推進」ということで、様々な治水、砂防、治山等の施設整備、あるいは東海環状自動車道西回りやインターチェンジへのアクセス道路の整備、それから名鉄名古屋本線の鉄道高架化事業といったような大きなプロジェクトもございます。それから「(3)安全・安心の確保」という観点から、救急、へき地医療、女性等の視点を踏まえた避難所運営、専用の更衣室でありますとか防犯センサーでありますとかいったことに意を用いようということでございます。
 大体そのようなところが第一の課題の「社会経済の回復・再生・転換に向けた主な取組み」ということでございます。
 それから、もう1つの課題の「人口減少社会からの脱却」ですが、自然増については、「出会い」から「子育て」までということで、既に様々な政策が国・県・市町村で行われていますが、そういう中でもさらに徹底してやるべきところについて、財政状況を考えながらいくつか新しい提案をしているところであります。
 「(1)結婚支援」につきましては、「ぎふマリッジサポートセンター」が既にありますが、このセンターの強化や、新婚世帯の引越費用の支援や様々な交流会などを進めていこうということです。
 「(2)妊娠・出産支援」では、新しい話として、「第2子以降の出生児への10万円の祝金の支給」は全国では初めての制度ではないかと思います。今、第2子以降の児童手当をどうするかなどの議論がなされていますが、私どもとしては、第2子以降の出生児への祝金という形で予算を用意させていただきました。それから、不妊治療費が保険適用になったところですが、3割は自己負担ですので、この自己負担について県の方で一定額をカバーしようということでございます。それから、「母子保健と児童福祉の一元的な相談機関の体制整備」ということで、こども家庭センターで市町村と一緒にやっていこうということでございます。
 それから、「(3)子育て支援」では、「高等学校への進学等を控えた中学3年生への3万円の準備金の支給」ということで、これは市町村でやっているところは一部あるようですが、都道府県としては全国では初めてでございます。今、子ども手当を広げていく上で、先ほど言いましたように、第2子以降をどうするか、所得制限、高校生以降をどうするかという辺りが論点になっています。それらについての岐阜県としての一定の答えと言いますか、やれるところをやっていくということで、今のところは中学3年生で児童手当も切れますので、進学に向けての3万円の準備金ということです。それから、「進学・就職を控えた生活保護受給世帯の高校3年生への5万円の支援金の支給」ということで、進学にせよ就職にせよ、生活保護受給世帯としていますが、高校3年生に5万円の支援金ということです。そのほか、私立学校に対する補助金のさらなる拡充や、私立高校等の授業料を支援する補助制度の対象世帯、これは一定の所得制限があるわけですが、その制限をより緩和しようということで、所得制限の緩和という拡充であります。それから、県がやっています、大学を出て、岐阜に戻って5年間就職していただければ、奨学金は返済免除というUターン奨学金を、これまでの月額3万円から倍増し、月額6万円ということで、県外に出かけた大学生に対する支援を行い、戻ってきてもらおうということでございます。
 それから、「(1)女性の活躍の推進」については、スタートアップの補助制度がありますが、女性起業家への補助率を通常の2/3から3/4に引き上げるということで、女性の起業家支援を考えております。
