本文
※知事及び記者の発言内容については、事実誤認や単純ミスと思われる字句、重複した言葉づかい等を整理の上、発言の趣旨を損なわない程度に整理して作成しています。
司会
それでは、令和3年度当初予算知事記者会見を始めさせていただきます。
知事よろしくお願いいたします。
知事
お手元の資料に沿って、私のほうからは資料1のⅠ、Ⅱ、Ⅲと「予算編成」、それから「概要」、「組織の見直し」と、3点お話をさせていただきます。そのあとの計数、その他条例、あるいは個別案件、財政課のほうからまたご説明させていただきます。
まず、資料に即してざっと見ていただきますと、まず資料の1(のⅠ)ですが、予算の大枠をご説明しております。まず、当初予算の規模の流れでありますけれども、資料1(のⅠ)の1ページにありますように、令和3年度の予算規模が8,704億円ということで、令和2年の当初予算と比べますと284億円の増、3.4%の増ということでございます。この8,704億円というレベルは、この折れ線グラフを見ていただきますと、過去最高が平成13年の8,762億円。それから次いで、平成12年、10年ということで、これまでの中では規模としては4番目の規模ということでございます。
昨年度の予算も、実はコロナ関係の予算は補正で乗せましたので、昨年度までは(当初予算では)コロナは入っておりません。今回もコロナを除きますと8,371億円ということで、若干のマイナスになっております。コロナ関係予算332億円でございますが、この部分が全体の増の基本的な要因になっておるということでございます。ちなみに、予算のボトムが平成24年度であります。そこからじわじわと増えてきておるということであります。
それから、予算の骨格について申し上げますと、2ページですが、まず歳入のほうであります。増減額という欄をご覧いただきますと、まず県税でありますけれども、当然のことながら法人二税、個人県民税、軽油引取税、それぞれコロナの影響で、企業収益、あるいは所得、あるいは運送業界の輸送総量といった面で、マイナスの方向にある訳でありまして、これらが全て響いてマイナス151億円ということでございます。
それから、地方譲与税も法人事業税の一部を一旦国税として切り出して、それを都道府県に再配分するという税でありまして、地方の格差是正ということで、三位一体の議論をしていた頃から導入されている制度であります。これも、そもそも法人事業税が減少しておりますので、これもやはり減少になっているということでございます。
一方で、こうしたことで歳入が減りますので、これを一部補う形で交付税がプラスになってきております。それでも十分ではありませんので、県債にということなんですが、県債の中の臨時財政対策債、これは言わば、地方交付税の不足前(たらずまえ)を埋め合わせるものでありまして、将来的には全額、国のほうから返してもらえるということで、国に強いられた借金と言いますか、地方交付税の代替となる県債ということでございます。これが224億円ということで、大変大きく膨れ上がっておるということでございます。この部分を除いた県債につきましては、マイナス15億円ということであります。一方で、県庁関係の建設が令和3年度はピークに達するわけでありますが、他方で公共インフラ、それから県単独のインフラ、それぞれ事業を大幅に減らしておりますので、トータルとしては15億円のマイナスということでございます。
それから、国庫支出金は地方創生関連、あるいはコロナ関連の国からの交付金が中心でございまして、プラスになっておるということでございます。
それから、次の経費別歳出をご覧いただきますと、今の流れを反映しておるわけでありますが、公債費が、後でまた見ていただきますが、若干のプラス。
それから、社会保障関係経費が、これはまさにコロナ関連が大きく出ておりますので、141億円のプラスと。
普通建設事業費は、先ほど申し上げましたようにインフラ事業について減らしておりますので、県庁舎建設を上回って減らしておりますので、マイナスが立っておるということでございます。
それから、次の分野別の歳出でありますが、増減額のところをご覧いただきますと、総務費が291億円ということで増えてきておりますが、これは県庁舎の関係です。県庁舎の建設が225億円増、それから県庁の周辺工事が17億円増ということで、合わせて242億円の増ということでございますので、この部分が大きく響いているということでございます。
それから、衛生費の増はこれは専らコロナ関連ということで、病床の確保とか、宿泊療養施設の確保とか、そういったことに使われているということでございます。
それから、農林水産業(費)のマイナス、土木費のマイナス、これはいずれも公共インフラ事業、県単インフラ事業のマイナスによるものでございます。
