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知事記者会見録(令和4年12月23日)

記事ID:0266450 2022年12月27日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

※知事及び記者の発言内容については、事実誤認や単純ミスと思われる字句、重複した言葉づかい等を整理の上、発言の趣旨を損なわない程度に整理して作成しています。

令和4年12月23日(金曜日)15時00分

​司会
 それでは、ただ今から記者会見を始めさせていただきます。知事、お願いいたします。

​知事
 今日は1年間の最後の記者会見ということで、1年間の回顧ということを考えておりましたが、その前にコロナについて、先程対策本部と協議会の合同会議がありまして、岐阜県としては「対策強化宣言」を出させていただきましたので、まずコロナの状況からお話させていただきたいと思います。
 私の記者会見もこれで500回を超えるそうですが、たぶん年内最後のこの場での会見ということで、次回からは場所を変えてということでございます。緊急事態が起これば、いつ何時でも緊急会見をやらせていただきます。
 そういうことでありましてお手元にグラフをお配りしておりますが、1週間平均の推移でございます。
 ご覧いただくと分かりますように「レベル3」の段階に確実に入ってきたということでございます。本日の新規陽性者数は3,349人ということでございます。
 それから、本日の特色は、「BA.5」の株以外の様々な株の陽性者がおられまして、「BA.2.3.20」「BQ.1.1」「BS.1.1」「BQ1」と4つの異なる株の陽性者も出てきたということでございます。
 また、重傷者が1人増えたということでございます。
 お亡くなりになられた方が6人ということで、このところ死亡者が5人を超えることが、ほぼ毎日続いており、2桁の日もあるという状況でございます。
 それから、資料を1枚めくっていただきますと、病床使用率ですが50%を若干超えているということで、これも「レベル3」に入ってきているということでございます。
 それから、今申し上げましたとおり重症者数が6人ということで、これは「レベル3」の10人にはまだ届きませんが、着実に増える流れにあるということでございます。
 それから、「第7波」と言いますか、今の波を「第7波」と言うか「第8波」と言うかはまだ定説はないですが、この赤線で示された「第7波」及び現在の傾向と過去とを比較しますと、明らかに大きな波が来ているということでございます。
 それから、こういったデータと合わせて、お手元の次の資料の「現在のレベル判断」をご覧いただきますと、最初のページが、前回、国の基準をベースに岐阜県の考え方も加えて設定したものでございますが、「医療負荷増大期」の病床使用率50%を上回ってきておりますし、重症者数については10人を下回っておりますが、増加傾向にあるということでございます。それから1日あたりの新規陽性者数はすでに2,800人を超えているということです。特に救急搬送困難事案が急増しているというところに、私どもは注目しておりまして、次のページでございますが、真ん中辺りの「保健医療の負荷の状況」の欄をご覧いただきますと、県全体で1週間あたり7、8件と言っておりますが、このところ 12月18日集計で24件、その1週間前でも25件ということで、過去最大の36件からは少ないですが、これも急速に増大してきているということでございます。
 それから、入院制限を行っている医療機関が12、14、17と確実に増えてきているということでございます。
 また、「社会経済活動の状況」ということで、感染によってお店であれ宿泊施設であれ、人員が確保できずに休業というケースが現れ始めているということでございます。
 こうした流れを総合的に判断して、本県としては、この流れの中で言えば「レベル3」に入ったということでありますし、ベクトルとしてはまだ右肩上がりの方向にあります。そして、これから人流が多くなり、かつ、ウイルスの活動が活発になる冬場、年末年始を迎えるということでございますので、そうしたことも含めて「岐阜県医療ひっ迫防止対策強化宣言」ということで、これまでの対策に加えて、さらに対策を強化するということで発表させていただきました。
 次の資料が宣言文そのものでございますが、来月の22日までの1か月を実施期間としまして、宣言を出していくということでございます。
 この宣言の考え方として、一つが「(感染拡大による)医療現場への影響」ということで、感染の急拡大、そして夏の「第7波」のピーク時に徐々に近づいてきているということでございます。その結果として、一般病棟や救急医療を制限している医療機関もあり、救急搬送困難事案も今月だけですでに60件発生しているということで、「いつもなら普通に受けられる医療もすぐには受けられない」深刻な状況になりつつあるということです。これは全ての方々に身近な問題としてご理解いただく必要があるということでございます。救急搬送が困難となった事例も、若干こちらに例示してございますが、私どもは、受入照会が4回以上かかったもの、そして現場で30分以上留まったものということで整理しておりますが、こういったケースがあるということでございます。
 それから、「新型コロナ感染そのもののリスク」ということで、比較的重症化しない株であると言われておりますが、分母が大きくなってくれば当然、分子も大きくなってくるわけでありまして、この夏の「第7波」以降、県内では456人の陽性者が亡くなられているということです。これに対して仮に交通事故死亡者数と比較しましても10倍以上の差があるということでございます。
