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知事記者会見(平成31年2月8日)

記事ID:0019685 2019年2月15日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

平成31年2月8日(金曜日)13時30分

司会

 それでは、平成31年度当初予算知事記者会見を始めさせていただきます。
 知事、よろしくお願いいたします。

知事

 来年度予算ということではありますけれども、私のほうからは、まず、骨格をお話しさせていただいて、後からそれぞれ各課のほうから詳しいご説明をさせていただきますので、よろしくお願いします。
 まず最初に、このグラフの資料から見ていただきたいのですが、資料1です。まず、来年度予算総額8,259億円ということで、平成30年度の当初予算8,130億円に比べますと、129億円、1.6%の増ということでございまして、この折れ線グラフにありますように、平成24年度の予算から、7年連続で増額予算ということでありまして、かつ、ずっと横に見ていただきますと、16年ぶりに8,200億円台ということでございます。
 基本的には、積極予算と位置付けて良いのではないかと思っております。それから、2ページをご覧いただきますと、歳入でいきますと、特徴的なところでいきますと、増減額の欄をみていただきますと、県税収入は景気回復とかあるいは、企業収益の改善ということで、増を見込んでおります。
 それから、地方譲与税も全国ベースで増収になると見込んでおります。交付税も若干の増を見ております。県債のほうは、逆に減少と、特に臨時財政対策債が大幅に減ってきております。反面で、臨時財政対策債を除く県債が増えておりますけれども、これは基本的には、防災・減災・国土強靱化ということで、国の方で3ケ年緊急対策というのを定めて、全国的に手を打っていこうという流れがあるわけでありますが、そういったものを受けての県債発行ということでございます。国庫支出金のほうも内容的には災害復旧とか国土強靱化ということで、増えてきております。あと、県債のところでいいますと、関ケ原の古戦場記念館の整備でありますとか、いよいよ県庁舎の工事が始まりますので、そういったものがプラス要因として出てきているということでございます。
 それから、次に歳出のほうでみていただきますと、これまた、増減のところをご覧いただきますと、人件費は退職手当が減ったということでマイナスになっておりますけれども、公債費がずっと平成21年度をピークに10年連続の減少ということで、財政再建ということで抑制してきたところが効果を表してきているということでございます。
 社会保障関係経費がプラスでございますが、自然増がざっと27億円、幼児教育の無償化等々、消費税の引き上げに伴う社会保障の拡充ということで、ざっと20億ということでプラスの47億円となっております。
 それから普通建設事業費のほうは、108億円の増になっておりますが、このうち、防災・減災・国土強靱化というものが、約80億を占めております。この他に関ケ原、県庁舎再整備もここに入っております。それから猛暑でありましたので、高等学校の普通教室の空調を入れようということで、これも12億あります。それやこれやで普通建設事業費が増えているということで、基本的には防災・災害対策等々が中心でございます。
 それから同じく支出を分野別に眺めてみますと、これまた、増減額のところをご覧いただきますと、総務費が43億円のプラスになっておりますが、これは、主として県庁舎の本体整備費が15億の増、県議会選挙、参議院選挙、これが14億の増加要因ということで、この2つが主たる要因で増となっております。
 それから民生費のところは、幼保無償化に伴う市町村のシステムの改修費補助等々、あるいは介護保険の県負担金といったことも増加要因となっております。農林水産業費のところについては、豚コレラ対策18億と国土強靱化のためのインフラ整備に23億、これが主たる増要因になっております。
 それから商工費がマイナスですけれども、これは中小企業の制度融資の貸付金が減になるということと、産業技術総合センターの整備が終了いたしますので、この分だけでも31億減ということでございます。土木費については、先程申し上げました国土強靱化です。教育費の増は11億になっておりますが、このうちの12億増分が空調エアコン代でございます。