それから、次に県債発行額の推移でありますが、次のページでありますが、二重の線の折れ線グラフが、トータルの県債発行額でございます。過去のピークが平成14年度ということでございます。令和2年度跳ね上がりましたが、令和3年度については1,345億円ということでございます。このうち、点線が強いられた借金と言いますか、臨時財政対策債ということでございまして、私どもとしてはこれは本来、交付税が払われるものであるということをずっと主張してきておるわけでありまして、平成25年度をピークにずっとこう下がってきておるわけでありますが、ここへきてやはり国自身も税収減に苦しんでおりまして、とりあえず自治体のほうで借金をしてくれということで臨財債が増えておりますので、この部分が跳ね上がっておるということでございます。
一方、それを除く県債につきましては、公共インフラ、県単インフラを抑えた部分がマイナスになって表れているということであります。トータルとして若干の減ということでございます。
それから、県債残高の推移でありますが、残高トータルはまだしばらく右肩上がりが続くということでありますが、このうちの右肩上がりの相当部分は、やはり臨財債の部分が膨れ上がってきておるということであります。とは言え、平成30年度以降、臨財債を除いた県債もじわじわと伸びてきているということでありまして、施設の老朽化とか、国の経済対策に関連して、県も負担をするということで増えてきているという流れでございます。
そうした残高の推移に合わせて公債費が動いてくるわけでありますが、次のページでありますが、公債費全てについて言いますと、平成21年度をピークにずっと減ってきましたが、令和3年度については若干の反転ということで、増でございます。しかしながら、臨財債を除きますと平成21年度以来、12年連続で公債費自身はマイナスになってきておるということでありまして、令和3年度も2年度から若干のマイナスになっておるということでございます。基本的に臨財債の残高アップが、なお大きく響いているということでございます。
それから、しばしば財政の健全性を表す指標として用いられます、実質公債費比率。支出に占める公債費の割合と、大雑把に言うとそういうことになるんですが、3年間の平均値ということでとっております。18%を超えますと起債許可団体ということで、県債を発行する度に総務大臣の許可がいるということであります。岐阜県の場合には、平成21、22、23、24(年度)と、4年間にわたって起債許可団体であったということでございます。この時が一番苦しい時でございました。そこからぐっと下がってきまして、令和元年度が6.6%、これが全国でベスト3と、低いほうから3番目ということでございました。令和2年度は5.9(%)、令和3年度は5.8(%)ということでございます。この5.9、5.8はいずれもベスト3には入っているだろうということで、全国の水準から見ると、上位に、いいほうに属していると、ベスト3に入っているということであります。ここから、先ほど見ていただきました残高の動き等もありまして、この点線は県庁舎以外の投資的経費は除外をして、令和3年度の水準を県債発行横ばいにすると、これを続けた場合にどうなるかという数値であります。一つの試算値でありますので、これを一つの目安にしながら毎年これから考えていくんだと思いますが、横ばいでいった場合に大体こんな推移を辿っていくということでございます。この辺を毎年眺めながら、節度ある財政運営をやっていくということになるんではないかと思っております。というのが、財政全体の姿とこれまでの推移の中での位置付けでございます。
そこで、令和3年度の予算の内容でありますけれども、資料の1のⅡですかね。「令和3年度当初予算の概要」というのがございます。これをご覧いただきますと、最初の2枚が基本的な考え方を説明しております。この2番目のパラグラフをご覧いただきますと、「清流の国ぎふ」という岐阜県の基本方針を、地方創生戦略の中に盛り込んでやってきましたということで、「(『清流の国ぎふ』を支える)人づくり」、それから「健やかで安らかな地域づくり」、それから「(地域に)あふれる魅力と活力づくり」と、この3つの柱でやってきたわけでありますが、令和3年度もこの柱に沿って、基本的には県政を進めていくという方向でございます。
一方で、このコロナウイルスの問題については、「オール岐阜」で徹底的に対策を講じていくということで、来年度もこのコロナ対策が最重点課題ということで、「県民の生命(いのち)と暮らしを守り抜く」施策。それから、コロナの先にある「アフターコロナ社会」、「新しい日常」を見据えた施策。これに全力で取り組んでいくということであります。それと、これまで進めてきた「清流の国ぎふ」づくりにも緩みなく取り組んでいくといった柱建てになるわけでございます。
これは、絵姿として見ますと、この資料(1の)Ⅱの参考資料1というのがありますが、このちょっと見にくい、細かい箱に入ったやつがありますが、イメージとしては“人づくり”と、“安全安心な地域づくり”と、“魅力活力づくり”と、この縦にあるわけであります。このうちの“安全安心”と、それから“魅力活力づくり”の双方にウィズコロナ、アフターコロナの政策がかかってくると。ウィズコロナはまさに安全安心ということ。それから、アフターコロナは新たな日常を見据えた岐阜県を創っていくということで、魅力づくり活力づくりに繋がるということでございます。このコロナ対策の部分と、それから従来からの清流の国づくりの柱建てとが、こういうふうに重なり合っていると。こんなイメージで予算を組んだということでございます。
