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知事記者会見録(令和3年7月30日)

※知事、岐阜大学関係者及び記者の発言内容については、事実誤認や単純ミスと思われる字句、重複した言葉づかい等を整理の上、発言の趣旨を損なわない程度に整理して作成しています。

令和3年7月30日(金曜日)15時00分

司会
 それではただ今より、岐阜大学との「感染症寄附講座」の設置に関する協定締結式を行います。本日は、国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学学長 森脇久隆様、岐阜大学大学院医学系研究科長・医学部長 中島茂様、岐阜大学大学院医学系研究科生体管理医学講座救急・災害医学分野教授 小倉真治様にご出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の進行については、協定の締結、写真撮影、森脇学長及び古田知事からのあいさつ、質疑応答の順で進めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは協定の締結に移らせていただきます。森脇学長と古田知事にはお手元の協定書に署名をしていただき、終わりましたら、協定書を交換していただきます。署名をお願いいたします。

<署名>

 ありがとうございました。それでは、写真撮影に移らせていただきます。お手数ですが、皆様ご起立のうえ、マスクを取っていただき、係員の指示により中央へお寄りください。それでは撮影をお願いいたします。

<撮影>

 ありがとうございました。それでは皆様、マスクを付けていただき、ご着席ください。
 それでは、ここで岐阜大学森脇学長からごあいさつをいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

森脇学長
 皆さんこんにちは。岐阜大学長の森脇でございます。本日は、岐阜県から岐阜大学に「感染症寄附講座」を設置してくださるという、大変ありがたいお申し出をいただき、締結の運びとなりました。古田知事をはじめ、岐阜県の皆様方、県民の皆様方にお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 実は、岐阜県が岐阜大学の教育研究・診療に大きなご注力をいただくというのは、他の都道府県と比べても、大変手厚いものでございまして、数えてみたのですが、大規模なものとしては、これが8つ目になります。医学系で言いますと、救急ヘリがございますし、ものづくりの航空宇宙、食品科学、学校教育といった非常にバラエティに富んだご支援をいただいております。本当にありがとうございます。
 この「感染症寄附講座」の目的は、お手元の資料にある通りでございますが、少し違った観点から、私なりの見方をご紹介しておきたいと思います。
 私自身、臨床医でございまして、専門は消化器病学と肝臓病学です。消化器というと、ご存じのところで言いますと、胃炎とか癌の原因になる胃袋のピロリ菌がございます。それから肝臓病学で言いますと、肝炎、肝硬変、肝臓癌の原因になる肝炎ウイルスがあります。そこは専攻しているためよく勉強しているわけですが、これは確かに感染症ではあるものの、そこを勉強したからといって、感染症学の勉強をしたということにはならないわけです。
 今回の「感染症寄附講座」というのは、今言ったような臓器別のものが縦串方向だとしますと、全体に横串を通して、臓器を越えて勉強をしていただく、また研究をしていただくという、そのあたりのことが特徴になってくるのではないかと思います。当面はコロナが対象になりますが、臓器別の学問ではなく全身をみるということをやっていただくということを期待したいところでございます。そこでその延長になりますと、当然全身ですから、人間全体をみる、全人的にみる、社会をみる、集団をみるということになってまいります。社会をみるという点からいきますと、お手元の資料にも書いてありますように、集団としての感染制御とか、あるいは社会全体としての感染災害といった辺りまで視野に入ってくるということで、これが県と県民が期待してくださっているところではないかと考えています。その辺りの視野も含めて、目の前にあるコロナはもちろんでございますが、より広い意味での感染症、学問としての感染症、人材育成、さらに研究を推進してまいりたいと思いますので、今後ともどうぞ、忌たんなくご意見を頂戴できるようにお願いをして、簡単ですが、学長としてのお礼とさせていただきます。本日はありがとうございます。

