ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 知事記者会見 > 令和3年度 > 知事記者会見録(令和4年2月9日)

本文

知事記者会見録(令和4年2月9日)

記事ID:0205679 2022年2月18日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

※知事及び記者の発言内容については、事実誤認や単純ミスと思われる字句、重複した言葉づかい等を整理の上、発言の趣旨を損なわない程度に整理して作成しています。

令和4年2月9日(水曜日)15時

司会

 それでは、知事記者会見を始めさせていただきます。

 知事お願いいたします。

 

知事

 令和4年度の当初予算について、まず私のほうから全体像についてご説明したいと思います。

 この後、明日と来週にかけて、各部局から細かく聞いていただけるので、詳細はそちらにお任せして、全体の骨格なり方向性について、中心にお話をしたいと思います。

 まず、お手元に資料をお届けしていると思いますが、最初の資料1というものに、「令和4年度 当初予算編成」という、折れ線グラフの資料があります。

 それから、次に2として、予算案の概要ということで、A4の縦の「『清流の国ぎふづくり』~ウィズ・コロナからアフター・コロナへ~」という紙があると思いますが、その後ろに、資料2の参考資料1ということで、「令和4年度 主要施策予算」と続いております。

 まず2の当初予算案の概要というものを、縦長のものをご覧いただくと、基本的な考え方を書いておりますので、ここからまずご説明したいと思います。「清流の国ぎふづくり」ということで、地方創生の基本的な方向として、創生総合戦略ということで、一貫してやってきているわけでありますが、そういう中で、コロナの問題が3年目に突入したということでございます。

 来年度予算につきましては、まず何と言っても、表題にありますように、ウィズ・コロナからアフター・コロナへということで、ウィズ・コロナ対策について、引き続き全力で取り組むということと合わせて、アフター・コロナに向けて、前に進んでいくということでございます。

 ウィズ・コロナは、ここに書いてありますように、生命と暮らしを守るということでありまして、内容的には、感染防止対策、ワクチン、それから、施設における様々な防止対策、検査、医療、それから病床、宿泊療養施設等々の体制整備があります。それから、コロナ禍による孤独・孤立問題、生活困窮問題、あるいは中小企業、小規模事業者の課題、再就職、雇用維持といったテーマについて、これは現在、いわば緊急対策として日々、取り組んでいることを来年度予算の中でも引き続きしっかりとやっていくという趣旨でございます。

 次がアフター・コロナということで、あえて「未来を創る」というサブタイトルを付けておりますが、今度の議会に、岐阜県デジタル・トランスフォーメーション推進計画の案をお出しすることにしておりまして、私どもとしては、このデジタル・トランスフォーメーション、アフター・コロナ、未来づくりの一つの大きな柱であると同時に、デジタル化ということを1つの切り口にして、県政の総点検をやろうということで、ずっと取り組んできたわけであります。

 言うまでもないですが、県政の第1の総点検は、私が1期目に就任した時に、総ざらいをしましょうということで、全ての政策を見直ししたわけでありますが、これが1回目です。第2の県政総点検というのは、人口減少・少子化ということで、長期構想を県として発表しましたが、人口減少・少子高齢化社会という切り口で、県政について全て点検をするというのが第2の点検です。

 今回はDXという切り口で第3の総点検をやろうということで、お手元に、添付資料と書いてあります「デジタル・トランスフォーメーション推進計画」という分厚いものがあると思います。これはまた担当部局の方から説明があると思いますが、ざっと目次を見ていただくとわかりますように、DXという観点から、行政や、あらゆる分野のあり様について点検した結果でありまして、これを予算の世界でも最大限取り入れていくということでございます。

 それから、合わせてアフター・コロナの「持続可能な社会の推進」ということでSDGsの達成「2050年脱炭素社会ぎふ」の実現ということで、様々な対策を考えております。

 それから、もう一つの柱が、「新しい次元の地方分散」ということで、コロナに端を発した地方分散ということで、ワーケーション、サテライトオフィス、データセンター等々、移住定住の促進、それから新たな地域の産業、魅力の創出ということで、一つの塊となっております。このウィズ・コロナとアフター・コロナというのが、まず今年度予算を組んでいく中で最も意識をしたところでございます。

 それから次の2ページ目をご覧いただきますと、そういう中でも引き続き、というかむしろ、この新型コロナウイルス感染症が拡大することによって、人口減少、あるいは少子高齢化を巡る状況がさらに厳しくなっているのではないかという認識のもとに、引き続きと言いますか、これまで進めてきた「『清流の国ぎふ』創生総合戦略」の3本柱に沿って、「未来を見据えた『清流の国ぎふ』づくり」ということでやっていこうということであります。

 この3本柱は、ここにありますように、1つ目が、「『清流の国ぎふ』を支える人づくり」、2つ目が「健やかで安らかな地域づくり」、3つ目が「地域にあふれる魅力と活力づくり」ということで、それぞれのテーマごとに、人材育成、あるいは誰もが活躍できる社会の確立でありますとか、子どもを産み育てやすい地域づくり、安全な地域づくりでありますとか、また文化・芸術、環境、観光、国際交流等々、掲げているわけであります。

 それから、3つ目の論点として、やはり「持続可能な財政運営」ということで、かつてのような最悪の事態は脱してはいるわけでありますが、毎年毎年、非常に厳しい財政の中でのやりくりは続くわけであります。

 令和4年度につきましては、税収、地方交付税、また後で数字を見ていただきますが、増額が見込まれるということで、所要の一般財源総額は確保されているということでありますが、そういう中で、臨時財政対策債を大幅に減少させ、また新県庁舎の建設の事業負担もピークを越えましたので、全体として、県債発行を抑制しております。これは将来負担の軽減にもつながるということであります。

 他方でコロナ対策、それから社会保障関係経費の構造的な増加、それから社会資本の老朽化への着実な対応でありますとか、あるいは国土強靱化と言ったようなテーマ(がある)ということと、公債費はやはり当分の間、増加していかざるを得ないということであります。そういう中で、積極的な課題解決型の予算を構築しながら、他方で、見直しを徹底して、全体として、所要の財政調整基金の残高の確保も含めて、持続可能な財政運営ということに十分配慮していくと言いますか、意を用いていくという予算編成をしたということでございます。