 それから、後遺症の問題もあります。次の2ページですが、後遺症患者の96%が感染時は軽症であったということで、必ずしも、重症者に後遺症が残るというわけではないということでありまして、十分警戒すべきであろうと思っております。感染拡大による一般医療に対する負担増とコロナそのものが抱えているリスクと、さらに今後、年の瀬も近づいて寒さが一段と厳しくなる中で、さらに感染が拡大する懸念があるということで、状況によっては最悪の年末年始になりかねないという問題意識であります。こうした事態を避けるために本日、「レベル3」ということで新型インフルエンザ等対策特別措置法第18条に規定します基本的対処方針に則って、「岐阜県医療ひっ迫防止対策強化宣言」というものをここに発出させていただいたということでございます。これを受けて、国の方では本日中には岐阜県全域が「医療ひっ迫防止対策強化地域」ということで指定されると承知しております。
 そういう中で、県、市町村、それからお一人おひとり、事業者、医療機関、それぞれに最大限の対策を一丸となって徹底していこうということで、以下、要請事項が書いてあります。これは特別措置法第24条第9項に基づく要請ということで、法の裏付けのある対策ということでございます。
 3ページ以降が対策のポイントであります。すでにいろんなことをやってきているわけでありますが、今回、さらにできる限りのということで、積み重ねた部分がゴシックの部分となります。
 大規模接種会場は1月まで延期をするということですし、それから、県の陽性者健康フォローアップセンターの機能強化ということで、ここに書いてありますように、検査キットの配送であれ、確定診断であれ、相談対応であれ、思い切って強化していこうということでございます。それから低リスクの軽症者ということで自宅療養しておられる方が、例えば発熱等急変して診察が必要となった場合に、休日オンライン診療も導入するということで、12月31日から年末年始及び休日(日・祝)にオンライン診療を受けられるような体制を構築しました。
 それから、外来医療体制の強化ということについては、後ほどまた述べさせていただきますが、医療機関の方に、特に医師会の大変な協力をいただいて体制を強化しているということでございます。
 それから、検査については、無料検査を1月末まで延長するということです。また、年末年始の需要増に対応するためにJR岐阜駅とJR大垣駅に臨時の無料検査拠点を設置します。そして、各施設の職員への予防的検査も1月末まで延長するということでございます。
 それから、広報について、ぜひ徹底すべきだという専門家の先生方のご意見もあり、分かりやすく印象に残るポスターやSNSを通じた周知をすべきだということでございまして、一番最後の資料に、岐阜弁をそのまま使いまして「それは おきゃあ!」ということでございます。「おきゃあ」というのは「やめなさい」という典型的な岐阜弁であります。そういうことでここに書いてあるいろんな事例を紹介して、身近なところにリスクがあるということをご理解いただこうではないかということで対応してまいりたいと思っております。これが「県の取組み」でございます。
 次が「県民の皆様への要請」ということで、ここから先が特措法による協力要請ということでございます。特に4ページの下の方にある「検査の活用」について、帰省前、あるいは帰省先から戻った際の検査を、ぜひ無料検査を活用して実施していただきたいということです。
 それから、5ページになりますが、年越し、初詣といった年末年始の行事、クリスマス会、忘年会、新年会、成人式、様々ございますが、これらについてできるかぎり慎重にというか、場合によっては見合わせることも含めて慎重に検討していただきたいということで、「見合わせる」という言葉を使わせていただきました。
 それから、「事業者の皆様への要請」としては、いろいろございますが、特に今回、新たに付け加えましたのは、「県内神社における初詣の際の感染防止対策の徹底」ということであります。境内における飲食禁止、祈祷人数の制限、あるいは動線の制限、それから初詣の期日分散の呼びかけといったようなことでありまして、来週、県内の神社仏閣の責任者の方々に県庁にお出でいただきまして、このことについての対策をしっかりと議論させていただきたいと思っております。
 それから、6ページにあります「医療機関への要請」ということでございますが、特にゴシックで示してありますように、年末年始における休日診療体制の拡充ということでございます。今年の夏、お盆休みにできるかぎり診療をということでお願いしてまいりましたが、今回、さらにこれを強化してお願いしているということでございます。診療・検査医療機関数、休日医療体制は、ここに書いてあるとおりでございます。これらについては、いつ、どこの医療機関が開いているかということについては、県民の皆様にオープンに見ていただけるように周知したいと思っております。
 それから、市町村に対しましては、すでにいくつかの市町村が独自の対策を出しておられますが、さらにそれぞれの市町の状況を見て追加できるものは追加していただきたいと思っておりますし、成人式、とりわけ2次会における感染防止対策の徹底ということで、市町村に強く呼びかけていただきたいと思っているところでございます。
 ということで、県としては「岐阜県医療ひっ迫防止対策強化宣言」ということで、現在の仕組みの中で現在の感染状況を踏まえて取り得る最大限の対策ということで発表させていただきました。

