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知事記者会見(平成21年9月1日)

記事ID:0000090 2015年9月10日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

平成21年9月1日(火曜日)午後3時

知事

私の方から2点ご報告させていただきます。1つはお手元に資料がございますけれども、暦年の平成20年の岐阜県の観光レクリエーション動態調査がまとまりましたので、お届けしております。これは毎年、県で調査を実行しておりますけれども、トータルとしては、1年前に比べまして2.7%の増加ということで、54,292千人の観光客数があったということでございます。

このところ愛知万博以来、基本的には5千万人を超える数で、右肩上がりということでございます。私どもとしては、主たる要因は昨年7月に東海北陸自動車道が開通したこと、食と温泉をテーマにした、いわゆる「飛騨美濃じまんキャンペーン」を積極的に展開したこと等々が挙げられるのではないかと思っております。

資料の中にありますが、特にお客さんの多いところを挙げますと、土岐のプレミアム・アウトレットが431万人、河川環境楽園が417万人、高山地域が272万人ということで、これらの順位はあまり変わっておりませんが、ベスト10内の変動を見ますと、東海北陸自動車道全通効果によって、前年9位の白川郷合掌造り集落が、前年比3割以上の増加ということで7位に上昇しているということが特徴的でございます。ただ、他方で、宿泊客数が3.5%の減、観光消費額もこの宿泊客の減によって1.4%減ということでございまして、更なる誘客活動が必要だと思っております。

全体として見ますと、日帰り客が9割以上ということでありますし、県外客のお客さんが44%、県外客の7割が東海地方からということでございますし、自動車利用のお客さんが77.5%ということで、東海地方からの自動車利用の観光客がお越しになるというのがわが県の特性でございます。そういった実績を踏まえて、今後引き続き観光キャンペーン、それから海外からの誘客にも力を入れていきたいと思っております。

外国人の宿泊客数ですが、21.3%という大幅増となりまして、過去最高を記録したということです。これもいろいろな努力が少しずつ現われてきているのかということでございますが、そんなところが今回の統計の特徴でございます。

それから、続きましてもう1つはまちづくりの支援ということをずっとやってきておりまして、ちょっと整理をさせていただきました。部局横断的に県庁の若手職員による7、8人のチームを随時、まちづくりの拠点となる所に派遣して、いろいろなアドバイスやら、ビジョンづくり、計画づくり、あるいは様々な支援策の投入といったことをやってきております。

お手元の資料の別紙1に写真集がございますが、この「まちづくり支援チーム」の派遣、あるいは「岐阜の宝もの」、「飛騨美濃じまん運動」といったことで、いくつか進んでいる例がここに挙げられております。

谷汲の門前町ですが、モニュメント、道標を県道の周景ということで設置してきておりまして、例えば従来からの赤いホースの格納庫を灯ろう風のモニュメントに変えたものの写真がここに載っております。あるいはその下の門前の参道の店舗でございますが、門前に相応しい景観に改修するというようなことをやっております。

次のページの飛騨市宮川の種蔵ですが、ここは高齢化率60%で、12戸27人が住んでおられる、いわば限界集落でございますが、この27人の方が地域づくりに努力しておられます。ここにありますように宿泊施設をオープンさせたり、この地域ならではの体験イベント、食、そういったものを組み合わせたりということで、大変賑わっているということでございます。

それから、次が御嵩町の御嶽宿でありますが、名鉄の御嵩駅舎自身、このように改修をしたり、宿場町に相応しい交流拠点の整備をしたりということで、「犬矢来(いぬやらい)」と言って、一種の垣根で、犬猫除けということですが、こういう昔ながらのものを整備したりということをやっております。

それから、去年の「岐阜の宝もの」の小坂の滝めぐりですけれども、遊歩道の整備、林道のガードレールの整備、PR冊子の整備などを行っておりまして、今年はトイレ、歩道整備をさらにやろうということでございます。

