ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 知事記者会見 > 令和3年度 > 知事記者会見録(令和4年4月18日)

本文

知事記者会見録(令和4年4月18日)

記事ID:0220150 2022年4月20日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

※知事、座長及び記者の発言内容については、事実誤認や単純ミスと思われる字句、重複した言葉づかい等を整理の上、発言の趣旨を損なわない程度に整理して作成しています。

令和4年4月18日(月曜日)15時30分

司会
 それでは、知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 まず発表項目の一つ目、「第39回国民文化祭及び第24回全国障害者芸術・文化祭の基本構想の発表」です。本日は、基本構想検討会議の座長である日比野克彦 県美術館長にもご出席いただいております。
 進行については、まず日比野座長から基本構想の概要についてご説明、その後、知事からのご発言、質疑応答、そして、最後に大会ロゴパネルとともに写真撮影という順で進めさせていただきます。
 では、さっそく日比野座長から基本構想の概要についてご説明いただきます。

日比野座長
 よろしくお願いします。岐阜県美術館館長、今回は基本構想の座長ということで、出席させていただきました。
 改めまして、令和6年、2024年に岐阜県で開催する第39回国民文化祭及び第24回障害者芸術・文化祭の基本方針、名称、会期などをお知らせいたします。
 みなさんのお手元にはすでに骨子を書いてあるものがありますので、そちらの方でご確認していただきたいと思います。
 私の方からは、国民文化祭、そして全国障害者芸術・文化祭を岐阜県で行う意義、そして今、このコロナという時代、そして新しい生活が求められるこの時代の中における文化の役割というようなものも、今私が考えていることをお伝えしながら、発表させていただきたいと思います。
 今回、大会の基本方針ということで、「発信」「次世代」「共生」「オールジャパン」の4つの観点から基本方針を進めていきました。
 大会の名称は「『清流の国ぎふ』文化祭2024」というものになり、キャッチフレーズは「ともに・つなぐ・みらいへ ~清流文化の創造~ 」に決定いたしました。
 会期は2024年10月から11月までの40日間の日程で行う予定になっております。
 一時、コロナ禍で不要不急というようなこともありました。美術館が閉まり、映画館が閉まり、劇場が閉まり、人との交流の場が減り、その中で人間がどのような状態になっていったのか、失くしたことによって文化の大切さというものを感じたこの2年間というものがありました。国をつくる、そして社会をつくる基礎部分というものが、私の中ではまさに文化だと考えておりますし、「人間」というものの定義があるとすれば、それは「創造する力」「文化を築く力」そして、「共に文化を共有し次世代に伝えていく力」こそが「人」たる所以だと考えております。
 その中で、このような経済、住環境というものを我々の生活の中で、地球で人間が暮らしやすいように開発してきた科学技術というものがありますが、それの変調により、地球というものも考えなくてはいけない、今はそんな時代になってきております。今、世界はロシア、ウクライナのような、そんなようなことが起こるのかという時代で、同じ過ちを繰り返すようなことも起こっております。人間の「心」というものが一体どこにあるのか、それぞれの築いてきた地域の文化というものを破壊し合うような局面もあったりしますが、それを起こす、そして収めるのも人の「心」だと思います。人の「心」をきちんと育んでいくというものが、それぞれの地域の文化にあると考えております。2024年に行う国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭、次の時代にどのようなものを発信していくのかというものを、きちんと文化を通して、まずは参加する。そしていろんな地域、42市町村で行われる様々な文化行事というものに参加する方々、それを鑑賞する方々、それを発信していく関係者の人たちと一緒になって文化の大切さというものを伝えていきたいと思っています。
 また、国民文化祭が終わった後、どのようなものがレガシーとして残っていくのか。これはオリンピックでもレガシーという言葉は多々聞きましたし、打ち上げ花火で終わるのではなく、きちんとそこに、文化に携わる人材を育成していけるような国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭にしていきたいと考えております。
 後ほど、また質問でいろんなことをお答えしたいと思いますので、まずは概要を話させていただきました。よろしくお願いします。