 このコロナを巡る政策、「清流の国ぎふ」づくりの地方創生の一貫した歩み、そして持続可能な財政運営と、この3つが大きな来年度の予算編成の柱ということでございます。次の3ページをご覧いただきますと、これは目次みたいなものですが、それぞれのテーマごとに、どんな内容があるかということが書いてありますので、これをざっとまた見ていただければ、イメージが湧くのではないかと思います。

 そこで、具体的にどういう数字の予算になっているかというのは、この資料1のトップに出ている横長の紙でございます。ご覧いただきますと、まず、一般会計の当初予算の規模でありますが、8,869億円ということで、昨年度の当初予算に比べますと165億円のプラス、1.9%の増ということでございます。これはコロナ関係予算込みですが、これを除きますと、8,333億円。令和3年度当初予算案に比べますと、38億円、0.5%の減ということで、コロナがなければマイナス予算ということで、コロナ分だけ増えてきているということでございます。

 結果としてのトータル8,869億円というのは、10年連続のプラス予算になりまして、平成24年がいわば私どものボトムでありまして、徹底した行財政改革、アクションプランというものを掲げて財政カットをやったわけでありますが、その最終年度が平成24年度であります。そこから10年連続でプラスの予算を何とか組んできているということでありまして、今年度の予算は、本県としては過去最大の予算規模ということでございます。平成13年度の8,762億円が過去最高であったわけでありますが、これを抜いたということでございます。

 その骨格でありますが、次のページをご覧いただきますと、まず歳入でございます。増減額のところを見ながら横を見ていただくと、まず、非常に増えておりますのが県税収入であります。これは景気の回復ということが中心でありますが、令和3年度の最終的な税収見込みでありますとか、政府の経済見通しでありますとか、県内企業の景気動向調査でありますとか、様々な調査を踏まえてはじいておりますが、226億円の増ということで、県税については9.7パーセントの増を見込んでおります。

 それから地方譲与税、ここでは特別法人事業譲与税が、やはり全国的な企業収益の増加で、これは一旦、特別法人事業税として国が集めた後、各県に配る税でありますが、これも118億円、増減率にしますと48.4%と、大幅に伸びてきております。

 交付税は若干の伸びということであります。

 一方で県債でありますが、臨時財政対策債がマイナス407億円の72.7%の減ということで、大幅に減らしてきております。この臨時財政対策債というのは、いわば、国が交付税が足らないので、県に借金を肩代わりしてくれという借金であります。本来なら交付税をいただくべきものでありますが、あとで埋め合わせをするからとりあえず借金をしておいてというのがこの臨時財政対策債であります。これは徹底的に減らすべきだということをずっとかねてから国に対しても申し上げておりますが、今回大幅に減らしました。一方、臨時財政対策債を除いた県債につきましても、11.5%、90億円の減ということで、抑制をしております。

 ということで、県債発行はトータルでは497億円、37%のマイナスということで、大幅な減少でございます。その結果として、県債の構成比のところを見ていただきますと、令和3年度当初予算では、県債15.4%でありますが、令和4年度については9.6%ということで、大幅に歳入に占める県債の比率も下がってきております。

 この9.6%という数字ですが、県債依存度10%を下回るのは、当初予算では平成5年以来の29年ぶりということでございます。特に、臨時財政対策債を除く県債のところでの大きな減は、県庁舎の建設費が山を越したということで、大幅に減ってきていることがかなり効いてきております。

 それから、国庫支出金でございますが、これは逆に203億円、19.1%の伸びであります。これは主としてコロナ関連の緊急包括支援交付金でありますとか、地方創生臨時交付金でありますとか、コロナ対策に関連する交付金を国の方からいただいているということで、大幅に伸びております。

 あと、一番下のところに、当初予算時点での財政調整基金の残高というのがありますが、令和3年度の当初予算においては、年度末103億円と見込んでおりましたが、今度の令和4年度末の私どもの見通しとしては、194億円確保できる見通しであります。先ほどの持続可能な財政運営ということの一つの表れとして、繰入金も少し増えますが、それでもなお、財政調整基金も、年度末には大幅に増やした格好で対応できるのではないかということでございます。

 それから、今度は支出の方を見てみますと、次の3ページであります。また増減額の欄をずっと見ていただきますと、やはり、公債費は少しずつ残高が増えておりますが、特に目立つのが社会保障関係経費であります。これについては、コロナ関連で病床の確保でありますとか、ワクチン関連でありますとか、そういったものも含まれますし、元々自然増ということで、後期高齢者の医療関係とか生活保護でありますとか、あるいは障がい者関連でありますとか、そういったことで増えておりまして、歳出の中では社会保障関係経費が大幅に伸びているということでございます。260億円、18.1%の増ということであります。

 他方、普通建設事業費でありますが、やはりここでも県庁舎の建設費が大幅に減っておりますので、それが効いてマイナスということでございます。

 それから、次のページ、歳出を分野別に見てみますと、この中で特に目立ちますのが、総務費が180億円減っていますが、これも県庁舎の建設費が総務費のカテゴリに含まれておりますので、これの減が大きいということでございます。ちなみに県庁舎の建設費でありますが、令和3年度当初予算では288億円、令和4年度の当初予算では134億円ということで、154億円のマイナスになっております。

 民生費とか衛生費の増、これはコロナ関連、福祉関連の伸びということでございます。

 あとはそんなに大きな、目立った増減はありません。

 今度は5ページでありますが、県債発行額であります。先ほど(県債)依存度9.6%ということで、10%を下回ったのは29年ぶりだと申し上げましたが、県債発行額トータルで行きますと、本県としては平成14年度がピークで、そこから大幅に減らし、また若干増えて横ばいになっておりますが、この2年間はマイナスで、特に今回は大幅に減ってきております。これも、慎重に抑制気味にやってきていることの表れということであります。県庁舎に係る県債だけでも114億円減っているわけであります。

