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知事記者会見(令和元年5月28日)

記事ID:0020879 2019年5月30日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

令和元年5月28日(火曜日)15時

司会

 それでは、これより知事定例記者会見をはじめさせていただきます。

知事

 まず第一に、「エンジン01文化戦略会議オープンカレッジin岐阜」と少し長い名前ですが、これは、ここ10年以上、ボランティア集団であるところの「エンジン01文化戦略会議」が、全国各地でその地域の皆さんと一緒に文化戦略を語り合うといいますか、3日間かけて、大きな、割と自由な会合を開催しようというプロジェクトであります。来年はオリンピックイヤーでもありますし、私どもも積極的に誘致をした結果でもありますが、岐阜市でやろうということになりました。
 (エンジン01文化戦略会議の)代表は作家の林真理子さん。副幹事長がぴあ(株)の矢内社長、音楽評論家の湯川れい子さん、経済評論家の勝間和代さん、国際医療福祉大学の和田秀樹教授といった、いろいろな分野の方がおられます。また、幹事として積極的に動いておられるのは、作曲家の三枝成彰さん。それから会員には、岐阜県美術館の日比野館長もかねてからメンバーですし、元マラソン選手の有森裕子さん、作詞家の秋元康さん、脳科学者の茂木健一郎さんなど、各界のいわゆる著名人と言いましょうか、リーダーの方々が、ざっと250人ボランティアで集まっている集団であります。
 多くの場合、前例を見てみますと、全体的な大きなシンポジウムをやったり、三枝さんがおられますので、本格的なコンサートをやったりしています。それから大学のキャンパスを1日開放してもらって、週末ですけれども、朝から晩まで30から40の教室を使って、1時限から4時限くらいまで、250人とは言わないまでも、100人前後の講師が「ヨーイ、ドン」でそれぞれの部屋に分かれて、自分の得意分野の講義をするということであります。それで、聴きたい人は500円を払って、どこの部屋へ行ってどれを聴いてもいいということで、ダボス会議も似たようなところがあります。大学のキャンパスを開放してもらうということですから、オープンカレッジという言葉が付いているわけです。
 それから夜は街にくりだして、文化人の方々がお好きなレストラン、酒場、食堂へ行って、その人を囲んで飲み食いをして語り合うということで、地域の皆さんと、それからオールジャパンと言いますか、あるいは世界をまたにかけて活躍している方々との本格的と言いますか、大規模な交流を一斉にやって、その地域を活性化していこうということです。
 これをノーギャラでやっていただけるということで、主催地はこれらの方々の交通費と宿泊費を負担するということでギャラは一切いらないということになっています。ということで、非常に活発にやってきておられるものですから、是非、オリンピックイヤーは岐阜でということで、話が整ったということでございます。
 正式に、来年の5月29日から31日ということで、日程も決まりましたので、これから岐阜県側は、県、岐阜市、岐阜商工会議所、岐阜大学の4者が連携して、それぞれの施設を、例えば岐阜県であればサマランカホールとか、岐阜市であれば国際会議場やメディアコスモスとか、岐阜大学であればキャンパスそのものをこれに供するということです。
先だって、林真理子さん以下、幹部の方々が視察に来られまして、非常に岐阜はいろいろな施設も整っているし、やりやすいということで高い評価をされてお帰りになりました。
丁度、オリンピック・パラリンピックを前に、この機会に岐阜県の魅力発信ということで大きく盛り上げていきたいと思っております。そのために、先ほど申し上げましたように、県、岐阜市、岐阜商工会議所、岐阜大学を中心に地元の実行委員会を立ち上げたいと思っておりますし、幸い岐阜県美術館の日比野館長が、かねてからこれに関わっておられますので、地元と主催者とのブリッジ役をやっていただけるのではないかと思っております。
 過去のプログラムを見てみますと、大変魅力的といいますか、いろいろなところに顔を出してみたくなるような、おもしろいプロジェクトが並んでおりますので、これからうまく盛り上げていきたいと思っております。