司会
 ありがとうございました。続きまして、古田知事からご挨拶申し上げます。

知事
 皆さんこんにちは。改めまして私の方からも、今回の協定につきまして、森脇学長をはじめ、中島医学部長、小倉教授、多くの先生方にご尽力いただきまして、誠にありがとうございました。
 今、森脇学長からお話がございましたように、ここ何年かの間に本当に多彩な分野で岐阜大学とのコラボが進んできておりますが、また一つ、岐阜大学と岐阜県との間に新しい協力のページが開かれたという思いでいるわけでございます。資料にある通りでございますが、やはり今回の新型コロナ対策では、私どもは「オール岐阜」で取り組むということと合わせて、「専門知」を大切にして、「専門知」に則って判断をしていこうということを心掛けてまいりました。その「専門知」ということについて、今回の新型コロナウイルス対策を専門家の先生方と議論する中で、やはりこの感染症の分野について、人材が足りないのではないかとか、あるいはこの感染症というものに対する知識が十分広まっていないのではないかとか、さらには「全体」という話がございましたが、この感染症に立ち向かう体制が十分できていないのではないかとか、さらには、この感染症についての学術研究といいますか、こういったことをもっともっと深めるべきではないかといったいろんな課題が出てきたわけであります。ポストコロナといいますか、新しい感染症と人類との闘いはこれからも続くわけでありますので、ぜひ、岐阜大学と行政が一緒になって、こうした寄附講座を創って、前に進んでいこうではないかという話で、とんとん拍子に進みまして今日に至ったということでございます。
 岐阜県は、この感染症関係の専門家が全国平均で比べても、まだまだ少ないという実態もございますし、そういう意味で、この協定に基づいてしっかりとした体制を作っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

司会
 ありがとうございました。それでは記者の皆様から、この協定に関するご質問をお受けいたします。

記者
 知事と森脇学長、それぞれにお尋ねしたいと思います。
 まず知事にですが、県からいうと、教育という面からですと、ある程度長期的な視点から見た部分かと思うのですが、行政側としてのメリットを改めて教えていただければと思います。
 森脇学長には、大学側としての考えられるメリットと、もう一つは、現在のコロナに対応している医療従事者の方は非常にマインドが高いと思いますが、今後のなり手の方、医学生などこういう分野に入ってくる方のマインドというのは、今どういう状況になっているのかを教えてください。

知事
 メリットという言葉がこの取組みについてふさわしいかどうかはよく分かりませんが、今申し上げましたように、新型コロナ対策を突き詰めていく中で、また将来、新たな感染症の問題が必ずや生まれてくるといった中で、人材、知識、体制あるいは学術研究、いろんな面でまだまだ岐阜県としては後れをとっております。「専門知」を大切にするという観点からも、ぜひレベルを高めて、現在の課題、そして将来にも備えていきたいということで、これは行政として、この大学といいますか、アカデミアと組んで取り組んでいく喫緊の課題だという認識でおります。そのことについて、スムーズに共通の考えに立って、協定ができたということですから、大変ありがたいと思っています。とりあえず協定上は3年間と書いてありますが、3年を目途にまずどこまでやれるかやってみて、そのうえで、その後についても考えようということであります。決して短期的な取組みとは考えておりませんので、しっかりと骨太な取組みをしていかないといけないと思っています。

森脇学長
 それでは、大学教育の方から答えさせていただきます。ここ5~10年間の教育の趨勢として、医学については、やはり臓器別の教育、それから学会そのものも臓器別の専門医を認定していくという流れが非常に強い潮流でした。それはそれで良いのですが、たこ壺とは言いませんけれども、先ほど申し上げたように、縦割り制の方のニュアンスが非常に強いわけです。今回のようなコロナ禍、あるいは他のものでも良いのですが、直面した場合には、やはり横串方向に広い知見をもった医師、看護師、薬剤師、その他医療従事者を育てておく必要が大変強くなっているわけでございます。今回、やっと気づかされたという点が少し、じくじたる思いもあるのですが、そこをこの「感染症寄附講座」によって遂行していくという点が、医学教育という点からいって大変大きなところになってくるものと思います。
 それから、特に若手の医師にいえることなのですが、大変疲れているということはその通りですが、モチベーションは高くなってきていると思います。こういうことを目の前に経験したことはこれまでには無いわけで、それに立ち向かっていくという点では大変ファイトを湧かせてくれるということで、今申し上げたような状況になってきていると思います。

記者
 ここに何点か書いてあるのですが、この講座を設置することによって、感染症対策にどのように生かしていくというか、どういうところが政策とかに出てくるのかというところを古田知事にお伺いしたいと思います。

知事
 先ほどの繰り返しになるかもしれませんが、まずは何といっても、専門的人材が欠けているわけです。具体的な数字を申し上げますと、これは日本感染症学会の認定する専門医ということでありますが、この感染症に関する専門知識を有する感染症専門医は、県内は17人で、人口10万人あたりに換算しますと、0.859人となります。全国平均が1.285人ということで、全国47都道府県中36位ということでございますから、こういう問題に取り組む人材が不足しているということでございます。したがって、まずはこれを出来るだけ早く全国平均以上にもっていきたいというのが行政の一つの課題としてあります。
 それから、私どもは専門家会議をやり、いろいろご意見をいただいておりますが、そこに多様なご意見をいただいたり、あるいはそこで決めたことを現場でチェックし、実施していくということについて、全県的なネットワークの中でシステマチックに動けるように、そういう人材が県内各地の現場におられて、一斉に取り組んでいくというような「オール岐阜」の体制づくりをさらに強化していくということも、私どもにとりましては非常に急がれる課題と思っております。