 それから、点線が臨時財政対策債ということで、国の交付税の肩代わりということでスタートしたのが平成13年度で、そこから特に平成20年度代の前半は非常に高い数値まで行きましたが、減らすべきだという議論の中で、国も徐々に減らしてきたわけでありますが、今回大幅に臨時財政対策債も減っております。臨時財政対策債以外の部分もこの2年続けて大幅減ということで、県債発行については、私どもとしては極力慎重に今、やっているところでございます。

 次の6ページが県債残高の推移ですが、そういう中ではありますが、臨時財政対策債も含めてトータルしますと、ずっと右肩上がりで来ております。ただ、令和4年度の残高の見通しは、令和3年度から下回っておりまして、1兆7,064億円から、1兆6,952億円と、マイナスになっております。これは、記録が残っております昭和45年度予算以来、県債残高が対前年度で減ったというのは初めてのことでありまして、ずっと一貫して右肩上がりで伸びてきたものが、ここでマイナスに転じたということでございます。

 これは、下の濃いほうの棒グラフ、うち臨時財政対策債以外というところは伸びてきておりますが、今回、臨時財政対策債が大幅に減ったことが、トータルの減につながったということであります。

 ここ数年来、臨時財政対策債以外の県債残高が伸びてきておりますが、やはり国土強靱化とか、災害対策とか、景気対策とか、高度経済成長期に整備した施設の老朽化対策とか、そういったことでハードのプロジェクトが非常に増えてきておりますので、それが臨時財政対策債以外の県債残高に反映されているということでございますが、トータルとしてはマイナスになるということでございます。

 それから、公債費の推移でありますが、残高が、今見ていただいたような状況でありますが、公債費そのものは平成21年度をピークにしてずっと減ってきておりますが、トータルとしてはこの2年間、増えてきております。それから、臨時財政対策債以外の公債費は、ほぼこの3年横ばいというようなことでございます。

 財政の健全さを表すのに、実質公債費比率というのがよく使われるわけでありますが、次のページで、3年平均、過去2年プラス当該年度の3か年間の平均値でこのグラフを作っています。国もそういうことでやっているのですが、18%以上になりますと、起債許可団体ということで、岐阜県は過去4年間に亘って18%を超えていた時代があったということです。まさに財政危機の時代でありました。その時代は全国でワースト3の数字でありましたが、令和2年度が5.9%。この数字は全国ではベスト3でございます。全国平均はその上の10.2%ということでありますが、その後、令和3年度は見通しとして5.7%に減りまして、令和4年度については6.2%まで若干増えますが、恐らくこの5.7%、6.2%というのは、全国でもよい方から数えて3番目くらいで推移するのではないかというのが見通しでございます。

 あと、点線でずっとたどってありますが、これは、今年度の県債レベルに今後据え置いた場合にどうなるかという見通しでございまして、残高の増とともにじわじわ上がっていきますが、向こう10年間は10%を下回る数字で何とか行けるのではないかということでございます。

 次のページが、コロナ予算について若干触れてあります。まず、前年度の3月補正予算と、その当該年度の本予算とを足し算、つまり、3月補正で計上して翌年度執行するものを足しています。令和3年度予算で行きますと、コロナ予算が397億円で、そのうち、私どもの整理で、ウィズ・コロナが344億円、アフター・コロナが53億円ということで、これが今度の令和4年度、この3月の補正予算も入れたものですが、トータル671億円という中で、ウィズ・コロナが約1.5倍増の513億円。アフター・コロナについては、3倍増の157億円ということで、全体として伸びている中で、特にアフター・コロナについて意を用いているということでございます。このウィズ・コロナ、アフター・コロナの予算の中身ですが、次の10ページに代表的なものを書いておりますので、これも見ておいていただければと思います。

 この柱立ては、先ほど見ていただいた体系と同じような柱立てになっています。そこで、次の資料2の参考資料1というものに、主な予算が書いてあります。これを一つひとつ説明しますと時間も足りないですし、各部局からまた話がありますので聞いていただければと思いますが、ざっと眺めていただいて、左に「新」と書いてあるのが新規であります。

 ウィズ・コロナで行きますと、一番下の強度行動障がいのある方、医療ケアの必要があるお子さん、そうした方がコロナ陽性になった場合の受け皿の整備とか、そういったことについて、きめ細かく対応していこうということであります。2ページ目の「新」を見ていただきますと、子どもの居場所への食料支援とか、孤独・孤立ということでの女性、妊産婦の方々への対応というようなことが挙げられております。

 次の3ページの「デジタル・トランスフォーメーション」は軒並み新規であります。あらゆる部分でデジタル化を進めていくわけですから、そうなるのですが、特に金額的には、真ん中辺の中小企業のデジタル化支援が大きくなっているということでございます。

 脱炭素社会という意味では、下の方にありますが、オール岐阜の推進体制、それから、太陽光発電設備の設置、地産地消等々、新しい予算がありますし、次世代自動車の普及ということについても予算を立てております。

 次の4ページをご覧いただきますと、J-クレジット制度の推進ということで、これは脱炭素ということなのですが、森林のCO2吸収量の価値を評価するということで、いわゆるカーボンオフセットクレジットということです。このクレジットを、CO2の排出をしている企業が買い取るということです。そのことによって脱炭素社会に貢献するということになるわけでありますが、そのクレジットの収益を活用して、よりよい森林づくり、豊かな森林づくりということでの、木の国、山の国の岐阜県の森林全体のCO2吸収源としての価値をクレジットとして回していく、そういう仕組みができないかということです。

 国にもJ-クレジットというものがありますが、人工林の間伐等を行った森林のみという、ちょっと部分的なやり方をしているものですから、できれば岐阜モデルということで、県内の森林トータルにクレジットといいますか、評価をして回していくようなシステムができないかということです。これができれば非常に、脱炭素社会に向けた岐阜県らしいモデルになるのではないかという構想でございます。

 あと、4ページの真ん中ちょっと下に、宇宙産業の関係者に今、集まっていただいておりまして、様々な産業振興策について検討を始めたところでございます。

 5ページは、「人づくり」という観点でぎふ木育、花の担い手づくりで一番下のところにありますが、「清流の国ぎふ花と緑の振興センター」の新設です。

 6ページに行きますと、「介護人材の確保・定着」ということで、特に介護事業所の保育施設の運営費を支援することで、介護士の方々が安心して仕事ができるようにという考えでございます。