 それから、「(2)地域社会の意識醸成」ですが、ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業の認定をさらに拡大していき、応援していきます。それから、出産子育ての応援ギフトの支給を契機に「ぎふっこカード」に参加する店舗をさらに拡大していこうということです。
 「人材を県内に呼び込み定着してもらうための取組み」ですが、1つは「(1)魅力の発信」ということで、既に三大都市圏での移住交流拠点で様々にやっていますが、移住情報サイトも含めて、総合的な魅力情報を積極的に発信していこうということです。
 それから、「(2)働く場の創出」ですが、サテライトオフィス進出は、岐阜県は昨年、全国3位だと思いますが、サテライトオフィスの進出が非常に好調でございます。さらに定着してもらうため、地元企業との様々な連携を応援していく予算を新規に用意しております。それから本社機能の移転の促進に向けては補助制度を用意しておりますが、本社機能の意味をより柔軟に広げようということで、情報サービス事業部門を移転する場合も本社機能の移転に位置付け、補助対象にしようという拡充でございます。それから、半導体関連産業、データセンター等の誘致のための補助金を用意させていただいております。それから、岐阜は森林の面積が県土の81%でございますので、森林空間の価値を見直そうということで、先般、「ぎふ森のある暮らし推進協議会」ということで、森の価値に関わる様々な業界の方々、金融機関、行政に参加していただいて協議会を作りました。そこと連携したサービス産業の育成ということで、新しい生き方、働き方という観点からも、森林空間を活用していこうという試みの入口に立っているということでございます。
 3番目の「(3)県内就職の促進」でありますが、県内小中学校に新規に教員として採用された方で、育英会、学生支援機構から奨学金を貰われて、返還義務のある方に対して、県がその奨学金の返還を支援するということで、県内の小中学校への就職を応援していこうということです。「制度の創設」と書いてありますのは、令和5年度に教員になられる方は、令和4年度中に試験を受けておられ、(採用が)終っていますので、令和5年度の教員試験の受験者から適用していくため、予算化されるのは令和6年度予算からとなります。この奨学金の免除と、先ほど申し上げた、岐阜県に戻ってきて5年間働いてもらえれば全額返還免除という岐阜県が行うUターン奨学金と両方もらっている教員の方もおられますが、その場合には今回創設した制度による支援は受けられません。それから、アクティブGにUターン就職を支援する拠点を新たに開設するということで、情報提供、相談、説明会等をやっていこうということでございます。
 それから、「(4)移住定住の促進」については、東京圏からおいでになる方に対する移住支援金について、お子さんのおられる方の加算限度を上げるということで、今はお子さん1人当たり30万円を加算することになっていますが、令和5年度からお子さん1人当たり100万円を加算するということにしたいと思っております。それから、県外から移住する若者世帯等に対する移住支援金は、市町村と一緒にやっていますが、応援していこうということでございます。
 以上のようなことで、詳細はまた明日以降、順次聞いていただければと思いますが、「人口減少社会からの脱却に向けた主な取組み」ということでございます。この部分はざっとした計算では人口減少社会からの脱却については、予算的には約1割、10%増ということで、全体が0.3%増の中では大きなメインになっております。

