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知事記者会見(平成21年9月16日)

記事ID:0000092 2015年9月10日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

平成21年9月16日(水曜日)午後3時

知事

私の方からいくつか申し上げたいと思います。まず、何と言いましても9月11日、岐阜県の防災ヘリコプター若鮎IIの墜落事故がございまして、大変優秀な防災航空隊員3名の尊い命を失うという大変残念な結果になりまして、私どもとしては痛恨の思いでございますし、誠に申し訳なく思っているところでございます。

今回の事故は、とりわけ人命救助を行っているその最中で発生したものでございまして、返す返すも無念でならないという思いでございます。11日以来、日を重ねるごとに無念さと言いますか、悲しみを大きくしているということが正直なところでございます。ご遺族のお悲しみはお察しするに余りあるわけでございますが、大変胸のつぶれる思いで、お通夜や告別式に出させていただいた次第でございます。

その際に、ご遺族から、本人にとっても家族にとっても防災航空は誇りであるということをおっしゃっていただいた方もおられますし、また、今回の大変残念な事故を無駄にしないようにしっかりとした再発防止策に取り組んでもらいたいという話もございました。私としてもこうした言葉もしっかり噛みしめながら、全身全霊を傾けて取り組んでいきたいという思いでいる次第でございます。

ご案内のとおり13日の夜に検証委員会を立ち上げさせていただきました。私どもとして運航体制、いろいろと検証をしているところでございますが、次回の検証委員会を今週金曜日に開こうということで、今、作業をしております。前回議論した論点について、ある程度整理ができたところを、次回の検証委員会で議論しようというつもりで、現在、作業を督励しているところでございます。

一方、県警の捜査と言いますか、事情聴取が今日から始まったところでござますし、国土交通省の運輸安全委員会による聞き取り調査が間もなく始まると聞いております。これまでのところは現場を中心に調査、捜査が行われていたところでありますが、そこから関係者の事情聴取という段階に移っていくということでございます。

私ども県といたしましては、これらの捜査、調査に対しまして全面的に協力していくということと合わせて、県としての検証も行っていくということでございます。県警の捜査は当然のことでございますが、刑事責任の観点から、特に過失の有無といったことでお調べになるわけでございますし、国交省の運輸安全委員会の調査は、航空専門的な観点あるいは科学技術的な観点から解明、究明していくということでございます。
私どもは防災行政という観点から、検証していくということでございまして、とりわけ要綱、要領、マニュアルといったものがあるわけでございますが、これに沿ってオペレーションが行われたかどうかといったようなこと、あるいは今後の捜査、調査とも連動して私ども作業をしていくわけでございますが、今回の大変残念な事故に鑑みて、改めて現実にこういう残念な事故があったわけでございますので、要綱、要領、マニュアルそのものについても改めて検証すると言いますか、見直しをすることも必要になってくるかも知れないと思っているわけでございます。あるいはマニュアル以外の運用上の問題点もあれば、それも検証作業の中で整理していく必要がありますし、また場合によってはそれをマニュアル化する必要があればマニュアル化するというような作業も要るかもしれないと思っております。

それから、当面の防災体制でございますが、残された若鮎Iが9月14日から11月27日まで点検ということで、稼働できないわけでございまして、これへの対応について、急ぎ検討を行っているわけでございます。これについても金曜日の検証委員会で議論したいと思っております。
一昨日、ちょうどたまたまでありますが、長野県知事と両県の間でのいろいろな政策的な懸案事項、連携政策を議論したわけでございますけれども、その際に長野県知事にも直接お願いをしておりますし、今回、長野県警のヘリにもこの現場で大変お力添えをいただきましたものですから、そのことのお礼も申し上げた次第でございます。

長野県知事の方からは、協力協定もあるわけだし、喜んでお手伝いをしたいということをおっしゃっていただきました。その他、隣県9県1市に防災ヘリが10機ございまして、応援をお願いするということ、あるいは自衛隊、更には場合によっては海上保安庁のヘリについても視野に入れながら、どういうふうに進めていくか検討していきたいということでございます。

ちなみにこの事故の後、今日に至るまで既に2件、他県の防災ヘリをお願いしたものがござまして、1つは9月12日に富山県の防災ヘリですが、神岡で案件がございました。また9月13日には長野県の防災ヘリに高山市高根に行っていただいたということで、既に2件引き受けていただいております。こういったことのお願いをしていくということかと思っております。