 真ん中のちょっと下に、起業を志す者や若年人材の育成というところで、新規就農者への機械・施設導入等助成ということです。新たに就農される方々への様々な支援の一環として、こんなことも考えているということでございます。

 7ページに行きますと、「誰もが活躍できる社会」という中で、農福連携といいますか、農業分野への障がい者の方々の就労ということについて応援していこうということです。その次の精神障がい者の就労支援でありますとか、パラスポーツ交流大会を積極的に県内でやっていこうではないかといったようなこととか、この辺が新しい試みでございます。

 9ページに行きますと、「子どもを産み育てやすい地域づくり」ということで、私立高等学校の入学金の補助制度を創設いたします。それから、授業料の軽減補助、これはもう既にあるのですが、内容をさらに拡充するということで支援をして行こうということであります。それから、保育所の様々な施設整備についての支援ということも出しております。下から2つ目にありますが、揖斐厚生病院と西美濃厚生病院が統合されるわけでありますが、そういった医療機関の再編・統合について、それによって新しい病院が整備される際の支援をしていく助成制度を作ろうということであります。

 10ページの真ん中よりちょっと下に、新しいもので、市町村と連携したフードドライブモデルということで、市町村と一緒に、家庭の未利用食品など、賞味期限に近づいた食品を持ち寄って、寄付をするというような仕組みを作っていこうということでございます。

 11ページは、危機管理の一環として、高齢者施設における避難計画の策定でありますとか、避難情報の発令について、気象防災アドバイザーが市町村の対策本部に派遣されて助言・指導をするというようなことです。

 下から2番目が、新しい県庁舎の開庁ということでありまして、来年1月4日の開庁に向けて工事を進めていくということです。

 12ページの一番上が、名鉄名古屋本線の高架化ということで、いよいよ年度内には事業認可が下りると期待しておりますが、それを踏まえて、事業着手というところに来るわけでございます。

 13ページの「文化・芸術・ブランド」のところは、コロナで延び延びになっております、将棋サミットとかエンジン01とか、こういったことをぜひ開催したいということと、合わせて地歌舞伎、国民文化祭、全国障害者芸術文化祭、高等学校総合文化祭といった、文化的な行事をしっかりやっていこうということでございます。

 下から3つ目ですか、アクティブチャイルドプログラムということで、これは日本スポーツ協会が、楽しみながら体を動かすといいますか、運動遊びというのでしょうか、そういうプログラムがありますが、そういったものを活用した、幼稚園児等を対象としたモデル事業をやっていこうということでございます。

 一番下が、野生動物による農作物被害対策ということで、岐阜大学と共同で、この4月に岐阜県野生動物管理推進センターを設置するということでございます。

 次の14ページは、生物多様性ネットワークを構築して、全県的に広く取り組んでいこうということでございます。

 観光のほうでは、例えば福井県をはじめとして近隣県との連携による戦国武将観光でありますとか、引き続き、関ケ原、かかみがはら航空宇宙博物館の充実等々ございます。木曽川中流域の観光振興ビジョンも検討が進んでおります。リトアニアとは友好100周年になりますので、コロナ如何でありますが、交流を深めたいと思います。それから、少し珍しい話として、世界中に25の岐阜県人会があちこちにありますが、それらが一つになりまして、岐阜県人会インターナショナルというものが昨年できたわけであります。これが主催して、岐阜県内で、世界中から県人会の代表の方が集まって、第1回岐阜県人世界大会というものをやりたいということでありまして、これを応援し、これらの方々を通じて岐阜県の魅力を世界に発信していくということでございます。

 次の15ページはスマート農業ということで、積極的にドローンとかロボットとか、その他栽培技術に関わるICT化を進めていきたいと思っております。真ん中よりちょっと下に、森林サービス産業推進協議会とあります。豊かな森とかいろいろ言うわけですが、森林サービスといいますか、森林空間の価値を、健康とか、あるいは脱炭素とか、木育とか、観光とか、ワーケーションとか、いろんなことに森林空間というものがつながってくるというのは、そういう価値を有しているのではないかということで、森林空間を活用してどういうサービスを提供できるかという観点から、森林の価値を体現したサービス産業を育てて行こうではないかという一つのチャレンジでありまして、そのための協議会も作り、予算も用意させていただくということでございます。

 それから、都市部の住宅以外の建築物についても、積極的に木造化をしようということで、非住宅建築相談センターを設置しようということで、これも脱炭素社会に繋がる試みでございます。

 等々、一つひとつまた詳しく聞いていただきたいと思いますが、いろんなテーマを束ねております。

 あとはざっと見ていただきますと、資料2の参考資料2以下がA3の横長になっております。まず、最初に出てくるのはデジタル化、DXの取組みということで、誰一人取り残されないデジタル社会というものを理念に掲げて、行政のデジタル化、市町村行政のデジタル化支援、それから分野ごとのデジタル化ということです。お手元の推進計画の骨子を並べるとこういうことになるわけで、これらについて、つまり、DXという観点から県政を総点検した一つの成果として、これらの課題を予算やら制度やら条例やら、いろんなことにのせて行こうということでございます。ですから県庁横断的なテーマであるわけです。

 次の資料2の参考資料3というのは、SDGsでありまして、これは私どもとしては、いわば地方創生の原動力といいますか、アフター・コロナ社会に向けての一つの重要な国際的にも認知された指針だと思っております。17のGoals、あと169の目標がありますが、この17のGoalsを意識して、我々のやっている政策を整理してみるとどうなるかということです。これだけの幅の広いテーマでありまして、SDGsというのはこうした広いテーマについて分かりやすい形で、どこからでも取り組んでいこうということで、これについても県庁横断的に、かつオール岐阜で取り組んでいきたいと思っているところでございます。

 次の資料2の参考資料4というのは、脱炭素社会ということでありまして、2050年脱炭素社会に向けて、その中間である2030年について、温室効果ガスの排出量を2013年比で46%減という、大変野心的な目標を国として掲げているわけです。私どもも、来年度、現在の計画を改定して、そうした野心的な目標に沿うべく、プランを立てたいと思っておりますが、来年度予算としてはここにありますように、再生可能エネルギーの導入から始まりまして、あらゆる分野でこの脱炭素に向けてやっていこうということでございます。