記者
 そもそもの確認なのですが、これは県が毎年度3,500万円を岐阜大学に寄附をして、講座をやってもらうということでよろしいですか。

知事
 その通りです。

記者
 これまでも岐阜大学医学部では、感染症について学ぶ講座はあると思いますが、既存の講座とはどう違うのですか。

森脇学長
 臨床医学と基礎医学に分けて申し上げます。先ほど申し上げましたように、臨床医学ですと、消化器病学とか肝臓病学、呼吸器学、尿路、産婦人科系と、それぞれ臓器別に感染症というものを担当しています。これが現状です。
 それから基礎医学の方で申し上げますと、これは病原体別となります。例えば、細菌である、ウイルスである、あるいは寄生虫である、といったような研究ないし講座領域というもので教育していったわけです。これは縦割り方向での教育でございますので、横方向に全体として、感染症として取り扱うという講座は、もちろん複合講義等は行いますが、講座としては存在していませんでした。そこが非常に強くなるということが一番のメリットと感じております。

記者
 これまでは臓器別で臓器ごとの感染症、感染するウイルスなりの病気を学んでいたけれども、全身を総花的に見るということですか。

森脇学長
 はい。

記者
 具体的に講座はいつから始まるのでしょうか。

森脇学長
 8月1日スタート(設置)です。

記者
 8月1日に1回目の講座があるということですか。

森脇学長
 日曜日なのですが、制度上は8月1日からスタート(設置)ということになっています。

記者
 どれぐらいの頻度で講義があるのでしょうか。

森脇学長
 医学教育というのは前期・後期制になっており、半期、4か月間で15回の学生に対する講義が行われるのが基本でございます。ただ、講座の活動というのはそれだけではなく、研究やフィールド調査、講義の準備などがありますので毎日活動はしておりますが、学生を対象にした講義というのは、そのぐらいの頻度で行われるものだと思います。

記者
 実際に受講する学年は何年生でしょうか。

小倉教授
 (資料中)黒丸の一番上に「岐阜大学の医学部生等に対する講義及び臨床実習」というのがあります。この臨床実習というのが当面の主な活躍の場で、臨床実習を行っている4年生、5年生に対して毎週1回、カンファレンスを用いて現場から実践教育を行うというのが、まず第一の講義というのでしょうか、その場でございます。その後に、カリキュラムの中に何らかの形で学生教育の中に入れていくということになります。

記者
 4、5年生が実際に岐阜大学医学部附属病院で学ぶということですか。

小倉教授
 学んでいます。その中に感染症のノウハウをさらに強く入れ込むというようにお考えください。

記者
 専門医の数を全国平均以上にもっていきたいということですが、具体的に令和5年度末までに何人の専門医を育成したいとかといった目標があれば教えていただければと思います。

知事
 まだ具体的に、何か数字的に今年、来年、再来年ということではなく、まず当面この講座設置の目標として、そういう考えで臨むということを申し上げた次第であります。当面3年間で一つの固まりとしてこの講座をやってまいりますので、この3年間でどれだけのことができるかということをまず見届けながら、具体的な数字については、また折を見て申し上げたいと思います。

司会
 それでは以上をもちまして、協定締結式を終了いたします。ありがとうございました。
 それではこの後、記者会見のため、岐阜大学の皆様方には、ここで退席いただきます。