それから、もう少し先の検討課題といたしましては、新規の防災ヘリの購入ということをどういうふうに考えていくか。これも発注から納入までに1年半くらいかかるそうでございまして、そういうことも含めて新規購入をどう考えるか。あるいはリースで運用することはどこまで可能かといったようなこと。

それから、私ども、今度の国の6月補正予算を踏まえた対応として、地域医療の充実ということで、ドクターヘリの導入も検討しているわけでございますが、このドクターヘリの導入と今回の事故を踏まえた今後の対応との兼ね合いをどう考えるかとか、いくつか早急に議論しなければいけない論点がございますので、こういったことについても検討していきたいと思っております。

それから、もう1つはやはり人の訓練、確保といったこと。機材をどうこうするだけではなしに、人の訓練、確保についても十分に考えていかなければならないと思っております。

金曜日の検証委員会が終わった後で、その結果についてご報告する時間をとらせていただこうと思っておりますけれども、改めまして、亡くなられました朝倉仁さん、三好秀穂さん、後藤敦さんに心からご冥福をお祈りしたいと思います。

それから、お手元にいくつか資料をお配りしてございますが、個別に取材をしていただくこともあろうかと思いますが、簡単にコメントだけ申し上げたいと思います。

最初に、ドリームコアに「iPhoneフロア」を設置という資料がございますが、ソフトピア・ジャパンをいわばiPhoneのアプリケーションソフトの開発拠点にしていこうということです。

iPhoneは資料の3ページ目にありますように、アップル社の携帯端末で急速に伸びているものでございますが、ソフトピア・ドリームコアの1、2階を「iPhoneフロア」と名付け、そこにアプリケーションソフトの開発を手掛ける企業、個人の方々に集まっていただいて、交流を図りながら開発を進めていくような環境整備をしたいということで、ここに入居される場合には一定期間、家賃を減免するとか優遇措置を講じようということでございます。

また、「iPhoneサロン」というものを10月以降毎週木曜日に設けたり、「iPhoneレクチャーシリーズ」ということで、高度なアプリケーションの開発講座を考えております。IAMASやソフトピアに進出している企業などとも連携してやっていこうということでございます。これから急速に伸びていくiPhoneのソフト開発ということに着目して、県として肝入りで拠点づくりをするというのは、全国でも初の取り組みでございます。

また、幸いここにはiPhoneのアプリケーションの権威と言われる赤松教授もお出でになりまして、既にベンチャー企業が進出したり、いろいろな内外の雑誌等にも紹介されたり、この地域の活動が注目されておりますので、これは岐阜県にとって新しい先端技術開発の拠点づくりの一環として進めていきたいと思っております。

それから、観光関係でございますが、「飛騨・美濃じまん観光キャンペーン・秋」でございますが、ご覧いただくと分かりますように、秋のシリーズとしてお手元の様々な資料も活用しながら、10月から12月までの3カ月間、「食」をメインテーマに集中的に岐阜の観光キャンペーンを大いにやっていきたいということでございます。

それから、「EKI-Site43GIFU(エキサイト43ギフ)秋祭」というのがございますが、夏7月、8月に大変賑わいづくりに大きな成果のありましたエキサイトギフについて、今度は秋のバージョンということで、バージョンアップしてやるということで、これもご覧いただければと思います。

それから、これは長野県知事との協議の場でもご紹介しましたけれども、豊かな海づくり大会で「回遊旗」のリレーをやろうということで、お手元に地図がございますが、9つのグループに分かれて、回遊旗が全県、近隣県を回るというアイデアでございまして、これもご覧いただければと思います。

最後に、10月18日に第1回の「ぎふ清流駅伝」というものをスタートしようということで、これは1つには県民の皆様に駅伝という形でスポーツに親しんでいただくというレースであると同時に、12月の全国実業団女子駅伝競走大会の中部・北陸地区の予選会を兼ねるということでございます。これも新しい、国体に向けてのスポーツ振興の試みでございますので、ご紹介させていただきます。
私の方からは以上です。