 そこで、5ページ以降は、ずっと経年的に眺めたものでございますが、まず、県債発行額でありますが、平成14年度の1,598億をピークにずっと減らしてきたわけですが、その後若干の増に転じておりますが、かつての1,500億という規模とは遠いわけであります。平成30年度の増分は国の補正予算を活用した災害対策等の公共事業の増がきいておるということでございます。これを臨時財政対策債とそうでないものとで分けますと、臨時財政対策債は平成13年に始まりまして、これは本来、国が交付税で対応すべきものを、肩代わりとして、強いられた借金という性質のものでございまして、これが、なんだかんだといいながら増えてきておったわけでありますが、一貫してこれは減らすべきであると、後で交付税でカバーすることは当然として、基本的には肩代わり借金は減らすべきだということで、このところ減り気味には来ております。これによる全体の増はかなり大きいわけでありますが、それ以外の県債でいきますと、平成23年度あたりまで一貫してずっと減らしてきておるわけであります。その後、今の諸々の災害対策、その他いろいろハードの面で増えてきておりますけれども、かつての水準とは、ずっと遠いところにあるということで、何とかこの辺の水準でやりくりをしていこうということでございます。
 それから6ページをご覧いただきますと、以上のようなことを踏まえた県債の残高でございますが、残高トータルは依然として右肩上がりということでございますが、臨財債以外の下の濃い方の棒グラフを見ていただきますと、平成20年度以降ずっと着実に下がってきておりまして、ここのところはちょっと災害対策とか、国土強靱化対策で増えてきておりますけれども、この白いところが臨財債ということでありまして、強いられた借金の残高が非常に高いウェイトを占めてきているということでございます。その結果として公債費がどうなっているかといいますと、全体としては平成21年度をピークに減ってきているわけでありますけれども、特に臨財債を除いた方は10年連続で大幅に減ってきておりまして、この公債費の減が、そのまま、われわれとしては、実業に使えるというか、実予算に使えるお金になってくるわけであります。臨財債を含めても少しずつ減ってきているという流れであります。
 今回予算と併せて、岐阜県行財政改革指針を改めて作り直しましたので、そこからの抜粋でありますが、公債費が今後どうなるかということでありますけれども、この先、新しい元号の2年時が、ボトムでそれから少し増えていくという姿を想定しています。これは厳密な予測値とは思っていただかない方がよいかとは思いますが、少し増えていく。しかし、基本的には臨財債の残高が相当分を占めているわけでありますが、この臨財債の借金を返すための公債費が右肩上がりで、どんどん増えてきているということでありまして、この新元号の10年度の一番右をご覧いただきますと、全体の公債費の4割を、強いられた借金の返済が占めるということになるわけであります。これは、われわれとしては当然、交付税で国からは、返していただけると期待しております。それから新元号での10年度以降もだいたい800億円台まで行くと思いますけれども、そのあたりで、高止まりに持っていければというようなイメージでおります。
 これらを踏まえた財政健全化の指標として実質公債費比率と、一般財源等に占める公債費などの割合ということで、3年平均をとった折れ線グラフでございますけれども、これが18%をこえると1円たりとも総務大臣の許可なしには借金ができないという起債許可団体になるわけでありますが、平成21,22,23,24と4年間許可団体でございました。特に平成23年度がピークで、19.7%、単年度だけでみますと2割を超えておりまして、予算の2割が借金の返済費であったという時期でありました。このころは全国でワースト3と、第45位ということでございました。これが、いろいろと抑制をし、工夫をしてきた結果、平成29年度は10%まできておりまして、この数字は全国第8位ということでございまして、下から3番目が上から8番目になったということでございます。今の見通しでは、さっきのような前提で考えますと更に6.7%ぐらいまでは下がるんではないかと思っております。その後は緩やかに上がってまいりますが、新しい元号の10年度を見渡しても8%台までということでいけるんではないかという推計、見通しでございます。
 これとは別に、資料にはありませんが、経常収支比率という、予算の硬直度を見る指標で、予算の硬直された部分がどのくらいなのかという指標があるんですが、平成20年度ごろはやはり全国第44位ということであります。平成28年度の一番新しい数字をみてみますと、全国で良い方から9番目ということでありまして、実質公債費比率の面でも、財政の硬直性という面でも上位にきているということで、引き続き、タガを緩めることなく、放っておいても災害その他いろんな事態が起こるわけでありますし、社会保障経費は毎年30億、場合によっては40億から50億まで自然増がこれから出てくるわけでありますし、そういったことを考えますと、持続可能な財政運営ということを心がけながら、その範囲の中で、できる限り積極的な予算を組んでいくということかと思っております。今回そういう大きな流れ、枠組みの中で予算を組ませていただいているということでございます。

