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知事記者会見(令和2年2月6日)

記事ID:0025200 2020年2月13日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

令和2年2月6日(木曜日)15時00分

司会

 それでは、令和2年度当初予算知事記者会見を始めさせていただきます。
 知事、よろしくお願いいたします。

知事

 来年度予算でございますが、まず私の方から、全体的なお話をして、そのあとまた総務部はじめ各部から各論を聞いていただけると思いますので、まず総論的なところから申し上げたいと思っています。
 お手元の資料でいうと、資料1という横長のグラフの入ったものから始めたいと思います。まず一般会計の当初予算規模で行きますと8,420億円ということで、対前年度比、当初ベースですが、161億円の「増」、1.9%の「増」ということで、この折れ線グラフにありますように8年連続の増額予算ということです。
 内容はまた後で触れますが、やはり消費税の増税によって、歳入が広がったというあたりがこの「増」の中では大きいのではないかと思っています。
 2ページ目をご覧いただくと、歳入の内訳ですが、増減額のところを縦にずっと見ていただくと、全体で161億円、1.9%の伸びということですから、ものすごく大変動きがあるというわけではありませんが、それぞれアイテムごとにいくつか伸びたり減ったりしていますので、ざっと申し上げますと、県税が43億円伸びております。これは1.8%の伸びということです。これはやはり消費税の伸びが大きいということです。それから地方譲与税の伸びも、譲与税の分配の仕方が変わりましたので、地方に少し手厚くなったので伸びているということで、これも収入の「増」になっています。
 それから、地方交付税の方は、まさに国の地方財政計画が伸びているということの伸びです。
 一方、借金であるところの県債ですが、臨時財政対策債も、それ以外の通常債もほぼ横ばいというか、若干の「減」ということです。
 それから繰入金、基金から不足米を入れるというあたりですが、これについても35億円、16.5%と、これは少し減少になっています。
 その他のところが非常に大きいのですが、これは消費税の増税に伴って、都道府県間で消費税の清算のやりくりをするのですが、そこでいただける部分がかなり大きいということです。ただそこで清算をして、いただいた分の半分は支出の方で市町村に交付金ということで渡しますので、私どもの実入りとしては半分ということになります。
以上が歳入のざっとしたところでして、増税の効果を中心に、あるいは地方財政計画の伸びに合わせて伸びる中で、借金については微減ということになっています。
 それから歳出の方ですが、これも同じく増減額を見ていただくと、人件費は職員の給与が伸びていますが、特に大きな要素は、来年度から会計年度任用職員という制度になって、今までの雇員、いわゆるアルバイトを全て人件費にカウントするということと、それから地域手当とか期末勤勉手当とかそういうものも付きますので、そのあたりの会計年度任用職員に関わる部分の伸びが基本です。
 それから公債費は47億円の「減」になっています。これはまた後でグラフを見ていただきますが、近年の県債発行を抑制してきたことの効果がここにも表れてきているということで、実は公債費は平成21年度をピークに11年連続で減少しています。その結果、財政に占める公債費の割合も急速に改善してきています。これはまた後で見ていただきます。
それから社会保障関係経費ですが、まさに消費税増税の目的になっているものですが、構造的に伸びる部分と、幼児教育の無償化に伴って伸びる分等々、合わせたものがこういう姿になっています。
 それから4番目の普通建設事業費ですが、プラス7億円ということで、ほぼ横ばいになっていますが、これはいわゆる公共事業、県単の事業がほぼ横ばい、それから、老朽化施設の長寿命化対策ということで、これは毎年時間をかけて丁寧にやってきていますが、その伸びとか、県庁舎の建設の伸びが一方であるのに対して、他方で美術館の改修が終わったとか、木遊館が終わったとか、岐阜関ケ原古戦場記念館の建設が残りわずかであるとか、そのようなことで、「増」があり「減」がありということで、全体としては7億円のプラス、ほぼ横ばいということです。
 その他のところは、消費税の「増」に伴って、市町村に配るお金が増えますとか、こちらから清算金として他県に払う部分もあるということで、消費税にまつわる部分が数字的には大きくなっているということです。
 次のページは同じく歳出を分野別にしたものですが、基本は今申し上げたようなことでして、この中で特に目立つのが公債費のマイナス47億円、これは先ほど申し上げた通りですし、諸支出金のプラス185億円、これも先ほど申し上げた前のページのその他のところをほぼ反映しているとお考えいただければよいと思っております。
 5ページですが、県債発行額の推移を載せておりますが、二重の線がトータル、四角い印のついた線が県の通常債ですね。点線に丸印がついたものが国から強いられたというか、本来なら交付税を渡すところを、交付税がないので国に代わって借金をしてくれということでやってきた部分です。
 まず臨時財政対策債を見ますと、平成13年度にスタートして、急速に伸びていきましたが、私どもは、知事会としてもこれは本来交付税で払われるべきものであるということを事あるごとに、強く主張してきたわけですが、そのあたりの理解も進んで、このところ若干抑制気味に来ているというのが、点線の折れ線グラフで読み取れると思います。私どもとしては、これは本来交付税でいただくべきものですから、無くなるのが望ましいと思っているところです。