司会
 ありがとうございました。
 次に知事から発言をお願いしたします。

知事
 今、日比野座長からご紹介いただきましたが、この基本構想は、いわば「大会のグランドデザイン」というべきものでありまして、令和6年度の国民文化祭、それから全国障害者芸術・文化祭に向けて、いよいよ最初の第一歩を踏み出すことができたということでございます。
 日比野座長におかれましては、この基本構想策定に積極的な役割を果たしていただきまして感謝申し上げます。
 今お話があった通りでありますが、要は、アフター・コロナ時代における清流文化の創造を目指すという方向でこの基本構想をいただいたというように今、理解をしているわけであります。今後の段取りでありますが、来月、具体的な文化祭の開会式、閉会式、あるいは実施事業の企画といったものを検討する企画委員会、これは有識者の方々から構成されるものですが、これを立ち上げていく予定でございます。
 それから、7月には県の実行委員会を設立いたしまして、「オール岐阜」で準備を本格化するという実行のための組織も拡充する予定でございます。
 そして、大会の機運を醸成するためにロゴマークの公募もしたいと思っております。それぞれ決まり次第、ご報告したいと思っております。
 日比野座長は、ご案内のようにこの4月1日から東京藝術大学の学長に就任されたわけでありまして、大変お忙しい中ではありますが、引き続き、大会の成功に向けてお力添えをお願いしたいと思っている次第ですのでよろしくお願いします。

記者
 日比野座長にお伺いします。今伺った限りだと、アフター・コロナというのが一つのテーマになっていると思います。このコロナというところをどのように伝えていくために、具体的にこういうことをしていきたいというものが初期の構想段階で何かありましたら教えてください。

日比野座長
 文化というもの、人が集うことによって、ともに共感し合うというもの、その集うということがコロナによって、これまでのように対面する、同じ場所に集まる、時間をともに過ごすということができなくなった、しにくくなった。しかし、その代わりに、オンラインとかネットワークを使っての共有する時間、場を一つ作るようになっていった。きっとコロナがなかったらこのような、加速的にデジタルネットを使っての交流はできなかったと思います。
 同時に、ネットワーク、そして端末の進化に伴い、「リアル」と「バーチャル」の2つの空間が今できつつあります。これは人間にとって思考さえも変化させていく時代になっていくと思います。使う道具が違うことによって思考が変わってくる。例えば、原稿用紙に万年筆で字を書きながら文章を作るというのと、タイプ打ちしながら文章を作る作り方、そしてスマートフォンの中で親指一本で作る文章の作り方、やはり道具、端末が違うと思考回路も違ってきます。それはある部分、枝分かれしていく人類の進化、生態系のような分化の動きだと思います。ですので、アフター・コロナというより、一つの大きな、災害とは言いませんが、生活が変容せざるを得ないような影響力のある現象が起きた場合、必ず、そこから新しい生活様式、考え方、イコール「文化」が生まれてきます。百年経った後に振り返った時、2020年の新型コロナウイルスによって、人々の生活が変わり、思考が変わり、そこから今の文化が生まれていった背景には技術革新というものもあったということに必ずなっていくかと思います。
 片や、そういうものを経ながらも千年、二千年続いている文化というものもあります。その両方をきちんと継承していくのが今の2024年に国民文化祭を実施する我々の役割です。継承していくものと創造していくものの2つがないと、文化というものも次の時代に出てこないので、コロナというものも、ある部分、医学的には大変な災害に近いものであったかもしれませんが、長い目で人類が新しい文化を創る上では、これまでも何度も繰り返されてきた一つのきっかけ、刺激になっていくのだと、そんな俯瞰した視点で捉えて進めていきたいと考えています。
 具体的にどういうものになるかというと、まずはデジタル的なネットワークの活用ということで、特に全国障害者芸術・文化祭の方は、アクセシビリティの部分では、これまでにないようなデジタル機器を使った鑑賞の仕方とか発信の仕方、普段だったら行けないが、それが行けるようになる、見られるようになるということです。このこともデジタルを使ってのアクセシビリティというものが、どんどん日進月歩、進化していますので、特に、デジタルということで言えば、全国障害者芸術・文化祭の方に焦点が合うと思います。
 片や、心の問題、「豊かさ」は何をもって「豊かさ」になるかということになってくると、そこはデジタルではなかなかフォローしきれない、やはり対面で人と会う、共有する、リアルなものを手に触れる、感じる、五感に伝わってくるというものはとても文化のうえで大きな要素になってきます。デジタルの部分というのは、その場所がどこからでも、いつでもというフリーな部分がありますが、「岐阜」という場所で開かれ、その土地に根差したというところでは、心の触れ合いというものをより強調した発信の仕方なので、その両方をきちんと両立させて見せていけるようにしたいと思っています。