知事
 私の方からは、新型コロナウイルスをめぐる直近の状況についてご報告をしたいと思います。お手元に資料がいくつかございますので、それを眺めながら聞いていただければと思います。
 まず本日の新規感染者数ですが、34人ということでございまして、資料1をご覧いただければと思います。6月下旬以降、しばらく一桁の日が続いたわけでありますが、一昨日、46日ぶりに30人超えで、31人となりました。昨日は23人でありましたが、本日は再び34人ということで、じわじわと増加傾向にきていると見ております。
 お手元の資料1にありますように、10万人あたりの新規感染者数(7日間移動合計)についても、それから2枚目の病床使用率についても同様にじわりと増加に向かっているということで依然として「ステージⅡ」以下の状況ではありますが、動き出しているのではないかということでございます。
 全国について申し上げますと、既にご案内があるかと思いますが、昨日東京都で過去最多の3,865人ということで、これを10万人あたりの(新規感染者数の)7日間の移動合計で置き換えますと、111.84人ということでございます。岐阜県の直近が7.05人(7/30の数値。7/29は6.09人)でありますから、東京がこの同じデータで111.84人ということですから、いかに東京の状況が大変なことかということが分かるかと思いますが、全国第1位(7/29の数値による順位)でございます。そして、岐阜県の7.05人の数字は全国的に見ますと39位ということで、下から(概ね)10番以内というところを推移しているわけであります。
 それから、デルタ株への置き換わりがその主たる急激な進展の原因だと言われておりますが、東京都の場合には、置き換わりの比率が77%と直近では報告されております。そして自宅療養者数、つまり病床を確保できないで自宅に療養することを余儀なくされている方の数も、昨日の数字で8,477人というオーダーでございまして、東京都としてもこれまで経験したことのない急激な感染拡大に向かっているということでございます。
 全国平均はどうかと言いますと、感染者の総数が10,689人と、初めて昨日1万人を超えたわけであります。10万人あたりの新規感染者数は全国平均が35.92人ということでございます。35.92人というのは、この資料1をご覧いただきますと、この赤というかピンクで示している「ステージⅣ」の段階に入ります。つまり、全国平均で既に「ステージⅣ」ということで爆発的な状況になっているという事態にあるということでございます。
 それから、全国平均のデルタ株の置き換わりが33%と直近では言われておりまして、まさに「第5波」に突入していると言っていいのではないかと思っております。
 これに対して本県の10万人あたりの感染者数は、ここにありますように、7.05人で全国的には多い方から数えて39番目ということでありまして、比較的低いところにあるわけであります。
 それからデルタ株への置き換わりにつきましては、私どもの推計でありますが、ざっと2割程度というのが私どもの感じでございます。お隣の愛知県について見ますと、やはりデルタ株の置き換わりが2割程度と見られております。資料1の1枚目を見ていただきますと、青色で愛知県のグラフを今回入れてみたのですが、ほぼ同じような流れをこのところたどってきているということで、強いて言えば、愛知県の変化よりやや遅れて岐阜県が同様の流れになっているということです。登りはやや愛知県に遅れて登っていき、下りは愛知県よりも少し先に下っていくということで、ただ、前回の「第4波」でありますが、奇しくもピーク時はほぼ同じ日でございました。
 現在、愛知県の方は「ステージⅡ」ではございますが、かなり「ステージⅢ」に近づいているということでございまして、これを本県が後追いしていくということになりますと、やはり安閑としておられないということでございます。
 このデルタ株は、つまり今回の「第5波」は、デルタ株との闘いということになろうかと思いますが、やはり感染力の強さが非常に指摘されているわけでありまして、ある日を境に一気に感染者が増加するというようなことも十分考えられるわけであります。本県としては、既に「第5波」の入り口に立っていると認識すべきではないかということで、私どもとしては現状を厳しく受け止めているところでございます。
 そこで7月の下旬にこの夏休みの対策を発表させていただきましたが、これで8月にまた入りますので、来週のしかるべきタイミングで、また専門家会議を開きまして、7月の状況についてのおさらいと、8月に向けて、いよいよこの7月の4連休以降のデータが出てきますので、こういったことについての評価、それから対策についての議論をまたしようと考えております。
 最近の傾向を見ますと、次の資料2をご覧いただければと思いますが、「第4波」は県外あるいは県外との往来絡みというのを合わせますと、2割強ということでございましたが、直近の7月以降の感染者について見ますと、県外ないしは県外との往来由来とおぼしきものがだいたい半分でございます。その県外の中身が、愛知県が半分、その愛知県のうちの7割が名古屋市ということでございます。その他はやはり「緊急事態宣言区域」、これは23人と書いてありますが、東京のみでございます。それから「まん延防止等重点措置区域」という意味では、千葉、神奈川、大阪ということでございます。それから、「その他」とありますが、多いのが石川、京都でありまして、今回、今日おそらくそれぞれ「まん延防止等重点措置区域」に指定されると思いますが、そういった「緊急事態宣言区域」ないしは「まん延防止等重点措置区域」との往来が、やはり本県の場合、高い比率を占めているということでございます。
