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知事記者会見(平成24年4月17日)

記事ID:0008751 2015年9月11日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

平成24年4月17日(火曜日)午後3時00分

知事

いくつかご報告がございます。まず少し国体に関連することで、いくつかご報告したいと思います。1つは、お手元に資料をお配りしておりますけれども、「清流こよみぶね」の製作のワークショップということで、開会式まであと165日でございますが、このこよみぶねというものを、いわば開会式・閉会式の1つのシンボリックなものとして活用していきたいと。

これは日比野克彦さんが、総合プロデューサーということでやっていただいているのですが、かねてから、毎年冬至の日に長良川に、1から12まで、「こよみのよぶね」と言っておりますけれども、いわば船に大きな行灯を乗せたようなものなのですが、数字を浮かべて、過去から未来へということで色々な思いを語りかけるということで、先般「3・11」の時にも、岐阜の長良川河畔と岩手県の大槌町とで、同様のことをまたやったわけであります。

これを岐阜県の1つの、ぎふ清流国体のシンボリックなものとしてという面もございますし、また、東日本大震災復興支援のシンボルという意味でもこれを活かしていきたいということで、県民の皆さんに手作りで、この巨大な行灯を1から12まで12基作っていただくということで、県内12箇所それぞれ、ワークショップということでスタートいたします。今週4月19日(木曜日)から7月にかけましてやっていこうということでありまして、4月19日(木曜日)は揖斐川会場と多治見会場でございますけれども、私自身、揖斐川会場に行って少しお手伝いをしようかと思っております。

どなたにもご参加いただけるということで、既に募集はしておりますけれども、当日の飛び入り参加も可能ということであります。竹組を作って美濃和紙を貼って、それから船体の装飾の布の編み込みをするというような作業でありますけれども、お子さん方から高齢者の方まで、色々と参加をしていただこうということで考えております。また、日比野克彦さん自身も、いくつかのワークショップにご本人も直接おいでになって参加されるということでございます。

手作り、それから県民総参加、そしてまた岐阜のシンボルであり、また東北への思いというようなことで、やらせていただこうということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

それから次が、ぎふ清流大会の入賞者メダルということでして、こちらに現物がございます。(メダルを手にしつつ)こういうものなのですけれども、金・銀・銅とありますが、これは障がい者のぎふ清流大会の1位・2位・3位とメダルをお出しすることにしておりますが、デザイン、製品が決まりましたので、今日これをお持ちしております。これをお回しいたしますけれども、枠が木なのです。中が金・銀・銅の金属でして、真ちゅうなのですけれども、木と金属を組み合わせたメダルということで、岐阜らしい、木の国・山の国の岐阜らしさということと、ただし技術的には結構難しいそうでして、これを、公募されたデザインの中から選んで、かつ工夫をしていただいて作ったということであります。これをお回ししますから、ご覧いただいたらいいと思います。幹事社さんのほうからお回しいたします。

清流をイメージした背景に、岐阜県の「g」の字を、ダイナミックに躍動する人の姿のように模して作られたものでありまして、関市の平田木工所という木工業者さんと、県の生活技術研究所が色々工夫をして、湿気や乾燥によって、何と言うのでしょう、形が変化する木と、それから金属を組み合わせたということでありまして、これも岐阜らしいメダルとして作らせていただいたということであります。

それから3番目が、岐阜県行幸啓本部についてですが、本日付けで「岐阜県行幸啓本部」を作らせていただきました。昨年の山口県、一昨年の千葉県もそうでありますけれども、多くの皇室のお出ましが通例でございまして、期間中はほぼ毎日のように、いずれかの皇室の方々が県内にお出ましになられていたようでございまして、県として謹んでお迎えするための体制として、全庁的な行幸啓本部を作らせていただいたということでございます。万全の体制で臨みたいと思っておりますが、皇室としては恐らく最大規模のお出ましということでございますので、宮内庁とも協議をしながら、きちんとやっていきたいと思っております。

具体的にどなたがいつ、どんなふうにお出ましになるかということは、まだ今、協議中でございますので、決まり次第公表させていただきたいというふうに思っております。

ちなみに山口国体の時には、天皇皇后両陛下、皇太子殿下、それから秋篠宮同妃両殿下、常陸宮同妃両殿下、寛仁親王家の彬子女王殿下、瑶子女王殿下、それから高円宮妃殿下並びに典子女王殿下と、それぞれ県内をお周りになっておられました。