 太陽光発電施設の導入でありますとか、地熱、小水力、木質バイオマスとか、そうした再生可能エネルギーの導入の問題から、住宅、建築物の省エネ化とか木造化とか、まちづくりで言えば、次世代自動車の問題、商工業で言えば、エネルギー利用の最適化を図るためのエネルギーマネジメントシステム、EMS(エネルギーマネジメントシステム)というようなものの導入とか、森林は先ほど申し上げましたようなクレジット、新しいモデル事業をやっていこうということでございます。等々、最後の普及啓発のところにありますが、県全体として、地球温暖化防止・気候変動適応計画を大幅に改定するということになろうかと思っております。

 次の資料2の参考資料5は、昨年導入して非常に好評でしたので、今回の予算編成にあたりましても、昨年来、通年的にいつでもアイデアがあったら出していただこうということで、アイデアを若手から募集したり、特にDXの推進計画をやっていく中で、特に若い人たちの得意な分野だということで、様々な提案を出してもらったのですが、全体として3億円強の、それらのアイデアを踏まえた予算を計上することにいたしました。

 提案件数が121件でありますが、そのうちの36件について令和4年度予算で新規事業化しまして、この他54件、これはむしろ令和3年度中に補正予算とか、既存の予算で既に実行済みでありますので、実行済みの54件と今回の36件を足すと90件になります。121件中90件を実現するということですが、内容的には代表的なものをここに書いてありますが、現場目線というか利用者目線というか、どちらかというと具体的な体験型の提案が非常に多いので、大変良かったのではないかと思っております。

 上の2つはどちらかというと、職場環境の自らの改善というような提案でありますし、そこから先は様々な、小中学生向けでありますとか、ゴミ拾い、文化、農業、漁業、空き家活用等々、いろいろと提案が出ておりまして、引き続き、自由に若手職員からのアイデアを出していただいて、かっ達な職場の空気を大事にしていきたいと思っております。

 以上が予算に関連するご説明でありますが、もう一つは組織の改編でございます。これが「3令和4年度組織の見直し」という資料にあるわけでありますが、全体の見取り図は1ページ目にありますが、部内局として、デジタル推進局を清流の国推進部の中に設けたいと思っておりまして、このデジタル推進局長が部長級ということでありますが、全庁横断的に引っ張っていってもらう必要がありますので、そういう趣旨で清流の国推進部に部内局ということで置かせてもらおうと思っております。

 それから、課については4増4減でありまして、今申し上げた政策に合致したものばかりだと思いますが、SDGs推進課、脱炭素社会推進課、産業デジタル推進課と、このアフター・コロナに向けての横断的なテーマを扱う課が3つあります。そして、森林活用推進課、これも脱炭素にも関係するのですが、森林サービス産業とか、木育とかJ-クレジットといいますか、カーボン・クレジットです。そういった森の価値を積極的に活かしていこうということでの森林活用推進課となっております。これに合わせて従来の環境企画課とか新産業・エネルギー振興課とかは、それぞれ少し分散して、仕事を分散し、課は廃止をいたします。

 あと、家畜伝染病対策課は平成30年に発生した豚熱、当時は豚コレラの問題が急速に大きくなった時につくったわけでありますが、今、家畜防疫対策課と家畜伝染病対策課と2課体制でやっておりますが、かなり落ち着いてきましたので、1課体制でいこうということで廃止します。

 それで、恵みの森づくりは、恵みの森というよりはもっと広い森林の活用ということで換骨奪胎して、森林活用推進課に変わるということであります。

 それから、課の中にある室でありますが、2増4減ということで、森林吸収源対策室を、先ほど申し上げたようなことですが、これを森林活用推進課の中に置きますし、それから木造建築推進室は県産材流通課の中に置きますが、いずれも脱炭素につながるテーマでございます。

 廃止する方はSDGs推進室が課に昇格したということであります。IT利用促進室がいわば産業デジタル推進課に格上げになったということであります。それからオリ・パラはひと段落しましたので、廃止ということです。それから、100年の森づくり推進室は森林配置計画の策定が完了し、今後は計画に基づいた森林整備を行う森林経営課等ということで換骨奪胎するということでございます。

 内容的には、次の2ページ以降に特に新設、強化するものについて、趣旨が書いてありますが、ウィズ・コロナの方は感染症対策、あるいは保健所の体制ということで増員強化ということであります。それからアフター・コロナとしては、今お話ししましたデジタル推進局、産業デジタル推進課、SDGs推進課、脱炭素社会推進課と、それぞれ横断的なテーマで取り組んでいただくということです。

 それから次のページでありますが、商工政策課を商工・エネルギー政策課に改称しまして、そこにエネルギー対策監を置くということで、新しいエネルギービジョンを作成し、再生可能エネルギーの普及等々、産業部門の脱炭素化に取り組んでいただくということです。それから林政部に森林活用推進課を置きますが、これは先ほど申し上げたことであります。それから森林吸収源対策室、木造建築推進室ということでございます。

 それから、あと農産園芸課に「清流の国ぎふ花と緑の振興センター」ということで、これは花き産業の振興と担い手の育成というそういう組織を設けようということでございます。

 それから「誰もが活躍できる社会」という観点からは、文化創造課に文化祭の推進監を新設します。これは国民文化祭、障害者芸術・文化祭両方ですね。それから文化伝承課に高等学校の総合文化祭の推進監ということで、この3つの文化祭は一体的に令和6年度に開催をいたしますので、これからしっかりと取り組んでいただくということでございます。

 それから、4ページはパラスポーツをどこに位置付けるかなのですが、国はスポーツ庁に位置付けています。本県は一部、健康福祉部にパラスポーツを置いてあるのですが、特にパラスポーツの振興ということになりますと、むしろ清流の国のスポーツ担当の方に置いた方が良いのではないかということで、横に移管をするという話であります。