記者
 日比野座長にお伺いします。2年後となると医療も進歩していると思いますが、感染状況がどうなっているか分からないです。全国から人に来てもらい、大勢の人が来られることに対して、不安に思っておられる方や、もしかしたらよくないと思っている方もいらっしゃるかもしれません。改めて、2年後に国民文化祭をされる一番の意義はどういったことでしょうか。

日比野座長
 一番の意義は、文化というものが人にとってとても重要であるということは伝えていきたいです。
 それで、どこからでもアクセスできる、そして選択肢がある、自分はそこに行けないから、行かない。行くのが少し不安だから違う方法で参加したい。そのような選択肢がたくさんあるというのは大事だと思います。自分はそこに行きたい、会いたい、直に見たいという様々な、百人いたら百人のアクセスの仕方、心の持ちようがありますので、無いから行けないとか、我慢して行くというものにならないような、たくさんの選択肢があるということがとても重要なこととなります。それはデジタル技術であったりとか、コロナの感染対策をすることによって、いろんなアクセシビリティが経験値、これまでも岐阜県に限らず、世界中がいろんな経験をどんどん積んでいますので、そこをしっかり取り入れて展開していきたいと考えています。

記者
 全国から来られた方々に、岐阜のどういった面をPRしたいと思われていますか。

日比野座長
 岐阜に限らず、それぞれ人間には生まれた場所があります。例えば、将来的にはDNAを操作して、生まれた場所が土地ではなく、違う空間の中で生まれるということもあるかもしれません。生まれた場所があり、そこで初めて飲んだ水があり、食べた味があり、見た花がある。僕も岐阜で生まれたわけですが、初めて立ったのも岐阜の土地でしょうし、初めて見たものは岐阜のものから始まっている。それぞれが経験値を得ながら、いろんなところを動くわけです。しかし、同じところにずっといると違いが分からない。土地を離れて初めて自分の生まれた場所に無いものがあったりとか、あるべきものが無かったりしたときに、自分たちの土地らしさというものが分かってきて、それが誇りになったりとか、自分のアイデンティティになっていくわけです。
 国民文化祭に限らず、地域との交流という、このようなプログラムの意義のあるところというのは、様々な価値観を持った人たち、似ているけども少し違っている、違っているけども似ているところもあるというような人たちと出会うということで人が育まれる。人が育まれる一番の大きな力というのは、人との出会い、人が人を育むということだと思います。いろんな人たちと出会う、この国民文化祭、オリンピック、スポーツプログラムもそうですし、日常の中のというか、例えば、ホーム・アンド・アウェイで行われるようなJリーグの試合とか高校野球とか、様々な地域の人たちがそこに集まって、一つのルールの下でとか、プログラムの下、交流するというのが、どれだけその人間を育んできたかというのは、経験した人たちが実感していると思います。国民文化祭も、踊りを踊っている人たちが集まる、演劇をしている人たちが集まるということによって、大きな人間の力を育むきっかけにはなっていくと思っています。