それから資料はお配りしておりませんが、国体の総合開会式の出演アーティストとして、まだ先程お返事が届いたばかりでございますけれども、ぎふ清流国体の総合開会式に由紀さおりさんがご出演いただけるということでございます。ご案内のように、日本を代表する歌手でもあられますが、近年は国際的にも、特に1969年の、当時の色々なヒット曲を、ご自身の歌も含めて、「夜明けのスキャット」も含めて歌っておられるアルバムが世界的な大ヒットになっておりまして、昨年大ブレイクされたわけでございます。日本レコード大賞「企画賞」、毎日芸術賞、芸術選奨文部科学大臣賞、つい先頃は岩谷時子賞と、次々と、この「1969」というアルバムを中心とした活躍で賞を獲っておられます。

同時に由紀さんは、チャリティーコンサート等を通じて、東日本大震災で大きな被害を受けた方々への支援活動を積極的にやっておられまして、そういった意味でも、東日本大震災復興支援、日本再生を願うぎふ清流国体の趣旨にも適うのではないかということで、お願いをしております。具体的に、どういう場面でどのようなパフォーマンスをしていただくかということは、これからまた詰めていきますが、是非、岐阜県の、国体の役に立ちたいということで、ご快諾いただいたということでございます。

それからもう1つ、お配りしておりませんけれども、明日第1回を開くのですが、ぎふ清流国体・ぎふ清流大会の式典懇談会というものを新たに設けることにいたしました。もしよろしければ、メンバーは別途お配りしますけれども、開会式・閉会式、それから炬火リレーといったようなセレモニー的な部分について、各界の、ご経験なり色々なお考えを持っておられる方々から、具体的なご意見をいただいて、これを開会式・閉会式あるいは炬火リレーの中に活かしていこうということでございまして、いわば諮問機関と申しますか、ご助言をいただく、そういう懇談会でございます。

メンバーとしては7名でございまして、1人が、これは地歌舞伎ですね、相生座の館長をやっておられます小栗幸江さん、それから美濃陶芸協会名誉会長の加藤幸兵衛さん、岐阜県体育協会会長の田口義嘉壽さん、それから岐阜大学副学長の林正子さん、岐阜県美術館館長の古川秀昭さん、それから岐阜県障害者スポーツ協会会長の松井逸朗さん、そして、ぎふ清流国体・ぎふ清流大会応援スーパーリーダーの、オリンピックに出られました勅使川原郁恵さんと、この7人の方に、これから何回かご参集いただいて、式典の細部にわたって色々とご議論いただき、またアイディアもいただこうということでございます。

そういったご意見を踏まえまして、最終的には県の実行委員会のほうで決定するわけでございますが、その前段階の色々なアイディアなり、お考えを率直にいただこうということで、第1回が、明日4月18日、県庁で開催する予定にいたしております。

それから次に、国体にも若干関連するのですが、お手元にロンドンオリンピックの男女ホッケー予選大会のお知らせという資料をお配りしております。この大会は、ロンドンオリンピックのオリンピック最終予選としての国際大会でございまして、男女それぞれ6カ国が参加をして、そのうちの1位のチームだけがオリンピックに出られると。

既に男子も女子も(12カ国中)11カ国、出場は決定しておりまして、残りの1カ国をこの予選大会の勝者ということで、日本は男子も女子もこれに出場するわけでして、私どもとしましては、男女アベックでオリンピックに出ていただきたいということで、大いに応援したいところでございます。特にホッケー、岐阜県はホッケー王国でございますので、岐阜県ゆかりの方々が大勢この日本チームの中に入っておられるわけでございます。

女子は既に2大会連続でオリンピックに出ておりまして、ここで出れば3回連続ということになりますし、男子はかつて戦前に銀メダルを獲ったことがあるのですけれども、このところしばらく出ておりませんものですから。実は北京オリンピックの時も、各務原市で男子だけ予選大会を同じように開催したのですが、惜しくも2位でオリンピックに行かれませんでして、その時1位のドイツが何とオリンピックで金メダルを獲ったのですね。ということでございまして、若干組み合わせの不運というものがあったわけでございます。

