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知事 |
それでは、平成30年度の当初予算につきまして、まず全体的な姿を私の方からご説明して、それぞれ各部局の方から各論をまた聞いていただくことになろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 そういう中で、どういう内容の予算を組み立てたかというのが資料IIでございます。最初のところにざっとした概要が紙1枚付けてありますが、スローガン的に言えば「『清流の国ぎふ』づくり深化と挑戦」ということでございます。ここにありますように、本県の財政は、持続可能な財政運営への目途がつきつつあるけれども、いろいろ不透明な点、あるいは構造的に増えていく課題を考えると、節度を保った財政運営とそういう中でのメリハリのきいた政策展開をやっていく必要があるという、この基本スタンスはこの4行に書いた通りでございます。従って、平成30年度予算を組み立てる私どもの基本姿勢もまさにこの4行に要約されているわけでありまして、節度とメリハリということが基本姿勢としてやってきたところでございます。その上で、どういう政策を打ち出していくかということでありますが、3つここに書いてありますが、「人づくり」と「生産性向上」、それから「2020東京オリ・パラを見据えた『ぎふブランド』づくりと内外交流戦略」、3番目が「安全・安心・健康づくり」と、この3本柱でまさに「清流の国ぎふ」づくりを深化させ挑戦していくと、こういう考え方でおりますが、やはり底流として安倍総理も国難とおっしゃっておられますけれども急速な人口減少、少子高齢化の中で、担い手対策なり、あるいは担い手を確保するためにも岐阜の魅力を最大限に発信をしていくという部分と、安全・安心・健康と書いてありますが、県民皆さんへの生活の目配りといいますか、魅力発信と生活への目配りというあたりが大きな骨格になっていると思っております。 次が、組織の見直しでありますが、資料のIIIでありますが、「平成30年度組織の見直し」というA3縦長の紙がありますが、それを開けて見ていただくと、一番下の所に全体概要というものがありますが、知事部局というところで、今回は大幅な変更はありませんが、かなり実務的なというか、いろいろな課題に丁寧に対応していくという意味での見直しということになっておりまして、部の変更もありませんし、部内局の変更もありませんし、課・室・事務局のベースでは4増0減ということで、地域振興課、ねんりんピック推進事務局、国民健康保険課、国際交流課と、今申し上げましたような政策展開を念頭に置いて、それぞれ4つの課を新たに作ると。このうち地域振興課については、下にあります移住定住まちづくり室を拡充したものでありますし、国民健康保険課は、これまで国民健康保険室としてやってきたものを、正式に県単位で運営が始まりますので課に格上げするというようなことでございます。それから課内室。課内室というのは、特定期間、一定プロジェクトを集中的にやるために設ける、いわゆるタスクフォース的なセクションでございますが、これについては8増6減ということで、2室増えるということでございます。増と減はご覧いただきますと、大体今申し上げましたような政策展開を反映したものになっておりますが、このうち肉用牛振興室というものが減となっておりまして、飛騨牛銘柄推進室が増となっておりますが、これは先ほど申し上げましたように、再度日本一を狙うという戦略的な組織を作ろうということで、いわば拡充されるものでございます。 最後に資料のIVでありますが、事務事業の見直しということで、これは、今年度、平成29年4月から9月にかけて、事務事業の棚卸しをやりまして、事務の見直し、事業の見直しをやってきたわけでありますが、9月に方針を策定してその見直しをやってきたということで、それを今回予算にも反映しているというわけでございます。 |
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記者 |
来年度の予算で、今年度の予算との違いというか、特に今年度よりここに力を入れたというものがあれば、教えてください。 |
知事 | 深化と挑戦という言葉にありますように、今、申し上げましたけれども、人づくり、あるいは第4次産業革命、こういったところについて、各テーマ別といいますか、産業別といいますか、ジャンル別といいますか、丁寧に対策をひとつひとつ積み上げてきたというあたりが、一つですね。それからやはり、東京オリンピック・パラリンピックを一つのチャンスとして捉えて、あらゆる角度からこのチャンスを活かすということで、観光戦略であれ、文化戦略であれ、ブランドづくりであれ、そこに焦点をかなり当てて、対策を考えているというところが二番目。それから高山の介護施設でのケースでありますとか、瑞浪での不適正な産廃処理でありますとか、あるいは、鳥インフルエンザの経験でありますとか、更には、郡上特支の経験でありますとか、そういった諸々の昨年生じた出来事の中で我々として反省をし、更に危機管理力を強めるべきところについて、丁寧にですね、組織も予算も施策も目配りをしたといった点が、今回の予算の中で心掛けた点ではないかと思っております。 |