記者
 日比野座長にお伺いします。キャッチフレーズの「ともに・つなぐ・みらいへ~清流文化の創造~」に込めた思いを教えていただけますか。

日比野座長
 「清流」というキーワードは、国体のときからずっと、これまでも岐阜の中で大きく使われてきた言葉です。「清流」という1つのキーワードの一番の魅力として、川というのは、いろんな地域を繋いでいきます。源泉なり源流なり、それが谷を通っていろんな地域を通って最後には大海に出ていくということです。岐阜の様々な清流がいろんな市町村を繋いでいく、そして県も越えて海に出て、そして国も越えてということです。「ともに・つなぐ・みらいへ」というのは、清流の持っている、川の持っている、大きな大きなイメージ。「ともに・つなぐ・みらい」というものを1つの現象として何に例えるかというときに、清流という川をイメージすれば、いろんなものが繋がっているということで、清流の川が海に運んだりとか、ともに育み、それが未来に繋がっていくというのは川の持っている相対的なイメージです。視覚的にも岐阜の県民の人たちは川に対するイメージをすごく持っていると思いますので大会のキャッチフレーズとしました。

記者
 知事と日比野座長の2人にお伺いします。この基本構想の中で「ぎふブランド」という言葉を使っているのですが、「ぎふブランド」というのをどういったところに感じていらっしゃるのかということと、「岐阜ならでは」の大会ということで、何か考えていらっしゃることがあれば教えていただけますか。

日比野座長
 岐阜ならではというのは是非出していきたいと思っています。具体的には企画委員会がこれから立ち上がりますし、実行委員会も含めて、その中で委員の方々と、岐阜ならではの国民文化祭、あるいは障害者芸術・文化祭というものを考えていきたいと思っています。その中に、冒頭にも述べさせていただいた、文化に携わる人達の人材育成というものがレガシーとして残るようなものを発信していくということを「岐阜ならでは」のという所で作っていきたいと思っております。

知事
 私の立場からしますと、清流というのは先ほど日比野先生から話もありましが、岐阜県のブランドであり、アイデンティティであり、魅力であるということですから、その「清流・岐阜らしさ」というのは、この文化祭で言えば、清流文化というものをこの機会に県民挙げて発信をするというか、あるいは持ち寄って、これこそ清流文化なのだと、こういうものを岐阜県としては作り出して、見つけて作って発信していくのだという流れを県民挙げて作っていくチャンスにしたいというのが「岐阜県ならでは」だと思います。
 同時に国民文化祭ですから、全国の様々な文化がそこに結集するわけであります。そういう中で岐阜らしさをみんなで考えていくことが岐阜県の未来づくりにつながっていくという思いで、これから企画委員会で練っていきます。あまり予め狭い枠組みにはめないで、自由に、文化に広く盛り込んでいけたらと思っております。

司会
 それでは、写真撮影に移らせていただきます。知事と日比野館長はご起立いただきまして、大会のロゴパネルを二人で一緒にお持ちください。

(写真撮影)