私どもとしては応援にも行きたいと思いますし、私自身、この大会を岐阜で開催することにつきまして、招致活動の段階から、私の文書をお出ししたり、色々とお手伝いもしておりましたし、日本ホッケー協会、それから岐阜県ホッケー協会、それぞれ熱心に誘致をされた結果でございます。

それから、各務原市の岐阜県グリーンスタジアムというこのホッケー場は、まさに国際規格で第1級のものだということで大変高い評価をいただいておりますので、積極的にこういう大会をやっていただいて、併せて、多くの選手に岐阜県の魅力を知っていただこうということでございます。

ちなみに各務原市の試算によりますと、前回の北京(オリンピック)の男子の予選大会だけで、3億8千万円の地元への経済効果があったという計算をしておられまして、今回男女で併せてやりますので、更に高い経済効果を、地元としては期待しておられるということでございます。
そしてまたここでオリンピックに行って活躍された方々が、今度は岐阜のチームの選手として秋のぎふ清流国体で活躍いただくと、そういうストーリーになっていけば、非常によろしいわけでございます。特に女子は、出場国中、世界ランキングはトップでございますので大いに有望ですし、男子が南アフリカに次いで2番目でございまして、頑張れば出られるのではないかと、こんなことで期待しているわけでございます。
以上、国体絡みと申しますか、スポーツ関係でございます。

それからもう1つは、東日本産の農畜水産物の放射性物質の検査ということであります。ご案内のようにこの4月から、国による食品中の放射性物質の基準値が厳しくなりましたので、これを踏まえまして、出荷段階で当然チェックはされるわけでございますが、いわば県民の不安を払拭すると申しますか、そういうことで、岐阜県独自で、ダブルチェックという格好で検査をしようということでございまして、4月24日(火曜日)から開始できる見通しとなったということでございます。

対象食品は、県内に流通する東日本産の農畜水産物及びその加工品ということで、県内の地方卸売市場あるいは大手スーパーにおいて販売されるものの中から、検体を採取して検査をするということでございます。野菜類、果物類、魚介類などについてはその時期に流通しているものの中から検査をしますし、牛乳、飲料水については毎月定期的に検査をするというようなことで、各務原市にあります岐阜県保健環境研究所のゲルマニウム半導体検出器2台を用いて行うということでございます。

その結果は、県のホームページで全て翌日、原則公表するということで考えております。また、基準値を超過した場合には、食品衛生法違反ということで、直ちに発表をさせていただきまして、情報提供をしようという構えでございます。私からは以上でございます。

記者 前回に引き続いて被災地のがれきの受け入れ問題についてお伺いしたいのですけれども、知事として、一歩ずつ、1つずつ手順を踏んで進められていると理解しておりますが、市町村長の中に、知事の方針が今一つ分からないという声が上がっているのですが、知事の基本姿勢として、がれきを受け入れようと思っているのか、逆なのか、そのことをお伺いしたいのですが。
知事 方針が分からないというのはどういう意味でしょうか。
記者 要するに、受け入れようと思っているのか、それとも受け入れないと思っているのか、知事の目指す最終ゴールが見えないということなのですが。
知事

どういう意味なのかご質問がよく分かりませんけれども、まさに現地で、2,250万トンですか、これを何としても処理をしなくてはいけないということで、総理大臣も含めて、オールジャパンでどういうふうに支援ができるかということで、レターも来ておりますし、それから、岐阜県としてどういうことが可能かということを1つ1つチェックしながら、市町村と一緒に考えながら前に進んでいるところでありますから、受け入れると言ったら、すぐにもう明日からできるという性質のものではありませんので。

要は、どういう課題があるか、どういうところにネックがあるか、1つ1つ詰めていかないとこれは進みません。もちろん、岐阜県としてやれることは最大限やろうというポジションで、環境省からも話を聞きますし、それから現地への視察と申しますか、視察チームも出しますし、それから県内の各市町村あるいは民間企業の状況やキャパシティなど、色々なことを聞きながら、1つ1つ詰めていっているところなのですけれども。

そういう意味で、岐阜県としてどういうことが可能か、どこまでできるのかということを、1つ1つきちんと詰めていっているというのが現状でございます。

当面の次のステップとしましては、先般公表させていただきましたように、国に対して回答をしたわけですけれども、今朝ほど関係閣僚会議がありまして、全国からのそういう回答を集計したものについての話があったようであります。それから、昨日の「国と地方の協議の場」という、総理大臣以下の閣僚とそれから全国知事会、あるいは全国市長会、全国町村会の代表の方々との場でも、「更にもう一段よろしく」というお話が、総理大臣を始めあったようです。そういう国のほうも、まさに各県がどれだけのことができるのかということを見ながら、これも1歩1歩、どういうふうに制度設計していくかということでお考えになっておられますので。

