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知事・八百津町長合同記者会見録(令和3年6月4日)

※知事、八百津町長、村上岐阜大学名誉教授及び記者の発言内容については、事実誤認や単純ミスと思われる字句、重複した言葉づかい等を整理の上、発言の趣旨を損なわない程度に整理して作成しています。

令和3年6月4日(金曜日)14時45分

司会
 それでは、記者会見を始めさせていただきます。最初に八百津町の金子町長からご発言いただきます。よろしくお願いします。

八百津町長
 この度、八百津町におきまして町内の高齢者施設でクラスターが発生し、新規感染者が急増しております。6月3日時点での直近1週間の新規感染者数31人を、人口10万人あたりに換算すると301.38人となり、国の基準の「ステージ4」相当の25人を大きく上回る厳しい状況にあります。また、岐阜県の病床使用率は6月3日時点で52%となっており、国の基準の「ステージ4」相当の50%を越え、医療提供体制もひっ迫しております。こうした状況を考えますと本町においては劇的な感染状況にあるという認識であります。
 加えて、現在22の市町を対象としている岐阜県の「まん延防止等重点措置区域」に本町も新たに指定を受けることとなりました。従いまして、これ以上の感染拡大を食い止めるために、この度、八百津町独自の「緊急事態宣言」を6月20日の日曜日まで発出することにいたしました。昨今の新型コロナウイルスは、いつでも誰でも感染しうる状況にあります。苦しい時期ではございますが、この難局を乗り越えるために、県当局並びに医療機関の皆様方のご指導、ご支援をいただきながら進めてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

知事
 今、金子町長からお話がありましたとおり、八百津町さんが独自の「緊急事態宣言」を発出されるということで、これを受けて県としても、連携して福祉施設、高齢者対策の強化を図るということでございます。同時に八百津町を「まん延防止等重点措置区域」に追加指定するということにいたしました。お手元の資料にもございますように、大きくは町民の方との危機意識の共有ということです。2ページ目にありますように、「「飲食」・「職場」・「家庭」対策」。3番目にありますように、「予防的検査・ワクチン接種の加速」。4番目が「高齢者施設向け感染対策の強化」。最後に「クラスター分析の横展開」ということで、一段と対策を強化すると同時に、このような事態を全県的に情報共有するということで、更に危機感をもって臨んでいきたいと思っております。今日また、新たに感染者のご家族の関係で、このクラスターが4人増加しましたので、お手元の資料に「42人」のクラスターとありますが「46人」のクラスターということになりました。いずれにいたしましても、県内でも過去最大規模の福祉施設のクラスターになるわけでございます。何としても、福祉関連施設についてしっかり抑えこんで、市中への拡がりを抑えたいということでございます。具体的な対策等につきましては、この後、村上先生のほうからお話いただければと思います。

村上岐阜大学名誉教授
 この八百津町のみならず県内で起こっておりますクラスターごとに、我々は、感染対策を専門とする医師、看護師を中心に現地を調査させていただいたり、ZOOMでご支援させていただくという事業を続けております。この八百津町さんの施設につきましても、3日前にもすでにZOOMでご支援させていただいておりますし、昨日も現地に私を含め、医師2名、看護師1名で現場の指導をさせていただいております。どこの高齢者施設も同じなのですが、介護職員と入所者さん、利用者さんの密な距離とか、ご高齢の方で難聴の方もいらっしゃいますので、ある程度大きな声をかけながらいろいろとお世話をするということで、適切な介護をすればするほどいざウイルスが持ち込まれますと、このようにクラスターになることが非常に多いです。結果的にはご高齢の方ですので、より重症化するということになります。普通の医療のケアだけでなく、介護ケアということが非常に現場にも負担がかかるということで、一人でもこういった方が少なくなるように、繰り返し、今日も入っておりますが、明日も現地の支援をするという形で緊急に支援をさせていただいております。明日の夕方を予定しておりますが、町のなかのすべての高齢者関連施設の職員さんにできる限り集まっていただきまして、ZOOMで私と木沢記念病院の山田医師と一緒に緊急指導もさせていただくことにしておりまして、一人でも拡がらないように対策をとっていく予定です。それとともに、この施設でも入所施設の方はワクチンを一部の方は2回、大半の方は1回打っておられますので、そういった意味では、今後は少し抑えられるのではないかという気持ちで希望的には思っております。他の施設ではまだまだ打てていないところもありますので、6月中旬までに町の方では全ての高齢者施設の職員さん、入所者さん、利用者さんに接種を予定しておられるということは大変ありがたいことだと思っております。