司会
 それでは、記者会見を再開したいと思います。

知事
 まず1点、企画をご紹介したいと思います。1つは鹿児島県と岐阜県の姉妹県盟約50周年の記念式典及びこれに伴う知事懇談会の開催ということでございます。これは宝暦年間に木曽三川の治水工事を成し遂げた薩摩義士の方々に対する顕彰をご縁として、両県は姉妹県としての盟約を結んできております。ちょうどこれが半世紀を迎えたということでございます。これを記念して、塩田鹿児島県知事をはじめとした鹿児島の関係者の方々をお迎えし、4月24日に式典を開催したいと思います。また、塩田知事とは、岐阜関ケ原古戦場記念館の5階の展望室で知事懇談会をやりたいと思っております。これは皆さんにオープンでやりますのでよろしくお願いいたします。
 昨年、実はちょうど50周年ということではありましたが、コロナの状況から1年延期しての開催ということでございます。10周年、20周年、30周年、40周年とずっと来ているところでありまして、特に、この10年間について言いますと、薩摩藩の島津家の居城「鶴丸城御楼門」を再建するということで、そこの大扉に岐阜県のケヤキを贈呈させていただきました。平成27年に友好の証プロジェクトということでこれをやらせていただきました。それに関わった関市の亀山建設の社長さんの講演とか、海津市の治水神社に最も近い大江小学校のお子さんたちの子ども狂言とか、いろいろとパフォーマンスをやっていただこうということでございます。最後に、岐阜県がお届けしたケヤキの、門に使った部分の残りで薩摩琵琶を鹿児島県が作っていただいたということで、これを贈呈していただくということになっております。半世紀を1つの契機として、さらに今後も交流を進めていきたいと考えております。
 両県ではこれまで薩摩義士の顕彰に関わる顕彰式のようなものや、子ども、教員、職員の交流でありますとか、相互の物産観光のPRですとか、あるいは、スポーツその他防災訓練とか事業面での連携とか、様々なことをやっているわけで、そういったことを振り返りながら、さらにこの先も積極的に交流を進めていきたいという趣旨でございます。
 それから、もう1つが、リトアニアのカウナス市における日本イベントへの岐阜県の参加ということでございます。今年は、日本とリトアニアの友好100周年ということでありまして、そういう中で、リトアニアのカウナス市、これは杉原千畝さんのおられました元日本の領事館の建物がある場所でありますが、カウナス市が今年の「欧州文化首都」に選ばれておりまして、様々な文化行事をやっておられます。その一環として、日本の芸術文化を4月25日から5月1日までの一週間集中的に発信するためのプログラムがありまして、「Japan Days in Kaunas WA(ジャパン デイズ カウナス ワ)」というイベントをやります。そのクロージングコンサート、閉会式の場で、ビデオ出演にはなりますが、先日(飛騨・美濃観光大使を)委嘱しました加藤拓三さんによる和太鼓の演奏でありますとか、田中旭泉さんの筑前琵琶演奏がご披露されることになっておりますし、私もビデオメッセージを現地に送らせていただいております。これらの結果については、また開催後お知らせしたいと思っております。
 それから友好100周年でありますので、岐阜県側におきましても今年で5回目となります「リトアニアNOW2022」を夏に開催いたしまして、リトアニアとの交流を更に発展させていきたいということでございます。コロナ禍で一定の制約はありますが、これまでの文化あるいは子どもたちの交流等、あるいは杉原千畝の人道精神にまつわる交流など、そういったものの延長線上で可能な限りしっかりとした「リトアニアNOW」をやっていきたいと思っております。
 以上が、当面が予定しています2つのプロジェクトでございます。
 それから、お手元にグラフをお配りしておりますが、新型コロナウイルスのこのところの状況でございます。このところ陽性者数が前週比で増加する日がずっと続いてきております。結果として、10万人あたりの新規感染者数は211.14人でこれは今日現在の数字であります。3月22日に一旦131.30人にまで下がったわけでありますが、その後上昇に転じてきているわけであります。それから病床使用率も徐々に上昇しまして、今や30%を超えまして、再びレベル3に展開するということでございます。重症者は今のところ1名でございますが、陽性率は引き続き25%程度の高い値を示しております。このところ増加傾向にあるということでございます。