それから、次のページが岐阜市の川原町です。先だって中部圏知事会議を開き、名古屋市の河村市長もお出でになりました。この町並みを散歩していただきましたけれども、非常に好評でございまして、「名古屋に近い所にこんなええ所があるとは思わなんだ」と河村市長もえらく評価しておられました。川原町はこういった町並みの整備が進んできておりまして、かなり完成度の高い町並みになったのではないかと思っております。

それから、1番下が中山道の統一標識ですが、これから順次、県内17の旧宿場全てに整備していくということでやってきております。

昨年は「明日の宝物」ということで、馬籠、赤坂宿などが選ばれたわけでありますが、今年8月22日には今年の「じまんの原石」ということで、鵜沼、加納、河渡、美江寺、太田、伏見、御嶽といったところも選ばれてきておりまして、これから中山道全体の集客とか景観整備とか、そういったことを磨いていくということで、案内板、休憩所、町並みの統一、いろいろな意味で県内沿線各地を挙げて努力をしていきたいというふうに思っております。こういった「まちづくり支援チーム」の派遣ですとか、「岐阜の宝もの」支援といったようなことを通じて、その地域の意欲やら意識の高まりを期待しているわけでございます。

お配りしたページの1、2ページにもう少し具体的な成果が書き入れてありますし、3ページにいろいろな財政支援策が書いてございますが、いろいろな支援をしながら進めていきたいというふうに思っております。

ぜひ皆様方にもお出かけいただいて、地域ぐるみのいろいろな努力をご評価いただけるとありがたいなと思っております。私の方からはそんなところでございます。

記者 資料以外の質問で恐縮ですが、衆議院選挙が行われまして、民主党が308議席、大躍進する結果となりました。県内でも民主党の議員が小選挙区、比例での復活も含めて7人、大量の議員が出ました。自民は4人に留まったのですが、今回の結果についての知事のお考えと、新政権となる民主党は09年度の補正予算の一部の執行停止とか、マニフェストには暫定税率の廃止とか、導水路事業を含むかどうかはまだ分かりませんけれども大型公共事業の見直しとか、いろいろなことを掲げて、今後の地方行政に影響を及ぼすのではないかという指摘もあるのですが、この点について知事のお考えをお聞かせ下さい。
知事

今回の総選挙、国民の皆さんのお考えがかなり明確な形で出たのではないかと思いますけれども、何と言っても、一種の閉塞感とか、現在あるいは先行きへの不安感とか、いろいろな問題の蓄積でありますとか、そういう中から変化への期待というものが国民の皆さんの中に根強くあったのではないかということを改めて強く感じるわけでございます。

そういうことが、よく候補者の方々が、風、風圧とか、人によっては暴風とか突風とか仰っておられますが、そういう国民の皆さんの思いが一つの大きな流れとなったのではないかと思っております。また、1選挙区に1人の当選者という小選挙区制、もちろん比例復活という道もあるわけですけれども、基本的に小選挙区制というのはどうしても結果が一方に大きく振れやすいわけですので、この大きな国民の皆さんの思いの流れと、この小選挙区制という制度があいまって、今回のような大きな変化が結果に表れたのではないかと思っております。

マスコミの方々はいち早くかなりの頻度で、この選挙の見通し、世論調査を報じておられまして、最初初めて伺った頃には、そこまで極端に振れるものかどうかということを感じながら、私ども注意深く皆さんの報道を読ませていただいておりましたけれども、最終的にはまさにそういう方向に、大きく国民の審判が下ったということでありますので、これを厳粛に受け止めて、ここからまたどういうふうに国政、それから地方の行政を進めていくのかということを真剣に考えていかなければいけないと思っております。