記者
 これは知事にお伺いしたらよいのかわからないのですが、「まん延防止等重点措置」の対象に入れるということで、今のところ、「まん延防止等重点措置」の対象地域では飲食店の営業時間短縮要請などをされていますが、それが八百津町にもかかるという理解でよろしいでしょうか。

知事
 八百津町さんでは(60店舗のうち)19店舗が営業時間短縮要請の対象となる飲食店でございまして、「まん延防止等重点措置」の対象ではなかったのですが、私どもの要請に応じて、既にすべての店が営業時間の短縮をやっていただいています。
 そこから今度は、「まん延防止等重点措置」の対象地域としての営業時間短縮要請を受けてやっていただくということになりますので、協力金支給の要件として、全期間、終日、酒類の提供を行わないということが要件として重なるわけであります。それと同時に協力金の額も変わってくるということで、「まん延防止等重点措置」の対策の枠組みの中で、対処していくということでありまして、周知期間を2日おきたいと思っております。今お配りした資料の3ページ目に、その辺のことが書いてありますので、よろしくお願いします。

記者
 八百津町が今回緊急(事態)にというのは、福祉施設の関係だと思うのですが、「まん延防止等重点措置」による飲食店の対策とどういう関連があるのでしょうか。

知事
 一つは、福祉施設のそもそもの発端はどこにあるかというところは、まだ分析しきれておらず、どういうところからこの福祉施設に入ったのかという課題があります。
 それから、八百津町さん自身、人口が1万人強でありますので、人口当たりの感染者数も突出した状態になっております。特にデイサービスの方は、もうまさに集中、大量拡散というような向きもありますから、市中への拡散を何としても防ぎたいということで、私どもとしてはこの際、「まん延防止等重点措置」の対象区域に入れて、市中まん延を徹底的に防ぐということであります。まさに八百津町さん自身が、町全体として「緊急事態宣言」をされるわけですから、それに歩調を合わせてやっていくべきだろうということであります。

記者
 八百津町長さんにお伺いします。今回、50人近くの感染者のクラスターが町内で出たということで、町内の行政とか、生活へのインパクトというのでしょうか、どのくらい影響があると見ていらっしゃるのでしょうか。

八百津町長
 どれくらいのインパクトと申されましても、この高齢者施設で発生して、これだけの方が陽性反応になられたということでございますが、やはり、家族もみえるわけです。そしてそのお子様も見えるわけです。そういったところを非常に心配しております。
 誹謗中傷があったりしてもいけませんし、そういったことを非常にインパクトという意味で捉えまして、八百津町を挙げて、やはりそういった人のケアといったこともやっていかなくてはいけないと思っております。
 今、村上先生から感染経路等もいろいろご指導をいただいておるわけですが、そういった形をとっていきたいと思っております。町民にこの「緊急事態宣言」というもの(チラシ)を作りまして、会見の後にそれぞれの地域といいますか、自治会にお配りするように準備しております。先ほど知事さんからおっしゃっていただいた5つの対策、これも載せておりますので、これを今日、早速お配りして町民の方々の命を守っていきたいと思っております。