 全国的にも本県と同様の流れを辿っておりますが、国のアドバイザリーボードでは感染状況の推移について非常に地域間の差があるということで、特にピークから十分に減少しないままに上昇に転じている地域については要注意ということをおっしゃっておられます。本県は先ほど申し上げましたが、3月22日に131.30人まで新規感染者数が下がったわけでありますが、これはなお、第5波のピークの114.01人を上回っているわけでありまして、高いレベルで反転し始めているということでございます。したがって、感染が落ち切らない中での拡大傾向ということで、これを第6波が再び拡大したというように言うべきなのか、あるいは第7波として捉えるべきなのか、この辺のところは、今晩、専門家会合を予定しておりますので、専門家の先生方にもご議論いただきたいと思っておりますし、国の方でも議論が進んでいるところでございます。
 いずれにせよ、新たな感染拡大局面に入ったのではないかと見ているわけでございます。感染が高止まりしている中では、特に10代を中心に感染が増加傾向でありまして、新学期が始まり、これまで以上に感染の拡大を懸念しているところでございます。お手元の資料の最後に年代別のワクチン接種率をお配りしております。全年齢を取りましても、あるいはどの年齢層をとっても、岐阜県は全国平均よりは接種率は高いわけでありますが、50代以上については全国第1位、下へ下がっていきますと、全国順位もさらに下がってくるということで、やはり若い人の接種率が依然として低い数字になっているということであります。それから、この辺がどのように進むかというところが1つのポイントかと思っております。第6波は重症化リスクが低いとは言われておりますが、高齢者などのハイリスクの方にとっては依然として、重症率・致死率が共に高いということで、こうした方々を守っていくということが重要であると考えております。
 数字で申し上げますと、これはお配りしていませんが、重症化率が第6波では、これまでのところ岐阜県の場合、全世代で言いますと、0.04%、このうち、59歳以下で見ますと0.02%、60歳以上で取りますと0.19%ということで、60歳以上の高齢者層の重症化率が圧倒的に高くなっているということでございます。
 それから致死率、陽性者の中でお亡くなりになる方の割合でありますが、第6波について全世代で取りますと、0.17%、これを59歳以下で見ますと0.01%、これに対して、60歳以上にいきますと1.21%ということで、やはり60歳以上になるとぐんと増えるわけです。なお、第6波での本県における死亡者の96%が60歳以上ということであります。
 グラフを見てもらいましたが、依然として高止まりの状況が続いておりますので、保健所等の検査、調査等、実務的にもかなり厳しい状況になってきております。疲弊している状況でありまして、先日の専門家会議におきましても第6波の特性を踏まえて、限りある医療資源あるいは人材資源を適切に配分・重点化して、命を守る医療検査体制を維持すべきでないかというご意見をいただいております。つまり、先ほど見ていただいたような重症化率、致死率の高い高齢者を含めたハイリスクの方々をどう守っていくかというところを重点的に検査、療養体制を考えていくべきではないかというご意見であります。
 これからいよいよゴールデンウイークを迎えるわけであります。また、BA.2への置き換わりが進んで来ております。そういったことから、守るべきところは守りながら、現場の負担も考慮した対応の在り方ということで、今晩、専門家会議で議論を進めていきたいと思っております。明日には教育関係の推進協議会を開催しまして、さらに反転が進んだ場合における学校の臨時休業あるいは学級閉鎖の基準について改めて議論したいと思っております。
 さらに今週の金曜日には全県的な対策協議会、本部員合同会議を開催し、「オール岐阜」でゴールデンウイーク前の今後の対応方針について再整理をして共有していきたいと思っております。同じく金曜日には東海三県知事会議を開催いたしまして、感染防止対策なり、それに伴う社会経済活動の在り方について、改めて議論していきたいという流れであります。
 ということで、反転しつつある中でゴールデンウイークを迎えるということを踏まえた拡大危機にどう備えるかという観点からの対策を、今週それぞれの会議を通じて整理をして発表させていただきたいと思っております。また、逐次ご報告したいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 私の方からは以上であります。