 したがって、他県からの帰省、あるいは他県への旅行といった行動履歴が大きく影響しているのではないかと思っております。具体的な帰省に起因した例として申し上げますと、例えば、せき、のどの違和感があったにもかかわらず実家に帰省されまして、家族に感染が拡大したケースでありますとか、あるいは他県への旅行の例でいきますと、発症前に他県に旅行に出かけて、他県在住の友人と宿泊をして、そして友人、本人双方の感染が確認されたケースといったようなことがみられているわけであります。
 7月20日に私どもが発表した対策では、都道府県をまたいだ移動や帰省について慎重に、あるいは特に感染拡大地域については自粛していただいて、出張をはじめ、首都圏など感染拡大地域との往来についても自粛をしていただきたいと呼びかけているわけでございます。まさに改めて、この7月に入ってからの感染状況を見てみますと、この帰省の自粛、それから「緊急事態宣言区域」あるいは「まん延防止等重点措置区域」への出張、旅行、レジャー等の自粛はぜひともお願いしたいということでございます。とりわけ、東京都をはじめとする首都圏では、大変な急増を見ているわけでございますので、既に予定を入れられている方々につきましてもご再考をお願いしたいと思っております。
 それから資料3をご覧いただきますと、もう一つ特徴は、高齢者の割合がはっきりと減少してきております。70歳代以上についてはご覧の通りでありますし、60代についても、65歳以上のワクチンが、今、岐阜県の場合にはほぼ打ち終わりつつありますので、そのワクチンの効果ではないかと思います。70代以上、それから60代も相当な、一定の効果が表れているのではないかと思います。これに対して、50代、40代のいわば働く世代の感染者が着実に増えてきているということと、それから20代の若者世代の感染者が増えてきているといった、この2つが特色でございます。
 それから、この他に申し上げますと、7月にクラスターが8件発生しております。これは資料がないので恐縮なのですが、その8件について申し上げますと、職場・家庭に起因したものが6件、それから友人間で拡がったものが2件ということでございます。それ以前にまま見られました、高齢者福祉施設とか、医療施設とか、そういったところでのクラスターは今月は発生していないということで、医療従事者へのワクチン接種でありますとか、あるいは高齢者福祉施設について徹底した予防的検査をやっておりますが、こういったことの成果が出ているのではないかと思われます。
 それから、高齢者の感染割合が低下したことに伴いまして、死亡者数は7月に入ってから1人、重症者数も2人ということでございまして、重症化リスクの高い高齢者を守るという観点からは、ワクチン接種の効果が徐々に表れてきているのではないかと受け止めております。
 まずは、今月末で高齢者向け優先接種については、ほぼ完了ということになろうかと思いますが、直近(7/29)時点での全高齢者における1回目の接種率は、岐阜県は91.4%、既に2回目の接種を終えた方が85%と、いずれも全国1位ということでございます。全高齢者の8割以上が既に2回の接種を終えておられるということでございますから、接種を希望する方の接種はほぼ完了したと言っていいのではないかと思っておりまして、改めて市町村、医療関係者の方々の格別のご尽力に心から感謝を申し上げる次第でございます。
 その先の市町村による一般接種でございますが、ファイザー製ワクチンの供給が7月に入りましてペースダウンしたということで、一時、一部の市町村で新規予約を停止するとか、接種を停止せざるを得ないとか、そういったことで混乱も生じたわけでありますが、本県としては、まず供給量に見合う接種ペースといいますか、巡航速度と私どもは言っておりますが、ピーク時の8割くらいを目途に接種計画をもう一回見直してはどうかということで市町村と話を進めてきております。
 それから各市町村の接種状況に応じて、凸凹がございますので、私ども県としては、一定の量について配分量の調整をさせていただきまして、8月以降にはこういった混乱も収まるのではないかと思っております。また、一時、予約とか接種を停止した市町村においても、既に再開をされておりますので、落ち着きをみせてきているということでございます。
 ファイザーの供給につきましては、8月後半分までは一応決定済みでございまして、河野大臣の記者会見によれば、(12歳以上)人口の8割は打ち終えるというところまでは、この9月分の15クールまでで提供できるのではないかということです。10月(16クール)以降については、さらにそれを超える部分について提供する予定であるということでございます。
 9月以降については、今後、全量を都道府県が調整するということになります。私どもはかねてから、やはり県内の各市町村の事情とかそういったことについて、国が直接いろんな差配をするよりは、県の方にお任せいただきたいということを、ずっと知事会を通じて発言してまいりました。9月以降は全量都道府県の調整枠ということでやってくれということになっておりまして、そういった意味でも週明けに市町村との会議をまた催します。これまで以上に情報共有、考え方を共有するということについて、きっちりやっていきたいと思っています。
 それからワクチン接種につきましては、県の大規模接種会場でありますが、明日、飛騨会場を開設し、これは飛騨・世界生活文化センターとなります。それから来週末、8月7日には東濃会場を開設し、これはセラミックパークMINOとなりますが、これで5圏域全てで接種体制が整うということでございます。