 以上のような財政の状況、及びそれに裏打ちされた政策展開ということをベースに、令和5年度の県庁の組織も一部改正をさせていただこうということで、資料1-3でございます。
 まず組織改正の概要は、部として「観光国際部」、これは観光国際局から部に格上げし、部をつくるということでございます。県庁内で部の創設は実は9年ぶりでございまして、前回9年前は「清流の国推進部」と「危機管理部」をつくったわけでありますが、今回、それに加え、「観光国際部」ができます。これは先ほど見ていただきました、インバウンドのV字回復、国内観光の本格的な回復に向けて積極的に打って出ようという組織強化の趣旨でございます。
 あと、部内局については、国民文化祭という大きな事業がございますので、これを1つの事務局体制にして、その下に3つの課を置きます。国民文化祭は他県の例でもだいたい50万人位の文化の国体と言われておりますが、非常に大きな行事です。全市町村の参加もございますし、それなりの体制で取り組んでいく必要があるということで、1局3課体制で臨もうということでございます。
 それから、リニアがいよいよ工事も進んでまいりますので、リニアを活用した地域づくりということで、「岐阜県リニア中央新幹線活用戦略」も今年度中に完成します。それを踏まえて、今まではリニア推進室と言っていましたが、新たに「リニア推進課」に格上げをしようということでございます。一方で県庁の開設については、県庁舎開設準備課、県庁舎建設課がありましたが、これは初期の目的は達成したということで、この両課は廃止ということでございます。ただ、当然、旧庁舎の解体工事、跡地利用といった議論もあるわけで、これらは管財課の方で一般業務としてやっていき、特別な課は置かないということでございます。
 それから、室というレベルでいきますと、スタートアップを非常に強化したいと思っておりますので、「スタートアップ推進室」と、持続的な観光という世界の潮流に合わせたサステイナブル・ツーリズムと岐阜未来遺産を進めていく上で、室を設けたらよいのではないかということで、「サステイナブル・ツーリズム推進室」とで新たに2つ室を設けます。一方、「経済・雇用再生室」、「工業団地開発推進室」「地方大学・地域産業創生推進室」はそれぞれ一定の目的は終えたということで廃止します。「リニア推進室」については、むしろ課に格上げするということでございまして、増減はこのように考えているところです。
 それぞれについての解説が2ページから3ページにございますが、今申し上げた以外でいいますと、2ページの「(2)社会経済構造の転換」のところにあります、産業技術課を「産業イノベーション推進課」と改称して、その下に「スタートアップ推進室」を新設します。それから航空宇宙産業課に「航空宇宙・ドローン産業連携監」という、特に技術に明るい管理職を置いて、ドローンの開発推進等に取り組んでもらおうということでございます。それから「(3)幸せと豊かさの実現」の中で、都市公園課に「都市緑化推進係」を新設し、県営都市公園のさらなる魅力向上ということで取り組んでもらいます。「岐阜県都市公園活性化基本戦略」や全国都市緑化フェアもありますので、1つ係を置こうということでございます。
 3ページですが、「子ども相談センター」、これは児童福祉法が改正され、数年かけて、新たな配置基準の下で増員していくということで、令和5年度はさらに6人増員し、128人から134人に増員するということです。
 それから、教育委員会では、「義務教育課」と「高校教育課」を新設するということであります。「義務教育課」は小中学校、「高校教育課」は高等学校ということで、それぞれの学校の種類ごとに教育指導や人事について一体化させるということです。今までは「学校支援課」と「教職員課」に分かれ、学校支援課が、小学校から高等学校までの教育指導をし、教職員課が人事等をやっていました。むしろ、学校種ごとに一体化した方がよりスピーディーに効果的に仕事ができるということで、再編成するということでございます。
 それから、次の新次元の地方分散への対応のところです。今、都市公園整備局と言っており、都市公園だけを整備するように聞こえてしまいますが、リニア関連もやってもらっています。そこで、「都市公園・交通局」として、リニア中央新幹線活用戦略の推進に向けて、この局の下に「リニア推進課」を置きます。都市公園整備局長という名刺を持って、JR東海に行くと、「なぜあなたが来るのですか」と言われたことがあるようでして、「・交通局」としたわけです。
 それから、サテライトオフィスについては、やがて全線開通する東海環状自動車道や、リニア開業も見据えながら、サテライトオフィスの誘致をさらに積極的に行い、そして、県内定着を図ろうということで、「サテライトオフィス推進監」を新設することにしました。
 そういう意味で大幅な組織替えではありませんが、やはり「観光国際部」をつくるというのが、一つ大きな今回の方向付けであります。
 あと、お手元に参考資料ということで組織図がございますが、黒塗りに白抜きしたところが「新設」、網掛けのところが「改称」、線が引いてあるところが「廃止」ということですので、ご参考に見ていただければと思います。ざっと予算、組織見直しについてご報告させていただきました。
 私の方からの説明は以上でございます。