 それ以外の県の通常債が実線の四角印のものですが、平成10年の1,534億円から始まりまして、ずっと減らす努力をしてきたわけですが、ここにきて若干増えてきています。特に令和元年が1,004億円に伸びていますが、ひとつは、当初予算で国土強靭化ということで、国と歩調を合わせて防災・減災、強靱化ということで強化をした部分がありますし、3月補正で、今回ご案内のように思い切った景気対策ということで国の補正が出たわけですが、その地方負担分ということで一緒にやっていくということですので、そういったことで尖っておりますが、令和2年度については、これを800億円に戻したということです。
 ただ、じわじわと伸びてきているということもありますので、このあたりは、今後、いろいろと注意していかないといけないところかと思っています。
 ですから、ざっといいますと、トータルの二重線で見ますと、おおむね横ばい気味に推移していますが、要は国がじわじわと臨時財政対策債は減らす方向で来ていますが、一方で県の方の通常債は相当思い切って絞った段階から、若干じわじわと緩やかではありますが、増えてきているというのが特徴です。全体としてみるとまあまあほぼ横ばい的な流れになっているということです。
 6ページですが、そういう県債発行をしますと、今度はそれが残高として残るわけです。それで県債残高というのは借金の元本と新規発行額の足し算ですから、新規発行額がこのところ、じわっと増え気味になってきている。一方で過去の借金もどんどん返していっているということでして、その足し合わせたものがこの棒グラフになるわけです。下の濃い方の棒が通常債でして、平成20年からずっと一貫して減ってきておりましたが、今申し上げましたように景気対策とか国土強靭化といったことでやってきていることが、この残高の方に現れてきていまして、過去の高額の借金がどんどん減ってきて、その見合いで新規の分が増えてきているので、残高としては増えてきているということです。
 それと、白い部分が国の臨時財政対策債の借金ですから、この部分は返していただけるものと思っていますが、それはそれとしても、両方合わせたトータルは、じわじわと増えてきているということです。今後、国が臨時財政対策債をどのように戻し、どのように新規をやっていくかということで相当大幅に変わってくると思います。
 そこで、県として借金の返済費たる公債費ですが、7ページをご覧いただくとわかりますように、通常債、臨時財政対策債を合わせた分を含んでも、平成21年がピークでして、そこから11年連続で右肩下がりに減ってきているということです。これもこれまでの返済努力及び新規の県債発行を抑制気味にやってきたことの結果であるということです。
 特に二重の線よりも実線の方が急になっているのは、それだけ臨時財政対策債以外の通常債のほうでいろいろ努力してきたことの表れですが、このグラフもいつまでも右肩下がりで行くわけではありません。このところそういう意味で、いろいろな対策絡みで増えてきていますので、その部分が今度は公債費となって表れてきますので、来年度以降、これがどういうふうに動いていくかというのは注意深く見ていく必要があるのではないかと思います。いずれにしても極端な反転はないと思いますが、ただ、ずっと11年間右肩下がりできたものがいつまでも続くわけではないとみていますので、そのあたりは注意深くということです。
 8ページですが、実質公債費比率、おおざっぱに言いまして、財政規模に占める公債費の割合ということで、どのくらい借金漬けになっているかということの指標でして、この指標がしばしば各自治体の財政状況をもっとも端的に表すものとして使われています。18%以上になりますと起債許可団体ということで、これは3年の平均ですが、18%を超えたのが平成21年から24年の4年間ですが、この時には起債する上で1円たりとも総務大臣の許可無しにはできないということでした。
 この時、私どもは相当ドラスティックな改革プランを出しましたので、それを見ていただいて許可をしていただいたということですから、平成23年度の19.7%、ほぼ予算の5分の1が借金の返済費という時期があったわけですが、これは全国で多い方から3番目、少ない方から45番目ということでした。その後ずっと努力をして減らしてきたわけでして、全国平均も下回っていまして、平成30年度、昨年度は8.2%まで下がっています。これは全国で少ない方から4番目で、多い方の3番目から少ない方の4番目になったということです。
 それから暫定値ですが、令和元年度は6.7%になるのではないかと思っています。今回の予算編成ではじきますと、令和2年度は6.0%まで行くということで、たぶん4位からあと一つ二つ順位は上がるのではないかということですから、そういう意味では、全国でトップクラスになってきているということです。
 ただここから先は推計値ですから、どういう前提を置くかでいろいろな数字が出てくるのですが、ここに置いてある数字は、財政規模は令和元年度のまま、基本的に大差ないという前提で、投資的な経費は、県庁舎以外は横ばい、増やさないという前提でやっていくとこういう数字になるわけで、先ほどの公債費が恐らく反転するだろうという話をしましたが、こういうところに反映してきています。
 だいたい、この先もここからさらに急増するということではなく、つまり、投資的経費は横ばいとして置いていますので、ある程度まで上がったところで、県庁舎の建設費に関わる借金を返したところで逆にまた下がっていくということです。そういう目配りをしたうえで今回の予算編成にあたったということです。
 ですから瞬間風速で4位だとか、あるいはさらに順位が上がるかもしれないということでも、そこで手綱を緩めることなく、節度ある財政運営ということはやはり心がけていかなければならないと思っているところです。以上が全体の予算の大枠についてのご報告です。
 そこで、中身ですが、今度は資料の2番目をご覧いただきたいのですが、令和2年度当初予算の概要という縦長の資料です。これをご覧いただくと、まずタイトルですが「『清流の国ぎふ』づくり2020」ということで、サブタイトルを「魅力の創造・発信危機管理の徹底」として、攻めと守りということで、両方に目配りをした予算編成をしたという趣旨でこういうタイトルにさせていただきました。