 それから、続けて、円空大賞のことでございます。お手元に資料がございますが、第 11回の円空大賞展を年明けに開催するということで、1月20日に授賞式・開場式を行いまして、以降、3月5日までの39日間、円空大賞展を開催させていただきます。
 これは郷土の偉人である円空さんを顕彰して、ふるさとへの誇りを高めるということで、立体造形・絵画・映像等の分野で顕著な業績を収めて、しかも地域に根差したと言いますか、円空を彷彿とさせるような現代芸術家を表彰するということで、平成11年度以来、今回11回目ということでございます。
 今回、5人の方々が受賞されまして、いずれも国内外で大変高い評価を受けておられる5名の作家でございます。特に中島晴美さんは地元の恵那市出身、それから三島喜美代さんは土岐市にアトリエを構えられているということで、ご縁の深い方がお二人おられるということでございます。

 それから、1年を振り返ってということで恒例でありますが、お手元の資料にありますように、コロナの対策と「アフター・コロナ」に向けた未来志向の対策、それぞれをどうバランスをとって進めていくかということでやってきた1年でございます。資料の最初のページにあります「1 ウィズ・コロナからアフター・コロナへ」という括りでの整理、それから「2 未来を見据えた『清流の国ぎふ』づくり」という、これは地方創生からの流れで、私どもの総合計画であります「『清流の国ぎふ』創生総合戦略」に則った人づくり・地域づくり・魅力と活力づくりということで、様々な行政を展開してきたということです。
 それから「ウィズ・コロナ」の中に「(3)中小企業等への支援」が入っています。これは、「ウィズ・コロナ」で疲弊した経済をどう支えるかということに加えて、ウクライナ情勢から来る資機材の価格高騰でありますとか、サプライチェーンの混乱などに対する支援も含まれているわけです。そして、「アフター・コロナ」はすでにご案内のとおり、DX、SDGs、脱炭素、地方分散という課題に対して、一つひとつ取り組んできたということでございます。少し分厚い資料ではありますが、この1年間やってきたことをまとめたものですので、お時間がありましたら眺めていただいて、岐阜県の県政として、どういう幅の中で、どんなことをやってきたかを年末にゆっくり見ていただければありがたいと思っております。
 それらを通じて感じておりますのは、私自身、昨年1月の選挙で、5期目を担当させていただくことになりましたが、その時の当初のイメージとしては、4年間のうちの最初の2年間はコロナとの闘い。そして、2年間で何としてもコロナとの闘いを乗り越えて、3年目、4年目は「アフター・コロナ」と言いますか、次なる岐阜の未来づくりに専念をしたい。丁度その「ウィズ・コロナ」と「アフター・コロナ」の狭間のところに岐阜県の新庁舎が完成して、これが1つの県政の新しいスタートになるというような図式的なイメージを当初描いていたわけですが、世の中はそうそう図式通りに動くわけではありません。
 コロナとの闘いは、まだ続くということでありますし、まさに年末の最後の記者会見の場で、「対策強化宣言」を発表させていただくということでございまして、まだまだ緩むことのできない状況が続くわけであります。
 同時にやはり社会経済活動の再開との両立は大きな課題でございますので、今年1年はそういう意味ではコロナと闘いながら、どのようにして社会経済活動を再開させていくかということに意を用いた時期でありました。