またちょっと元の概要に戻っていただきまして、ざっとご紹介しておりますけれども、まずウィズコロナにつきましては、何と言っても「岐阜モデル」の最大の特徴である「自宅療養者ゼロ」を堅持するということで、十分な検査体制、病床・宿泊療養施設、さらには後方支援病床を確保するということでございます。それから、円滑なワクチンの接種、それから社会福祉施設、学校など、クラスターが生じやすい施設における感染拡大防止対策の徹底。さらには、生活困窮、離職者、中小・小規模事業者等への目配りといったことについて、このウィズコロナの政策の中に掲げております。
それから、ページをめくっていただきまして、アフターコロナにつきましては、県のデジタルトランスフォーメーション推進計画を策定するということで、今作業を始めておりますが、その中で行政、県及び市町村の行政そのもののデジタル化、それから中小企業、商店街のデジタル化、文化芸術活動、学校教育等々、あらゆる分野におけるデジタルトランスフォーメーションを進めていくということでございます。令和3年度はこういうことの中で、まずスタートすべきだというアイテムについて予算化をしておりますけれども、令和3年度中に総合戦略をつくりますので、この中長期的な総合戦略の中に個々の政策をきちんと位置付けていきたいと思っておりますが、これはこれからの作業でございます。それから、持続可能な開発目標SDGs。それから、グリーン社会、環境革命ですか。そういった温室効果ガスの排出削減等々、これもアフターコロナの政策として考えております。それから、サテライトオフィスの誘致、ワーケーションの推進。それから、デジタルシフトに呼応した移住者の確保策など、新たな次元の地方分散という流れの中で位置付けております。加えて、観光の再スタート。それから、アフターコロナに向けての産業分野での商品開発、販路開拓、業態転換、事業継承等々、産業政策についてもアフターコロナに対応した政策を打っていくということでございます。
それから、コロナ対策を別にした未来志向の「清流の国ぎふ」づくりとしては、引き続き3つの柱に沿って整理をしていくということでございます。
それから最後に、持続可能な財政運営というのがございますが、一方でコロナ禍によって税収が減、他方でコロナ対策による歳出増と、それから、社会保障関係経費の増加、社会資本の老朽化、県庁舎の再整備ということでありまして、全体として予算編成としては大変厳しくなってきておるということでございます。したがって、歳出についてはおもいきった見直しやら財源確保策を講じていくということで、今回は100億円を超える財政調整基金残高を確保するということで、財政の健全性にも配慮した予算となっております。これが予算の大まかな概要でございます。
あとその後ろに付いております資料は、個別のもののうち、特にそうした流れに沿ったものを書き出しております。また改めて財政課のほうから、あるいは各部局のほうから個別のアイテムについては説明があろうかと思います。ざっと見ていただきますと、最初のページのウィズコロナで言うと、先ほど申しました、病床・宿泊(療養)施設・後方支援(病床)の確保、検査体制の充実、予防的PCR。それから、ワクチンの接種体制。それから、緊急小口資金・住居確保給付金の確保といったようなところが大所でございます。次4ページご覧いただきますと、中小・小規模事業者への金融支援でありますとか、再就職の促進、人材のマッチングといったようなことも考えております。
それから5ページにいきますと、アフターコロナのところでありますが、デジタルトランスフォーメーションについては、先ほどもちょっと申し上げましたが、行政、中小企業、商店街、中山間地におけるスマート農業。それから、芸術文化活動のデジタル配信、学校教育のデジタル化といったようなことが、主な柱でございます。それから、地方分散という観点から、サテライトオフィス誘致のための支援、ワーケーション。それから、経済・観光という意味では、事業転換への支援。それから、商品開発への支援。それから、次の6ページご覧いただきますと、国内外からの誘客に向けたデジタル技術と言いますかオンラインツアー、デジタルマーケティングといったようなことを考えております。それから、サステイナブルツーリズムということで、国際的にも持続可能な観光ということが国連を中心に言われておりまして、この国連の主唱するサステイナブルツーリズムの枠組みの中に、岐阜県としても積極的に参加をしていこうということで考えております。
それから、その次のページが“人づくり”ということで、ふるさと教育、それから教科横断的な学び、STEAM教育と言われておりますけれども、これをモデル校でやってみるとか。それから、花の担い手育成ということで、「花と緑の振興センター」の設置の準備、それから、小学校等における森の体験プログラムといったようなことを考えております。それから、8ページをご覧いただきますと、就学前の聴覚障がい児に対する支援ということで、できるだけ早く聴覚障がい児を見出して、そのコミュニケーション能力を伸ばすために、いろいろな手を打っていくということでございます。それから、「学校いじめ対策チーム」の編成。それから、下のほうでグローバル社会の観点からは、外国語指導助手を思い切って増員するということの人件費でございます。