記者 2点質問させてください。まず1点は、今回のヘリの墜落事故についてですが、事故から今日で6日目になりまして、県としては防災行政の観点から検証を進めていくということですが、改めて今回、県の防災ヘリが出動した経緯、それから出動する際に県警と何らかの協議があったのかについてお聞かせ下さい。
知事 これは検証委員会の後、詳細な資料、経緯的なものを考えていかなければいけないと思っておりますが、まず松本から高山の消防本部に遭難の通報がありまして、高山の消防本部から県の防災航空センターに連絡があって、そして、防災航空センターとしてどう対応するかという中で、県警とも協議をして、防災航空センターと県警の航空隊は隣り合わせの建物にあり、いつでも容易に接触できる場所にありますので、協議をして、その上で今回の決定をしたという経緯でございます。
記者 その協議の中で、これまでの実績からしても山岳遭難は警察のヘリコプターが出るところだと思うのですが、今回なぜ県の防災ヘリが出ることになったのでしょうか。
知事

これは警察との協議も含めて、最終的にはセンター長の判断ということでございます。今、関係者から、まさにおっしゃった点について縷々県側としても聞いておりますし、恐らく県警の方も警察側の関係者の方々から協議の状況について聴いておられると思います。

私どもとしては、この点については、今聞き取り中ということでございまして、まだ少し混乱をしている職員もおりまして、十分詳細な聞き取りと言いますか、こうだというところまで至っていないというのが現状でございます。しかし、これまで聞き取ったところを踏まえながら、それから一方で県警も事情聴取に入られたわけでございまして、私どもとしては県と県警との間で、早急にこれらの点についての事実確認を急ぎたいと思っております。この事実確認をまずやった上で、この点について明らかにしていきたいと思っております。

記者 別の質問ですが、今日、鳩山内閣が誕生しまして、前原議員が国土交通大臣ということで、その前原国交相が今年の2月に衆院の予算委員会で木曽川導水路の中止を求めるという発言をされております。改めて今回の新政権が誕生することで木曽川導水路の必然性と、知事としてどう対応していくのかということと、今回新政権ができることで補正予算とか新年度予算案について不安もあると思いますが、その点についてお聞かせ下さい。
知事

まず、導水路でございますが、岐阜県のみならず愛知県、三重県そして名古屋市が国家プロジェクトにパートナーとして参画をするという形で、それぞれの県市にとっての必要性、費用分担、環境対策の是非とかいろいろと議論を積み重ねてきているところであります。環境対策についてはまだ議論の途上にあって、終わっていないということでありますが、必要性と資金の分担については、ある意味では一旦は合意ができたものだと私どもは思っております。

そういう中で名古屋市長はこれについてもう一度よく検討してみたいということをおっしゃって、いろいろと名古屋市民の声も聞いてやっておられるわけです。岐阜県としては、長良川の水環境の改善という観点、それから可茂・東濃地区の渇水対策に寄与するという観点から、この導水路は岐阜県にとっては有効な活用ができるということで3.3%の費用負担をするということで、私どもとしては既に申し込んでいるわけです。

むしろ大きなのは、徳山ダムの利水権を愛知県、名古屋市は持っておられるので、その利水権を前提に徳山ダムの建設費も既に払いつつあるわけですし、それから今後徳山ダムが運用される限りは、利水権に見合った運用経費、維持費の負担も愛知県も名古屋市もされるということでございまして、そうなるとそこに確保した利水権、水をどうやって愛知県、名古屋市に持ってくるかということになりますので、どういう形にせよ徳山ダムにお金を出して、今後も運用上のコストを払い続けて確保した利水というものはどうしても残るわけですね。ということで、愛知県は必要だと、名古屋市も一旦は必要だということで進んできたわけなので、そもそも要らないということは、利水権はどうなるのかと。

あるいはルートが問題なのか、何が問題なのか、あるいは利水権を放棄するのかというような問題もございますので、私はこの問題については、国を中心に改めてこの導水路の意義とかといったものをトータルにしっかりと議論していただきたいと。この導水路について、岐阜県にとっては利水の問題はないのです。

それぞれのパートナーごとに、どういうメリットがあって参加するのか、それから今の計画のどこがどう問題があるのか、それから徳山ダムの利水権をどうやって実現するのかについてどう考えるのかということについて、仮に見直しをするという議論があるとすれば、トータルにきちんと議論する必要があるのではないかと思っております。しかし、岐阜県にとりましては、今申し上げましたように、従来から申し上げてきた必要性なり、3.3%の費用負担ということについては、特に考え方は現時点では変えるつもりはないということでございます。