 次が、「岐阜県産業技術総合センター」の開所ということで、6月5日、6日に記念式典と内覧会をやることにしております。今、岐阜県としては、工業系の試験研究所の再編・集約をやってきておりまして、先月、食品科学研究所を岐阜大学のキャンパスに移しましたけれども、今回はものづくりにまつわる研究施設を一本化しようということであります。関市の工業技術研究所、それから笠松町、美濃市にそれぞれある産業技術センター、美濃市は主として和紙についての研究開発やっておりましたが、各務原市の情報技術研究所、これらの機能を関市にある工業技術研究所の敷地に集約するということでございます。
ものづくり技術に関する総合的な研究開発、技術支援の拠点ができて、またそこには大変レベルの高い機器類も設置しておりますので、企業の皆さんに大いに活用していただこうと考えております。6月5日、6日と、そういうことで式典、内覧会をやりますので、是非、のぞいてみていただければと思います。

 それから3番目が、これも新たにできあがる話なのですが、「岐阜県在住外国人相談センター」を5月30日、今週木曜日に開所式を行います。ご案内のように「特定技能」という新しい在留資格ができて、外国人材の受け入れが本格的に開始されるということであります。そういう中で、在住外国人の様々な問題をワンストップで相談に応じるという窓口を設置しようということであります。このセンターは、公益財団法人岐阜県国際交流センターに設置するということで、14の言語での相談対応を開始するということでございます。
そのうち、英語、中国語、ポルトガル語、タガログ語、ベトナム語の5言語については、相談員を配置して対応します。今の外国人の在住の状況から見ますと、この5つの言語で、だいたい85%から90%をカバーできます。5つの言語については相談員を配置しますが、それ以外の、9つの言語、スペイン語、韓国語、タイ語、インドネシア語、クメール語、ネパール語、ミャンマー語、マレー語、モンゴル語については、電話通訳をやるということで、電話通訳サービスのデモンストレーションも、開所式のときにやると思います。また必要な言語が出てこれば、さらに追加をしていくということで、積極的にワンストップの相談、あるいは情報提供の窓口ができるということでございます。

 それから4番目も新たにオープンする話なのですが、「岐阜県福祉友愛アリーナ」、ありていに言えば障がい者用の体育館ということで、岐阜県内では初めてであります。平成28年12月に「福祉友愛プール」が「ぎふ清流福祉エリア」にオープンしましたけれども、プールについてはそこを使っていただき、それ以外の車いすバスケットボールとか、ゴールボールとか、サウンドテーブルテニスとか、ボッチャとか、諸々の競技について、かなり自由にトレーニングできるような体育館を今回用意させていただいて、完成したということでございます。6月1日にオープンということで、5月30日に竣工式と内覧会をやることにしております。「岐阜希望が丘特別支援学校」の体育館も一部兼ねておりますので、両施設併せての竣工式になろうかと思います。
 これができることによって、この地域の福祉施設もかなり充実したものになっておりまして、「障がい者総合相談センター」、「希望が丘こども医療福祉センター」、「岐阜希望が丘特別支援学校」、「ぎふ清流文化プラザ」、「福祉友愛プール」、今回の「福祉友愛アリーナ」、そして来年度に開設予定の「障がい者総合就労支援センター」、「木のふれあい館(仮称)」、それから既にできていて県の福祉事業団がやっております「清流園」という就労支援をやっているところもありますが、一大福祉エリアが来年度いっぱいで完成するということです。
 こういう様々な障がい者を念頭に置いた施設が、これだけの規模でまとまったものがあるというのは、なかなか珍しいということで、このところ県外から訪問客が非常に増えてきておりまして、一様に高い評価をいただいております。その一環としての「岐阜県福祉友愛アリーナ」ということでございます。
 それから5番目です。「清流長良川あゆパーク」が、昨年の6月2日に郡上市白鳥町にオープンしまして、まもなく1周年ということでございます。これも、元々ある道の駅に少し手を加えまして、家族連れで鮎体験ができるということで、つかみどりとか、釣りとか、鮎の生態の勉強とか、鮎料理とか、いろいろな鮎にまつわるものをそこに持ってきたわけであります。
当初、年間10万人を目標ということでやってまいりましたけれども、先般(5月25日)20万人を達成いたしまして、さらに増えてきているということであります。
 道の駅に少し手を加えて、20万人の人が集まるというエリアができるということは、岐阜県の魅力づくりの一つの大きなヒントになるのではないかということで、こういうやり方でも岐阜県の魅力発信ができると思っております。来場者のほぼ半分弱が愛知県の方々で、もう少し少ないのが岐阜県ということで、両方合わせて9割くらいになるのですが、愛知県から白鳥まで、わざわざ来ていただけるということでありまして、そういう意味で、魅力づくりのこれまでのところの一つの成功例として、いろいろな意味で我々も勉強になることがあります。さらに鮎と触れ合う場としての魅力を、新しいプロジェクト、新しい工夫をして、この1周年を契機にさらに展開していきたいということでございます。もし、まだご覧になっていない方がおられれば、是非見ていただいて、いろいろと感想をお伺いできればと思います。