それから、誰もが活躍できるということで、金額は少ないんですけれども、多くの方から要望がありまして、今までどうしてやっていなかったのか不思議なくらいなんですが、電源を要する在宅重度障がい児者の非常用電源装置整備への支援ということでございます。これはいろんな方々からの強い要望を頂いておりました。それから次の、先ほどの話にも繋がるんですが、難聴児の早期支援に向けたセンターの設置。それからもう少し先にいきまして、介護事業者による外国人の介護人材を受け入れた後の日本語学習のための支援といったようなことがあります。
それから10ページにいきますと、不育症と言うんですか、妊娠されてもなかなか、流産等繰り返してしまう方々に対する、これは医療保険が適用されておりませんので、一定の(検査)費用の助成をしようということでございます。それから、真ん中辺にあります、中高年齢者等介護助手、「ぎふケアパートナー」と言っておりますが、このケアパートナーを育成、就業ということの支援をするということでございます。それから下から2つ目が、ネット依存的な傾向のある児童生徒に対する依存対策キャンプって言うんですか、自然体験活動とか創作体験活動とかそういったことをやっていくということであります。それから11ページ入りますと、里親の確保、養育支援。それから真ん中辺で、要保護児童の状況把握能力向上に向けた子ども相談センターのシステムの改修。それから下から2番目、これも強い要望がございましたけれども、街頭の防犯カメラを設置する自治会、民間事業者に対する助成制度ということでございます。
それから12ページへいって、誰もが暮らしやすい地域ということで、インフラということで、名鉄の名古屋本線の高架化、岐阜駅のところの高架化について、都市計画の事業認可に向けて準備を進めていくと。それから、東海環状西回りでありますが、これは3月補正も含めて87億円ということであります。私どもとしては、将来できればまた補正もお願いしたいなと思っておるところでございます。それから下のほうで、災害のところでありますが、孤立予想集落情報についての一元化でありますとか、それから、災害時に専門ボランティアを受け入れる体制整備といったことをあげております。
それから最後に、“魅力活力づくり”のところでありますが、14ページ。令和6年度に国民文化祭、それから(全国)高等学校総合文化祭を開催いたしますので、それぞれ準備を進めていくと。それから、スポーツのほうでは東京オリ・パラに関連して多くの市町がホストタウンになっておりますので、事前キャンプの受入れとか交流事業ということで、必要な予算を用意しておるわけであります。この部分はこれからオリンピックに向けてどういうことになっていくのか、必要な予算としては必要なだけ掲げさせていただいたということでございます。それから、ねんりんピックの開催費。これは1年先延ばしになったものでありますので、内容を精査して少しカットして計上しております。それから、河川を介してプラスチックのごみが海に出ていくということで、海岸の漂着物の処理の問題というのは、私ども海なし県にとっても採るべき対策でありまして、これについても地域計画をつくっていくというようなことでございます。それから15ページの冒頭にあります、温室効果ガスの排出削減ということで、再生可能エネルギー比率が30%以上の電力を積極的に調達するようにしていくということであります。
それから次の、次世代を見据えた産業・農林畜水産業。いろんなことが書いてありますが、下から3つ目が戦国武将観光ということで、このところの戦国ブームの流れを踏まえて、積極的に市町村と一緒に盛り上げていこうということでございます。それから16ページは、農業はオリンピックに向けてGAP制度がある程度定着してきたわけでありますが、新たにレベルが高く、かつ国際水準に近づくための新しいGAP制度ができましたので、これの認知度向上をやりながら、さらに普及を図っていきたいということでございます。それから、ブランド力の強化・担い手確保という観点から、様々な技術的なイノベーション、それから管理技術の開発といったことで、農業の振興を図ろうということでございます。最後は森林づくりでありまして、森林情報の共有化でありますとか、それから、市町村が森林経営管理の責任者となって、所有地の境界線なんかを画定するわけでありますが、なかなかうまく進まないということで、支援センターをつくろうという流れになっておりまして、これについても予算を計上しております。
というのが、ざっと主な流れでありまして、この資料(1の)Ⅱの参考資料の1の、ちょっと見にくい碁盤の目のような表の中に、それぞれ位置づけさせていただいているということでございます。