 この1ページ目を見ますと、最初のパラグラフにありますように、基本は地方創生と言いますか、「清流の国ぎふ」創生総合戦略、5か年計画の2年目ということでして、引き続き、人づくり、安全・安心づくり、魅力と活力づくりと、この3本柱の基本ラインを維持しながら、2年目としてさらにきめ細かに対応していくというのが基調です。
 同時にこの2020年がどういう年かということで、東京2020オリンピック・パラリンピックの年ということで、様々なイベントとかプログラムをこの年に合わせて今までやってきました。そういったものの全面展開ということで、観光ビッグイヤーであり、杉原千畝イヤーでありということで、明智光秀ではないですが、「時は今」ということで、2020年に焦点を当てて、様々な積極策を展開し、特に岐阜県の魅力発信を積極的にやっていくというのが一方の攻めのところです。
 次に「かたや」というところのパラグラフは、一方で守りでして、「想定外の常態化」といわれるような自然災害が非常にいろいろなところで厳しくなってきているということと、CSF、ASF、いわゆる豚コレラ問題もまだ解決に向かっているとはとても言えない状態です。新型肺炎の問題も日々報道されているわけですが、こうした様々な危機管理事案について、検証、教訓を生かしながら、積極的に対応していくということ、万全を期していくということを掲げています。
 そういうことで、次の「このように」というパラグラフですが、来年度予算については、「清流の国ぎふ」創生総合戦略に基づいて、「清流の国ぎふ」づくりを着実に進めながら、一方で特に2020年ならではのチャンスを大いに生かした魅力の創造発信と、他方で県民の安心を確かにするための危機管理の徹底ということに意を用いたということです。
 それから、今見ていただきました、財政の運営という観点からしますと、持続可能性の確保ということで努力はしてきているわけですが、引き続き社会保障関係経費、あるいは社会資本老朽化対策といった構造的な課題は抱えているわけです。一方で、経済、税収といったものについても不透明な要素がありますので、財政規律には十分配慮しながらメリハリの利いた政策をやっていく必要があるとの考え方で組んだということです。
 2ページはそれをさらにもうちょっとパラフレーズしたものですが、次に資料IIの参考資料1というものを見ていただくと、これが全体の見取り図です。一番上のところに今、申し上げました私どもの大きな考え方が書いてあって、その下に「ターゲットイヤー2020」ということでいろいろな予算があります。それから教訓を踏まえた危機管理対策として様々な対策をやっていきます。それから創生総合戦略の2年目ということで、人づくり、健やかで安らかな地域づくり、魅力と活力づくりということでそれぞれさらに丁寧に政策を深化させていくと書いています。
 これが全体の見取り図でありまして、これをまた眺めていただければと思います。次の参考資料の2は、こういった政策に横串として意識しているのがSDGsという、持続可能な発展のゴールということで、右上にあるように国連及び日本国政府において17の目標を掲げて持続可能性というテーマで政策を丁寧にやっていく、目配りをしていくということです。
 今申し上げました見取り図の構成の中でも、例えばここに書いたようなことで、記号が付してありますが、SDGsに寄与するようにできるだけ意を用いながら、政策を組み立てていきましょうということで、参考までに付けさせていただきました。
 詳しくはまた各部から聞いていただくと思いますが、元に戻りまして、IIの概要の資料の3ページ以降ですが、個々の予算が書いてありますが、新と書いてあるのが新規でして、○印が継続案件、それから同じテーマがいろんな政策的な意義を持ちますので、複数掲げているときには予算の数字のところに[再掲]と書いてありますので、そういうことで見ていただければと思います。
 まず「ターゲットイヤー2020」でいきますと、東京オリ・パラを直接意識した政策ということで、ねんりんピックあり、聖火リレーあり、冬季国体あり、事前合宿・ホストタウン、ジュニア、障がい者等々、スポーツ振興をやっていきます。
それから観光ビッグイヤーということでは、関ケ原、杉原千畝の命のビザ人道観光、それから東京オリ・パラにおいて県産農畜水産物を積極的にプロモートしていくという話、それから4ページには、文化芸術という意味では「エンジン01in岐阜」、これは5月末に予定しています。それから3年に1回の国際陶磁器フェスティバル、それから地歌舞伎の勢揃い、2回目になりますが3年に1回の、全国規模と書いてありますが、国際規模といいますか、先端的な芸術展を目指している「ArtAwardINTHECUBE2020」も行います。
 危機管理の方ですが、やはり逃げ遅れの問題が随分言われていますが、防災意識向上ということで、県民運動、それからトップの意識醸成、防災教育を推進していきます。初動の対応ということで、特に必要な被害情報集約システムの更新を行います。それから停電対策は、特に昨年の台風15号を教訓にということです。それから避難所の環境整備等々です。
 5ページには災害ボランティアといったところが新しいところです。5ページ真ん中あたりにCSF、ASF対策というのがありますが、ASFに備えて衛生管理基準を強化しようということで、そのための施設に対する助成、それから経営再開支援のための支援センターの設置を行います。それから飛騨地方でも即座に鑑定ができるように、飛騨家畜保健衛生所の整備、それから野生いのししの捕獲計画とか経口ワクチンとか、そういったことも行います。
 6ページ以降が創生総合戦略でして、人づくりはいろいろな分野であるわけですが、木育、森林教育、それから私立大学における地域貢献、地元就職促進ですとか、遠隔教育とか、福祉教育の魅力PRとか、そのような教育分野での動きです。