 次に、お手元の資料でいきますと、縦長の「2平成31年度当初予算の概要について」の最初を見ていただきますと、今年度の予算のキャッチフレーズといいますか、スローガンは、「一人ひとりの幸せと確かな暮らしのあるふるさと岐阜県を目指して」ということにさせていただいております。
 これは、併せて間もなく発表します「『清流の国ぎふ』創生総合戦略」と、地方創生第二弾の長期的な戦略を用意しているわけですが、これの見出しと同じものでございまして、長期戦略の初年度ということで、その足並みを揃えて、その方向で予算を組んだということでございます。特に言葉の問題ですが、「一人ひとり」ということとか、「幸せ」ということとか、「確かな暮らし」とか、「ふるさと」とかですね、そういう言葉の意味するところを、一つひとつを丁寧に大切にしていきたいという思いで、こういうスローガンを掲げさせていただいたということでございます。
 この資料にありますように、昨年の9月に県人口が200万人を下回りました。今後の見通しとしては推計ですけれども大体毎年1万6千人程度、岐阜県の人口が向こう10年間減少し、10年間で言いますと16万人減っていくのではないかという見通しでありまして、人口減少社会真っ只中ということでありますし、そういう中で65歳以上の人口はほぼ横ばい、一方で0歳から64歳までは減少していくと、こういうことでございますので、そういう少子高齢化も真っ只中ということでありまして、こうした人口動態を踏まえた地方創生総合戦略ということをベースに、新しい戦略の初年度として予算を組ませていただいたと。これは政策面であります。
 もう一つは、他方でというパラグラフがありますが、まさに財政の持続可能性といいますか、これについては岐阜県行財政改革指針を改訂いたしまして、節度を保ちつつメリハリの利いた政策展開をしていくという、節度とメリハリとを両立させていこうということでございます。先ほども申し上げましたけれども社会保障経費とか社会資本の老朽化とか災害その他いろんな経費の増が見込まれる中で、県経済の動向にも注目しながら組み立てていくということでございます。
 それから今事務事業の見直しをやってきておりますけれども、今回の予算の査定作業の中ではざっと6.7億円を事務事業の見直しの中で予算を節約する努力もあわせてやってきているということでございます。
 そこで、総合戦略の柱立てに沿って、ここに書いてございますが、3本柱ということで、ひとつは何と言っても「人づくり」ということであります。特に県民会議でも議論がございましたけれども、やはり地域との連携、あるいは大学との連携、そういったことを重視しながら、ふるさと教育、産業教育というものを積極的に切れ目なくやっていこうという考え方でございます。それから高齢社会という中で、すなわち人生100年時代あるいは生涯現役社会ということでございますので、これに向けた高齢者の就労支援も含めて誰もが活躍できる社会づくりと、この「誰もが」の中には障がい者とか外国人材などがあるわけでございます。
 それから2番目の大きな柱が「健やかで安らかな地域づくり」ということで、医師、保育士の確保ということで奨学金等々の更なる強化を掲げておりますし、ねんりんピックがオリンピックの直後に予定されておりまして、60万人の参加ということで非常に大きなイベントでありますので、この準備も含めて、人生100年時代を健康、健やかに暮らせる地域づくりを目指すということでございます。
 それから、今話題になっております児童、高齢者を虐待から守る体制の整備というようなことで、体制の充実を図ろうと。更には自然災害への備え、それから豚コレラ対策の推進などを考えております。
 それから移住・定住を促進しようということで、移住をして来られた方が岐阜で仕事に就かれる、あるいは新しい仕事を起こされるということに対する積極的な支援制度を創設するとか、あるいは中山間地域でのサービスの維持・再編をどう進めていくのかということで、全ての自治体が全ての行政サービスを同じように提供するという仕組みを維持するのは難しくなっていく中で、どのようにこのような問題に対処していくかも問題意識としてあります。
 それから3番目の柱が「魅力と活力づくり」でありまして、何と言っても来年がオリンピック・パラリンピック、それから「麒麟がくる」等々、観光面でのビックイヤーでございますので、その来年に向けて本県の魅力を大いに発信していこうということでございます。あわせて、第4次産業革命といいますか、AI、IoT等々の先端技術をまさに産業政策としてもありますし、それから担い手不足への対応でもありますし、こうした技術を大いに振興していこうということでございます。それから広域ネットワーク・インフラと書いてありますが、引き続き、東海環状の西回りをはじめとして道路ネットワークの整備も進めていくということでございます。それから、農林漁業でいきますと、スマート農業の推進でありますとか、木育・森林教育の拠点整備でありますとか、そういったこともやっていこうということでございます。
 こういう中で、戦略に沿って整理をしましたが、平成31年度ならではということで、意識的に思っておりますのは、ひとつはこの4月から外国人材の受入れが緩和されるということで、この受け入れ体制の整備、支援、外国人材の活用というのは具体的に大きな課題になってきておりますので、これを意識した雇用相談窓口でありますとか、生活支援のためのワンストップセンターでありますとか、そういったものに予算を手当てしてきております。
 それから、昨年の7月の豪雨に見られますように想定外の常態化といっておりますけども、まさに自然災害に対する備え、あるいは今、火中にありますが豚コレラ対策、これも来年度予算の中では緊急な課題として意識しております。
 それから東京オリ・パラに向けての準備と、そういったことを契機としての岐阜の魅力の発信といったことも来年度のひとつの重要なポイントだろうと思っております。来年度ならではのポイントも長期戦略の中で意識的に予算を手当てしているということでございます。
 これをざっと見取り図にしたものがA3の1枚紙でございます。各部局の方から説明がありますのでお聞きいただければと思いますが、柱立てだけ見ていただきますと、今申し上げたように、縦に1番目が「人づくり」で、未来を支える人ということで、ふるさと教育、産業教育、あるいは幼児期から高等教育までの切れ目のない教育の展開等々ですね。それから誰もが活躍できる社会ということで、性差に関わらず、障がいのあるなしに関わらず、外国籍の方もと、若者から高齢者まで年齢に関わらずということで、それぞれの対策を考えております。
 2番目の柱が真ん中のラインで、「健やかで安らかな地域づくり」で、健やかに暮らせる地域ということで、医療・介護のための人材確保、それから子どもを産み育てやすい地域づくり、医療・介護サービスの充実等々ございます。それから安らかに暮らせる地域では、貧困支援、虐待・家庭内暴力、犯罪・交通事故の防止、災害への備えと、このようなことでございます。豚コレラへ対応もここに位置付けてございます。それから誰もが暮らしやすい地域ということで、移住・定住の推進、あるいは生活インフラの整備というようなことでございます。
 3番目が「地域にあふれる魅力と活力づくり」ということで、地域の魅力の創造・伝承・発信と、清流の国ぎふ憲章に沿って書いてありますが、この中では県の美術館のリニューアルオープンがございますし、プラスチック代替製品の利用促進といった環境対策面もありますし、スポーツ立県という側面もありますし、ブランドづくりという側面もあります。こういったことで、創造・伝承・発信ということでございます。
 それから次世代を見据えた産業の振興ということで、第4次産業革命を中心に成長産業、地場産業、観光産業の振興を考えておりますし、最後は農林畜水産業の活性化ということでございます。そういったことで予算全体の構成をさせていただいております。以上が来年度の予算の大きな姿でございます。