記者
 新年度予算がどのような予算かという性格や位置付けですが、知事からは、メリハリのある予算、持続可能な財政運営に目配りしたという言葉がありました。それと重なる部分もありますが、過去最大となる「積極型」とも言えるし、新たな県債を抑えており「堅実型」とも言えます。「積極型」・「堅実型」といった場合、どちらに当てはまるのか、または別の言葉があれば、どういった言葉で表現するのかを教えてください。
 もう1点、個別の事業ですが、少子化対策のところで、全国の都道府県で初めてという事業が2つありました。1つが(第二子以降の出生児への)10万円のお祝い金、中学3年生への3万円の準備金の支給ですが、国がやるべきもの、県がやるべきもの、市町村がやるべきものと、予算の事業主体がいろいろある中で、あえてこの2つの事業について、岐阜県が県の予算でやろうと思った経緯、狙い、理由を教えてください。県がやるべきかという議論もあったかと思うのですが、その辺りについてお聞かせください。また、新年度だけでなく、1回始めたら、止められないような予算だと思うのですが、いつ頃まで行うのか、ずっと継続していくのか、その辺りの考えもあれば教えてください。

知事
 最初の「堅実型」、「積極型」は、まさにメリハリという言葉を使いましたように、一方的に積極的というわけにもいきませんし、一方的に堅実一筋というわけにもいきません。強いて言えば「課題解決型」と言いますか、必要な課題にはしっかり取り組むと同時に、持続的な財政運営を行っていきます。私どもは平成10年代後半から、非常に財政に苦しみました。公債費依存度が大変高くなり、過去の借金返済である、公債発行依存度も高く、かつ、公債費も非常に高い時期で、政策的に自由に使える予算が本当に限られていました。これでは思う事業を積極的にやろうとしても、財政の制約で出来ないという、臥薪嘗胆とも言える時期を何年も送って、今日に至ったということです。私どもは同じ事を繰り返してはいけませんので、慎重になるところは慎重に、ブレーキをかけるところはかけなければいけないということで、そういう部分を持続可能ということで申し上げております。
 それから、少子化対策は、既に随分前から言われ、県もいろんなことをやっていますが、何か特定のある政策を1つやると、ぱっと世の中が変わることではありません。非常に時間をかけて、かつ、いろんな分野で、ライフステージもあり、そこに住んで暮らして、子どもを育てることのすばらしさを、その地域が受け皿として、どう発信していけるか、また、地域の魅力も含めて、あらゆるいろんなことをやる中で少子化対策につながっていくという幅の広い分野で、即効薬はありませんが、そういう中で積み重ねているところです。特に岐阜県の場合には、「進学、就職、結婚」という3つの人生のターニングポイントで県外流出が起こっております。特に女性の流出がこのところ気になるところでありまして、我々なりにできることを精一杯やろうと、いろいろと政策を練ってきた中です。他県云々ではなく、必要なことはスピーディーにやっていこうということで、用意をさせていただいたということです。
 当然、今申し上げたように、1回限りではございませんので、時間をかけてじっくりやっていく必要がありますし、こういう制度があることも浸透していかなければならないと思っています。そういう意味でも、これはじっくり取り組む政策として、提案させていただいたということでございます。

記者
 コロナ禍で「社会経済の回復・再生・転換」は最重要の課題ということでしたが、あえて地道な取り組みが必要とされる少子化対策を、二つの柱のもう一本に据えて取り組んでいかれようとする思いというか決意を教えてください。

知事
 少子化対策についてはすでに平成20年度に人口減少時代への挑戦というタイトルで県の長期構想を出していただいて、全国的には早い時期から警鐘を鳴らして取り組んで来ているわけです。なかなか目に見えて、成果というのは難しいテーマでもありますし、それがコロナ禍でさらに加速して状況が悪化しているということで非常に私自身は危機感を持っております。地味な仕事というか、地道な仕事ということではなく、喫緊の課題であるということで、自治体として取り組めることは目一杯やろうという思いでいろんな角度から検討させていただいて、こういう対応をさせていただいたということです。例えば、3万円とか5万円とか、10万円とかありますが、3万円がなぜ5万円でないのかとか、5万円はなぜ10万円ではないのかとか、10万円出すくらいなら100万円を出した方がよいということがあるかもしれませんが、その辺は、歳出の質問にありましたように、持続的に一つの安定した制度として続けていくうえで、まずは予算の状況も含めて検討しているわけです。
 既にやっている奨学金の制度については倍増したり、目一杯今の時点でやれることをやっていこうという判断をして提案させていただいているので、決して地味な仕事というより、トレンドというか空気を変える努力を相当しないと、進学、就職、結婚というのを機にどんどん流出してしまって、そのことがさらに少子化を加速させていくという悪循環に陥っていくわけですから、そのことがさらに地域の魅力を失わせるということになってしまいますので、これは本当に喫緊の重要課題だと思っております。