 それから、あとは子ども相談センター、中央子ども相談センターの強化ということであります。

 それから、4ページの一番下が、岐阜駅周辺鉄道高架工事事務所の体制強化ということで、今、ふれあい会館の中に県としてはありますが、これを岐阜市と一緒になって現地合同事務所ということで岐阜市の駅の南側のエリアに移転をするということで、岐阜市と一体となって高架化事業の本格着手の体制をつくっていくということでございます。

 それから、地域の魅力は文化祭の話です。あとは再掲であります。

 ということで、冒頭見ていただいた政策の体系の重要テーマにあわせて、組織についても、そんなに大幅ではないのですが、特に横断的なテーマについて、体制整備をしていこうというのが今回の狙いであります。

 ということで令和4年度の予算、そして組織ということで取り組んでいきたいと思っております。

 少し長くなりましたが、私の方からは以上でございます。

 

記者

 当初予算ですが、過去最大規模ということではありますが、さりとて、コロナを除けば若干マイナスということで、我々としては、少し捉えどころのない感じですが、知事としてはどのように総括して、どのような予算だという評価をしていらっしゃいますか。

 

知事

 捉えどころがないとおっしゃいましたが、予算はいろんな側面がありますので、ベクトルが全てそれ行けどんどんで、右肩上がりの方向を向いていくわけではありません。かつては、思い切った財政再建ということで、縮小していく中で工夫をしていくという時代もありました。今回の特色はそういう意味でいうと、一方で規模は過去最大であって、他方でコロナという当面の課題に大きな力を入れているメリハリという事があります。もう一つは県債の発行をしっかりと抑制したということがありまして、結果として県債依存度が一桁ということであり、将来を見据えた持続可能な財政運営をにらみながらの大型予算ということであります。決して一本調子ではなく、メリハリを付けながらやっているということでございます。

 

記者

 実質公債費比率の推移ですが、知事就任後、極力下げる努力をされてきて、これから将来的に令和4年度の水準で行っても上がっていくということですが、今年度の県債の発行の抑制もそうだと思いますが、どこかで右肩に下がるような方策を打っていく必要があると思いますが、将来的にどのようなことを考えてらっしゃいますか。

 

知事

 県債は長期間にわたって返済していくものですから、先々にいろんな影響を及ぼしていきますので、先を見ながら毎年毎年の予算編成のなかで意を用いていくということになるわけであります。この実質公債費比率がどのくらいなら健全でどのくらいなら良くないかという絶対的な基準はないのですが、少なくとも18%を超えるようなことがあってはとても健全とはいえません。過去において、右肩上がりでどんどん公債発行していく中で気が付いてみたらエンドレスになってきているというということもありました。当時の私どもの財政再建の最初の柱は実質公債費比率なり、県債発行なりをどこかでピークアウトさせよと、いつピークアウトさせればどのようになるかということを予測しながら財政再建に取り組んできました。

 そういう流れの中でいうと、現在の令和4年度の規模でいくと、こういうことになるということであって約10年後を見ても10%に満たないところの水準であります。特にこのところ国土強靱化とか老朽化対策とか災害対策とかいった急を要する必要不可欠なものがでてきておりますので、こういったことを考えますと、ある幅の中で先々を見通せるところで財政運営をやっていくという事かと思っております。これが一本調子で増えていくわけではなくて、仮に今と同じ程度のことをやれば、どこかで横ばいになるわけでありますので、もう少し先の10%を少し超えたぐらいのところで横ばいになるのではないかというのが今の試算です。この今の水準なら特に無理なことではないと思いますが、むしろ年度途中とか、時代の要請で思い切ったインフラ整備とか災害対策とかをやらざるを得ないとなると、さらにそこに積んでいくわけなので、どこまで積んだらどうなるかということはしっかり見通していかないといけないと思っております。今後補正予算とか、来年度の予算編成とか一つひとつそういうことを意識しながら、どこまで県債発行していくかということを考えていくフェーズに入っていくのではないかと思っております。

 

記者

 コロナの予算に関して、コロナも3年目に入りますが、コロナの対策と一方で、アフター・コロナを見据えていくという状況の中で、予算に込めた知事としての思いをお聞かせください。

 

知事

 コロナ対策には二つの側面があって、ひとつは危機管理と言いますか、足元の危機を何としても乗り越えてそのために何をやるかということがあります。もうひとつは、コロナの問題というのは、人類史上大きなトランスフォーメーションと言いますか、変容、転換の大きなきっかけになっているのではないかということです。その時代の変化変容をしっかりとにらんで未来に向かって必要な対策をしていくということも不可欠であります。ですから、今と未来の両方をにらんでやっていくというのが、コロナ問題の基本ではないかと思っております。予算編成もそういう思いを予算編成の中にしっかりと反映させていけたらということで、職員あげて組み立ててきたということです。いろんな制約はありますが、そういう意図が伝わるようには組めたのではないかと思っております。

 

記者

 財政運営に関してですが、この1年コロナの対策が刻々と変わる中で、先手先手で、国の財源も活用しながら緊急的にやってこられたと思いますが、この一年を振り返られてどうだったかということと、来年度の財政運営に向けて生かしていける課題などを感じてらっしゃることがあれば教えてください。

 

知事

 コロナ対策はこの1年というよりも2年ですが、ざっと当初予算や補正予算も含めて、4000億なのです。そのうちの大雑把に3000億円ぐらいは、国から財源をいただいて、理解をしていただいてやってきております。あとの1000億をいろんな形で、工夫をして調達して組み立ててきたわけです。難しいやりくりではありましたが、なんとか、これまでやってこれました。これからも同じような手法でコロナ対策については乗り切っていきたいと思っております。今回の予算編成は特に意を用いたところで言えば、県債の発行を抑制するということで、国の利用活用可能な財源を目一杯とりにいくということもありますし、今年度の税収増をそういったことに使ってしまうのでなく、県債発行抑制にも生かしていくとか、事業見直しを徹底的にやって、節減努力も最大限やろうとか、臨時財政対策債の発行も抑え込んで、国からの地方交付税の追加もありましたが、これも単純に使うということではなく、県債の抑制につながるような努力をしてきたことが一つの流れです。