 次に、組織の問題でございますが、資料3の「組織の見直し」というのがありますが、「平成31年度当初予算の柱立てと組織の見直し」と「平成31年度の組織改正の概要について」の両方を見ていただければと思います。
 今回は激変はなく、部・あるいは部内局は特に変更ございません。課の方では、先ほども申し上げましたが、外国人がこれから大幅に入ってこられるだろうということで、外国人活躍・共生社会推進課という新しい課を一つ考えております。
 それからもう一つは、畜産課というのが既にあるのですが、畜産振興と、家畜防疫対策と両方やっているんですが、これを分けまして、畜産振興課と、家畜防疫対策課ということで、新しい課としては、家畜防疫対策課というまさに豚コレラ対策を念頭に置いた単独の課を用意するということです。
 それから課内室としては、2増1減で、観光コンテンツ活用推進室ということで、観光振興を進めていくうえで、例えば、大河ドラマでありますとか、朝ドラでありますとか、アニメでありますとか、様々な観光のコンテンツを積極的に活用していくということで、独自の室をつくろうと。
 それから、スマート農業の分野でのIoT・AIの導入であるわけですが、省力化とか高品質化につながるわけですが、スマート農業推進室というのを新たに設けます。
 一方、アジアジュニア陸上は終わりましたので、これは廃止するということです。
 それから現地機関で言いますと、5月1日付で工業技術研究所と、産業技術センターと、情報技術研究所の3つを一体化しまして産業技術総合センターがスタートするということです。
 一方、産業技術センターの中にあった食品部を独立させて、岐阜大学のキャンパス内に、食品科学研究所ということで、産官学が一緒に食品産業に取り組んでいけるような研究所を起こそうということで、これは4月1日からのスタートですが、だいたいこんなところが主なところです。
 あと、「平成31年度当初予算の柱立てと組織の見直し」を見ていただくと、係の新設はそれぞれ重視しているところですが、あと申し上げておく必要があるのは、1(2)の「誰もが活躍できる社会」のところで、女性の活躍推進課というのがありますが、男女共同参画・女性の活躍推進課というふうに、名前の改称ですが、単なる改称だけではなく、第4次の男女共同参画推進計画を推進していくという趣旨を明らかにしようということで、コンセプトを課の名前に入れさせていただきました。
 あとはそれぞれの繁閑の度合い、新しい課題といったことを踏まえて、係ベースでいくつかあります。豚コレラの関係で言うと、「健康で安らかな地域づくり」の(2)「安らかに暮らせる地域」のところをご覧いただくと、畜産課はさっき申し上げましたように、家畜防疫対策課を切り出して一つの課にするのと、それから鳥獣害対策第二係というのを置きますが、第一係は従来の鳥獣害、第二係はもっぱら野生のいのしし対策ということです。それから中央家畜保健衛生所に病性鑑定第三係というのができますが、この第三係はいのしし検査をもっぱらやるところということで、豚コレラに端を発したこれまでの問題について、より集中的に取り組む体制を作っていこうということです。
 あとは、ご覧いただいた通りです。だいたい以上が組織の見直しということでございます。こちらの方は小幅な改革ということです。
 私の方からは以上で説明を終わらせていただきます。