それから、コロナ対策だけ抜き出しますと、この資料(1の)Ⅱの参考資料の2でございますが、私どもはこれはもう15ヶ月予算と心得ておりまして、令和3年度の当初予算が332億円、それからこの3月の補正予算が64億円ということで、合わせて396億円と、約400億近くの15ヶ月予算ということでウィズコロナとアフターコロナの対策を考えていくと。ウィズコロナが344億円、アフターコロナが53億円ということで、主なアイテムは先ほどご紹介したようなことでございます。特にアフターコロナについては、様々な、何と言いますか、未来志向の政策テーマについて掲げております。
それから、これはご参考までにということですが、(資料1のⅡ)参考資料の3はSDGsに関連した県の政策をいくつか整理しております。
それから、(資料1のⅡ)参考資料の4は若手職員からのアイディアの実現とありますが、主査以下、大体20代、30代の若手の職員に、担当を問わずに岐阜県として何をなすべきかということで、アイディア募集をしました。非常にショートノーティスで短期間ではありましたが、174件の応募がありまして、そのうちの8つのここにあるアイテムが、新規予算として取り上げさせてもらいました。その他に、40件ほどはすでに用意されている予算で対応ができますので、これも実現していこうということであります。残りの120件ほどは、少しブラッシュアップと言いますか、フォローアップをして、今後考えていきましょうということでございます。以上が予算の概要ということでございます。
3番目に組織の見直しでございますが、この資料(1の)Ⅲの参考資料1-1という一枚紙、半ペラの紙をご覧いただきますと、全体としては、部・局は変更なしと。課・室・事務局で、新規の課が2つ、それから減が1つということで、デジタル戦略推進課、これはまさに先ほど申し上げました、デジタル戦略を作成してもらう、全庁的にリードしてもらう課でありまして、これを新たに設置をいたします。それから、観光資源活用課ということで、岐阜県の様々な観光資源をアフターコロナを睨みながら、先ほど申し上げたようなことで、いろいろと積極的に活用し発信してくという、そういう課であります。これに見合った格好で、関ケ原古戦場整備推進課。記念館は一応できましたので、推進課をなくしまして、別途その下の観光資源活用課の中の課内室として、関ケ原古戦場活用推進室ということで、引き続き、記念館のみならず古戦場全体をどう活用していくかというソフトを、いろいろと検討してもらう部屋をつくろうということでございます。
それから、課内室は今申し上げました関ケ原の他に、SDGsと、それからワクチン接種と、それぞれ室ということで体制を整備しようということでございます。
一方で、観光コンテンツ活用推進室。これは、観光資源活用課の中に吸収できますので、これはもう減にするということで、課内室が2室増ということでございます。現地機関は変更なしということでございます。
その他に特命監ということで、新庁舎の運用、県庁舎の建設管理。それから、温暖化・気候変動対策。それから、障がい者の就労、山地の災害、住宅の活用。それから、県営水道災害対策ということで、特命監を置くということにしております。
これらは次の(資料1のⅢ)参考資料1-2ですか。この組織図をご覧いただきますと、左の総務部の欄のところに新庁舎の運用対策監、それから県庁舎の建設管理監もおります。それから、情報企画課を廃止しましてデジタル戦略を担当する課と、それから現状の日常的な県庁内の情報システムを管理するシステム課と2つに分けて、新たに設置するということでございます。それから、清流の国推進部の中にSDGsの推進室が、清流の国づくり政策課の中にできると。それから、温暖化・気候変動対策監が環境生活部の環境管理課の中にできると。それから、ワクチンのほうは、健康福祉部の感染症対策推進課の中に部屋を置くということでございます。それから、障がい者の就労(推進監)は労働雇用課の中に置くと。それから、観光国際局が少しリシャッフルしまして、観光コンテンツ活用推進室を廃止し、関ケ原古戦場整備推進課を廃止して、観光資源活用課、そして関ケ原古戦場活用推進室ということで再整備をします。それから、林政部の中に山地災害対策監。それから、都市建築部の中に住宅(活用推進監)と、それから県営水道(災害対策監)と。こんなことでやっています。
これを、先ほどご紹介した予算の柱建てで整理しますと、次の資料(1の)Ⅲの参考資料2のようになるわけでありますが、ざっとまた見ていただければと思います。ということで、全体的にはあまり大きな、大幅な変動はございませんが、いくつかの政策アイテムについて、必要な体制の整備をするということでございます。
私のほうからは、以上でございます。
記者
歳入、県税ですとかが結構大幅に減っておりまして、その中でコロナの対策費が増えているということで、土木費ですとかも大幅に減っておりますが、予算編成、今回どのくらい難しかったかというようなところですけれども。受け止めのほうお願いいたします。
知事