 今回もう一つは予算編成の最中に50億円の専決予算をやりました。つまり、翌年度の予算編成作業をしながら、目先に不可欠なものは、まず予算を組んでやっていかなければならないということで、目の前のすぐにも使わなければならない予算を組むという作業と、来年度ないしはその先を見据えた予算編成をするという作業を並行してやってこざるをえなかったというのが特色だと思います。

 

記者

 今年度もコロナに関してたくさん補正予算を随時組まれましたが、コロナ対策という意味では、当初予算で特に積まれたところ、ポイントになるところはどこでしょうか。

 

知事

 まずはそもそも、アフター・コロナ対策というのは目先のことではありませんので、DXの推進計画でありますとか、その他長期的なテーマについては、各部局から提案を出してもらって、それをできるかぎり先を見据えて実行していくということで、アフター・コロナ予算の伸びが3倍ということになっております。そういったことには意識的にアフター・コロナ予算をしっかり積めるようにという努力はしました。

 他方でワクチンとか病床とか宿泊療養施設とか検査とかは、目先のコロナ対策をやる上では当然必要な経費ですから、明らかに必要なものは見ていくという部分と、例えば、資料1の横長の最後のページにありますように、孤独・孤立対策とか中小企業への支援とか雇用対策とか、そういった関連政策についてもしっかりと予算をきめ細かく用意しようということで各部局から丁寧に提案してもらいまして、これも一つひとつ丁寧に審査をしてもらったということです。

 

記者

 財政調整基金の残高確保ということですが、例えば標準財政規模に対する割合ですとか何か目安になるものというのは念頭にございますか。

 

知事

 特にはないですが、議会で出てきた議論として、3桁を切るといろんな年度途中の需要がある中で、やはりある程度余力を持っていないと危ないのではないかという指摘をされることはありました。過去の水準からすると190何億というのは、良い数字ではないかと思います。年度途中もできるだけ節約とか、工夫をするということで予算があるからと言って使い切らないというか、使い切らないこと自身が賢いやり方だということで、工夫をしております。例えば、令和3年度の当初予算では財政調整基金が103億だったのですが、令和3年度末、今年度末では304億になるのです。だから103億の見通しが約3倍になって、それが令和4年度の財源に引き継がれるということです。そして、そこから110億繰り入れをして、194億残していくというのが令和4年度の見通しであります。これもこうしたから使い切るということではなく、毎年毎年しっかりと節約をしていきますので、だいたい年度初めの見通しから、かなりの程度、積んだ姿で年度末には行きつくことのほうが最近では多いです。具体的にどうなるかは計算できませんが、年度途中の努力も引き続きやっていくということだと思います。

 

記者

 現在コロナ禍の中にあり、今後の予算の運営についてのお考えなのですが、例えば令和3年度ですと当初予算が8704億に対して、補正予算が重なって2000億円強となっています。令和4年度も当初からかなり増えることは予想されると思うのですが、その中で運営上どのようなことに心がけておられるか、運営上の肝のところを教えていただけますか。

 

知事

 このところ補正の額が大きくなってきておりますので、当初予算だけではなく、補正も含めた評価がいるわけであります。ただ、補正予算というのは何となく積むわけではありませんので、待ったなしのコロナ対策でありますとか、年度途中に置いて不可欠な事業だということで議会にも理解をいただいて認めていただくわけであります。風水害で昨年ショックだったことは、2年前の風水害で生じた被害の復旧作業をやっている同じ箇所が昨年夏の集中豪雨でやられて、それまでやってきた工事がかなり手戻りになってしまったということがありました。できるだけ災害があったら早く手を付けて早く次に備えるというそういうスピード感を、現場の皆さんも含めて痛感しているところであります。そういう意味でとにかく風水害があれば急いですぐに使えるように、すぐに復旧工事にかかれる体制も必要です。また、高度成長の時に整備してきた諸々の施設についての老朽化とか、広い意味での国土強靱化とか、そういったことに対する備えということで、国をあげて大きな補正予算を組んできているときに、私どもは要りませんということにはいかないですし、そういう流れの中で対応していかなければなりませんので、これは予測できないです。令和4年度にコロナがどう展開するか、風水害がどうなるか、その他地震とか大きな災害とか緊急事態的なことがどうなるかは、見通せませんのでその時点その時点で必要な額を判断していって、その時に合わせて、県債がともなうわけですから、県債発行がそこで上積みされていったときに先々どう考えるかとかいったことを考えながらやっていくということになります。

 

記者

 先々というのは実質公債費比率の今後の伸びを念頭に判断していくということでしょうか。

 

知事

 予算というのはいろんな角度から検討していかなければなりませんので、当然そういったことも含むということです。

 

記者

 ひとつ県のなかでDXの推進ということが柱ということがあると思うのですが、それが一般の方の目にもわかりにくいという面もあると思いまして、コロナの経験も踏まえて、どういったことをDXに期待されているのか、どのように進めていくのが課題となるのか教えてください。

 

知事

 まさに今のご質問に答えるべく、このDX推進計画を作ったつもりでありますので是非ご一読いただきたいと思います。特に前半のところで、例えば2ページをご覧いただきますと、デジタル・トランスフォーメーションとはということで、データをデジタルに変換するというのが一つあります。それだけではなく、そのことによって新しいサービスを創造します。それだけではなく、それを通じて利用者側が、働き方とか組織文化とかそういったいろんな有り様を変えていくという三つの段階を経ながら変化が進んでいくということを冒頭で訴えている部分があります。

 それから人口減少、少子高齢化で明らかに担い手が足りなくなることに対する一つの答えでもありますし、経済の縮小ということに対する答えにもなるでしょうし、住民サービスの低下ということに対する答えにもなるといった、人口減少、少子高齢化に伴う課題への答えにもなります。それから新しい日常というのはどういうものか、そういうものを作り出す手段にもなるということです。