それから多様な学びという意味では特別支援学校の狭隘化解消・再整備、小学校での専科指導教員、あるいは外国人児童生徒適応指導員等々です。
 7ページがいじめの問題です。それから産業を支える人材ということでは、起業、技術、農福連携です。それから林業、航空先端産業、それから観光人材、伝統工芸品の後継者、園芸アカデミーと、分野ごとに丁寧にやっていこうということです。
 8ページの「誰もが活躍できる社会」という意味では、就職氷河期の世代に対する様々な応援、高齢者、女性に対する支援、それから障がいに関わらず活躍できるということで、難聴児への支援を掲げています。9ページにありますが、失語症の方、障がい者の高齢化に向けた体制整備、それから、岐阜県障がい者総合就労支援センターが開所するといったことを掲げています。
 外国人材では、介護、農業、林業、そういった分野で外国人材をどう活用していくか、それから日本語教育の問題です。
10ページが「健やかで安らかな地域づくり」ということで、子育て支援があります。ここにある幼児教育・保育の無償化の推進は、今年度から始まっていますが、平年度化して26億7千万円ということで、相当大きな、まさに消費税増税の一つの要素になったということです。
 それから、虐待・家庭内暴力対策ということで、タブレット端末の活用とか、SNS相談の活用などをやってみようということです。
 それから、貧困対策ということで、里親の問題、乳児院対策、それから、交通事故防止という意味では、見守り活動ということです。
 健やかで生きがいというところでは、医療、介護、福祉、それからねんりん運動、それぞれきめ細かに政策をやっていくということで書かせていただいています。特に医療で言えば医師不足の問題とか、医師の少ない地域への対策とか、在宅医療の中でも特に小児在宅医療の拠点づくりとかいったことを書いております。それから修学資金を使った偏在是正絡みの医師の確保といったことを掲げております。
 13ページでは、先ほどのSDGsの関係で特に、排出ゼロを目指した地球温暖化対策の実行計画を作ろうということで、今、作業をしてもらっています。それから岐阜大学と共同で気候変動適応センターといったものがございます。まちづくりという意味では、高齢者の安全運転、ツキノワグマ、脳健診、名鉄の高架化、林業就業のための県内移住等々がございます。
14ページからが、魅力と活力づくりということで、「『ぎふブランド』の創造と発信」とありますが、来年度はアメリカ向けの飛騨牛プロモーション、県産品のテスト販売といったことに取り組もうと思っております。それから世界農業遺産を積極的に、内外にさらに発信をしていこうということでございます。
 競争力の高い観光地づくりということでは、前回の議会でも議論がありましたが、清流木曽川再発見プロジェクト(仮称)ということで、木曽川のつながりと、中山道とをパッケージにして、東西の岐阜県の魅力づくりというようなことを考えてはどうかということで、必要な調査予算を出しております。
 中部山岳国立公園については、魅力増進のために少しずつ手を打ってきております。
 それから関ケ原、杉原については、すでに申し上げたとおりでございます。
 地域資源・地場産業という意味では、県産品のブラッシュアップであったりとか、このところ話題になっております岐阜和傘の振興でありますとか、地場産業の販路開拓等々を掲げております。
 ネットワーク・インフラという意味では、リニアの岐阜県駅周辺のまちづくり、東海環状の西回り区間の整備促進といったところがあります。インフラでありますから、金額的には大きくなっております。それから、名鉄の高架化があります。
 16ページがSociety5.0ということで、各論としてどんな分野にどういう次世代技術を導入していくかという問題意識でありまして、スマート林業、建設現場での活用、公共交通での活用、これはMaasとよく言われますけれども、MobilityasaServiceですか、ひとつのサービスとしての新しいモビリティサービスということで、これは郡上市と長良川鉄道が組んで実証をやろうということで動き始めます。交通、観光、宿泊といろんなサービスをひとつにつないで利用者の便に供して、ネットを使ってやろうということです。検索、予約、決済を一括してできるようにしようとかいった実証的なことをやってみようということです。
 それから、かねてからございますIoTコンソーシアムとか、スマート農業、建築業、航空宇宙分野と、それぞれ、次世代技術の積極的な活用という問題意識で掲げております。
 それから、農林畜水産業については、新たなGAP制度ということで、今、オリンピックで使っていただくべくGAPを獲得しておりますが、さらに、使いやすくといいますか、参加しやすい、岐阜県版のGAP制度を作ろうということで、食品安全、環境保全、労働安全といったことを実現しながら生産していく試みです。それから、新しい品種づくりの支援ですとか、飛騨牛のゲノム解析技術を利用した高品質化などがあります。
 昨年豪州に行ってきましたが、鮎の輸出解禁ということでは、必要な調査を求められておりますので、これを早急にやって、早急に鮎の輸出を実現していこうということでございます。
 畜産研究所の養豚・養鶏研究部でありますが、美濃加茂市と関市に分かれているものを統合再編して関市に造るわけですが、この際、養豚関係については、最先端の研究技術を導入して思い切った投資をしようということで、金額的には大きくなっております。「ボーノブラウン」の再造成は、少しずつ動き出しておりますが、更にプッシュしていこうということでございます。
 各論としては、このように出させていただいているということでございます。