選挙直後の各党の方々のいろいろな感想などを報道で伺っておりますと、各党ともやはり「政治は地方から」とおっしゃっておられます。今回、大量の議席を獲得した民主党も地方に対する民主党の思いを仰っておられますし、また自民党、公明党も立て直しを地方からきっちりやらなければいけないと仰っておられまして、この地方というものを政治的にどういうふうに取り組んでいくかということが、引き続き大きな課題になるのではないかというふうに思っております。

それから、民主党政権になりまして、そもそもこれから民主党政権がどういうフォーメーションで作られていくのか、ということでございます。まさに政権の組み立て方について、今、党派を超えて協議が始まろうとしておりますし、選挙戦の最中から、国家戦略局あるいは行政刷新会議を設けて、官主導から政治主導の政策決定システムにしていくというようなことも言われておりましたので、今後の政府与党のフォーメーション、あるいは政策決定、意思決定の仕組みといったことも根底から変わっていくのではないかと思っておりまして、そういうものがどのように変わっていくのかということについても良く見届けながら、地方としてもこれに関わっていくということではないかと思っております。

とりわけマニフェストの中で、民主党も国と地方との協議の場を法制化するということをはっきりおっしゃっておられましたので、国と地方との協議のあり方とか、国の政策決定の中に地方が法律に基づいてどのように関わっていくのかとか、地方としてはどういう体制で国との協議に臨んでいくのかなど、いろいろな面で国と地方との関わり一つとっても、システムがこれから変わっていく中にありますので、私どもとしても地方サイドは地方サイドとして、どういうフォーメーションを組んで新しい政権と向き合っていくのかということを考えていきたいと思います。

また、新しい政権が作られていくプロセスそのものの中に、地方の声がどういう形で反映できるか、反映すべきかといったことも、今からいろいろ考えておく必要があるのではないかと思っております。

それから、岐阜県について申し上げますと、おっしゃったとおり、衆議院議員の方が6人から11人に数の上でも大幅に増えたわけですし、それから民主党1人、自民党5人という体制が、民主党7人、自民党4人となったわけでありますし、そういう意味で国会議員の数、構成も変わって参りました。

何人かの方々が今日も当選証書の受け取りの傍ら、私のところにも寄っていただきましたが、引き続き国会議員になられた方々と私ども県との意思疎通については十分配慮していきたいと思っております。政策面での意見交換や、あるいは地域の実情について、よりご理解をいただくための協議の場ですとか、参議院の先生も民主党、自民党それぞれ2人ずつおられますので、そういう国会議員の先生方と県政とのコミュニケーション、意思疎通というものを従来以上に心配りをしていく必要があるということを改めて感じているところでございます。

いずれにしましても岐阜県から選出されまして、岐阜県という所に足場を置いて国政で活躍いただける方の数が増えたわけですし、フレッシュな方も増えたわけですので、そういった方々にしっかりと岐阜県に足場を置いて大いに活躍いただきたいと思っております。また、今回選ばれた方の中には、既に地方行政あるいは地方政治に深くかかわってこられた方もおられますので、そういった意味でも地方分権、岐阜県という地域の発展のために十分目配りをお願いしたいと思っております。

いくつか個別の政策課題、例えば、暫定税率の引き下げ、直轄事業負担金の問題、高速道路無料化、子ども手当など、マニフェストの中でいろいろな政策が出されてきておりますし、また、一連のプロセスの中でこの15兆円を超える補正予算の見直しという話も出てきておりましたが、こういった個々の政策がこれから政権の形ができ、政策を議論していく流れの中でどういうふうに議論が進められていくのか、また、そのプロセスの中で地方としてどのように意見を述べていくのか早急に考えていかなければならないことだと思います。

個々の政策について私の立場からコメントすることは時間の問題もあって控えますが、むしろそういうプロセスに入っていくことは十分意識しておりますので、まさに国と地方の協議の場というものも、そういったことを議論する大事な場だと思います。

それから、県政という立場からしますと、やはり何といっても景気、経済情勢というもの、あるいは雇用情勢というものについて大変懸念される状態が続いているわけですし、特に雇用の問題についてはこれからが正念場です。