司会

 それでは、今の発表内容についてのご質問をお受けします。

記者

 16年ぶりの8,200億円台ということで、さらに7年連続の増額予算です。この意味合いというか所感をまずお聞かせください。

知事

 この平成10年代後半のところで、県の危機的な財政状況を分析し、また、方針を定めて、とりわけ、県債発行の右肩上がりというのをなんとか抑え込みたいと。そして、公債費がとにかく増える見通ししかない状況の中で、なんとか20年代早々にはピークアウトしたいということで、行財政改革プランということと、職員の給与カットを大幅にやりまして、あの頃でいくと300億円ですかね、財源を捻出して、大変職員の皆さんにはご苦労をおかけしましたが、大ナタを振るって抑え込んできたことが、じわじわと、その後の予算編成の中で自由度を少しずつ増してくる流れになってきたということで、そういう流れが来ているということの表れであると思います。
 ただ、この流れにただ身を揺られて元来た道に行くようでは意味がないので、先々の、先ほど見ていただいたような実質公債費比率とか、このままいくと残高がどうなるかとか、臨時財政対策債等、その他の県債の関係がどうなるかとか、しかし一方で災害対策等については、緊急で惜しみなく手を付けていかなければならないということですので、そのバランスを取りながらやった結果がこういうことであると思っております。
 ただ冒頭申し上げましたように、基本的には、平成20年代前半の大変厳しい流れからしますと、積極予算に転じられたのかなという感じもしておりますし、それから、第2弾の地方創生を念頭に置いてかなり幅広く目配りをしておりますので、あえて言うと、ある程度脇を固めながらも、全方位型の積極予算というような形でなんとか組めたかなと、そんな感じですかね。

記者

 借金の話ですが、さっきおっしゃった県債残高は、平成31年度の当初で1兆6千億円を突破したと。臨時財政対策債のウェイトが大きいのは重々承知していますが、県有施設の長寿命化が毎年130億円くらい。それに合わせて県庁舎を新しくするということで、懸念材料かなと思うんですが、そのあたりとの兼ね合いについてはどのようにお考えですか。