次に、最後になりますが、組織の見直しであります。お手元に資料IIIとしてお配りしておりますが、まず、横長の資料IIIの参考資料1−1をご覧いただきますと、全体の姿がわかると思います。今回大きな変更はございませんが、新しい課が2つできるということと、課内室でいうと逆に2つ減るということです。県産品流通は室から課に格上げになって、更に国の内外の販路開拓をやっていこうということであります。木育推進室はぎふ木遊館ができましたので、そこに吸収されるということです。現地機関の方で、障がい者総合就労支援センターと、障がい者職業能力開発校、岐阜関ケ原古戦場記念館とぎふ木遊館と、4つ増えるということです。
 また、戻りますと、スポーツマスターズは終わりましたので、これは消滅するということです。障がい者就労支援室は、そのまま下の現地機関の障がい者総合就労支援センターに吸収されるということで、「減」になっております。
 それから、特定のテーマについて、特命事項をやっていただく管理職ということで、SDGs推進監、特にプラスチックの排出削減とか、リサイクルに関して資源循環推進監、こころの健康推進監、高齢者のいきがいづくり推進監、野生いのしし対策企画監ということで特命監として5つ新たにポストを創設します。それから、専門部署ということで、課の中とか、現地機関の内部組織でありますが、養豚農家の再生支援をするCSF対策・養豚業再生支援センター(仮称)を農政部に置くわけです。森林総合教育センターは森林文化アカデミーの中に置きます。
 というのが大体のところでありまして、これを県庁の組織図に落としたのが、次のページの資料III参考資料1−2でありまして、濃いところに白字が浮き上がっているのが、所属、課内室、専門部署で、薄いところが特命監ということであります。
皆様方に関係が深いのが、左端の一番上のところの秘書広報統括監ということで、これまで秘書政策審議監という名前になっておりましたが、広報戦略は大事だということで、こういう名前にさせていただこうということでございます。その下に秘書課と広報課が付くというのは従来通りでございます。ネーミングの変更ということでございます。
 次の資料IIIの参考資料2をご覧いただきますと、係の新設とか増員がございます。これは見ていただければわかると思いますが、昨今の政策のテーマごとに丁寧に体制をつくっていこうということでございます。
 元に戻りまして、A4の縦長の資料で若干補足をさせていただきますと、まず、「ターゲットイヤー2020」の岐阜関ケ原古戦場記念館でありますが、4月1日から36人体制でスタートしようと思っております。実際の開館は7月17日ということでありますが、準備期間を置いているわけです。館長は小和田哲男先生ということで、静岡大学の名誉教授でありますが、平成26年ごろから関ケ原古戦場のグランドデザイン策定から始まってずっと関わってきていただいております。そもそも日本中世史の大家でございますし、また「麒麟がくる」とかテレビ、映画等々で時代考証もやっておられます。かつて関ケ原小和田塾などもおやりになって、町民の皆様に対して関ケ原の合戦についていろいろお話をされたり、一緒に調査をされたりということで、関係の深い方でもありますし、私どもとしては自然にお願いしようということになったわけであります。
 それから、もう一人アンバサダーということで、これは7月17日の開館のときに委嘱しようと思っておりますが、竹下景子さんになっていただこうということであります。すでに岐阜県の植樹祭とか育樹祭とかいろんなところでお世話になっておりますし、平成30年からすでに2回、夏の夜の関ケ原ということで「関ケ原ナイト」の野外朗読劇を演じていただいております。地元の関ケ原町とも深い関係を結んでいただいているということで、アンバサダーを竹下景子さんにお願いしようということで考えております。
 あとは、ざっと言いますと、農地防災対策室は、一昨年の7月豪雨のときに、特に西日本で農業用のため池で大変な事故がありましたので、農業用ため池の耐震化、豪雨対策を含めた農地における防災対策ということで、新しい室をつくって対策をとっていこうということです。それから野生いのしし対策企画監ということで、野生いのししの総合対策の企画立案をやっていただこうということです。
 次の2ページ目のぎふ木遊館はすでにご紹介したとおりでありますが、ここの名誉館長はすでに発表させていただいたところですが、竹下景子さんということであります。
 スマート林業を専ら推進するということで、林業経営改革室、当然担い手の確保も含めてやるわけでありますが、新設させていただきます。morinos(モリノス)はご案内のとおりでございます。それから、商工労働部に障がい者総合就労支援センター、障がい者職業能力開発校を設けます。
 高齢者の様々な社会的ニーズについて、相談窓口を設置するということと、対策の企画立案をやってもらうということで、高齢者生きがいづくり推進監を置くということでございます。
 また、子ども相談センターを思い切って20名増員することにしております。
 それから、引きこもり支援、ギャンブル、ゲームの依存症対策ということでこころの健康推進監を置きます。SDGs推進監は全庁的に、横断的にこの問題を束ねてもらうという意味で、新設するという事であります。全県的な運動に進めていきたいと思っております。プラスチックごみの問題については、資源循環推進監に特命として対応してもらおうと思っております。
 4ページの県産品流通支援課ですが、これまでは国内の県産品流通と、海外戦略としての海外での県産品流通とを、別々のセクションでやっていたものですから、これを再編してひとつの課にしようということで、内外ともに積極的に発信して、販路の拡大を図っていくということでございます。
 最後に、県庁舎開設準備課とありますが、令和4年、再来年に新庁舎が完成するということですので、既に、県庁舎建設課というのがありますが、建設するだけではなく、移転作業を視野にいろいろと準備を進めていく必要があるということで、移転作業の準備を行うセクションとして新たに設けるということでございます。組織の変更は以上でございます。私からの説明は以上で終わらせていただきます。