それから、新政権との兼ね合いについてですが、先だって全国知事会の戦略会議に出させていただきまして、そのうちに第2回があるのではないかと思いますが、そこでの議論を踏まえて全国レベルの地方六団体が鳩山代表、菅代表代行のところに行かれ、いろいろと地方の心配とか、民主党の「地域主権」ということについてお話をされたようです。

鳩山代表からはこの地域主権の大切さということをご理解いただいたようでありますし、それからいずれは国と地方との間の協議の場を法制化するということですが、今この新しい政権ができていろいろな政策が動き出す中で、地方の声を聞くということは大変大事でありまして、地方六団体の側からはとにかく法制化する以前の段階から協議の場を設け、協議をさせてくれと申し上げたわけでありますが、これについて鳩山代表は「分かりました、是非やりましょう。この点については菅代表代行が中心的な役割を担いますから。」ということで、菅さんからも「地方分権、地方主権の重要性について、私は十分理解しています。」というようなやり取りがあったと聞いております。

その線に沿って、まだ新しい政権は今日これからですから、組閣が行われて、1つ1ついろいろな政策論議が行われていく中で、どのように地域の声を聞いていくのかと。何が変わり何が変わらないのかを見極めていく中で、地方は地方で積極的に地方の考え方、心配を率直に申し上げたいと思っておりますし、新政権にはそういった声をしっかりと受け止めていただきたいと思っております。

それから岐阜県レベルで言いますと、先般、民主党の方々と話し合いの場を設けました市、岐阜県内のいわゆる地方六団体のベースでも話し合いをしました。遠からず岐阜県内の地方六団体と県選出の国会議員の方々との意見交換の場も持たせていただきたいということで、今、民主党側に提案をさせていただいております。基本的には、スケジュール調整という段階に入っておりますので、いろいろなルートで早め早めに私どもの問題をやっていきたいと思っております。

記者 これまで自民党から閣僚が地元からお二人出ていて、それに比べると民主党では地元から入閣される方がいない。そういう意味では、知事にとって新政権からは縁遠くなったという感想はお持ちでいらっしゃいますか。
知事

いろいろな席ができてきますからね。私自身は、民主党の方々は、かつて羽田政権、村山政権の中で既にご活躍された方々もいらっしゃいますし、自民党政権の下でも、意見交換をしたり、ご指導いただいたりした方々も大勢おられます。

新しい政権ですし、どういうふうに生み出すかという意味では、これからどういうふうに関係を築いていくかということになるのですが、あまり縁遠いとか縁近いとかというよりは、今回の総選挙の結果を踏まえて、そこに現れた国民の変化への期待というものを、地方は地方の立場で申し上げ、新政権に受け止めていただくということで、そういう意味では積極的な意見交換なり交流の場を作り上げていきたいと思っております。

記者 三位一体改革のひずみみたいなものも解消されていくのではないかという期待はお持ちですか。
知事

三位一体の改革についてはいろいろと問題点が残っているわけで、特に地方税財源をどうするかというところで、議論が進められていくと思います。具体的に税財源の議論も、どういう手順で新しい政権がやろうとしているのか。例えば自民党政権の中では、伊藤忠の丹羽会長が委員長をやっておられます地方分権改革推進委員会というものがございまして、これは法律に基づく委員会で、法律に基づいて作業をしているわけですが、すでにいろいろな提案も出しております。

今度第3次勧告がでる予定ですが、例えばこの委員会でやってきたこと、あるいは今やりつつあることをどう評価して、新しい政権としてどうしようとするのか。これまで地方との討論会では、あれ以上のことをやりますというようなことを民主党の代表の方がおっしゃっておられたこともありましたけれども、あれ以上のことというのはどういうことで、どういうやり方で進めていくのかというのも関心があることですから、そういったことも含めてこれからいろいろな協議の場で話をしていきたいと思っております。私どもとしては、税財源の問題は大変深刻でございますので、大いに議論していきたいと思っております。