記者
 少子化対策について、現金を給付する政策が三つ並びましたが、改めて現金を給付する政策の狙いや効果を教えてください。

知事
 現金もサービスも情報もあらゆることを提供するつもりでやっております。例えば、ぎふマリッジサポートセンターであったり、母子保健とか児童福祉の一元的な相談機関をつくったりとか、不妊・不育症の相談センターでありますとか、放課後児童クラブの支援員を指導・助言するアドバイザーの派遣だとか、あるいは女性のキャリア形成に向けたアドバイザーの派遣だとか様々な研修会とかがあります。これらは、現金だけではなく、予算ですから予算を中心に整理させていただいたのであって、これとは別に人口減少対策について何をやっているのかということになれば、もっとトータルなパッケージとして我々は取り組んでいるわけで、予算としてできることをどんどんやっていこうということで、こういう整理をさせていただいたということで理解していただければと思います。

記者
 第2子以降の出生児への10万円の祝金、中学3年生へは3万円の支給としている中、高校3年生には生活保護世帯としていますが、その区分をした理由を教えてください。

知事
 大学に行かれるというか、今成人が18歳になりましたので、18歳までの様々な子育て支援とそれ以降とでは、若干趣は変わってこざるを得ないと思います。そういう中で例えば大学に行かれる人に対しては、いろんな奨学金といった制度があるわけで、それに対して高校3年生の方が次のステップに行く際に、一定の準備金となるような性質のお金を差し上げるとすると、生活保護世帯がまずは対象になるのではないかということです。それをやりながら、仮に予算的に余裕があり、そしてまた非常に効果的だからもっと広げた方がよいということが将来あれば、そういったことに耳を傾けながら検討したいと思いますが、現時点では高校までの支援とその後の支援とでは少し違いがあるということです。

記者
 県債残高について、今回減少していますが、何年ぶりに減少に転じたのでしょうか。

知事
 多分、ずっと右肩上がりで来ているのではないかと思います。

財政課長
 当初予算のベースでいきますと、今年度も一旦下がっていますが、この資料は3月補正後の残高でありますので上がっています。当初予算ですと、2年続けて下がっていることになります。

記者
 この資料より前の年度も含めて、初めて下がったわけではないということですか。

財政課長
 この資料以前については、また確認して連絡させていただきます。

知事
 去年この場でご説明した時に、「おそらく統計上は初めて下がったでしょう。」という説明をしています。去年は国の大型の補正予算があって、様々な強靱化対策、コロナ対策でどっと予算がきましたので、その分が上積みされてこうなったということです。過去の県債残高の蓄積を眺めて今年度どの程度にするかということを考えているわけです。そこから先の補正予算がどうなるかということは全く予測不可能ですから、補正予算の場合には、当然岐阜県のどこそこでこんな風水害があったとか至急なんとかしなくてはいけないとかいった緊急事態もあるわけなので、一概に予算で県債を積んでよいという議論ではなく、必要なものは補正予算でやっていこうということなので、過去の例からいうとそこで上積みされることが多かったのではないかと思います。

記者
 少子化対策の基本的な考え方のところで、いろんなシンクタンクの分析だと、県内に魅力的な職場がないとか、女性の望むライフスタイルがないといった意見もあるのですが、知事は県内からなぜ女性がいなくなったと検証されていますか。

知事
 これは、それぞれの人の価値観とか人生設計があるわけなので、一概には言えないと思います。有り体に言えば、岐阜県の女性に岐阜県内にある大学であれ、岐阜県内で結婚して生活をするということを選んでいただけていないということはあるわけなので、女性に対する活躍支援でありますとか、出産以降の様々な対策を丁寧にやることによって、岐阜県が女性の定着について、県を挙げて努力しているのだということで岐阜の魅力を足元から知っていただこうということで、懸命にやっているのだということ知っていただいたうえでまたご判断いただくということかと思います。端的にどこがどうだからということで判断するのはなかなか難しいと思います。男性と女性でどこが違うのかということで、最近になって男性より女性の流出が多いということが顕著になっていますので、そこはもう少しいろんな形で分析、勉強したいと思います。

記者
 実質公債費比率について、これから上昇傾向にあるということであり、これがピークを迎えるのはいつぐらいで、どの程度であって、これからどうしていくか長期的なスタンスをお伺いできますか。