記者
 この施設は、今、村上先生もおっしゃられたと思うのですが、ワクチンの接種を始めていた施設だったのでしょうか。

八百津町長
 八百津町は高齢者施設を優先的にやっておりますので、そう考えていただいて結構です。やっております。

記者
 デイサービスと養護老人ホームがあったかと思うのですが、両方とも(ワクチン)接種はやっておられたのでしょうか。

八百津町長
 養護老人ホームの方はやっております。

記者
 デイサービスの方はまだこれからでしょうか。

八百津町長
 はい。町内の方に関しては進めてはおりますが、65歳以上ということで、その枠の中で進めております。

記者
 今回出たデイサービスの方は、(ワクチン接種が)途中まで終わったのか、まだこれからなのか教えてください。

知事
 まだやっていないと聞いています。

記者
 養護老人ホームだけは一部ですね。

知事
 はい。

記者
 村上先生にもう1点お伺いします。今回、クラスターが出たところについて、そもそも介護施設の感染防止は非常に難しいというのは、前からおっしゃっておられたかと思います。原因が分からないところもあるのですが、どういう部分が拡がった理由か、今後それに対してどうしたらよいかということを教えてください。

村上岐阜大学名誉教授
 そうですね。一つだけの要因ではなく、複数の要因が絡み合っていると思います。先ほど知事も言われたとおり、まだ、十分な分析が終わっておりませんが、一つはおそらく変異株の拡がりだろうということです。感染力が強く、一時にたくさんの方にかかったのだろうということとか、介護現場で、さっきも例えを出しましたが、適切な介護をすればするほど、スキンシップになっていきますし、思いやりの言葉もかけるときに大声になります。
 それから、入浴の時は、やはり介助者が、どうしてもマスクをかけたままだと息苦しいというようなこともあって、マスクを一瞬外してしまうということで、非常に至近距離でお互いにマスクがないということとか、そもそも高齢者は食事の時以外にでも、我々のようにマスクを常時はめるということが、いろんな認知の問題もあってなかなか難しいというようなこともございます。
 我々が通常はこうやって、この部屋でもある程度密ですが、皆さんマスクをしておられますので、感染のリスクはまずないと思うのですが、現場では、入所者さん、あるいは利用者さんは原則マスクがかけられないという中で、非常に困難を極めながらも、介護に一生懸命頑張っておられます。
 しかし、その隙をウイルスは見逃さないといったところで、地域の高齢者施設は、ここだけではなくてどこでも拡がるということから、先週も岐阜県内の高齢者・障がい者施設の担当者向けに、300人弱集まっていただいて、オンラインで緊急研修会をさせていただきました。やはり従来から申し上げているように、職員さんないしデイとかショートの方で新たに入所される方がウイルスを持ちこまないために、過去2週間、しっかり健康チェックをしてくださいということ、それから、本来の介護の在り方は、みんなで集まって、おしゃべりをしながらご飯を食べたり、レクリエーションのイベントをしたり、ちょっと散歩をしたりということがあるのですが、クラスターが少し落ち着くまでは、残念ながら、お部屋でいろいろ食事もお手洗いも、それから、シャワーもお風呂も少し控えて身体を拭かせていただくということで、そういう管理をお願いするということを徹底させていただいております。
 また、急性期病院と違いまして、手袋とかガウンとか、そういったいわゆるPPE(個人防護具)の着脱について、残念ながら十分トレーニングが進んでいるとは言えない方もいらっしゃいます。そういった方に、我々がさっき言いましたように、現地に出向いて、直接介護のやり方を見させていただいたうえで、ここは少し足りない面というところでアドバイスをさせていただくといった多角的な面から支援を、今現在やっているところです。決して、この八百津町だけではないということで、全ての市町村で、これより少し少ない人数のクラスターが出ておりますので、さっきも言いましたように、全部、原則入りながら、そういったところを徹底強化していきたいと思います。

記者
 村上先生にお伺いします。今の対策のところの話で、「持ち込まない」ということと「拡げない」ということが大事だということで、今、2つくらいポイントを挙げていただいたのですが、他に気を付けるべきポイントはありますか。