知事

 おっしゃったように長寿命化は避けて通れませんので、ある時期、整備したものがそういう時期に差し掛かってきているんですが、やはり持続的な財政運営という意味では、長期計画を作って、だいたい130億円の枠の中で泳げるように優先順位をつけてやっていこうという。これは方針が決まっておりますので、それを着実に進めていけばいいのではないかと思いますが、県庁舎はその枠の外に出ますので、これをどうするかということですが、本体工事では500億円を少し超えるくらいかと言っていましたが、今回の計算では524億が本体工事にかかるということで、補正予算も含めてみますと、今年度末で260億円の基金ができます。ちょうど524億円の半分ですね。半分がこの基金がありますので、残りの半分を、工事は特定の年に重なりますが、基金を上手に使いながら、特定の年に突出しないように、少しでもなだらかに行けるように、この県庁舎の分だけは、この貯金プラスあと半分の調達は工夫してやっていくということですが、それが130億円の枠の中で長寿命化対策をやっていこうということで、ここは当面変えるつもりはありません。

記者

 今回の予算とか組織改編については、新しい総合戦略に基づくということですが、加えて豚コレラや災害対策というのは、取りうる対策や予算というのはすべて盛り込んで、計上しているというような考えでよろしいのでしょうか。

知事

 豚コレラで言いますと、今年度、3月末までで私どもはだいたい25億円程度を使う見通しでして、その25億円の使い道の中で双璧の一つは実際に殺処分、埋却処分をするときのオペレーション諸々の費用が既に11億円くらいかかっているんですね。もう一つはいのしし対策の防護柵ですね。既に74キロにわたって禁猟区のあたりをずっと防護柵をめぐらしていて、これはもう工事が終わっていて、さらにあと50キロを今年度中に作り終えるということで、その予算がやはり11億円くらいかかっています。それを足し合わせると22億円くらいですね。その他もろもろの対策費が入っています。
 来年度は、どこでどういう殺処分が起こるかというか、起こしてはならないので、その分はゼロにしたうえで、やはり18億円かかると。さらなる防護柵とか、もう少し長期的な体制整備とか、検査体制とか、人材確保とかですね、いろんなことを含めて18億円です。必要なものは全部織り込んだつもりですが、この辺りを国にどこまで応援していただけるか、先般も遠慮なく言ってほしいということだったので、遠慮なく申し上げていますが、どこまで応援していただけるか。それから特別交付税がどこまで対象になるかとか、そのあたりはまた積極的にお願いしていきたいと思っていますが。そういう意味では、必要なものは全部入れてあるつもりです。
 災害関係のほうは、既に今年度で238億円、昨年の7月豪雨への対応ということで使っております。
 来年度予算に掲げているのは52億円で、これは、昨年検証をしたところの残り分ということで、例えば、危機管理型水位計を張り巡らすというハード対策が45億円、それから議会でもいろいろ議論がありましたが、被災者生活住宅再建支援をさらに手厚くしようということでの拡充とか、それから今一生懸命やろうとしております、一人ひとりの災害避難カードを作るというようなソフト対策として7億円ですか、併せて52億円ということで、現時点で考えられるところは載せております。
 ただ、これからまたどういうことが起こるかわかりませんし、今年は伊勢湾台風60周年の年でもありますし、さらに起こったことについては補正とかいろいろ工夫していくことになるでしょうが、当面必要なものは皆織り込んだつもりでおります。