記者

 8年連続の増額予算、ターゲットイヤーということで、様々な政策のゴールであって、4期目の最後の年でもありますが、どういう思いを予算について持っておられますか。

知事

 毎年の予算は県の政策の流れの中で、それをよりよく実現するためのひとつのツールでありますので、先ほど現状を折れ線グラフでみていただいたように、県債発行も含めて、どういう流れで予算が展開されてきたかということは見ていただいた通りですが、その流れのなかで8年連続で微増になっております。他方で公債費も右肩下がりで来ております。全体のバランスを注意深く見ながら、必要なところに予算をあてていくのが、まず基本です。政策課題はたくさんありますので、節度ある積極予算といいますか、あるいは慎重な積極予算というようなことになろうかと思います。内容的にも攻めと守りといいますか、今年ならではの、積極的に岐阜県の魅力を打ち出していくチャンスとしてとらえるということと、危機管理ということについては、怠りなく、守りをしっかりやっていくという、攻めと守りのバランス感覚といったところに気を付けながらやってきたつもりです。
 あと、4期目の終わりというお話がありましたけれども、そういう意識はありませんで、今ある、岐阜県の政策の流れのなかで、財政規律も大切にしながら、やれることを目一杯やっていこうという問題意識でありますので、先ほどみていただいた、予算の概要の最初のページに書いてあることを丁寧に積み上げていったということです。特に職員の皆さんも、一方でアイディアを出し、他方で財政規律とかの守りもやらなくてはいけないということで、大変苦労していただきました。最後は、県民の皆様に判断いただくのですが、そういう意味での目配りをした予算になったと思います。私どもはそういった思いでやってきたということでしょうか。

記者

 公債費については、順調に減らしてきて、全国的にもかなり上位になってきたということですが、最近ちょっと反転の兆しがありますが、規律という意味ではどのようにお考えでしょうか。

知事

 先々の見通しは、歳入も含めて、ある程度前提をおいて、例えば現状の財政規模で、これ以上、投資的経費を増やさないとしたらどうなるのかといった、試算値みたいなものは出しているわけなのです。全体として反転するとはいっても、急反転ではなしに、ある意味では急速に減らしてきたわけですから、それがある程度、なだらかに増えていくというのは、いろんな政策上の手を打っていく以上はやむを得ないと思います。例えば実質公債費比率でいえば、ひとつの目安では、10%を超えるかどうかというのは、大きいところだと思います。ざっと見渡して、先々そう簡単に10%まではいかないのではないかと思います。急速に借金を増やしていけば別ですが、これまでどおりの目配りをしながらやっていけば、10%にいくことはないのではないかと思っています。県債発行額も投資的経費をどうやるかということですから、試算は現状通りとしていますが、いまのところ県庁舎が終わると山が越せますので、県庁舎も約半分近くは基金を使うわけですから、ある年に一気に借金を増やすというよりは、基金と県債の組み合わせでできるだけなだらかにもっていこうと考えております。そういったハンドリングでなだらかな形での「増」というものはやむを得ないと思います。
 国土強靭化とか防災・減災とか、東海環状西回りもそうですけれども、国として積極的にここまでやるぞというときに、うちはお金がありませんので借金もできませんということで、断固断るというわけにもいきません。例えば東海環状であれば、どうせ造るわけですから、むしろ皆さんの願いは一刻も早くというわけですから、できるだけ早くやっていこうという姿勢をとりながら、財政規律のなかでどういうふうに位置付けられかを慎重にみていくということかと思っております。

記者

 今回、ターゲットイヤー2020という言葉を入れられましたが、年末からの会見では観光ビッグイヤーとお話されていました。ターゲットイヤーに関して、改めてこの言葉に込める思いをお聞かせいただけますか。

知事

 言葉使いの問題ですけれども、元々の問題意識は過去に遡りますと、(実質公債費比率が)全国第45位までいき、財政が相当ひどいという時に、相当切り詰めながら、職員の皆さんの給与カットもお願いしながら、他方で全国植樹祭あり、全国豊かな海づくり大会あり、国体ありということで、そういう大きな行事をひとつの節目にして、それをテコに岐阜の魅力発信をやっていこうということで、「清流の国ぎふ」というコンセプトもそういう中で辿り着いたコンセプトです。そうした中で、国体がひとつのピークだったのです。
 その後、海外展開とか、観光の基幹産業化とか、いろいろなことをやって、一定の投資もしていく中で、次の節目はどこかということになりますと、やはり東京オリンピック・パラリンピックが、全国的にいろいろなことに取り組んでいく、世界に向かって日本が発信していくという流れですから、岐阜県の国際戦略も当然その中で、その流れを活用していくということです。
 岐阜県の県産品の活用として、木材の活用もありましたし、賞状に美濃手すき和紙を使っていただく話もありましたし、食材も今一生懸命売り込みをやっているのですが、東京オリンピック・パラリンピックをめがけていろいろやってきたわけです。そこにいろいろなものがくっついて、だんだん足していくと、「エンジン01」もやっていきますとか、岐阜関ケ原古戦場記念館も2020年にできますとか、あれもできます、これもできますということで、2020年にずっと寄っていったといいますか、寄せていったのです。それから当然、事前合宿とか、ホストタウンとかいうこともあります。
 岐阜県全体は2020年という中で最大限、魅力発信をしようということで、スタートはオリンピックですが、そこにいろいろなものが足されてきましたら、昨年になってからリトアニアが杉原千畝イヤーだと、命のビザ80周年だと、生誕120周年だということなものですから、それも2020年かということです。ターゲットイヤーという言葉は、そういうもの全部を寄せ集めた言葉としてターゲットイヤーということで、その中にオリンピック・パラリンピックイヤーもあり、観光ビッグイヤーもあり、杉原千畝イヤーもあるわけです。また、杉原千畝イヤーも観光と不可分ですし、オリンピックも観光とは不可分ですから、それぞれ密接に繋がっているということで、全部を一言でいうとターゲットイヤーと言ったほうが、わかりやすいのかなということです。あまり深い意味は無いですが、そんなところです。

記者

 毎年、年度、年度の予算で流れていく中で、今年まいた種を後々で刈り取っていく、今年、以前まいた種を刈り取っていくという継続性があると思いますが、この新年度予算で、将来的に収穫を期待したい分野はどのあたりでしょうか。