 それから職域接種につきましては、岐阜県としては72の職域接種を予定して手を挙げたわけでありますが、国の方もモデルナワクチンの(数量の)制約もあって、今、実際にワクチンをもらっているのは29会場となります。これまでのところ、この29会場で58,000人程度の接種が進められておりまして、それ以外の会場については、今までまだゼロですから、8月中にワクチンの供給を開始できるのではないかと思います。体制は整ったけれどもワクチンが来ないという状況が続いていたわけでありますが、この29会場以外については、8月中に供給を開始できるのではないかということです。ただ残念ながら、2、3の会場については、ワクチンが来ないものですから、いったん体制を組んだ後、ギブアップということで、解散されたところも一部あるわけでありますが、こちらのほうも、モデルナも動き出せばまた最終的に市町村(の集団・個別接種)、県の大規模接種会場、そしてこの職域接種ということで、3本柱でバランスよく進めていければということでございます。
 また、接種についてもう一つ、私自身、知事会で強く申し上げてきているのは、職域接種について、早い時期から急ぐことを優先して、接種券無しで打ってよいということになりました。そうしますと、接種券というのは市町村が発行するものでありますし、ワクチンの接種は法令上、市町村が責任をもって行うということになっているわけです。最終的に全ての市町村が、自分のエリアの住民の誰がいつ打ったかということについて、きちっとデータを確保するということできちっとした接種体制ができるわけでありますが、この職域接種について、接種券無しで一斉に動き出した結果、どの地域、市町に住んでいる人がどれだけ打ったのかということについては、例えば企業とか職域接種をやる人たちは固有名詞は持っているのですが、それをすべての市町村に還元してデータを入力するということがほとんど行われておりません。したがって、データ上、職域で打ったことの実績が上がってこないということになってきておりまして、これでは適切な接種管理ができないのではないかということをずっと申し上げてきたわけであります。
 今回私どもから提案して、愛知、岐阜、三重の3県で、職域接種をそれぞれ行っておられるわけでありますが、例えば、岐阜県の人が愛知県の企業に勤めており、その企業で職域接種をやるといった場合、しかし接種券無しですから、例えば多治見の人が名古屋で打ったとしても、多治見市の方には何のデータも入ってこないということになります。こうしたことが続いているものですから、せめて愛知、岐阜、三重の東海3県ではお互いに協力して、東海3県として、その職域接種がどこの地域の人にどう行われたかを解明しようではないかということで、職域接種を行った企業とか大学とかいろんな組織があるわけですが、後日、必ず被接種者本人から接種券を回収して、そしてその記録をVRSという(ワクチン接種)記録システムの方に入力をしてくれということを、職域接種を行う、あるいは行ったすべての組織に対して要請をすることにしておりまして、今日付けで3県知事の文書を、職域接種を行う各団体、行った各団体に対して発出することになっております。
 少し遅ればせながらという感もないわけではないのですが、この部分をブラックボックスにしておくのは大変まずいのではないかと思っております。同時に、岐阜県は、もう少し前から、全市町村にとにかく接種券の発券を急いでくれということをずっと言ってきましたので、今月末までには、今日現在でもいいのですが、接種券は全住民には配られていると考えてよいのではないかと思っています。
 そこで、今の東海3県のご案内と同時に、岐阜県内の職域接種につきましても、既に接種券は全ての住民に配られているはずでありますから、各市町村ごとに、住民から既に職域接種した人のデータを回収し、登録してもらうということ、既に終わった接種については、過去にさかのぼってデータを記入していただくということ、それから1回目を接種券無しで打った場合には、2回目は必ず接種券を使って打ってくださいということ、まだ打っていない人がいれば、当然、接種券を持って1回目を打ってくださいということで、本県に住民票があって、本県の職域接種を受けた方々については、全てわかるようにということで、別途、県内の職域接種団体にもお願いしようと思っています。市町村にも、その方向でチェックをしてもらおうと思っております。
 ワクチンは十分あるはずだとか、配ったはずだとか、在庫がどうなっているのかとか、いろんな議論がございましたが、その議論の混乱の一つが接種券無しで打って、それがデータに反映されていないという、糸の切れた凧になってしまっているということであります。その部分について、やや接種状況が落ち着いてきたところで、もう一回きちっと把握をし直したいということでございます。
 それから、今後の対応としては、今週初めまでは宿泊療養施設については、ホテルKOYOの本館を使っておりましたが、多治見のトヨタ自動車の研修用宿泊施設でありますとか、アパホテル岐阜羽島駅前とか、次々と再稼働に入りまして、新たな感染者の急増に備えていこうという構えでございます。
 いずれにしましても、この先を考えて見ますと、人流が活発化するお盆までが一つの正念場ではないかと思っておりまして、先ほど見ていただきましたように、帰省とか、あるいは県境を越えた旅行とか往来、そういったところ(を要因)に今、数字(として感染者の増加傾向)が表れてきておりますので、ぜひお一人おひとりがそういったことについて慎重に行動していただいて、何としてもこの「第5波」の急激な拡大を食い止めたいと思っております。
 それからJR岐阜駅付近の人流を見てみますと、そんなに目立ったことではありませんが、やや7月に入って人の動きが、緩みといいますか、少し増えてきているというのが気になるところであります。それやこれや改めて来週、対策を整理したいと思っておりますが、まずはお一人おひとりがそうした移動ということについて、それからそもそもベーシックなマスク着用、手洗い、密の回避、あるいは体調管理といったことについて、丁寧に取り組んでいただいて、お一人おひとりの立場から「第5波」阻止対策に「オール岐阜」でしっかり取り組んでいきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 少し長くなりましたが、直近の状況をご報告させていただきました。以上です。