全体としては、おっしゃるように入りは減ってきますし、出のほうのニーズはどんどん増えてきております。どこでバランスを取るかということと、それから、自前の財源と国からの財源と、どういうふうに整理をするかとか。それから、また年度途中にコロナも含めていろんなことが起こり得ますので、準備金と言いますか、調整基金も一定程度は積んでおく必要があるということで、あんまり使い切ってしまうわけにはいきませんし、そこら辺のバランスをどこでどう取るかというところが、一番苦労したところかなと思います。何とか全体としては、そういう意味では工夫を重ねたり、政策的にもメリハリを付けて、何とかここに漕ぎつけたということじゃないんでしょうかね。
記者
メリハリという意味では、思い切ってというところはコロナだと思うんですけれども、削減せざるを得なかったところで、心苦しいなと思ってらっしゃるところはございますか。
知事
心苦しいというわけではないんですけれども、やはりインフラ関係を当初予算としてはカットさせていただいております。ただ、公共予算について言うと、国の3月補正でかなり国土強靱化の新しいスタートに向けてということで、国も積極的にそこは取り組むということでありましたので、そこの部分を加味して、令和3年度の当初予算については削らせていただいたと。ご理解いただいたんではないかと思っております。それから、県単のほうはいろんな流れの中で、令和2年度から3年度への繰り越し金がございますので、それも積極的に活用していただくということで、当初予算については思い切ってカットさせていただいたと。今までの予算編成でいうと、どちらかと言うと当初予算の新規にどういう数字の予算が立つかということを、非常に強い関心で持って見ておられた方々もおられたと思うんですけれども、今回はそこは実をよくご説明をして、ご理解をいただいたんではないかと思っております。そこの部分がメリとしては大きかったと思います。
記者
一方ですね、県債ですとかの発行が非常に増えておりますが、財政健全化という意味で、今後も含めて見通しをお願いいたします。
知事
臨財債を除きますと、何と言うか非常に危機的な状況だということではないと思うんです。ただ、そうは言っても、じわじわと右肩下がりできたトレンドが、いろんな、例えば国の経済施策、国道ネットワークの整備となると、3分の1は県費の負担ですから。そういったことから、国の様々な対策に合わせていくということで県債残高も増えていきます。それから、直近は来年度と再来年度が県庁舎がピークなもんですから、この2年間を何とかバランスのいい予算を組んで乗り越えて、そっから先の新たな県債発行の増については、慎重に対応していくということでいけば、見ていただいた実質公債比率の最後のグラフのように、この10%を下回るところで向こう10年くらいは推移するとすると、あながち無理なことを考えているわけではないので、節度あると言いますか、慎重な運用をきちんとやっていけば、県の財政としては持つんではないかと思っております。
記者
若手職員の方にアイディア出しをしてもらった予算の中で、知事ご自身がこれは気づかなかったなというか、ちょっと期待しているような予算を、特にというところであげていただけると。
知事
そうですね、割と皆さん何と言うんですか、体験型の提案が多いですよね。そこのところがやっぱり、若い人らしい問題意識が表れているのかなという感じがします。そういう意味で、この住み込み芸術プロジェクトとか、それから、国際たくみアカデミーを移住者支援に活用するとか、人と体が動くと言うか、そういうアイディアというのは積極的に他の分野でも考えていったらいいんではないかなと。そのことによって、県の行政と、それからそれに関連する方々とのコラボみたいなのが進めばいいんではないかなという気がしました。そういう意味で、コンセプトが先に立つというか、頭でっかちな提案ではなくて、かなり具体的な提案が沢山並んでますので。この他にも、もう少しブラッシュアップしたらということで、ウエイティングになっているのがいくつかありますから、ある程度磨かれてきたらまた補正予算でやるという手もありますし、積極的に考えたいと思っています。
記者
昨年ですけれども、まだまだオリンピックですとか、大河ドラマとか、そういったことが盛り上がっていた時に、ひとつ「時は今」というような言葉も使って予算のほう説明いただいていたんですけれども、今年のこの予算を何かこう看板を付けるとしたら言いますか、一言で表すというところでいかがでしょうか。
知事
やっぱり、何と言っても15ヶ月予算ということで、コロナ対策については私どもとしては目一杯盛り込ましていただいて、しかも、コロナ対策の中にアフターコロナの先駆けになるような、そういったテーマも盛り込んでいますので、そういう意味では、また選挙のスローガンに戻っちゃうんで怒られるかもしれませんけれども、やはり県民の皆さんの生命と暮らしを守り抜くということと、新しい日常を創るというか、あるいは新しい日常を創る中で、アフターコロナ社会を展望していくというか、そういう辺りがいいんではないかと思います。編成上の苦労からすると、バランスでしょうね。冒頭ご質問があった。いろんなことに目配りをしたバランスの取れた予算にしていくということで、一番汗をかいたとこだと思います。
記者