 資料はお配りしておりませんが、ロシアに行ってまいりました。その後イギリスと、ハンガリーも予定していたのですが、ロシアだけで切り上げました。このロシアの出張は、ずっと休眠中でありましたけれども、プーチン大統領と安倍総理の支援もあり、日ロ知事会議を復活させてローカルとローカルで日本とロシアの交流を高めようということであります。沿海州とご縁のある日本海側の県など経緯のあるところと違って、岐阜県の場合はロシアとこれまで、これという縁はなかったんですが、今回、たまたま岐阜かかみがはら航空宇宙博物館を契機とした博物館交流というテーマで、ロシアの博物館と宇宙開発をめぐっての交流をやってはどうかということで構想を温めていたものですから、その関係で出させていただいたということです。
 他県の皆さんが、どちらかというと観光とか、やや幅広い見地から議論されていたのに対して、私どもは航空宇宙開発ということにテーマを絞って具体的な提案をさせていただきました。先方は州知事等が22人そろいまして、こちらは8人だったわけでありますが、非常に反応も良くて、それにロシアナンバー3である連邦院の議長と、モスクワ市長の二人が全体の仕切り役をされて、大変会議としても盛り上がりました。日本と交流を持ちたいという各州知事等の熱烈な思いがいろんな形で表明されまして、私の方にも岐阜県と交流したいということで、随分接触がありました。航空宇宙の話やら、岐阜県の魅力などを話しましたけれども、そのうちの一人であるウリヤノフスク州知事が来月来られることになりました。それから、他の方も岐阜に来たいということで、非常に積極姿勢と言いますか、日本との交流を大歓迎という姿勢が印象的でありまして、有意義なスタートになったと感じております。
 あと、私は行けませんでしたので、副知事にお願いしたわけですけれども、ロンドンのHeal’s(ヒールズ)という街のど真ん中にある老舗の百貨店で岐阜県フェアをやらせていただいて、かなり多くの岐阜の企業が積極的にこれに参加をしていただいて、売り上げも過去の企画の中でも、最も良かったという話を先方が言っておられたようであります。それから外務省の肝いりで、ロンドンにジャパンハウスというのがスタートいたしましたけれども、こういうのがスタートしますと、何を見せるか、何をアピールするかということで、岐阜県も大いに関心ありということで意見交換させていただきました。
 ハンガリーではリスト音楽院との更なる交流ということに加えて、ヘレンドは、ハンガリーの陶磁器生産の中心地ですけれども、ここのヘレンド社に来年の国際陶磁器フェスティバル美濃に参加してもらえないかということで、これを期待してでかけたわけですが、前向きな意向を頂くとともに、陶磁器を通じた若者交流をということでありました。
 ハンガリーは温泉大国でありますので、ハンガリーの温泉の関係者と下呂温泉観光協会の皆さんを中心に温泉交流をやろうということでした。ハンガリーに行けなくて可哀そうということで、ハンガリーの温泉のお湯で作った石鹸だかクリームをお土産にいただきました。これも非常におもしろい交流ができればと思っております。そんなことで、それなりに成果のある形になったと報告を受けております。