記者
 明日で7月が終わりますが、高齢者向けのワクチン接種については、基本的には希望者への接種は明日をもって岐阜県内は終わるという認識でよろしいですか。

知事
 これは各市町村ともずっと議論してきましたが、希望者は大体8割くらいということを当初考えてプランを作ってきたわけであります。すでに申し上げましたように1回目の接種で9割を超えておりますし、2回目は85%までいっております。当初目論んだ希望者というのも各市町村でアンケートを取ったりして、いろいろと調べたうえでの数字でありまして、架空の数字ではありません。そういった意味では、当初の段階で意図した8割程度の希望者に全部打つというのは、間違いなく終わっております。既に1回目で9割以上打っているわけで、当然2回目も打ちに来ますから、そういう意味では十分クリアしたのではないかと思っております。打っていく過程で私も打ちたいということで増えていくのは自然の道理ですから、そういうことで増えてきている分はあります。一方で、どうしても打ちたくないという人がいるのも事実ですから、7月中に希望者に打ち切るというところは終結したというか、完了したといってよいのではないかと思っております。

記者
 コロナの感染者が増えてきたということで、来週にも専門家会議を開催して対策をといったお話でした。当初の対策だと8月末までということで打ち出されましたが、この対策のバージョンを上げるようなイメージで捉えたらよろしいのでしょうか。

知事
 そうですね。今日、国が議論しておられる「緊急事態宣言」とか「まん延防止等重点措置」とかは、8月22日となっていたものを8月31日までにされるようですが、当初から私どもは、夏休み対策というものは8月末までということで考えておりました。8月末までの対策について、7月の経験を踏まえて、そしてお盆を控えてどうするのかということについて打ち出していこうということで、8月末までの対策の深堀りというか、状況に応じた対策を打ち出すということです。

記者
 職域接種について、東海3県の知事として要請されるということで、以前からそこの課題の点はご指摘されていたと思いますが、職域接種をして企業が持っているデータを、市町村に早く還元してもらいたいという要請をされるという理解でよろしいのでしょうか。

知事
 そういう趣旨なのですが、やり方としては、打った本人が、自分の住んでいる市町村から接種券をもらっているはずです。極端な話をすると、自分は2回打ち終えたから接種券はいらないということでゴミ箱に捨ててしまった方も少なからずいると思います。ですから改めて一人ひとり接種券に基づいて、自分が打ったことが確認されたということが必要だということをご理解いただきたいと思います。接種券を打った本人が企業に持っていけば後は企業がやってくれます。接種券にナンバリングされているわけですから、番号を読み込めば自動的にどこの町の誰ということが分かるわけです。接種券を企業のしかるべきところの担当のところに持っていってもらうということです。万が一ゴミ箱に捨てた方がいれば、再発行してもらって、自分は職域接種で受けたということで、それを受けた企業に持っていくということをしてもらいたいのです。逆にかなりの数の人を打っている企業に対して、番号も何もない中で、愛知、岐阜、三重の何区、何市ということで分けて、この人が受けたか受けてないか分けてもらう手間をかけるのは大変なわけですから、とにかく接種券を確保して、それを企業に持っていってもらうというやり方を考えているわけです。