村上岐阜大学名誉教授
 これはコロナが流行し始めてから共通で、変異株といえども、これまで以上でも以下でもない、対策を継続することが最も重要だと思っています。一つは、人と会う時にはちゃんとマスクを着用する。それから、不特定多数の方が触ったところに触った後には手を洗う、アルコール消毒ないし石鹸で洗っていただく。それから、自分の体調を必ず毎日チェックをし、外出前にチェックをして、体調不良の時には無理をしない。それからもう一つは、特に食事の時に距離を置く、1密でも避けていただく。この4つのことは、高齢者施設のスタッフや高齢者の入所者、利用者だけでなく、全ての方にお願いしたいということです。先ほど、営業時間短縮要請は高齢者施設の対策としてどうなのかというご質問が出たと思いますが、やはり、高齢者がかかったら、またその家族にかかっていって、若い人に逆にかかっていくということもあります。どなたが近くにいたらかかりやすい、かかりにくいということはなく、みんながかかる可能性があるということから、そういったことを一般の方にも強くお願いしたいということと、そういう時間短縮営業もその一環ではないかということで、全体的にやっぱり(対策を)強化しないと、高齢者施設だけ強化するということではないということであります。

記者
 町長にお伺いします。最初に感染者が出た、この資料でいうA施設は、予防的検査と施設への(ワクチンの)優先接種のいずれも希望されなかったということになるのでしょうか。

八百津町長
 そういうことです。(A施設は県による予防的検査の対象外)

記者
 結論として、これを施設側が希望していれば、こういう結果にはならなかったのではないかと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

八百津町長
 まずそういう施設は、このA施設だけではなく、他にも施設が八百津町にはありまして、まず接種は、施設(への入所の有無)を分けて(行うということ)ではなく、町としては、(施設への入所の有無を問わず)65歳以上(の町民全てが接種対象)という捉え方をしておりましたので、65歳以上の町民の方がそういう施設に行っておられますので、そういう方を対象にやっております。施設という括りではなく、町民を対象とした、65歳以上を接種していくということにしておりますので、今、ご質問いただいた、施設ごとの町民の接種というのは考えてはおりません。

記者
 村上先生にお伺いします。今回、ワクチン接種によって感染拡大は防がれた面もあるのではないかというお話がありましたが、養護老人ホームの方ですと、利用者さんお二人が感染されていますが、これは接種されたうえでの感染ということになるのでしょうか。また、養護老人ホームの方で拡がらなかったのはワクチン接種の効果ということなのでしょうか。

村上岐阜大学名誉教授
 「拡がらなかった」とは言っていません。「今後、拡がらないことを期待しています」と申し上げました。というのは、職員さんでワクチン接種を2回終えられた方でも、3人ほど発症されておられます。おそらく私の推測ですが、1回目接種してから、12日以内にもうすでに曝露があって、そして、数日してから発症されていますので、もう体の中にウイルスが入っていたかもしれないですが、2回目は予定通り打たれたのだと思いますので、2回の効果がなかったということではなくて、1回目の効果が十分出る直前にウイルスが入ったのではないかと思っているところであります。今、手元に正確なデータがないのですが、入所者さんの2人は少なくとも1回は打っておられる方で、それ以外の方も、入所しながらデイ(サービス)を利用されているということを昔からやっておられる施設なので、ウイルスをもらったのがワクチンを接種してから、杓子定規に11日目だと効かない、12日目になったら効いてスイッチオンになるわけではないですが、おそらく12日以内のどこかのタイミングでデイ(サービス)を利用された他の方とのつながりで感染が拡がっていったのではないかと思っているところです。
 他の入所者さんのクラスターでは、今までワクチンを打ってこられなかった人ばかりを我々は見てきたのですが、ここへいきますと、入所者さんにもワクチンをずいぶん打っておられるので、予想より少し少なく済んで欲しいなという希望をこめての言葉遣いでしたので、そういう結果では、まだないです。

記者
 知事にお伺いします。八百津町の方では高齢者施設の方に重点的にと言いますか、ワクチンの軸足をという話がございましたが、県内で高齢者施設の方へのワクチン接種について加速させるような方向性での議論を始めるのでしょうか。

知事
 そうですね、このところ、高齢者施設のクラスターが急増しておりますので、今回の八百津町のケースも含めて認識を共有していきたいと思っています。

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