知事
 これは、新たに県債発行をどの程度出すかということによるわけです。例えば、令和5年度の予定している発行ベースがずっと横ばいで続くと想定するとだいたい10%前後をピークになだらかな形になってくると見ております。いろんな交通ネットワークであったり災害対策なりがある中で、その辺りでとどめていければ何とか必要な仕事もやり、かといってかつてのような18%を超えるようなところにはいかないというイメージが計算上はあります。

記者
 社会増に向けた取組みの、「(3)県内就職の促進」というところで、主にUターンに関する支援を挙げられています。近年IターンとかJターンとかも増えており、もともと県内で育っていない人とかを呼び込むもことも重要だと思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。

知事
 これはまさに、岐阜県出身の人だけを念頭に置いているのは、直接的に奨学金の返済免除とか、予算に関わるところの、「(3)県内就職の促進」のところで書かせていただいていますが、「(1)魅力の発信」というのは、岐阜県出身者に限りませんし、「(2)働く場の創出」も、サテライトオフィスが随分岐阜県に増えてきておりますので、これを通じて県外からきていただくことも期待しているわけですし、半導体関連産業ができれば当然これに人もついてきます。「(4)移住定住の促進」は東京圏からの移住促進についての支援金ということで、岐阜県ゆかりの人には限りません。トータルとしてみれば岐阜県出身者だけに焦点をあてているわけではありません、一部奨学金の免除として予算措置を取りうるアイテムとして書いただけで、全体としてはもう少し広く考えています。

記者
 サテライトオフィスの進出企業が全国3位ということで、岐阜県のどういった魅力が好成績につながっているとお考えですか。

知事
 一つ大きいのは、岐阜県は交通ネットワークが急速に整備されつつあるということです。東海環状自動車道はありますし、東海北陸自動車道も完全に開通していますし、この後もリニアから、濃飛横断自動車道から、そういう意味でそういうネットワークの中でどこにオフィスを置くかという意味で立地点としての優位さがあります。サテライトのみならず製造業の立地もここのところ、件数も面積も全国3位です。それから岐阜県の自然とか環境です。特に、都会から地方へ目が移った時の生活の魅力ということに関心を持たれるということがあります。それをさらに加速させたいということで森のある暮らしの推進などと言ってやっているわけです。それから、コロナという都会型のパンデミックが押し出しているという面もあります。そうはいっても、東京からの流出が少し収まり始めているというデータも出始めていますので、やっぱり東京は便利だということも出始めていますので我々も頑張らなければならないと思っています。

記者
 メリハリのある予算ということで、どういった観点でこういった事業を抑えたり見直しをされて予算を編成されたのでしょうか。

知事
 まず、予算の中には一定の期間やるということで打ち出したものがあるわけで、それが終期に達しているものがあるので、そういったものを延長するかしないかということについては、慎重に、厳しく見直すということもあります。新しい政策をやるということは全体として微増ですから、微増の中で新しい政策をやるためには、止めるものもしっかり見届けなくてはならないということで、終期に来ていなくても止めるべきものは止める、あるいは縮小すべきものは縮小するということで、そういった努力を全庁的に議論しながらやってきているという側面があります。それから、できる限り入りの方で国のお金をたくさんいただけるように良い政策をどんどん出していくということもあります。それから、県有資産の売却だとかネーミングライツだとか収入につながる部分も積極的にやっていくというようなことで、トータルとしてなんとか微増の予算を確保してその中で積極的にやりたいものが残るように工夫をしてきたということをご理解いただきたいと思います。

記者
 こういった事業は見直すべきであるといったものがあれば教えてください。

知事
 あまりシンボリックなものは直ちに思い浮かびませんが、額でいいますと今回一番大きいのは、県庁舎が建ったということです。なんだかんだで県庁舎が一段落したということだけで約180億円減りますから、それが一つの財源になります。それが一番目立つところではありますが、個々の施策も全部丁寧に見直しの議論をやってもらっています。後で部局ごとの説明の時に、これを削ってあれを削ってという話はあると思います。

