ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 岐阜県議会 > 本会議の情報 > 令和2年 > 豚熱対策に関する意見書

本文

豚熱対策に関する意見書

記事ID:0103827 2020年10月8日更新 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

 本県では、昨年10月25日の豚へのワクチン接種開始以降、幸いなことに農場でのCSF(豚熱)は発生していない。

 豚へのワクチン接種については、家畜伝染病予防法第6条による予防的接種として、都道府県が家畜の所有者に対し、家畜防疫員による接種を命ずるとされているため、現行制度下で接種できるのは都道府県の家畜防疫員に限られている。

 昨年度から始まった野生イノシシへの経口ワクチン散布は、抗体付与率が収束に向かう水準とされる6割を超え、一定の効果が現れているが、終息には3年から5年、長ければ10年かかるともいわれている。その間も県内の養豚農家は、ワクチン接種を継続していかなければならず、本県の飼養頭数がCSF発生以前の水準に回復した暁には、県内全体で年間20万頭程度に継続して接種していく必要がある。今後、ワクチン接種を円滑に進めるためには、民間獣医師による接種を認めるなど、ワクチン接種の担い手を拡大し、持続可能な接種体制を構築することが必要不可欠である。

 また、ASF(アフリカ豚熱)については、いまだ国内で発生事例はないものの、新型コロナウイルス感染症の水際対策として実施されてきた外国人の入国制限が、緩和されてきており、再び国を超えた人やモノの動きが活発化すれば、これに伴い、ASFウイルスの国内侵入の可能性が高まることが懸念される。

 こうした中、農場のバイオセキュリティ強化、違法な肉製品の持込みに対する家畜防疫官の権限強化や罰則強化を内容とする家畜伝染病予防法の改正法が今年7月から施行されたところであるが、ASF対策については、ウイルスを国内に「侵入させない」ための水際対策と、万一に備え、ウイルスを農場に「持ち込ませない」ための防疫対策の徹底が重要である。

 よって、国においては、豚熱対策に係る下記の事項に取り組むよう、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

 

1 CSFワクチン接種については、「豚熱に関する特定家畜伝染病防疫指針」を改正し、家畜防疫員以外の民間獣医師による接種を可能とすること。

2 民間獣医師を含めた接種に要する人件費や資材費等について、国庫補助対象を拡充し、県及び養豚農家の負担を軽減すること。

3 感染源となる野生イノシシにおけるCSFの撲滅に向け、長期的な方針、目標値及びその実現を図るための行程を示し、十分な予算を措置すること。

4 ASFについては、関係府省が一体となって情報発信や摘発強化などの水際対策を徹底すること。また、ASFウイルスの国内侵入も見据えて、農場施設のバイオセキュリティレベルの向上のための改修・改築を対象としたハード支援を充実し、十分な予算を確保すること。

 

令和2年10月8日

 

岐阜県議会議長

 

(送付先)

衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、農林水産大臣、環境大臣、内閣府特命担当大臣(規制改革)、内閣官房長官