知事の5期目になって最初の予算編成ということで、この4年の任期の中で、来年度の予算ですね、どういう位置付けにすると言うか、そういうような形で込めた思いなんかがおありでしょうか。
知事
継続と発展ということだと思うんですけれども、継続という意味では、やはり地方創生というのは数年でできる話ではありませんので、やはり粘り強く、それこそ10年15年タームで政策を積み重ねていくということは当初から申し上げておりますので、この流れはきちんと大事にしたいということと、その流れとコロナ対策をどう組み合わせるというところに工夫が要ったところです。この表がありますけれども、ウィズコロナのところがこれから効果を発して縮んでいって、アフターコロナのところが、この後、来年度、再来年度、膨れ上がっていくと。それとともに、より予算の全体が未来志向になっていくと言いますかね。当面の生命を守るということと、その先を見通して新しい日常を創るというバランスが、徐々に1年経つごとに未来志向型に変わっていくことを期待しつつも、今は両睨みでやっていくという構えにしたんですけれどね。
記者
もう1点すみません。今回、この臨財債以外の返済を抑えたということですけれども、その分が、公共インフラとか県単のインフラなんかが縮小ということに影響が出たのかなと思うんですが、先ほどの知事のご説明だと、国の降りてくる予算なんかを待ちながらということであれば、そこまで全体として進行とかに影響は出ないというふうに見てらっしゃるんでしょうか。
知事
進行というのはどういう意味ですか。
記者
インフラ整備に関してですね、遅れが生じるとか計画の変更とか、そういうのがそこまで大きく影響は全体としてはないのではないかということになるんでしょうか。
知事
国のほうも令和3年度の補正はまだですから、それを云々するのはとてもまだそういう時期ではありませんので、令和2年度の補正と合わせた15ヶ月予算と国もおっしゃっておられますので、そういう中で国土強靱化ということも謳っておられますので。ただ一緒にやる分、先ほど申し上げました、県の負担がどうせあるわけですから。その分でどうしても県債発行が引っ張られているところはありますけれども。しかし、岐阜県にとって東海環状の西回りでありますとか、あるいはリニアを睨んだアクセス道路でありますとか、国道21号もそうですし、まだインフラとしてやるべきところが沢山ありますので、そういったことについて、国の予算と県もできる限りそれに呼応する形で予算を組み立てていくのは不可避かなと思っておりますけれども。ただその部分がありますので、今年度新しい部分を少し削らせていただいても、仕事量としては十分やっていけるんではないかなと思っております。
記者
最後にすみません、1点だけ。組織の見直しの中で、私が資料を見ている中で保健所のところ、例えば副所長を置くとか、感染症対策係を設置するとかというのがあると思うんですが、今コロナ対応なんかで非常に業務が増えているのかなと思うんですが、そこについての現状の課題について、知事のお考えをお聞かせいただいてよろしいですか。
知事
今、所長さんがいて、スタッフがいるわけですけれども、やっぱり所長さんをサポートして、所内のマネジメントに目配りをする、いわば副所長と言うんですかね、サブの方は絶対に要るというのが現場の皆さんのご意見なものですから、それは是非その分増員しようということで、副所長の新設を掲げております。感染症対策係というのは今、可茂と東濃と恵那ですかね、この保健所にはまだ今ないものですから、事実上やっているわけですけれども。やはり、感染症対策に特化した係をそれぞれの組織でもってもらう必要があるということで、そのことについても係を設置して増員をするということで、これはもう喫緊の課題と言いますか、今すぐにでもやらなきゃいけないことだという考えです。
記者
1点だけお伺いしたいんですけれども、先ほど県債発行のお話の中で、臨財債を除けば危機的状況ではないというお話だったと思うんですが、この臨財債が、本来地方交付税の代わり、国がいずれ返してくれるというお約束で始まったと思うんですが、どういうふうに収束していくかというのが国のほうでもたぶん不透明な実態があって、その中でこの数だけ膨らんでいっていることに関する不安感とか、知事のご見解があればお聞かせください。
知事
この臨財債が始まったのが、平成13年度からなんですよね。この資料(1のⅠ)の3の県債発行額の推移ですか、最初の資料の5ページ目ですか、見ていただきますとわかりますように、ほんの少額から始まったんですが、あっという間に伸びていって、気がついたら岐阜県あたり700億円近くまでいったわけです。これはやはり、岐阜県のみならず知事会全体としてもこの部分が野放図に拡がっていくというのは、もちろん今までのところはこの部分は過去の何年の臨財債の部分の償還分ですよと言って、計算上は(地方交付税で)いただいているんですけれども、一応それはそれで受け取っているわけであります。
おっしゃるように、国が払うと言ったから払うんだろうといって、野放図に拡げていいというものではありませんし、それをやるなら本来、交付税の割合を高めるのが筋ですから、そっちの本来の筋道でやってほしいということも合わせて主張してきておるわけであります。