 典型的なイベントで申し上げますと、その1つのスタートが4月の高橋尚子杯ぎふ清流ハーフマラソンでございまして、参加するランナー全員にPCR検査をやっていただき、その費用は岐阜県と岐阜市で分担をして、感染した方はご遠慮いただくことで徹底した感染対策の下、実走していただきました。その後、関ケ原のイベント(「大関ケ原祭2022」)があり、あるいは「エンジン01in岐阜」があり、最後の極めつけが「岐阜信長まつり」であったわけですが、感染対策と社会経済活動の活性化に意を用いてきた1年でございました。
 同時に、これは当初想定していなかったことですが、ロシアによるウクライナ侵攻によって、世界の政治・経済・社会いろんな面で大きな揺るぎが生じています。その大きな波を日本も岐阜県も被っており、これにどう対処していくかということです。それから、コロナで疲弊した社会経済活動をどう立て直すかという辺りの支援策をやってきた1年であったと思います。
 また、アフター・コロナについてもある種のスタートを切ろう、どういう射程で何をやっていくかの目途をつけようということで、例えば、デジタル・トランスフォーメーションにつきましても、岐阜県としてのデジタル・トランスフォーメーション推進計画(「岐阜県DX推進計画」)を5か年計画で作って、スタートをしたわけであります。また、SDGs・脱炭素につきましても、具体的な目標、アクションプランを用意させていただいたということでございます。
 そういう流れの中で、よく「オール岐阜」と言っていますが、それぞれのテーマごとに県内のあらゆる関連する立場の方々、あるいは県民のお一人おひとりがこうした岐阜県の大きな方針や方向に沿って、いろいろとご尽力、ご協力をいただいてきました。厳しい状況の中で、私なりに岐阜県の財産として今後も大事にしていきたいコンセプトとして、まさに「オール岐阜」というコンセプトがはっきりと多くの方に認識されてきているのではないかと思いを至らせながら、とにかく「オール岐阜」で一つひとつ乗り越えていく、実現していくということでやらしていただいたところであります。そのことに対する感謝も含めて、新しい庁舎の前の公園の名前を「ぎふ結(ゆい)のもり」と名付けさせていただきました。ご案内のとおり、白川郷の結の精神、助け合いの精神の象徴が「結」という言葉でありますが、まさに今私どもが大切にしたいコンセプトとして「ぎふ結のもり」と書かせていただいたわけです。そういう意味で、今年いろんなことがございましたが、あえて1つ字を選ぶといえば、こういうことになるということで、「結」という字を用意させていただきました。これは今年だけに終わらず、来年以降も大切にしていきたいと思っているところであります。
 私の方からは以上でございます。

記者
 救急搬送困難事案について、数字を見ても12月の始めよりも3倍以上になっています。また、地域差があって東濃地域が半分ぐらいを占めていますが、現状、県として打てる手としては、どういったものがあるのでしょうか。

知事
 救急搬送についての最終的な「オール岐阜」での司令塔というか、調整ポイントは、岐阜大学医学部附属病院が中核になって、そこからある種のピラミッド型で、県内の対策をやっていくということで、各圏域間の協力を含めて、ネットワークを生かしながらやっていくということです。それでも救急搬送事案というのは、時間を問わず、瞬間的に起こる出来事でありますので、瞬間的に起こった出来事をどうするかということもありますし、それからいろんな内容のケースがありますので、これは何が何でも救急搬送しなくてはならない事案かどうかを判断しなくてはならないものもあります。どこの病院が今どういう状態にあって、どこに助けを求めていくかということについて、ある程度、情報的には見えるようにしておいて、ネットワーク調整機能を発揮していくということで、今、頑張っていただいている中で、今ある種の限界に達するケースが出てきているということです。さらにそのネットワークを丁寧に組んでいくということをまずはやっております。