記者

 豚コレラ関係の予算の関連なのですが、今他府県に広がっている状況で、知事が新年度の豚コレラ関係の予算に込められた思いというか決意についてお聞かせください。

知事

 込められた思いというか、なんとしてもまずは終息の方に向かって、一刻も早く出口を見出したいというか、これ以上の拡散を防ぎながらなんとか終息の方向を見出したいというのが思いでありまして、そのためにも多面的な対策を考えておかなければならないと。
 それで一つは農場の防疫対策、農場をどう守っていくかということで、農場の外に嵐が吹いても農場がしっかり防護されているということのために、防護柵だの、消毒装置だの、防疫対策の徹底のための手立て、案ですね、あるいは検査機器の整備とか、あるいはタブレット端末を活用した諸々の情報のデータベース化とかですね、そういう類いの、農場をしっかり守るという防疫対策という面でできる限りのことをやっていこうという、まず守るということですね。
 しかし、その外側に野生のいのししが跋扈しているわけなので、これを全部獲りきるというのは可能かどうかという議論はありますが、できる限りポイントを定めて、最も感染リスクの高いところのいのししを獲れる限り獲りきろうというつもりでやってきていまして、今年は、一般の鳥獣害対策なども含めて、実は昨年の4月から12月までで、ざっと3,000頭のいのししを捕獲しています。それでこの1月から3月で、これを倍増しようといいますか、あと3,000頭獲ろうと。合わせて6,000頭獲ろうということを計画しておりまして、そのための捕獲に関連する物的・人的経費もしっかりと用意していこうという守りと、野生いのししをどう片づけていくかということです。
 この問題は最近の状況を見ると、禁猟区の中の話ですが、だいたい、捕まえたいのししはこのところ6頭に1頭が陽性反応なんですね。私はずっと何頭捕まえて何頭陽性かというのをフォローしているんですが、10頭に1頭になり、15頭に1頭になり、20頭に1頭になり、というふうに流れてくると、かなり獲ってきているなということになると思うんですが、7頭から8頭に一頭くらいの割合が今6頭に1頭になっているんですね。ですから、まだいのししの中で感染するスピードと獲っていくスピードがデッドヒートをやっているところなんですね。だから何とかここを高めていきたいといういのしし対策ということです。
 それからいざとなったら速やかに殺処分・埋却処分ができるように、これも予算を惜しむわけにはいきませんし、それから出荷制限とか自粛とかいろいろお願いするわけなので、それに伴う経営支援といったことも必要なので、それやこれや目いっぱい盛り込んでいますが、実はこの他に例えば野生いのししに経口ワクチンを投与するとどうなるかということで、まだわかりませんが、結構大きな額になります。
 今いろんな議論が行われているところで、昨日もテレビ会議がドイツとの間で行われて、我々も参加していますが、結構な額になるのではないかということで、今回それは予算に入っておりませんので、そういう新たに追加的な手立てを講じたときにその予算を、これは待てませんので、一刻も早くということですから、さらにこの2月3月に追加的にやるとすればまた財源の問題も国と相談しなければなりません。
 先般関係閣僚会議に呼んでいただいて、お話をさせていただいて、そのほか、政府の関係の方とも話をしておりますが、やれることはとにかくやりきろうという思いはお伝えしましたし、そういう構えで政府の方も連携を取りましょうということでこの前会議をやっていただきましたので、そういうところに今あるといいますかね、ご質問の趣旨に合っているかどうかわかりませんが。
 そういうことでの予算の組み立てをやっていますし、まだここでカバーできていない部分が現にあるということは申し上げられます。

記者

 公債費のことでお尋ねします。これまで公債費をずっと抑制し続けていて、それがある意味、古田県政において、政策の自由度に充ててきた部分があると思いますが、今回発表された見通しを見ますと、再来年度をボトムにまた公債費が増加に転じていきます。そうした中で、自由度の高い政策に充てる予算はどう確保したいとお考えでしょうか。

知事

 自由度という観点からしますと、もちろん公債費をどんどん下げていくに越したことはないですが、一方で必要なことはやらないといけませんし、先ほど申し上げたように、特にここにきて、国土強靱化とか災害対策とか、県庁舎建て替えもあるわけですが、むしろ実質公債費比率を見ていただくと、一般財源等に占める公債費などの割合という意味では、だいたい7番目の表にあるように、一定の自由度を確保できたところにとどまれるのではないかというのが向こう10年間の見通しです。
 必要なことをやりながら、自由度もどんどん高まっていければいいんですが、やはり必要なことをやればそれに見合うだけのコストがかかるわけですので、今の時点で言うと、この辺りで推移できれば、県政としては、一定の自由度の中で仕事が続けられるのではないかと思います。
 かつての状況を考えればとても比較にならないくらい自由度はありますので、この辺りの節度を崩さないようにやっていきたいというのが今のところでございますが、ただこの見通しも唯一絶対のものではなく、幅のあるものですから、これから毎年毎年予算を組んでいく時にもやはり先々を考えて、先々の負担がどうなるかということを考えてやっていかないといけません。
 借りるのは簡単なんですね、それでバッと予算を増やして、さあ今度返す段になるとそれがどんどん蓄積されていくわけですからね。そこのところは過去の経験を踏まえて慎重にやっていこうという姿勢でおりますので、まあまあの絵姿ではないかと思っています。
 それから、全国的に見てもそういう意味では遜色のないところまで来ているということも、横並びを見ましてもまあまあかなと思っております。

司会

 それでは知事定例記者会見を終了いたします。

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