記者 今回組閣が予想されている方の中で、知事が秘書官時代に親しくお付き合いされた方はいらっしゃいますか。
知事

机を並べて仕事した方もおりますしね。まだ決まっていないですけれど、外務大臣をやろうとしている方とは文字通り机を並べて仕事をしておりました。例えば、中井さんは羽田政権の中で、確か法務大臣をやっておられたかと思いますが、閣僚会議とかいろいろやっておられました。それから菅さんや鳩山新総理も「自社さ政権」のいろいろな幹部の連絡会とかでお目にかかっております。藤井裕久先生は羽田内閣の大蔵大臣で、いろいろな接点もありまして存じあげておりますし、福島瑞穂さんも、若干、村山さんのご縁で接点もありました。直嶋さんは当時国会対策で、羽田政権の少数内閣の予算を国会で通すということで非常に苦労しておられまして、近くで拝見しておりました。若手の方は、知らない方も多いですけれども、何かと接点があった方々です。

ただ、もちろん岐阜県にとって必要なことは積極的にアプローチをしようと思っておりますけれども、岐阜県にとっての問題と国全体の地方分権運動をどうやっていくかという問題の両方ありまして、どのような立ち居振る舞いをしていくかと。それから全国知事会も戦略会議というものを作ってそこで議論しようということもありますし、いろいろな新しい今までにないルート、チャンネルが開かれてくるのではないかと思っております。

記者 ヘリ事故についてお伺いしたいのですけれども、今回警察と県の防災ヘリの役割分担がクローズアップされていますが、知事の今の認識として、県警の航空隊と県の防災ヘリのそれぞれの役割についてどのように認識されておられますか。
知事

今の、マニュアルも含めたルールの中で言いますと、特にそこは厳密に規定されていない中で、むしろ現場の、大変残念なことに亡くなられた朝倉操縦士は平成9年の当初からこの若鮎IIを操縦しておられるわけですし、その前は自衛隊でもやっておられたわけですし、それぞれベテラン、熟練の方々がおられるわけなので、ある程度現場の判断、緊急事態が入ってくるわけですから、極力間髪を入れずというか、できるだけ早く対応しないといけないという要請の中で、現場のいろんな運用といいますか、積み上げの中で、信頼関係の中で、ある程度の役割分担というものが出来上がってきているということだろうと思っております。

ただ、まさに今回の事故がどういうことであったかということも踏まえながら、この役割分担とか、県警と防災航空センターとの協議のあり方とか、いろいろと検証し、あるいは反省してみる点があるかもしれないと思っております。

もう見ておられると思いますが、今のルールでは、この警察との連携については、必要に応じて連絡するという規定が1行あるだけです。こういうマニュアルではありますが、運用上は必ず協議をするということで、現場の信頼関係とか、日ごろのコミュニケーションの中で、お隣同士場所もあるわけですから、そういうコミュニケーションの中で対話をしながら、「こっちが行く」と、あるいは「どこをお願いしたい」というようなやりとりをしてきたと聞いておりますし、119番で入ってきても県警ヘリでお願いしたこともあると聞いております。そこはもう現場の、ある意味では専門家の判断にかなり任された部分があるのですが、そういったことについて、これからいろんなことが検証されていく中で、私どもも検証委員会で議論をしてみたいと思っております。

つまり、これは緊急対策ですから、厳密なことを詳しく書けば書くほど良いというふうにもなかなか言いにくい面もありますし、あるいは手続きを複雑にしてあれこれやっている間にそこで時間を渡過するという面もあります。それから、それぞれの操縦士なり整備士なり隊員の方々が、365日24時間の中で、どういう待機の仕方をしていくかとか、いろんな事情があり得るわけなので、そこらへんも含めておっしゃる点はこれも一つの検証のテーマだと思っております。

記者 僕がお伺いしているのは、その前提で、そもそも論として、なぜ2つの組織が存在しているのかということです。要は、組織の違いというか、今お伺いしていると結局やっていることは一緒じゃないかととれちゃうんですけれど、そもそもの組織として、どういう組織だと認識されているのですか。
知事

防災、災害、山火事とか遭難とか、そういう防災活動と、それからいわゆる警察活動とは、接点があったり一部重なる部分があることはあり得ると思いますが、同じことだと決めつけるわけにもいかないのではないかと思っております。

例えば近隣県を見てみますと、多分同じようなことだと思いますが、防災ヘリは中部9県どこの県も持っております。岐阜と愛知は2機ずつ持っております。今回私どもは1つ失ったわけですが。それから名古屋市が消防ヘリという格好で2機持っておりますし、一方県警ヘリは、1機のところも2機のところも4機のところもあります。県警ヘリもありますし、またそれとは別にドクターヘリというのがあったり、行政ヘリというのを持っているところもあるわけです。