記者
 行動制限についての導入は、今のところどのようにお考えでしょうか。

知事
 この対策強化宣言にせよ、さらにこれが厳しくなった場合には、医療非常事態宣言と言いますか、さらに「レベル4」に向かいかねないときに、これを防止するためには、医療非常事態宣言というのが次のステップとしてあるわけです。国のシステムの中でいうと、行動制限は直接的な形としては避けたいということでありまして、その中でどのような形で自粛要請していくか、中には事案の公表とか勧告とかいう制度も最終的にはありますが、強制するというような仕組みにはなっておりませんので、行動制限を極力避けながら社会経済活動を大切にしながら、でき得る最大限の対策をとっていくということになっております。そのラインで私どももやっているということです。今日の本部員会議で村上先生からもお話がございましたが、まずは、一人ひとりが取り得る基本的な予防対策をきちっとやっていくことで、かなり防げるはずですし、ワクチンも是非打っていただきたいということです。一つひとつ課題に挙げられていることを丁寧にやっていくことで相当防げるはずであるということを、私どもは強調していきたいと思っております。

記者
 県内金融関連団体に関して、行内に感染者が発生して、店舗を閉鎖する対応はしていないし、業務継続が困難な状況にはないということですが、今後、感染状況が悪化して、金融機関の営業が難しくなって、資金繰り等に影響が出るような状況になったような場合は、県としてどのような対策を考えていらっしゃいますか。

知事
 対策の中にもすでに入っておりますが、BCP(Business Continuity Plan)ということで、まさに今現在では、行員の皆様が大量に感染して、組織的なダメージを受けるというところまでいっておりませんが、いつ何時起こらないとも限らない状況でありますので、それに備えてどのようにBCPを構築して備えていくかということは、それぞれやっておられますので、そこのところを絶えず状況に応じて見直しながら、どこを守りどこを簡略化していくかということで対応していくになろうかと思います。

記者
 レベル判断基準の引き上げについて、先日20日の専門家会議ではまだ「レベル3」に引き上げる状況ではないというお話でしたが、それから3日経った中で、レベル引き上げに至った考え方といいますか、判断の基準を教えてください。

知事
 判断基準は変わったわけではありませんので、ゴールポストを変えたわけではありません。専門家会議の議論で言いますと、「レベル3」に上ったということの判断と、強化宣言を出すというのをパッケージで考えておりますのでその両方を含めて総合判断をしていくということです。他方、強化宣言の判断については、国の設定した基本方針に則ってやるということで、国の事前協議をするというルールになっておりますので、そういった手順もあるということです。あの夜の専門家会議の段階でそこを断定するということよりも、そこはある種、行政対行政の仕事として、専門家会議としてはまずやるべきことを最大限、提言をしてそれを実行してくれということです。その間また、状況も変わっていきますので、そこを見届けてということです。あれからわずか3日間とはおっしゃいますが、3日間で日に日に悪くなっていることは間違いないので、確実に病床使用率も50%を超えておりますし、そういった意味で悪化のベクトルはそのまま続いているということと国との協議の中で、相互の理解が一致したということもありますし、行政としてはここでレベル認定をして、強化宣言の発信をしていこうということになったわけです。このことのプロセスについては、専門家の先生方にもお話をして、ご了解をいただいているということであります。

記者
 全国で初ということですが、どうして岐阜県が一番になったのでしょうか。

知事
 別に順番があるわけでありません。

記者
 岐阜県が他の地域に比べて感染状況が悪いとか、悪化のスピードが速いとか、そういった理由があったのでしょうか。

知事
 他県と比較をして、岐阜県が突出しているから真っ先に手を挙げたということではありません。諸々の「レベル3」のルール、水準に照らして、岐阜県はこれにあたるのではないか、強化宣言が必要ではないかということで手を挙げたということです。他県がそれぞれどう考えておられるか、他県がデータ・情報をどう読むかということは、私どもが口をはさむことではありませんので、特にコメントは控えさせていただきますが、数字は数字としてご覧いただければ、全国にはいろいろ厳しい箇所はございます。それに対してどう対処していくかということは、それぞれの県のお考えだと思います。私どもは最初ということに特段の意味を感じているわけではありません。実態とやるべき対策ということから、我々なりにルールに照らして判断して、決断をしたということです。

記者
 今回の「岐阜県医療ひっ迫防止対策強化宣言」と、11月に出された「岐阜県医療ひっ迫警戒宣言」とで比較すると、行動制限のところで、11月だと、「感染拡大につながる行動は慎重に」という表現がありまして、今回は「控える」と書かれていますが、違いがよくわからないといいますか、県民としてはどのように受け止めたらよいでしょうか。