そんな中で、国の補正予算が国会を通過し、それを踏まえて国とも協議をしながら、この6月議会に1,021億円という規模の補正予算を出させていただいて、それ以外にも地域医療のネットワークづくりとか、いろいろな個別プロジェクトについて国と調整をしてきておりまして、私どもとしてはこうした目下の景気状況、経済状況、雇用状況からみて、この補正予算を早急に意味のある形で実行していきたいと思っております。

そういう中で、この補正予算を一時凍結と言った議論も聞こえてきますけれども、この点については是非慎重に、これは岐阜県のみならず全国的に厳しい経済情勢は同様だと思いますので、是非慎重に議論いただきたいと思います。

記者 それに関連して、岐阜県もかなり財政難ですので、行財政改革を考えていらっしゃるところですが、来年度予算編成について民主党がどのように予算を配分してくるのか、かなり不安という声も幹部の方から聞きますが、そういう点についてはどうでしょうか。
知事

前回も質問に出ましたが、私どもは行財政改革を平成24年度末までに一定の目途をつけたいという思いでやらせていただいております。公共事業の位置付けとか暫定税率、道路予算の有り様がどうなるのか、子育ての手当などを国の仕事として国がおやりになるのか地方にも一定の負担が求められるのか。それから、交付税の総額について討論会では基本的には減額するようなことはおっしゃっておられませんでしたが、総額がどうなるかとか、補助金から一括交付金へといった議論もマニフェストにありますし、障害者自立支援制度、あるいは後期高齢者医療制度の見直しというか、むしろ廃止に近いような議論もありますし、いろいろなところで枠組みが変わってきますので、この全体像を見たうえで、全体として岐阜県の財政にどう影響してくるのか、どのように我々の行財政改革と新しい政権の政策とがかみ合っていくのかということを見極める必要があります。

正直申し上げて、9月議会にある程度の行財政改革の方針を出したいと思っておりますが、この新政権の政策の枠組みがどういうテンポで進んでいくのか、ちょっといろいろな意味で留保、条件付きのようなものにならざるを得ないなと思っております。

そういう意味で、不安という言葉がいいかどうかわかりませんが、やはり、特に財政というのは県にとっても国にとっても基礎を成すところですので、基本的な所を見極めたものでないと確かなものを打ち出して行けないものですから、これから1、2か月、どのように議論が進んでいくのかよく注意をしながら、かつ、地方の立場は立場としてはっきり申し上げていかないといけないのではないかと考えております。

記者 木曽川水系連絡導水路計画について、小選挙区で当選された方の中には見直した方がいいんじゃないかという意見の方もいらっしゃいますが、改めて知事のお考えをお聞かせください。
知事

この導水路計画は基本的には国家プロジェクトでありまして、国がまず行うプロジェクトとしてかなりの財政負担をするわけです。それに対して一定の応分の負担を三県一市で担っていくということでありまして、岐阜県の場合には長良川の水環境の改善、それから東濃・可茂地域の渇水対策という観点から、私どもとしては意義のあるプロジェクトであるとして3.3%負担をするということで参加をしているということであります。

これまで手順を踏んで、かつ国の基本計画にもきっちり載せられて進んできたわけでございまして、そういう中で名古屋市長さんが代わられて、その意義についてもう少し検討してみたいということで検討が始まっている状況です。したがって岐阜県としての考えは特に今、変わることはありませんし、岐阜県の考えは考えとして申し上げていきたいと思っております。

私どもは3.3%パートナーで、国も含めてその他のパートナーがどのようにお考えになるかということで物事は決まっていくわけですし、特に国家プロジェクトですから、まさに国がこのプロジェクトをどう評価するかということがかなり大きく関わってくると思います。