ですからヘリコプターをいろいろな目的に応じて分けて使っていく中で、防災ヘリと県警ヘリを合わせてそれぞれに持っているというケースがむしろ通常で、問題はそこの連携とか、役割分担とか、おっしゃることに戻ってくるんだと思いますけれども、同じことだから一つにしろということにはなかなかいかないと思います。

記者 今回はちなみにどちらの作業が望ましいとお考えですか。
知事 そもそも今回の事故は何だったのかということの検証も必要ですし、それから県警と防災航空センターとの協議のやりとりの中身もきちんと確認をする必要がありますので、その上でどう考えるかということかと思いますので、これはもう少しお時間を頂きたいと思っております。
記者 厳密にいろいろ決めつけちゃうということもどうかということ、それもそうだと思いますけれども、今のマニュアルですと、必要に応じて連絡をするという一行しか書かれていないように思いますけれども、これについては。
知事 これはすでに、これを根拠にコミュニケーションをしているうちに必ず協議をするという慣行が出来上がっているということが実情のようですから、私はそうだとすれば、むしろ積極的に、必要に応じて、「必要に応じて連絡する」と書いてあるからということではなしに、もう少し実態に応じたといいますか、積極的な協議のあり方をマニュアルで考えるというのも、あるいは今回、諸々のことが検証されていく中で、検討課題になるかもしれないというような印象を持っております。まだ断定的なことは言えませんけれども。
記者 ヘリの関係で、先程、新規の購入も検討の1つに入ると仰っていましたけれども、今回墜落したヘリに保険等がかかっていたかということと、こういうような墜落事故の場合、国からお金を借りるとかそういった財源面で何か確保できそうな手段があるのでしょうか。
知事

財政的には、国の支援策は、今特に、私が少なくとも知っている限りではないと承知しております。それから保険については、本件についてはかかっておりません。

ドクターヘリの場合は、国の支援策があります。ただ防災ヘリについては私の知っている限りではそういう制度はないということです。

記者 昨日、和歌山県知事が国の直轄負担金の問題に関連して、市町村負担金を原則廃止するという方針を示されましたが、岐阜県としてはこの問題についてはどういう方針をお持ちですか。
知事

国と県との間の議論をパラレルに、県と市町村の間にも考えていくというのは原則論としてはあると思っております。おそらく和歌山県はいち早く廃止ということを先んじておっしゃったかもしれませんが、ただ少なくとも新聞記事による限りは、具体的なところはむしろこれから詰めていくというお話で拝見しましたけれども、私どもも国の直轄事業負担金がどう使われているかという問題とあわせて、県の事業について市町村の負担をどう考えるかということについても実は市町村とも議論を始めておりますし、実態についても議論をしておりますので、パラレルに議論をして答えを出していくべきではないかと思っております。仮に民主党が書いておられますように、直轄事業負担金を廃止するということになりますと、それを踏まえた県と市町村との関係も考えなければいけないと思っております。

ただこれはけっこう市町村によっても事情があったり、負担率も案件といいますか、道路河川いろいろありますし、ちょっと複雑になっておりますので、そういう制度論もきちんとやらなければいけないと思っております。それから負担金がなくなる分だけ自動的に事業量が減るということではむしろ困るとおっしゃる方もおられます。昔はこの負担金も出すから合わせ技でこれだけの事業をやろうじゃないかという側面もあったわけなので、そこらへんもどう考えるかとか、いろんな角度から考えないといけないと思います。

考え方としては国と県の関係、県と市町村の関係、基本的にはパラレルにあるということだと思っておりまして、このへんを和歌山県知事さんはさらに踏み込んでおっしゃったのだと理解しております。これについては、私ども各論をきちんとやらなければいけないと思っております。

記者 和歌山県知事は来年度、2010年度からということですが、特に今協議をされているということで、結論については来年度予算に間に合うようにということをお考えでしょうか。
知事 もうちょっと国との議論のバランスも見ていきますので、新しい政権でこの直轄事業の負担金の問題がどういうことになって、来年度予算にどう反映されるのかされないのか、今日の時点で断定的なことはちょっとまだ申し上げかねます。しかし、考え方の方向は基本的に同じ方向を向いていると思っております。
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