知事
 「控える」という言葉を使ったり、「見合わせることも含めて」という言葉を使わせていただきましたが、つまり警戒をしながらやっていくという選択肢もあるが、状況をみて、そもそも控えるという選択肢もあるので、そこはよくよくお考えいただきたいということを申し上げております。要請のトーンとしては一段高めていると思っております。そのように理解をしていただいて、お一人おひとりが慎重に対応していただきたいと思っております。

記者
 警戒感を一段高めて、控えるという選択肢も持ってほしいという理解でよろしいでしょうか。

知事
 そういうことです。

記者
 対策強化宣言では、学校行事とか部活動については、感染に特に注意という表現をされていますが、具体的にどういったことを求められているのでしょうか。

知事
 ここに書かれていることについては、学校関係者には全部行き渡るようにしております。すでに冬休みに入っているところもありますので、それぞれに置かれた状況の中で、書かれた趣旨をくみ取っていただいて現場としては慎重に判断してもらいたいということでご理解いただいていると思っております。

記者
 部活動については、個々の学校ごとの判断に委ねるが、要請としては特に気を付けて判断を、ということでしょうか。

知事
 これまでのように慎重にやってくださいということです。

記者
 対策強化地域になることによって、国からの支援で、様々な助言指導、リエゾンの派遣要請などができるということですが、その辺のお考えを教えてください。

知事
 特にリエゾンは今考えておりませんが、地域に指定ということでかつ強化宣言をしたわけでありますから、ここからが強化宣言期間のスタートでありますので、状況によってはいろんな意味で国に相談したり何らかの追加支援をいただいたり、そういうことは、あり得ると思います。その辺はよく相談していきたいと思います。今日のこの判断に至るまでは十分に情報交換を行っておりますし、私どもの対応の仕方については、国の方でもご理解いただいていると思っております。

記者
 例えば、対策強化地域になったことで、健康フォローアップセンターの検査キットの配送が増えたとか、国からの支援が受けやすくなったというようなことはありますか。

知事
 今やろうとしている対策を今後進めていく中で、さらに状況が厳しくなった場合にいろんな相談はしやすくなったとは思っております。

記者
 今回の宣言は全国初の発出になるだろうということですが、病床使用率という数値を見れば岐阜県よりも高いところはあるわけで、その中で宣言発出に踏み切ることに迷いはなかったのか、また、その上で踏み切った理由があれば改めてお願いします。

知事
 私自身、危機管理については、1つの対策の枠組み・ルールを作り、そのルールに照らしていろんな手段を講じてやっていくわけですが、このレベル1、2、3、4は、国が大枠を示し、それに対して県の方でディテールを決め、それでいこうとなったわけですから、他県がどうするではなく、岐阜県としてそのルールに当たるかということを真正面から突き詰めて議論していくということで判断すべきだと思っています。岐阜県よりも病床使用率やその他データを取ったときに、いろんなご意見があると思いますが、私ども岐阜県がとやかく言う話ではなく、私としては、特別急いだわけでなく、自分たちが設定したルール・枠組みに照らし、該当するという判断をして、そういう状況になれば、すかさず判断して、対策を講じていくことが、ある意味当然ではないかと思っています。そのように国に対しても申し上げていますし、国もそのような岐阜県の考えに対してご理解いただいて、強化区域に指定いただけるだろうということです。他の地域がどうするか、国がどう考えているかは、私どもがコメントする話でないと思っています。

記者
 今回の宣言を出したことによって、住民に対して感染リスクが高いところへの外出の自粛を要請できるという建て付けだと思います。今回の資料では「感染拡大につながる行動を控える」や「慎重に検討」という言葉が使われていますが、これは「自粛」という言葉と同義と捉えてよいのか、それとも、それより一歩手前の段階なのか、どう認識させていただくとよいでしょうか。

知事
 国と私どもが整理した枠組みで言うと、今回の強化宣言のレベルというのは要請をするということです。要請という言葉の範囲内でどこまでお願いするかということです。そのワードの中で、見合わせることも含めて「慎重に」や「控える」という言葉を使わせていただいているところです。「自粛」という言葉をどう捉えるかにもよりますが、おそらく言葉の使い方として、「自粛してください」というのは、これまでの2年半の経緯からすると、もう一段強いレベルの言葉と受け取れるのではないでしょうか。おそらく非常事態宣言のときには、そういう言葉が飛び交うのかもしれません。

記者
 感染の歯止めがかからない理由について、前回の県独自宣言のときは、飛騨地方などで感染割合が高く、寒さも一因なのではという話もありましたが、今の地域別の感染状況や、感染拡大が続く理由についてのお考えをお願いします。