知事

 ターゲットイヤー2020と言うと、2020年に何をやるかに関心が集まるのですが、私の関心は、ターゲットイヤーが終わった時に何が残るか、レガシーは何かということなのです。一つひとつの出来事なりに、キャンペーンなりに、政策なりにレガシーを残していくためにやっているのだということで、そこでやったことが国際交流に繋がったり、県産品の更なる売り込みに繋がったり、あるいは観光誘客に繋がったり、そういう大きなきっかけをターゲットイヤーということでやっていこうということです。目線としては、それをテコにどこまでジャンプできるかということなので、それぞれの政策についてそういう目で見ております。
 それから地方創生は5か年計画としてやっているものです。その2年目ということですから、今年でお終いということではなく、5か年計画の中で、1年目はここまできた、2年目はという流れの中で考えさせていただいております。
 それから、新しいコンセプトもそろそろ考えないといけないということで、先般議会でも問題提起がありましたけれども、清流木曽川といいますか、中山道といいますか、岐阜県の東西に繋がる帯をどういうふうにブラッシュアップしていくかということがあります。あの答弁をしましたら沿線の方々からいろいろとお尋ねがあったり、リクエストがあったり、ある意味では非常に期待をしていただいているものですから、どういうことに繋げていくかということも来年度、お金を使うというよりは知恵を出さなければいけませんが、ターゲットイヤーでいろいろなことをやっていく中で、この東西をどう繋いでいくかということを考えています。それから、武将観光でも東西を繋ごうとしていますから、その契機になるかもしれませんし、それからリニアをどう活かしていくかというときに、東西の帯というのはものすごく重要ですし、いろいろなところに繋がっていくと思います。
 そういう意味で、1年でお終いというか、何か行事をやったらお終いというつもりは全くなくて、要はレガシーのところに注目しています。

記者

 ターゲットイヤーということで、イベントを非常に手厚くやっていらっしゃる印象を受けますが、県民にとっての、これだけかける費用に対する効果がどのように出るかというところについて、改めてお考えをお願いします。

知事

 観光をイベントと考えるかどうかです。観光というのは、一つは地域の魅力をまず発掘して、磨いて、そして発信するということであって、その手続きがないと、観光は成り立たないわけです。つまり、地域の魅力をどういう場面で、どういうふうにアピールしていくかというきっかけのひとつがイベントでもありますし、そもそもアピールするためにはいろいろな準備をしなければなりません。それから、地域の人が、まず自分の住んでいるところに誇りを持たなければならないということで、積み上げが必要になってきますし、それをやることを通じて、国際交流に繋がったり、地域の産品がブレイクしたり、観光誘客、インバウンドが急増したり、さらにいけば観光がひとつの産業として大きく育っていくことになります。
 観光というテーマひとつをとっても、そういう大きな流れの中の一コマといいますか、火をつけるのがイベントです。例えば、大河ドラマをやって、テレビを見て、これは良いですねとなって、視聴率が上がった、盛り上がったということで、そのこと自身は良いのですが、ドラマというものが流れて、日本中の人が見ていただくときに、それだけではもったいないので、あのドラマと併せて岐阜のこの地の優れたものとか、過去において是非日本中に知っていただきたい出来事とか、産品とか、景観とか、いろいろなことを知ってもらおうということなのです。
 そういうものを大きくアピールしようということで、例えば、可児市もそうだし、岐阜市もそうだし、恵那市もそうですけれど、大河ドラマ館をつくるだけではなしに、その横に地元としてつくりあげたものがあります。例えば、この地域の魅力は山城だということで、恵那へ行くと、山城を今、徹底的にアピールしています。山城巡りということで、あの地域の歴史的な位置づけを多くの人に知ってもらおう、楽しんでもらおうと、インバウンドもやっていこうとアピールしています。
それから、朝ドラ(「半分、青い。」)で何が残ったかといえば、五平餅が残りました。今、全国で五平餅というのは、ひとつの岐阜の名産品として知れ渡っています。
 そういうようなことで、イベントはひとつの点火剤といいますか、きっかけだと思っております。ただ、点火するにはコストが要りますので、そのために予算があります。
 それから、例えば、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館ですが、これも各務原が歴史的に置かれた位置付けから、あのようなものをつくり得る場所にあって、それぞれの素材もあり、歴史もあるということでスタートしたのですが、国内のみならず、海外からも随分お客さんが来ていただいております。
 昨年の5月でしたか、プーチン・安倍会談のひとつの合意事項として、10年ぶりに日ロ知事会議をやろうということになりました。岐阜県は実はロシアと直接どうこうということはなかったのですが、航空宇宙博物館をつくったばかりだったものですから、ロシアはスプートニクとか、ガガーリンとか、テレシコワとか、パイオニアですから、航空宇宙博物館協力をやって、これを通じて子どもの交流をやろうとか、いろいろなことを提案したわけです。
 あれから、かれこれ半年以上経っているわけです。それで、今ロシアへ行ったら、日ロ知事会議の唯一の成果はこれだと言われています。何が起こったかというと、モスクワとサンクトぺテルブルクと、カルーガ州といって、モスクワから車で南西に3,4時間行ったところで、ロシアの「ロケットの父」と言われている方の生誕地に立派な航空宇宙博物館があるのですが、そこも入らせてくれということになっています。そこからモノを持ってくるとか、2月11日の祝日には、通訳を入れて、リアルタイムの映像で子どもたちの交流をやろうということもあります。これも結局、あのようなものをつくったことで、いろいろな広がりが出てくるわけなのです。
 岐阜関ケ原古戦場記念館も国内の人に見ていただきたいということもあるのですが、今ゲティスバーグへ行くと、関ケ原コーナーがあります。甲冑が置いてあるわけです。それから、ワーテルローへ行くと、やはり関ケ原コーナーがあって、ワーテルローの方々が何と言っているかというと、関ケ原と組んだおかげで予算がとりやすくなったと言われています。
 そういったことで、人の交流、モノの交流、歴史の交流があるわけで、それやこれやで、ひとつのきっかけとなって広がって、それがどこまで広がっていくかは、絶えず企画をどんどん進めていかないと飽きられてしまいますので、つくった後の努力も必要となってきます。
 それから、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館をつくったおかげで、今報道されはじめましたけれども、「研三(けんさん)」というプロペラ機としては未だ破られていない最速記録を出した戦前の各務原のプロジェクトのドキュメントが見つかったということで、大々的に企画展をやろうとしているわけです。
 そういったことで、どう使っていくかを当然きちっとフォローしないと、つくっただけでは意味がないので、フォローも含めてしっかりやっていって、そこに新しい広がりができれば、つくった甲斐があったということになるのではないかと思います。
 そんなことで、つくれば必ずこうなるということではなしに、やはりその後の努力とか創意工夫があってのことだと思います。そういう努力を惜しまないということが大事だと思っております。