記者
 どちらかというと、県民の方に早く接種券を届けてくださいといった要望に近いということでしょうか。

知事
 そうですね。もともと、ワクチン接種というのは法律上、市町村が責任をもってやり通す仕事なわけで、自分の住民の管理の手法が接種券なわけです。市町村が自分の住民の誰がどう打ったかを管理するわけなので、その管理の手法が接種券なわけです。職域接種の場合は、接種券なしで打ってもよい、どこで打ってもよいということで始まったものですから、東海地域、特に愛知県で接種した方、勤務しておられる方々は多いですので、そういう方々が岐阜県の統計から消えてしまっているわけなのです。

記者
 最近人出が増加してきており、特に若者の感染の割合が多いというお話でしたが、改めて若者にどういった行動変容を求めていきたいか教えてください。

知事
 まずは、新型コロナ感染症というものの怖さというものをご理解いただきたいと思います。この感染症で多くの方が命を落とされたり、後遺症に悩んでいる方もおられますし、また、ご本人だけではなく、ご家族とか、同僚とか、いろんな方に感染してそれがまた、お一人おひとりの生活やら経済活動などいろんなことに影響を及ぼしているわけです。したがって、何としても新型コロナ感染症を抑え込むというのが、岐阜県だけではなく、日本国、人類全体の願いなわけです。その際に今、直近で起こっている出来事は先ほど申し上げたとおりですが、こういった事態を私どももしっかりとお伝えしたいと思います。若い人がひとつの原因になっているとすると、そこのところはしっかりと認識していただいて、とにかく人と人とが触れる機会が減れば減るほど、感染の機会は減るわけでありますから、そのためのいろんな行動原則については、既にお出ししているわけですし、これからもお出ししていきたいと思います。とりわけ今、具体的に申し上げたような、県境を越える往来、帰省であれ、旅行であれ、レジャーであれ何であれ、極力そこは抑えていただきたいと思います。それから、いわゆる三原則といいますか、密を避けるとか、マスクとか手洗いとか、常に自分やら身近な人の体調に気を付けながら、少しでも異常があれば行動を慎むとか、そういった行動原理というものを一人ひとりが丁寧にやっていただくことがまず基本だと思います。それをぜひ強くアピールしたいと思います。
 もう一つが、岐阜県は「自宅療養者ゼロ」ということでやってきておりますが、これは当たり前にできることではなくて、医療関係者やら、いろんな宿泊療養施設の関係者の方々の協力によって成り立っているわけです。既に東京で8,000人を超える方々が療養する場所が無いという状況ですし、これはお隣の愛知県でも今、かなりの勢いで起こりはじめております。岐阜県としては感染すれば隔離するということになるわけですが、隔離する場所がなくなった時にどうなるのか、自分の周辺、自分の命がどうなるのか、そういったことを一つひとつお考えいただきたいと思っております。そういったことに対するアピールの仕方が不十分であったかもしれませんが、そういったことについても感染症の先生方とよくご相談して、より効果的なアピールを考えていきたいと思います。

記者
 新型コロナの対策で、「まん延防止等重点措置」をとる県がまた増える見通しです。本県もこの措置をとるというお考えはありませんか。

知事
 私どもはできるだけ先手を打つといいますか、早め早めに今よりも事態が悪くなるということを想定しながら対策を打っていくというスタンスで臨んでいるわけであります。今の話でいきますと、10万人あたりの新規感染者数でいうと39位ですから、それを言い出したらほとんど全国全ての地域を「まん延防止等重点措置区域」にしないといけないという話になるわけです。少しまだ、そういう制度に乗っかることについては、全体的にはまだ距離があります。問題は今回のデルタ株はアルファ株に比べて、更に急速に(感染が拡がっており)感染力が強いわけですから、前回の上り坂(「第4波」における感染者数の増加の推移)よりももっと急な上り方をするおそれがあるということは十分認識しながら、早め早めにいろんな動きを捕まえて、手を打っていきたいと思っております。そういう制度に乗る乗らないにかかわらず、必要な対策は惜しみなく打っていくということかと思っております。

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