記者

 本日、川崎市の方で大変痛ましい事件がありましたけれども、岐阜での児童の安全確保について、知事のご所見を一言お願いします。

知事

 とにかく、耳を疑うような大変痛ましい案件でありまして、およそどういうことなのかよくわからないのですが、強い憤りを覚えながらニュースを拝見しておりました。まずは、教育委員会の方で県立学校、全市町村の教育委員会、小中学校といったところに対して、登下校時の児童生徒の安全確保について、さらに十分目配りをするようにということで、特に必要に応じて、警察の警戒体制も強化するということで、県警もそういうスタンスになっておりますので、警察との連携も含めて、登下校時の対策をしっかり万全を期してやってもらいたいということを、教育委員会のほうから、各方面に連絡を取ったところであります。
 特に特別支援学校につきましては、スクールバスに教員を同乗させるようにとか、スクールバスを使わない下校者については、学校からの生徒の引き渡しを確実に行うようにということで改めて周知をしたところであります。これはとりあえずの、この事件発生の話しを受けての対応でありますけれども、もう少し事実関係が明らかになってくるなかで更に具体的に今回の事案に則してどういう手を打っていったらいいのかということを、もう一段考える必要があるだろうということで、教育長ともその方向で、事実関係をフォローしながら、もう一段のアドバイスなり周知徹底をやりたいというスタンスであります。

記者

 先日各務原市長さんが、大津での交通事故を受けて、通学路とか交差点に防護柵を設置するなどの安全対策をということで、市の管理する市道についてはこれを実施して、県道については、何カ所か県に防護柵を要望したいという話をされていましたが、大津の事故を受けて、県道の安全対策についてお考えをお聞かせ願えないでしょうか。

知事

 各務原からの申し出は、まだ具体的には聞いていませんが、事案を客観的に分析する中で、県として更に、何をなすべきかということについて、早急に考え方を整理したいと思います。

記者

 豚コレラについてですが、農林水産省が早期出荷ということで、近く農家さんへの個別の提案も始めるということですが、改めて早期出荷の方針に対して県の向き合い方を教えてください。

知事

 早期出荷の提案をいただいたのは、4月の下旬だったと思いますけれども、その当時ではすぐにも、という勢いの話しはありましたが、具体的にどういう仕組みで、どういう責任のもとに進めていくのかということについて、不明な点がたくさんありましたので、まだ、論点がいくつか残っているのですけれども、ゴールデンウィーク中に何度も農林水産省ともやりとりをしました。一方でこの提案の内容がどういうものか、岐阜県の養豚業者とかあるいは農家の方々とか、と畜場等の関連業者の方々に説明をしたいということでしたから、論点が残ったままではありましたけれども、現時点での農林水産省の考えを説明してもらおうということで、すでに3度お越しいただき説明会をやっておられます。
 この制度は農家の皆さんが任意に選択をする制度であると、強制するものではないということですので、養豚農家の方々がこの制度は意味があると、この制度でやってみようと判断されない限りは動かない制度でありますので、その辺の疑問点とか問題点だとかを、クリアにしながら納得を得ていくというプロセスが大事でありまして、そういういう意味では、説明会も何度もやり取りする必要が出てきております。そうこうしているうちに、(農林水産省は)代表とのやりとりもよいけれども、個々の農家にも話をしたいと。一方、個々の農家の方も代表のやり取りを間接的に聞くのもよいけれども、直接聞いてみたいということもありますので、そういう意味では、まだクリアすべき論点を残しながら、早期出荷について、代表の方々、最後は個々の農家の方々の判断ですから、全部の農家が合意しなくてもスタートするとおっしゃっておられます。極端な場合には、一農家でもやりたいといったらどうなるのかと、どういう場合にスタートするのか、どういう場合にスタートしないのか、そういう議論をしておりますので、最後は個々の農家の判断ということで、個々の農家の方々にも話を聴いていただいて、農林水産省にも農家の方々の生の声も聴いていただくということで、内容をクリアにしつつ、説明をし、意見交換をし、任意の制度ですから、農家の皆さんの考え方がある程度整理されていくように、そういう場を用意し、そういうプロセスが続いているという段階にあります。個々の農家へのアプローチについては、まだ、日程は決まっておりませんけれども、遠からずやろうということになっております。
 そういう全体を眺めながら、新たにクリアされた点とか、まだまだ不明な点などを議論しながら、県と農林水産省の間でもキャッチボール、意見交換が行われていくということになるのでないかと思います。