ただ問題は、これまで相当時間をかけて議論を積み重ねて、そしてまた、各県市の負担割合も含めてあるいは関係の地域の説明も含めてやってきているわけですから、どういう議論をするにせよ、何がどうなんだと、単純に是か非かということではなしに、どこがどうだからどうするんだというようなことを、仮に今の計画を変更するようなことがあるのであれば、そういったことをきちんと議論していく必要があるのではないかと思います。岐阜県としては従来と考え方は変わりませんし、そういうことは申し上げていきたいと思っております。

記者 今のことに関連して、県としての導水路計画に対する考え方は変わらないということですが、引き続き国の方には是非やってほしい、必要な事業だということを訴えていかれるのだという理解でよろしいですか。
知事

引き続きというか、既に国の計画に載っているものです。法手続きに則って計画ができて、負担割合も出来ているわけですから、私はこのまま進めばいいと思っていますが、仮にもしそれを変えようと、変える必要があるという議論があるとすれば、どこがどういうことで変えていくのかということについてきちっとした議論をしていただきたいなと思っております。

それから、さきほど候補者の中に導水路計画に対して見直しという意見を言われるということですが、直接聞いたわけではありませんが、ニュースで報道されているその候補者のご意見を見ますと、同じ政党の候補者として当選された方々でも、どの地域から出られているかということによるかもしれませんが、導水路計画については意見が分かれているようでございますし、それぞれいろいろな意見があろうかと思いますから、よく議論を尽くしていただく必要があるのではないかと思います。

民主党のマニフェストには特定のダムとか特定のプロジェクトの指摘はありましたが、この導水路については特に触れられておりませんし、岐阜県選出の民主党の議員のお考えも人によって異なっているようですし、どういうふうに議論をされるのか見守っていきたいと思います。私どもの主張は繰り返し申し上げておりますが、明らかだと思います。

記者 岐阜県は保守王国と言われて、これまで自民党が強いところで、大臣も二人でておりました。今度民主党政権になって新しく国会議員になられた7人のうち、園田さん以外は新人候補で、いわゆる国とのパイプという面で不安というのはないのでしょうか。
知事

今回、選ばれた方々の顔ぶれが、かなりドラスティックに変わったわけですし、政権も代わるわけです。新しい政権として、一方でかなり詳細なマニフェスト論議を今回の選挙はやってきたわけですが、マニフェストに掲げたことについてどういうフォーメーションでどのような手順で意思決定をしていくか、あるいは政権運営をどうやっていくのかということはこれから始まることですから、岐阜県に限らず多くの選ばれた議員さんがそういう中で、国政の場でいろいろと意見もおっしゃっていかれるでしょうし、参画していかれるでしょうから、私どもとしては先ほども申し上げましたとおり、岐阜県に足場を置いて大いに発言をし、大いに活躍をしていただきたいと思っております。

たまたま私自身は、細川内閣から羽田内閣に代わるとき、それから64日間の羽田内閣を経て今度は村山内閣に代わって、自民党、社民党、さきがけという、当時誰も想定したことのない組み合わせの中で新しい政権が出来て、特に社民党が、55年体制の中で主張してきた根幹となる政策方針、日米安保、自衛隊、日の丸・君が代について大転換をするという渦中におりました。

当時の政府の構成の急速な変化と政策の急展開、顔ぶれの大きな変化、そういう中でいろいろな方々が悩みながら、日本という国をどういうふうに持っていくかということで、苦労しておられるその近くにずっとおりましたものですから、当時のことも思い出しながら眺めておるわけですけれども、今回は総選挙をやって、議席がドラスティックに変わってその結果としての政権交代です。

前回は総選挙をやってということではなく、政党の組み合わせが代わることによって政権が大きく変わり、政策が大きく変わったということで、そういう意味で変化の大きさ、激しさは今回のほうが前回よりも大きいわけで、かつての私自身の経験を思い出しながら、またさらにもっと大きなこの激動の中で、私自身もこれから国に対してどういうふうにものを言っていくか、それから知事会の中でどういう役割を果たしていくか、あるいは県関係の国会議員の先生にどんなことを期待していくか、いろいろとこれからじっくりよく考えながらやっていきたいと思っております。