記者
 コロナの感染状況の認識について、今ご説明いただきまして、今後専門家の方々に相談されることも多いということですが、現状は依然として高止まりが続いている状況の中で、現時点で行動制限ですとか、そういったところも視野に入れてご相談されるということでしょうか。

知事
 第6波の経験を踏まえながら、新規感染者数がどの程度のレベル、あるいは在宅で療養される方がどの程度のレベル、あるいは病院・ホテルは、先々のリスクの高い方の収容可能性を含めて、どの程度の水準で維持していくのか、それを超えんとするときに、どこを重点化するのか、あらゆることは同時にできませんので、本格的な爆発状況が万が一にでも生じたときに、どういう重点化をしていくのかというあたりを議論しようということです。例えば、今起こっている状況はこれまでのやり方で対応可能ですが、それがおさまらない状況のなかで、どう対応していくかということです。これまでやってきたような規制も選択肢にはあると思いますが、いきなり規制に入るのではなく、どこまで持ちこたえられるのかというあたりも議論しながらその先を考えるということです。
 学校についても一つの塊として、ある状況になったら学級閉鎖なり休業してきたわけですが、その辺のスタンダードを現状に鑑みてどの辺に置いて考えたらよいのかということを、この際きちっと議論しようと思っております。

記者
 リニアの関係で、金曜日に県としての意見をJR東海側にお伝えしたかと思います。昨年10月に県の方から工事の一時中止を要請して、問題がクリアになるまでは中止というお話だったかと思いますが、この要請については、金曜日の県の確認書をもって、要請は無くなっているという認識でよろしかったでしょうか。

知事
 私どもが了解しているところでは、知事意見に対するJR東海の回答がでてきたわけで、この回答について妥当かどうかということを、専門家の先生方も含めて検討してまいりました。それから地元の自治体もこれをみて、いろいろと意見をいっておられます。そういうのをトータルとしてみたときに、今回の回答については了解できるものであるということであります。今後これを整理した環境保全計画書の書き直し作業があるわけで、これをやっていただいて、最終的には環境保全計画書を県に出していただくということです。それから地元の住民の方に対する説明も並行して行うということが残っておりますので、それらが終わったところで工事再開という運びになろうかと思います。

記者
 コロナワクチンのことで、今日いただいたグラフだと、どうしても10代とか30代の接種率が低くなっていますが、これを上げていくために、県として考えている接種の推進策などがあれば教えてください。

知事
 最終的には、お一人ひとりのご判断ということでありますが、ワクチンを打った方と打っていない方の陽性率の違いとか、最近、典型的にリスキーなケースは、ワクチンを打っていないお子さんから家庭内の高齢者に感染して、それが非常に重症化するというケースが結構あります。そういった状況のご説明とか、そもそもワクチンの副作用とかそういった部分についてこれまでの実態とか、そういったことを丁寧に県でも、市町村でもワンボイスでご説明して、検討を促していくということかと思います。

記者
 重症化率と致死率を世代別で教えていただきましたが、年配の方については、ワクチンの接種率が全国一位ということで、他県に比べて60代以上の重症化率や致死率が低いとかそういう効果とか成果とかが出ているようであれば教えてください。

知事
 先ほどご説明した59歳以下とか、60歳以上で切ってみると重症化率とか致死率で、優位な違いが表れているというのが一つのデータだと思います。あとは、どんなデータでしょうか。

記者
 例えば岐阜県は、50代以上の方では全国1位の接種率なので、60代以上の重症化率や致死率も全国に比べて低いということもありうるのでしょうか。

知事
 県別の重症化率の順位ということでしょうか。このデータは公式に特に発表されたデータはありません。

記者
 今後、専門家会議でご議論いただくことかと思いますが、現状として新たな感染拡大局面に入ったのではないかというご認識ということで、これは、第7波の入口にある可能性があるということでしょうか。

知事
 さきほど、まどろっこしいことを申し上げましたが、第6波が下がってきて、下がりきらないというか、第5波のピークに比べればはるかに高いところで反転していますので、まだまだ第6波が続いているということで、第6波として反転したと考えるのか、それともBA.2への置き換わりも進んでおりますので、これを第7波と言ってよいのか、その辺は、専門家の先生方のご議論をうかがいたいと思います。いずれにせよ反転拡大の傾向の中にあるのではないかというのが基本的な認識です。

記者
 現在の県の基準指標は、当時のデルタ株の状況を参考にされているかと思いますが、今後見直しの可能性等は検討されていますでしょうか。

知事
 今のオミクロン株をどのように考えるかということなのですが、デルタ株のときの基準がそっくりそのまま適用できるとは思っておりません。いま、まだ第6波か第7波かというあたりで、まずオミクロン株の帰趨を見極めるまでは中途半端に数字をいじってもかえって混乱しますので、まずは反転傾向のなかでどこまで対処可能なのか、あるいは、検査とか療養体制についてどの程度維持が可能かどうか、このところ医療関係者から通常の手術とか、診察の方に非常に影響がでてきているということで、医療資源を次々とコロナの方に振り向けるだけで良いのかという議論もあります。感染者数の急増のなかで、ある種の対策の限界のところが見えつつあるものですから、そこをどう考えるかというところに、フォーカスしたいと思っております。2波がどこで3波がどこでというのは、一応目安としては今までのものは維持していきますが、それよりもむしろ反転状況への対処というところに今週の議論はフォーカスしていきたいと思います。