記者

 感染したいのししが下呂の方でも見つかっていて、飛騨の方にもウイルスの拡散が懸念されています。養豚場での発生も去年の9月以降16施設目で、なかなか収まる気配もなく、さらに感染が広がっているという現状を知事はどう認識されているのかお聞かせください。

知事

 あちこちで申し上げておりますが、今回の豚コレラの問題は、岐阜県としては36年ぶり、日本全体としても26年ぶりということで、当時何が起こってどうしたかという経験、知見が必ずしも多くの方々にシェアされていない状況の中で事が起こったということと、日本では初めて、いのししがウィルスをキャリーするという、これも全く今までになかったことです。
豚舎を守るための飼養衛生管理基準というものはあるわけで、マニュアルもありますが、いのしし対策をどうしたらいいかということについては全て手探りという状態です。しかし、いのしし対策と、豚舎を守るという対策の車の両輪で、両方に目配りしてやっていかないといけないという、難しい、これまでにないことを今やってきているということで、いのしし対策は、いずれ将来どこかのタイミングで振り返って、今回我々がやってきたことが日本のマニュアルになるということだろうと思っています。そういう中で、先ほど話のあった、早期出荷というのは、豚舎をいったん閉めて衛生管理を高めようという、豚舎対策という角度から出てきた議論であります。
 一方、いのししがウィルスをもってキャリーしている比率が、捕獲したいのししの2割程度だったのが、今年になってから6割、7割、8割と増えてきているわけですから、そういうウィルスを持ったいのしし対策をどうするかということも考えないといけないわけであります。まず第一弾が、一度もやったことがないということでいろいろな議論がありましたが、とにかくやれることはやろうということで、ドイツからワクチンを輸入して、そして撒いて、いのししに食べてもらうということです。ドイツのワクチンをいのししは食べるだろうかとか、地形の違いはどうだとかいろいろな意見がありましたが、結果的には、2回やりましたが、7割から7割5分、食べてもらっています。これはまず1年間かけて6回はやらないといけないと言われているので、この成果を見ているところです。今日現在で言うと、2回ワクチンを撒いて、そのあと、そのワクチンを散布した地域内で捕獲したいのししのうち、ウィルスは持っていなくて、抗体は持っている、つまり我々の期待している、ウィルスはばらまかないけれどもウィルスに強い抗体を持っているいのししが、ワクチンを撒いてからどのくらい出てきたかと、ここの数字を見ているわけですが、今日現在でいくと、171分の11ということです。これが4割くらいまで来るとかなりうまくいっているということになるそうでして、7割までいくと成功と言っていいのではないかというのが、ヨーロッパの基本的な考えらしいのですが、まだ2回やったところですから、これからこの後、年内に4回やるということにしています。1年目はそういうことですが、さらに続けて2年、3年やらないといけないとも言われておりますので、ドイツの有識者とも連携を取りながら、これはこれできちっとやっていくということです。
 そういうことで抗体を持ったいのししを、ワクチンを使って増やしていく一方で、できる限りいのししの個体数を減らしていくために、さらに思い切って捕獲数を高めていこうということで、捕獲とワクチンの拡大ということで今やろうとしております。先週、有識者会議で、大体その方針で、ワクチンも最初は一定のエリアを念頭においてやっていたのですが、広げていくということで、何とかこの車の両輪で、いのしし対策についても一段と強化して臨むということで、そういうことの中で、手探りでやっているわけであります。
 おっしゃるように東の方は中津川と長野の県境ぎりぎりまで来ましたし、北は郡上の北部、それから下呂の金山まで来ましたし、西は養老まで来ましたし、南はもうすでに愛知県に入っているわけです。今や三重県、滋賀県、長野県、静岡県といったところとも情報を共有しながらやってきておりまして、近く中部圏知事会議がありますが、そこでも近隣県の皆さんとも情報共有して、ディスカッションしたいと思っております。

記者

 知事は、豚舎を守る対策として、早期出荷という手法自体は有効な考えと見ているのかということと、この一カ月間説明を受けてきた中で、クリアすべき論点の中で最も大きい問題と考えているのは何か教えてください。