しかし、日本の置かれている課題、今のこの大きな不況をどう乗り越えていくかとか、日本の競争力をどう再度高めていくかとか、国際的な地位をどうさらに高めていくかとか、こうした課題についてはそう大きな違いはないと思いますので、よく見極めながら自分の立ち位置も考えていきたいと思っております。

記者 公共事業の関係ですが、岐阜県では東海環状自動車道の西回りですとか、東海北陸自動車道の4車線化ですとか、大きな事業がまだ残されている状況で、その見直しを掲げた民主党が政権をとったということで、岐阜県を預かる立場として、どうなるんだという先行きが不安ということはありませんでしょうか。
知事

4車線化というのも、自民党だけではなく民主党の議員さんも入った超党派の議員で構成する「国幹会議」という国の幹線道路をどうするかという会議がありまして、そこで先般、この経済危機対策の一環としても位置付けて、早急に4車線化をすると、必要な金額はかくかくしかじかということで通っております。これは超党派でお決めになったことですから当然やっていただけるものというふうに私は思っております。

それから、公共事業予算、道路予算がどうなるかですが、これは暫定税率がどうなるか、それから暫定税率を仮に廃止をすると代替財源をどう考えるのかとか、直轄事業負担金を廃止と言っておられますが、これを廃止された分に関わるその予算はどういうふうな位置づけになるのかとか、いろんな要素があります。

それから、道路財源の一般財源化は福田内閣のときにやっておりますけれども、具体的な道路需要とそれ以外の政策目的と、どういうふうに財源をどう割り振っていくかとか、いろいろな議論があると思います。国も財政的に厳しい状況にあると思いますし、地方も大変厳しい状況にありますから、いずれにしても優先度をつけて、無駄なものは無駄なものとして削りスリムにしていく、あるいは優先度の高いものからやっていくという、そういうメリハリのある政策をお互いにやっていくしかありませんので、そういう中でどこにどうメリハリをつけていくかということについて、率直に議論をしていきたいと思っております。

記者 導水路の負担の関係で、「3.3パーセントパートナー」であるとか、これまでの導水路に対するスタンスから若干、一歩引かれたような印象を受けたのですが。
知事

もしそういうニュアンスに受け取られたのであれば訂正いたしますが、岐阜県のポジションは変わっていない、ということを申し上げております。私が申し上げているのは、法律に基づいて手続きを踏んで、国の計画に書かれて費用負担も書いて、今環境アセスメントをきちんとやっているという状態でして、ずっと長いこと時間をかけて手順を踏んでやってきているわけですし、それからもっと遡れば徳山ダムの水の利水権というものについて愛知県はどれだけとる、名古屋市はどれだけとる、岐阜県はどうする、というところからずっと積み上げてきているわけなので、そういう意味ではどこをどう見直そうとおっしゃるのかよくわからないということであります。

ですから、先程から申し上げていますので、もしこれをいじるとするなら、どこにどういう問題があって、これまでの積み上げてきたプロセスも含めてどういう問題があるからどうするんだ、ということをやはりまず明らかにしてもらわないとわかりにくい話ですね、ということを申し上げているわけです。ただ、これは国家プロジェクトですから、国がまずどうするか、政権が代わって新しい政権の中で国の政策の中でどう位置づけられるかということがこれから始まるわけで、そういう意味でこれは国家プロジェクトですよということを申し上げているわけです。

岐阜県としてはあくまでも渇水対策として、特に東濃・可茂地域の方々から、それから長良川の沿線の方々から水環境の維持としてぜひ欲しいという要望はすでに出ておりますから、そういう意味では、要望も出しつくして積み上げて、しかも法律に則って手続きも踏んであるものを今、もしどなたかがこれを壊そうとおっしゃるのであれば、その壊すだけのものをきちんと言っていただかないとわかりにくい話ですねということを申し上げているわけで、決して腰が引けているつもりはありません。