記者

 財政規律の関係ですが、平成21年から24年の間に起債許可団体となり、職員の給与カットも行い、非常に厳しい改革をされた歴史がありましたが、今回の予算編成にあたって、知事から財政規律に関して、具体的に指示されたことはありましたか。
 あと、庁内の雰囲気、予算に対する緩みのようなものを感じられるのか、あるいは当時の危機意識というものが今も継続されているのか、教えてください。

知事

 やはり、実質公債費比率が全国45位となって、給与カットまでやったわけですから、その時の衝撃というのは残っていると思います。それから、8年連続で増えたというのは、増えてはいますが、例えば先ほども申し上げましたように、消費税が上がりました。それに伴って歳入が増えました。その歳入の増えた分の半分は、市町村に対する交付金になります。残りの半分は無償化とか、社会保障の構造的な「増」に使うとなると、増えたとは言っても、それで消費税で増えた分は終わってしまっているわけです。そうすると、実質的に予算を組み立てるときに、逆に職員の皆さんもいろいろ組み立てていくにしても、緩めるはずがないのです。財政担当のほうには、やはりそうは言っても、一方で災害対策とか、強靭化対策とか、あるいはインフラづくりとか必要だけれど、他方で下がってきたものが、逆に反転することに対しては切り替えていかなくてはならないし、急に緩んではいけないので、今までこれだけ我慢してきたから緩めていいよという話ではないと言っています。
借金というのは、蓄積されていくわけで、減らしていくのにすごい努力が必要だったわけですが、一旦増やしていくと、また減らすのにものすごい努力が要るわけです。そういう意味で、すごく時間をかけて努力が要るわけです。
 例えば、今の制度は、借金をすると30年返還なのです。30年間にわたってずっと積まれていくわけです。30年経たないとこの借金はゼロにならないわけです。
 そういうふうに、根雪のように積もっていくものですから、見かけ上借金の30分の1しか返済額が出てこないと言っても、どんどん根雪が積もっていくわけなので、そこは緩んではいけないという話は、財政当局にはしておりますし、そこは慎重にやってもらったと思っております。
 それから、逆に要求するほうからしても、今の仕上がりが、今申し上げましたように見かけ上の「増」分は相当そういうことで食われていますので、あるいは国の景気対策という中で食われていますので、そんなに良くなったとか、緩やかになったというふうには思われてないのではないかと思います。
 逆に、もっともっと知恵を出していただいて、必要な予算ができればと思うのですが、かなり厳しく査定をしております。
もう一つは、言い忘れましたけれども、豚コレラ対策も半端ではありませんで、今年度、結局締めて34億円、それから来年度は、どういう展開になるかわかりませんが、現状の推移のなかでワクチンを打っていくと17億円で、足すと51億円です。これは全く予期できない出来事ですし、これからまた何が起こるかわかりません。そういったことも予算の中で飲み込んでいかなければならないわけなので、かつ飲み込みながらこういう形になってきているので、私自身としては、やはり慎重な流れは崩れていないと思っております。

記者

 予算概要の中で、危機管理の段落のところで、新型肺炎についても触れられている一方で、その項目が見当たらないのですが、補正予算を考えておられるのか、今のお考えをお聞かせください。

知事

 新型肺炎については、とりあえずは、今年度の予備費で打つ手は打ちました。あとは状況を見ながら、柔軟に手当てをしていこうというのが現在のスタンスです。
 予備費で何をしたかというと、感染発生時に必要となる経費ということで、患者の移送車、それから移送用の陰圧装置を4つの保健所に購入して配置するとか、防護服をはじめとする防疫関係機材の準備を行っています。
 それから間接的な話ですけれども、むしろこちらのほうが先に話題になってしまいましたが、宿泊関係が影響を受けるものですから、割引クーポン券を発行させていただいて、ダメージを少しでも減らすということです。今日の午前中だけで3分の1のリクエストがありまして、これは岐阜県にお泊りになる方に使っていただくわけですが、すごくリクエストがあったようで、それだけニーズがあるということかと思います。
 ということで、まずは予備費で今対応しております。そして状況を見ながら、必要なものは足していくということで、現時点で、定かな絵は描けませんので、むしろそういう柔軟な対応でと思っております。
ですから、この当初予算には明確に書いてはありませんし、組んでいるわけではありません。

司会

 それでは知事定例記者会見を終了いたします。

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