記者
 BA.2への置き換わりについてですが、現時点でどのくらいの割合で置き換わっているのかというのを教えてください。

知事
 岐阜県の場合、直近ではざっと6割弱と承知しております。

記者
 時期としてはどこからどこまでか、今ご承知でしたらお教えください。

知事
 現時点で、陽性者を分析すると6割近いところまでBA.2に置き換わっているということです。

記者
 今週、いろんな会議を経て対策を決めていかれると思うのですが、今日の時点で知事から県民の方への呼びかけがありましたらお願いします。

知事
 第6波について、減少傾向がこの3月下旬から4月にかけて見られたわけでありますが、「まん延防止等重点措置」もそういう意味で、解除したわけであります。しかし、完全にまだ下がりきっていない中で、反転気味にあるということであります。若い人のワクチン接種率が低いということもあって、若い人が中心に感染するということでございます。しかし、高齢者の方々の重症化は、かなり高い率で進んでいくという状況です。それぞれお一人お一人が、ご自身やらご家族やら、大切な方を守っていくためにぜひもう一段、日ごろの行動について感染防止の観点から、いつも申し上げております三密の回避だとか、消毒とか、うがいとか、手指の洗浄とか、あるいは体調の悪い時には出かけないとか、そういう基本的な所作について改めて徹底していただきたいと思っております。このことは、今後、ゴールデンウィークに入りますとさらに人流が増えてまいりますし、それからいろいろな調査によると、旅行に行きたいという人がかなり増えてきていると聞いておりますので、ぜひ行動については慎重に考えていただきたいということが現時点で申し上げたいことです。
 それから、BA.2への置き換わりの話が先ほどありましたが、感染力が3割くらい高いというわけですから、思い起こしますと、第6波は、フェーズ1からフェーズ4までわずか6日間で急上昇したわけであります。それよりもさらに3割感染率が高いというのがBA.2だといわれておりますので、これにさらに火がつきますともっと急激に増えていくことが懸念されているところであります。そういう諸々を考えてみますと、やはり慎重に、十分な警戒をしながらの生活を送っていただきたいと思っております。

記者
 5歳から11歳の小児ワクチンについての考え方を教えてください。

知事
 国としては勧奨するという立場でありますが、あくまで本人といいますか、家族のご判断に基づいて対応していただくということであります。特に小さいお子さん方は、なかなかマスクもしづらいところもあります。ワクチンの接種状況も、岐阜県の場合、この5歳から 11歳の世代がいま大体、7%、8%くらいまで打っておられますし、予約ベースでいいますと15%くらいまではいく見通しであります。そういったワクチンを打った方々の状況についても情報をきちんと提供したいと思いますので、それぞれに慎重にご判断をいただければと思っております。

記者
 県としても勧奨しているということでしょうか。

知事
 最終的なご判断として、ご検討いただきたいという形です。

記者
 県民割の件ですが、ブロックとか周辺県に拡大するようなことは検討なさっていますでしょうか。

知事
 いまのような状況ですから、私どもとしては、県民による県内の旅行について割引するという県民割をやっているわけでありますが、いまの状況、先ほどご説明した状況のなかでは、これをさらにブロックまで広げるということは考えておりません。もちろん中部地方を眺めてもすでにやっておられるところとか、あるいは検討しておられるところがあるやに聞いてはおります。一方で、そもそも県民割自体をやっておられないところもありますし、中部地方全体として判断が分かれております。岐阜県としては、「まん延防止等重点措置」も解除したなかで、4月29日までの県民割を決断して、いま進めているという状況です。その先については、まだ国の正式決定もございませんので、それを見ながら、感染状況を見ながら判断していきますが、維持するかどうかというところであって、ブロックまで広げるかは、今後、劇的な変化があれば話は別ですが、岐阜県としては少し難しいのではないかと思っております。

<外部リンク>