知事
 前回議論した辺りでは、地域的なバラツキがあって、飛騨地域を中心に個別の市町村ごとの対策もやっていただき、それに倣ってそれ以外の地域でもできるだけ前広にアピールしようということで、実施された市もありました。現状では、飛騨も美濃もなく、県全体に拡がっていると理解していますし、特に美濃地域は愛知県との交流も多いところです。愛知県の状況を見ても、岐阜県とほぼパラレルに感染者が急増しておりますので、そちらからの影響もあるでしょうし、今は隙があればウイルスはどこまででも入り込んでいくという状態になってきたのではないかと思っています。

記者
 なかなか感染状況の追跡ができず、理由を分析するのは難しいかと思いますが、例えば全県的に寒くなってきたからということなのか、あるいは、住民の行動などによって隙ができているという状況なのか、どのように考えていらっしゃいますか。

知事
 専門家会議での先生方のご意見もいろいろ分かれるところでありますが、言われていますのは、まずは寒さから始まったということです。全国的にも北海道から急増したということでありますが、今や全国的には九州も非常に高い感染状況でありますし、全国全県に広がるという事態になっています。それから、専門家のご意見としては、世界の中から見れば、日本全体が比較的感染が穏やかに進んできたため、未感染者に対して、コロナは場所を選ばずアタックしてくるということで現れている部分もあるのではないかということです。もちろん根っこでは寒さや乾燥もあるでしょうし、いろんな行事の関係もあるでしょうし、施設などの取組みにも疲れが出てきているかもしれないなど、いろんな指摘がありました。
 それから、ある先生のお話では、カタールから7人の若い人が帰ってきて、1人具合が悪いということで検査をしたら陽性でしたので、全く症状のない他の6人も診ましたら全員陽性で、全員がカタールに行って罹ってきたということです。とにかくどこへ行っても、少しの隙に入ってくる状態だという一つの極端な証左だと、そんな話もしておられました。様々な原因が考えられますが、前から言われていますように、ワクチンを打っていない人の感染、特に子どもから家族に感染する、高齢者に感染するというルートもありますし、全てのクラスターを全部追いかけるということは、ほとんど不可能な状態になっているのではないかと思っています。

記者
 レベル判断について、「医療機能不全期」に入る前の段階で、非常事態宣言を出されることになると思いますが、その際の判断の指標・基準として、お考えのものがあれば教えてください。

知事
 一般的な言い方をすれば、「レベル4」に向かって急速に状況が進展してきており、何としても食い止めなければならないという総合判断をしたところで、手を挙げるのかと思っています。

記者
 例えば、重症者の方の人数など数値的なものはありますか。

知事
 (「現在のレベル判断」という)お手元の資料に「レベル4」の数字がありますが、これにどの程度接近しているかということと、ベクトルがどういう角度でどの程度のスピードで進んでいるかということの総合判断と申し上げるしかないと思います。

記者
 国からの強化指定地域への指定は、まだされていない状況でしょうか。

知事
 今のところまだ聞いておりませんが、おそらく今日の午後のどこかで公的な形で発表がなされると承知しております。今日の夕方までには出されると思います。

記者
 改めて知事のお言葉で、対策を今日出されたことも踏まえて、県民の方への呼びかけをお願いします。

知事
 これまで県民の皆様お一人おひとり、事業者の方、医療機関の方、市町村、県、総力を挙げて、まさに「オール岐阜」で感染拡大を食い止めようということで警戒をし、努力をしていただいてきておりまして、そのことについては感謝申し上げる次第であります。しかし残念ながら、この感染の勢いが止まらない、むしろこれから人流が盛んになる年末年始に向けてさらに拡大しているというのが現状であります。その結果として、コロナの後遺症やコロナの怖さもありますが、同時に本来なら受けられるべき医療や救急搬送が滞ってしまうということで、身近な医療に問題が生じてきているということでありますので、まずはそれぞれのお立場で全力で警戒し、この年末年始に向けて控えるべきところは控え、注意すべきところは注意するということで、徹底した感染防止対策をお願いしたいと思います。今回の強化宣言はまさにそれをお願いするための宣言でありますし、国も岐阜県がそのような地域になったという認定をしていただいておりますから、我々もその認識に立って、危機感を持って、この年末年始を乗り切りたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

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