記者 | 予算全般をご覧になって、先ほどメリハリというお言葉もありましたが、県債については減少ということですし、残高も減少してきているという中で、今回の予算編成のやりくりを通じての手ごたえはどうでしょうか。 |
知事 | 予算の大きな枠を考えるときに、もちろん、政策の積み上げが一方であるのですが、中長期的なトレンドの中で持続可能な、安定的な財政運営ができるのかどうかということは、私どもとしては片時も忘れてはいけないことで、かつて、気がついてみたら、とんでもないところに行っていたと、それで起債許可団体にもなりましたし、全国ワースト3にもなったということで、そういうのをある程度、先を読みながらですね、組み立てていくという視点も大事ではないかと思っておりまして、見ていただいたのは過去から今日にいたるトレンドなのですが、と同時に先々のトレンドも考えないといけない。もちろん、カチッとした見通しみたいなものは、今の時点ではなかなか作るのは難しいですけれども。地方予算の難しさというのは、何をしないといけないか、何をしたいかという予算の組み立てもあるのですが、国の制度として、これは必ずやらなきゃいけないとか、こういうふうにお金を積まなきゃいけないとか、それに財源が必ずしも全部付いてくるとは限らない場合もありますし、あるいは、国のシステムが変わるとそれに要する予算が大幅に変わってしまうということもありますので、あまり、カチッとした見通しは立てられないのです。けれども、今回特に意図しましたのは、先々のことで言うと県庁舎の建て替えですね。この県庁舎の建て替えを中長期的にきちんと吸収していけるような持続可能な財政運営という中で対応していけるようなこととか、それから、それこそ長寿命化計画ということで申し上げましたけれども、インフラの老朽化というのが、全国どこでも大きな問題になっているわけなので、その長寿命化計画を作る中で、優先順位を見極めて、ある程度、安定的に一定の予算をそこに振り向けるということで、何とか老朽化対策をやっていけるという見通しも立てなくてはいけないということでありまして、それから個別の色んなビックプロジェクトもあるかもしれませんので、そういうものは、今どの程度見込めるかとかですね、そういうことをずっとやってきますと、庁舎については、半分位は貯金でまかなうという形が見えてきましたので、後半分を、3年4年で分散してやっていけば、その分を飲み込んでいくというのは、なんとか懐の中で可能ではないかということです。長寿命化計画については、デコボコの極力少ない形で運営していこうということで、加減させていただいたということです。あとは、構造的な問題でよく言われる、社会保障の問題ですけれども、仮に消費税が上がるようなことがあって、そしてまた、社会保障を更に強化するということになると、社会保障費のウェイトが更に高くなっていくわけでありまして、しかし、これは、制度論としては、国の制度として、交付税なり、また、どうしても足りないときは、臨時財政対策債かもしれませんけれども、そこはみていただけるという建前に立てば、そこはそういうこととしてお願いをしていくということで、考えていくというようなことです。それから、公債費がこのところ右肩下がりで来てますけれども、これが無限に続くわけではありませんので、公債費が右肩下がりになった部分で、かなりいろんな新しい政策やいろんなことをまかなってきている部分があるわけですが、いつまでも続くわけではありませんので、どこかで横ばいないしは、景気対策やいろんなことで、県債を積んだ時期もありますので、少し増える時期もありますので、いつまでも公債費の減少だけに頼るわけにはいかないということも長期的には見込まないといけないということで、大まかな先々のイメージを持ちながら、今年度組み立てていって、この姿勢をこの後も、持続していけば、ある程度はいけるのではないかという、その辺までは、見極めながら組ましていただいたということでしょうかね。 それからもう一つ申し上げておきますが、実質公債費比率が急速に下がりましたが、あれは実は臨財債は入っていないのです。臨財債は国が全部補てんすべきものであるということであって、県の責任で借金したわけではないということなものですから、国の実質公債費比率という定義においても臨財債は除くということですから、そう意味では急速に下がっていきますけれども、ただ、国も財政上厳しいわけですから、今後、臨財債の償還財源の確保がどのように行われていくか、当然いただけるものと思っておりますけれども、いろんなやりくりが行われるかもしれませんし、そこらへんは注意深く国とも議論していかなければならないと思っております。 |