知事

 早期出荷というのは要するに、今いる豚を、売れるものは売って、売れないものは処分して、それに一定の補助金を出して、それで一定期間豚舎を閉めるということです。そして閉めている間に豚舎のリフォームをして、再開のタイミングを待って、衛生管理のレベルが上がったところで再開をしてやっていくということです。この再開までに必要な固定費についても一定程度補助金が出るという仕組みです。
 つまり、いったん閉めて衛生管理を高めるという発想なのですが、今行われている論点、いくつかありますが、一つは、豚舎のリフォームといわれていますが、どういうリフォームに対して補助金が出るのかということです。ハード・ソフトいろいろな面があるのですが、どこをどう直すと補助金が出るのか、どういうものは補助金の対象にならないのか、そこがはっきりしないということがあります。対象がはっきりしなければどんな補助金がもらえるのか、どんなリフォームをしないといけないのかはっきりしていないではないかということで、この議論が一つ大きな課題です。農家の方々にとっても、閉めたはいいが、どこをどうすればいいのかということです。
 それから、再開は誰がどのように判断するのかということで、これは任意の補助制度であって、任意でスタートするのだから、再開も任意でいいですよという議論が一方の極にはあるのですが、そうはいっても、蔓延の状況を見ながら、そう簡単に再開はできないのではないかという論点です。
 どういうときに、農家が自由に再開するときに、どういう判断をしたらいいのかとか、あるいはそういう時に国や県がアドバイス、指導をするというのですが、これもどういう基準で何をするのかということです。つまり全部が行政指導なものですから、今のルールの中にどこにも何も書いてないわけです。だから一定期間が経ったら再開する、再開を期してということですが、いつなのかわからないではないかと。誰がどのような責任で判断するかもわからないではないかと。それから再開がずるずると延びたときに、固定費を見るといっても、今のルールは、当初に一回払うだけですから、かなり早い時期に再開できるという前提で固定費を見ますということになっているものですから、それがズルズル行った時にはどうなるのですかという論点があります。
 それから岐阜県の場合には、と畜場によっては全部、そうでなくてもかなりの量、岐阜県の豚をと畜して成り立っているわけです。だから仮に閉めたとすると今度は、と畜場に豚が来なくなることから、と畜業が成り立たなくなって、流通も止まってしまうことになります。そうすると、その間、と畜業者、流通業者も影響を受けるわけですから、こちらに対する支援はなぜないのかということが言われています。それからいったん流通が途絶えた後で、さて再開しますといってもそんな簡単に物事が流れるのかといった、関連のと畜以降の流通業者からも非常に不安の声が上がっていて、そういう意味で、任意の制度ということで議論されていますが、任意に選択しようにもまだ不明な点がありますし、不安な点が残っているわけですから、この状態が続く限りまだまだ判断できないという状態だと思います。

記者

 任意でやるとすれば、具体的にどういう設備改修で補助がもらえるのかとか、流通面に対しての補助の面でも、まだまだ国から具体的な説明が必要になってくるということですか。

知事

 例えば、国からは財務省と調整中という答えが返ってくるわけです。ですから、どういうリフォームを念頭に置いて補助金が出るのか、特にハードで本格的なことをやればやるほどお金がかかりますけれども、豚舎を全部建替えますといったときに、見てもらえるのか、どこまで見てもらえるのかということとか。つまり任意の制度であるけれど、養豚業者がここを直そうと判断した時に、ここを直すということについて補助金が出るのか出ないのかわからないのでは選択肢になりませんので、そういう議論をしています。
 それで、説明会も、昨日は流通関係、と畜以降の流通関係だけでやっていますが、この方々も、今ですら半分の規模でやっている中で、わざわざ早期出荷ということをやったら自分たちは全く仕事がなくなってしまうと。なぜ支援策がないのかということを大変強く言われました。
 それからもう一つ、養豚業界は依然としてなお、ベストの選択肢は豚へのワクチン接種だとお考えで、なぜワクチンを打てないのか、自分たちはまだ納得できないというのが養豚業者の意見でして、この議論も残っています。国としては、ワクチンは今回については打つ考えはないということがはっきりしているのですが、それについては、養豚業者の方は納得できていないという状態です。

司会

 他にはよろしいでしょうか。それでは、以上で知事定例記者会見を終わらせていただきます。

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