この平成20年代の中頃から、ずっとこのところ急速に減ってきたわけですよね。700億円から300億円近くまで減ってきたわけなんで、そこら辺は国もやはり危機感は持ってくれたと思うんですが。ここへきてちょっと国自身の税収減と言いますか、それからコロナ対策の必要性とか、そういうことでやむを得ずまた伸ばしてきているもんですから。これが何年も続くようですと同じようなことを議論しなきゃいけないんですけれども。もう少しそこは様子を見てということであります。
それから、臨財債を除けば大丈夫だと言ったつもりではなくて、やっぱり警戒をしながら慎重にやっていくということでありますけれども、直ちに今、危機に突入しているというか、そういう少し前の10年ほど前の危機的な状況とはまだ随分違うということは申し上げているわけです。だからといって、緩んでいっていいとは思っておりませんので、ここから先の毎年の県債発行の額というのは、やっぱり慎重にやっていく必要があるというのが私の基本的な立場です。
記者
予算の規模に関してなんですけれども、規模としては、9年連続増だと思うんですけれども、実際には、コロナ関連を除けば減額予算だというふうにされる、その見解の理由についてもう一度改めてお聞かせください。
知事
別に深い理由はないですよ。算術上そうなるというだけです。
記者
というか、それをタイトルとしてきっちりお伝えしたい理由というかですね。
知事
タイトルは別に、予算のタイトルではなくて、単純に、昨年度の予算と今年度予算と、どこがどう増えたかということを比較すると、圧倒的にコロナで増えているんですよということを申し上げているだけで、別に予算のタイトルがということではなくて、という事実を申し上げているだけなんですけれど。
記者
例えば、コロナ関連は、基本的に国から入ってくるお金が大きいというところとかっていう理由ではないという。
知事
国のお金も大きいんですけれども、県独自の対策も結構大きいんですよね。どちらも大きいので、とにかく、コロナ対策ということで、できる限りの手を打つということを最重要課題にして組み立てましたと。ということで、その分でこれだけ増えてきているということを申し上げているんですけれどね。
記者
各都道府県、感染症の拡大対策と、そしてアフターコロナ、それぞれいろいろな重点の置き方をすると思うんですけれども、岐阜県においては、特にこのコロナのメニューの中で、予算額、そしてアイディアの部分も含めて、意を用いているところはここだというようなところはございますでしょうか。
知事
アイディアと言えるかどうかは分かりませんが、やっぱり、幸いというかなんというか、今日現在でも、自宅療養者ゼロですからね。これを何としても確保して、そして一つひとつのクラスターを確実に把握して、確実に消滅させていくという手立てを岐阜県としては今取れているわけなので、これは何としても維持していきたいと。
金額的には、そのための予算、徹底した検査と、施設の確保といったところになるわけです。あるいは医療機関に対する支援ということになるんですけれども、これはある意味じゃ当然やらなきゃいけないことではありますけれども、結果的に、自宅療養ゼロということを声高に言っている県というのはそうあまり聞かないと思うんですけれども、私どもとしては、それはもうとことん貫きたいというところが基本です。ですから、ここはアイディアとか何とかというよりはむしろ、基本に立ち返って、きっちりやっていこうということかと思います。
ちょっと話は飛びますけれども、今回、木沢(記念)病院も3,000を超える検査をしています。とにかく徹底検査をやるという、それでクラスターの広がりをきちんと見届けるという、そこのところは、何としてもやっていこうということでやらせていただいていますので。
それから、アイディアという意味では、アイディアという表現がいいかどうかは分かりませんが、やはり、デジタルですね。それから、地方分散、環境、観光といったところですかね。そういったところで、おそらくグローバルなアフターコロナを睨んだ大競争の中で、岐阜県としてどんなふうに立っていけるかということを考えなきゃいけないので、そのための様々なテーマの頭出しと言いますかね。
これも先に戦略がきちっとできていて、それに沿って予算を、というほうが分かりやすかったかもしれませんけれども、何と言っても、まだ作業の途に就いたばかりなものですから、今回の予算は、とにかく各部局で今考え得る、それなりの予算規模で考えるものを積極的に手を付けようと。それで、それらをやりながら、構想をつくりあげていこうという、そういう手順になっているものですから、だから、アイディアという言葉がいいかどうかは分かりませんが、その部分についてはいろいろと各部局とも。私はもう、県庁内の全ての部局がデジタル化という観点から政策点検と言いますか、そういったことをぜひこの際やってほしいということを申し上げていますので、そういう中、出てきた提案を積極的に、予算の中で取り入れてきているということになるのではないかと思います。