記者
 少子高齢化問題などは、一時的なものではないと思いますが、長期的な戦略をどのように考えていらっしゃいますか。

知事
 「人口減少時代への挑戦」というタイトルの長期構想の議論が平成19年から20年あたりでありました。その後、安倍内閣になって地方創生、地方創生のメインは人口減少、消滅可能性都市という議論でした。私も知事会のまとめ役をやらせていただいたので、随分国とやりとりさせていただきました。その成果として岐阜大学に航空宇宙開発の生産技術開発センターができて、既に5年目になります。つまり地方大学を振興して地方大学に人が来るようにという安倍内閣の一丁目一番地の一番目に認められたプロジェクトがそれです。その後もまち・ひと・しごと創生法に基づく総合戦略でも人口減少、裏を返せば人づくり、あるいは人材の育成というのを、いの一番にやってきたわけなので、今回総合戦略の見直しをやっています。今、パブリックコメントが終わったところで、間もなく最終版を発表させていただきますが、そこでのメインテーマが、まさに少子高齢化社会に対する挑戦ということでありますので、そういった意味では一貫した体系のなかでいろんな政策がでてきております。今日ご紹介したのは主として予算に関わるところでありますが、総合戦略の中で戦略全体がどういう体系になっているかということは、またご報告できると思います。政策と予算ということを絶えず見ながらやってきているということです。

記者
 歳入増の見通しは、経済的にどういったものを前提に試算しているのでしょうか。

知事
 これは、ほぼ想定するときには、例年同じ手法で積み上げをやっています。推計でありますので、激変があれば年度途中に見直しをしなければならないこともあるわけですが、今回、企業収益の動向でありますとか様々な経済指標を眺めて積み上げています。国の令和5年度の予算もそうでありますが、税収は比較的順調であるというトーンでありますのでそういう前提です。つまり、最悪の事態からは回復してきていることは間違いないので、その辺の立ち直りが加味されていると理解いただければと思います。

記者
 エネルギー価格の急変などもあると思いますが、その辺はどうでしょうか。

知事
 急変したら急変したで見直すということかと思います。一定の前提を置いて推計するしかないですから、毎年方法を変えてしまうとわけがわからなくなりますので、一定の手法を維持したうえで、過去に積み上げてきたものがあり、極端なことが起こらない限りある程度は修正で今までもやってきておりますので、そこはもちろん柔軟に実態を見ていくつもりです。

記者
 組織改正の見直しのことについて、今、健康福祉部には、ワクチンの接種対策室であったりとか、コロナ対策の方に普段よりは人員を多めに配置されていると思いますが、制度改正を受けて、5月以降に組織を見直される予定はあるでしょうか。

知事
 ざっくり申し上げますと、コロナで事態がどんどん深刻化していった中で当然、健康福祉部だけでは足りませんから、全庁的に集まってもらったり、果ては市町村からも人を出してもらってやりくりしてきましたが、基本的にはチーム制にして、応援部隊は何々チームということでそのテーマについて応援してもらうということでやってきておりました。それが恒常化するならそれをまた課にするとか室にするとかいうこともあると思いますが、今の流れは「2類」から「5類」に緩めていく方向ですから、どういう「5類」の姿になるのかということを見極めたうえで考えるところも当然あるわけです。基本的にはチーム制で応援部隊をお願いしていたのが、チームがなくなって、既存の課のどこかの関連するところで引き続きやるべきことをやってもらうということで、健康福祉部の組織は今回いじっていません。ただ「2類」から「5類」になって相当大きな仕事の割り振りの変化が起こるようなことであれば、その時点で見直さなければならないかもしれません。ただチームが解散するということで、もともとある健康福祉部の体制そのものを維持すれば何とかなるのではないかという前提で実際いじっていません。
 5月8日以降どこまで激変が起こるかということかと思います。他方で急に事態が変わったとしても、まずはチームを戻してくるということで、そこの出し入れでやっていくということです。ピークの時は県庁だけで300人助っ人を頼んで頑張ってもらいました。そういうやり方をしておりましたのでご理解いただきたいと思います。

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