ただ岐阜県の立場というのは3.3パーセント、つまり岐阜県の応分の負担というのは3・3パーセントなので、その負担はきちんとやりますと、ただそれ以上の負担はいたしませんと、いうこともずっとこのかた言ってきているわけで全く変わっておりません。印象が変わったとすれば言葉のあやかもしれませんけども、全く変わっておりませんので、そこは誤解のないようにお願いしたいと思います。

記者 国政が民主党になって、ただ県議会では当然自民党の大派が多数というねじれが生じているわけなのですが、そのあたり運営していくにあたって、難しさとか、そういったところは生じてくるわけではないでしょうか。
知事

これは、少なくともこれまで私自身4年半の県政をやらせていただく中で、予算案を出し、条例案を出し、様々なご提案をしていく中で、まさに皆さんの生活の中で生じるいろいろな課題、テーマについてどう答えを出していくか、政策を展開していくかということについて、出来る限りコンセンサスを求めてやっていくということで進めて参りました。

これまでのところ、特に議会において、A党とB党とで評決が、特に民主党、自民党の間で票が分かれたということは私の記憶に間違いがなければ一度もないわけなので、あくまで県民生活に密着した県政をしていくということについては、議会の議員の皆さん方も含めてコンセンサスをしっかり得ながらご提案をしていくということができておりますので、これまでのやり方を特に変えるつもりもありませんし、これまで通り県議会の皆様にもそういった県民生活本位のいろいろな政策論議を率直にやらせていただいて、最善の答えを皆で合意をして出して進めていくということで、出来るのではないかと思っております。

ただ、先程から皆様方が言っておられるような国の予算の枠組みとか、政策の優先度とかメリハリとか、いろいろなことが変わってくるとしますと、これについて私ども自身も考え方の整理をして意見を申し上げないといけません。しかしその中でも議会の皆さんにはあくまで県民生活、岐阜県にとって岐阜県民の皆様にとって何が、どういう形がベストかということを率直にご相談させていただいて、あくまでコンセンサスを大事にしながらやっていきたいという思いでおります。

記者 民主党政権が誕生するということで、県として民主党のマニフェストとか検証とか、検証チームを改めて作って、どう対応するか考えていく、そういう行動を起こすおつもりはありますか。
知事 特別そういうチームを作っているわけではないのですけれども、マニフェストが出て以降、一方で行財政改革の検討を進め、他方で各党のマニフェストが県の財政なり政策なりにどういう影響を及ぼしていくのかいうことについての検討は、並行してやっております。もうすでにいろいろな議論はしておりますので、これから何か改めて事を起こすというか、チームを作るということは考えておりませんで、すでに相当議論はやってきております。
記者 この議論について何か公表するというお考えはありますか。
知事

マニフェストに書いてあること自身が総論的な部分もあれば、ここから先どうなるのだろうかという部分もあるということで、ある程度想定をしながら作業をするということになるわけでして、むしろこれは知事会を通じて、あるいは私自身も上京する機会を通じて政府、政権党とも議論をしていくための素材というか材料というわけですから、議論をしながらいいところに収まっていけばと思っております。

何か特別にまとめて発表してどうこうというよりは、おそらく新しい政権もありとあらゆることがすでに決め打ちになっているということはないわけなので、まさに先程申し上げましたように地方というものをよく見極めようというのは皆さんもお考えですし、それから特に民主党は地域主権という言葉を使っておられますので、私自身はその地方の財政云々とかいった政策決定の中、新しい政権の政策決定の中に、地域主権的な手法がどのように加味されていくのか、これも1つの関心を持って見守りたいところであります。地域主権ということをおっしゃる以上は地域の声に耳を傾けていながらですね、一つ一つの政策を組み立てていっていただきたいなと、こういうふうに思っております。