 もう一つは、12ページにありますが、デジタル化というのは、技術の導入自体を目的とするのではなくて、既存のルールとか業務のモデルを洗いなおして、変えていくことだということです。県民サービスを向上させるとか生産性を向上させるとか変えていくのだということです。それと同時にデジタルの限界もしっかり見極めていかなくてはいけないとしています。ですからアナログのままであることが必要であるところはアナログを大事にしていかなくてはいけないとしています。それからデジタル社会のもたらす身体的、精神的ストレスも考えなければならないとか、いろんな角度から一般常識のデジタル化礼賛ではなく、限界とか、考慮しなければならないこととかそういったことを一つひとつ丁寧に洗い出したうえで、行政はどう変わっていくのか、市町村が変わっていくのに県はどうお手伝いできるのかということを、各分野ごとにどのようにデジタル化を進めていくのかということを順次まとめてきているつもりです。これもいろんな形で、いろんな機会を捉えて、DXをめぐる県民の皆様との対話、コミュニケーションは大事ではないかと思っております。デジタル庁などができて、国を挙げてデジタル化を進めているわけですが、私ども自治体が進めるデジタル化というのは、具体的なプロジェクトでなくてはならないということで、具体的に何をどうするのか何がどう変わるのか、そこのところをきちっと見据えて、形にするのが自治体の役割だと思っております。そういう観点からあらゆる分野におけるデジタル化について各担当部局で洗い出してどうなるかということを整理したのが、このレポートであります。いずれにしてもデジタル・トランスフォーションについての様々なご意見もあろうかと思いますので、コミュニケーションも必要ですし、あらゆる分野に及ぶだけに、今回のコロナ対策と同様にオール岐阜で取り組んでいくということです。県庁もオール県庁で取り組んでいきます。コロナ対策と同じように、様々な分野の代表の方々からなるオール岐阜の協議会をつくりまして、そこでそれぞれのジャンルごとのデジタル化について具体的な議論も進めていく方法論も合わせて考えていきたいと思っております。

 

記者

 当初予算ですが、コロナ関連を除くと減額予算になっているということです。先ほどのお話で事業見直しを徹底的にされたと伺ったのですが、例えばどういった分野で減らしたのでしょうか。

 

知事

 作業としては、予算編成の前提として、部局ごとに見直しの具体案を財政当局の方に出してもらうという作業を、予算編成立ち上げといいますか、去年の夏頃からずっとそういう議論を一方でやりながら、出てきた提案について、さらに財政当局が細かくチェックして見直していくという2段階の見直しをやってきております。

 分野的には、もうほとんど全県庁に及んで、削れるものは削る、見直すものは見直すということでやってきておりますが、数億円のオーダーで具体的な見直しもありますし、稼ぐ方についても、ネーミングライツだとか、県有財産の売却とか貸与とか、そういったことも含めて稼ぐ方でも工夫をするというようなことで、財源問題については全ての部局にしっかり取り組んでもらったということかと思います。

 

記者

 中でも、既存のもので大きく減らしたものはありますか。

 

総務部長

 具体的な事業については、また財政課長のほうから説明しますが、事業見直しに当たっては、基本的に、全てのプロジェクトを5年単位で終期を設定して、5年経ったら一度リセットするというやり方でサイクルを回しています。

 そこで、もし必要であれば継続というものもありますが、基本的には、そこで一旦、一から見直すということをやっていますので、そこで毎年毎年、数億円の単位で経費の節減をしているということになっております。

 

記者

 組織の見直しの点ですが、今、コロナ対策ということで各部局の方からコロナの方に人員のほうも行っています。その中での今回のデジタルも含めた組織の見直しということをどのように見据えていらっしゃるといいますか、展望されていらっしゃるか教えていただけますか。

 

知事

 マンパワーという意味で言うと、岐阜県はかなり少数精鋭なのです。例えば、この分厚い資料(岐阜県デジタル・トランスフォーメーション推進計画(案))の5ページを見ていただきますと、政令指定都市のある都道府県を除いて、マンパワーは、岐阜県は少ない方から3番目です。

 非常に少数精鋭でやってきていて、そういう中でコロナについては、全部局の中で少しでも頼めそうな人は次々と動員していくというやり方で、瞬間瞬間の業務量に応じて、やりくりをしているわけであります。この部分は、定員とか定数とかいう固い話ではありませんので、もう緊急事態になったら、わっと集めて、わっと仕事をするというようなことでやっていかざるを得ないのですが、大変苦しいことは事実です。

 それから、オール県庁としても、数字的に申し上げますと、条例定数で行きますと、現在が4,884人で、これが来年度は4,924人で、40人の増になっていまして、この増の主なものは児童福祉司とか児童心理司とか、保健師です。そういった部分を増やしているということで、コロナとか社会福祉とかをにらみながら、どうしても必要なところについては増やしますが、あとは中のリシャッフルでやり取りしているわけなので、今回も新しい課を作ったり室を作ったりしていますが、これも当然スクラップも出しながらということです。ものすごい大きな新しい人間の塊ができるというよりは、工夫しながら、やりくりしながらということで、何とか重点主義で組み立てていくということになっているわけです。

 他方で、おっしゃるように、すわコロナと言えば、わっと動員しないといけないわけですから、その間、こちらの業務はどうなるのかということかと思うのですが、これも県庁組織のBCPです。何を優先し、何を劣後するかという中でのやりくりということで、定員定数というのは、そう簡単に増やせるものではありません。

 かつて財政再建の時には、かなり思い切って減らしてきたのですが、そこから最近じわじわと少しずつ増やしては来ているのですが、イメージしておられるほど、組織改革をやった結果、何か新しい人的な大きな塊ができるというところまでは行きませんので、あくまで少数精鋭で行こうということでしかないです。

 

記者

 去年から、若手の方への意見募集ということをやられましたが、先ほどいろんないいアイデアが出たということですが、この2年やってみた総括であるとか、今後に期待される点などありましたら教えてください。

 

知事

 やっぱりどういう提案が出るのかと思って関心を持っていたのですが、非常に具体的ですし、現場感覚の強い、そういう体験型といいますか、そういう提案が多いです。

 理念とか方向性から始まって、何か大きな塊の予算とかを提案をするというよりは、具体的にここをこうしたらいい、ああしたらいいという、それはそれで、若い人らしい現場感覚ということで、非常に私自身としては評価しています。

 それと、DXの時に、若い人の意見を聞く場を設けたのですが、非常に積極的にいろんなことを言ってくれるものですから、これからももっともっと導入していきたいと思っております。

<外部リンク>