記者 | 知事がかねてからおっしゃられている、第4次産業革命に対する対応の部分で、今回もかなり大幅に予算が付きまして、本格的に取り組むという姿勢を示す形になりましたが、本県におけるIoT、ICT、先端ロボットという点においては、全国的にどのような立ち位置にいて、更に先陣を切っていくという形なのか、追いつけ追い越せというスタンスなのか、そのあたりの知事の考えをお聞かせください。 |
知事 | なかなかこれを全国的になんとかランキングのように一定の数字で並べて比較するというのは、なかなか難しいですけれども、IoTとか、ICTとかの産業革命を言うときには大きく2つあって、いわゆる先端的なところでどのくらい走っていられるかということと、やはり岐阜県の産業は圧倒的に中小企業、地場産業が中心ですから、そういうところのIoT化というかAI化といいますか、そういう導入を現場にどうやっていけるかという部分とに分かれるわけでありますけれども、先端的なところはIAMASとかソフトピアというところがこれまでやってきた蓄積があるのではないかと思っておりますし、いろんなところで賞をお取りになったり、優れた先生方もおられますし、注目をされていますので、これはこれで更に高いところを目指していただきたいと思っております。応用の部分は、やはり県民会議とか開きますと、どういうふうに応用していいのか、どう導入していいのか、わかりやすい支援の体制が必要だということを言われます。今回、新たに松島先生という方が、ソフトピアにおいでになりましたが、まさにその分野で色々とやってこられた方で、相当思い切って具体的な企業の導入支援みたいなところをやっておられます。ソフトピアであれば、コンソーシアムを作って情報共有というところから始めようかとか、IAMASであれば1年間でマスター(修士)がとれる社会人向けの専門コースを用意して学んでもらうとか、色々と工夫していただいておりますので、大いに期待をしたいと思っております。他県の一挙手一投足までは詳しくないので、比較するとどうかというところは、私もわかりませんけれども、岐阜県としてはかねてより力を入れている部分ですから、まさにソフトピアやIAMASの出番ではないかなと、成果を発揮するときが来たのではないかなと思っております。 |
記者 | 「清流の国づくり」が本格化ということで、知事は常々、実績にこだわっていくということをおっしゃっておられますけれども、例えば指標でみると、どの辺を注目して欲しいといった思いがあれば教えてください。 |
知事 | 必ずしも数字には限りませんけれども、例えば観光という意味で言えば、インバウンドなり、岐阜県に内外からおいでになる観光客の動きなり、そういうものがどういう風に変わってきているかとか、観光業界が新しいツアーを造成するといったときに、岐阜県がどのように評価をされているかとか、東京オリンピック・パラリンピックといったときに、例えば、岐阜県の県産材なり岐阜県の食材が、どこにどのように使われていくかとか、岐阜県の文化事業がどういう形でオリンピック・パラリンピックなり、国の文化事業の一環として評価されるかとか、そういういろんな定量的なものもありますが、そういったことで、人が動いていくというか、情報が動いていくというか、関心を集めていくというか、いずれどこかで集約した格好で整理したいとは思っておりますが、今は、関ケ原にしても何にしても、とにかく走れるだけ走れと、関ケ原もとにかく毎年毎年、今年はどういう企画でどういう人を呼んで、「真田丸」か、今度は映画の「関ヶ原」とタイアップするか、今度は何かとやっておるわけです。今年は夜の関ケ原ということで新機軸を出したいと思っておりますけれども、とにかく今は走れるだけ走る。それから関ケ原もいよいよビジターセンターの基本設計が、ほぼまとまりましたので、いよいよ本格的な、実施設計から工事にかかりますので、そういうものができてきたときに、どれだけの人がおいでいただけるとか、いろんな切り口があろうかと思いますので、どこかで整理はしたいと思っておりますが、今はあらゆるエレメントで、走れるだけ走るということです。 それから、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館も、つい、このあいだヨーロッパからのお客様も見においでになる、オープニングに来たいということで案内がありましたし、いろんな所で関心が集まってきているものですから、これも岐阜県のというよりは、日本国の代表的なものとしてアピールをしようと思っております。 それから、「半分、青い。」の視聴率も気になるところですね。どれだけ皆さんにみていただけるかとかですね、いろいろとそういうことを気にしながらやっておりますが、どっかでまた一回整理させてください。今日の時点ではまだ、これとこれとこれというようなことは、まだ言いにくいところです。 |