ただ、少し私どもとしましては、今一番、色々とやっていく中で、どうやら最大のネックになりそうなのは最終処分場の問題ですね。これは岐阜県ではなくて全国的にもそうですし、それから昨日現地に行ってこられた関市長さんですとか瑞穂市長さん、それから大野町長さんからも、現地へ行ってこられた報告を受けましたのですけれども、皆さん異口同音に、最終処分場をどうするかという問題があって、例えば西濃の組合では群馬県の草津とそれから長野県の飯山市でしたか、そちらで最終処分をしているので、現地にも直接行かれたらしいのですが、そちらの方にお話を持って行きますと、一切、がれきを処分した灰は受け入れられないと。これは事業者もそうですし、当該自治体としても受け入れられないということのようですし、他にも県内市町村で、色々な所で処理をしているのですけれども、最終処分場を持っている自治体なり事業者に問い合わせをして、今のところまだ、受け入れてもいいと言われたところは1件もないのです。

それから、東北の現地へまた今度行きますから、皆さん方もご一緒される人もおられると思うのですけれども、仮設の処理場が今、急ピッチでできあがりつつあるのです。27基、宮城県と岩手県で造りつつありまして、もう5基くらいは動いているのですけれども、あと4月、5月、6月でほぼ完成すると言っているのですが、少なくとも昨日、現地へ行ってこられた市長さん、町長さんから伺ったところでは、現地では、その仮設の処理場から出てきた灰の最終処分場の目処が立っていないのだそうです。ということを現地の人が言っておられて、現地でも最終処分場をどうするかという問題があると。

県内には、そうやって(最終処分場で)受け取ってもらえないなら、とにかくがれきを持って来て岐阜県で燃やして、そしてそれを岩手県・宮城県なり、東北へ持って行って、灰は受け取ってくださいという話をしようかという、そういう市町村もあるのですけれども。今、緊急で造っている、その仮設の処理施設の最終処分の目処は立っていないと、だけど取りあえず、まず燃やさなくてはいけないから、とにかく大急ぎで造っている。そして処分場の話はまだこれからということらしいのですね。

今朝も関係閣僚会議をやっておられて、全国的にこうだ、ああだとこうきているのですけれども、この最終処分場問題に全く触れておられないのです。この前おいでになった環境省の官房長に対しても、県内の市町の方々がこのことを言っておられましたし、私も環境省の次官にも話をしました。「いや、これは大変重要な問題だと思っています」ということではありましたけれども、むしろ、まだこれから解決しなければいけない課題ということで、そういう意味で、このがれきの処理というものは、どこのがれきをどういう手続きで、誰がどのように運んで、どこで燃やして、燃やした後の灰がどこへ行くか、そしてそのプロセスの節目節目で、どういう測定と申しますか、放射性物質がどの程度あるかというチェックを誰がどのようにやるかと、それからその全体のシステムの費用負担の問題はどうするかということを、全部解決しないとなかなか回りません。

それから、岐阜(県内)の市長さん、町長さんが現地に行かれて色々話を聞いた感じでは、まだ、どこにどのがれきをどう持っていくかという、これはマッチングということなのでしょうけれども、まだその辺りの司令塔と言いますか、全体を差配する仕組みがまだできていないということなので、まずはがれきを見てくださいということなのですよね。従いまして、今度19日に参りますが、岐阜県からは8市5町3組合、合計32名、それに岐阜県から4名ということで、36名で宮城県を回ります。首長さんが参加されるところもありますし、副首長さんが参加されるところもありますし、色々です。それから民間施設の方も参加されます。

この19日、日帰りですけれども精力的に各地を回っていただいて、そういったような状況を更につぶさに見ながら、どういうふうにやっていくかというそこのところをまず見極めた上で、最終的には、市町村の方々もそうですけれども、当然、県民、住民の皆さんの理解も得ないといけないわけですから、こうやってこうやってこうなるんだよ、こういうことをやるんですよというようなことがきちっと整えていかなければ、なかなか前に進めないわけでして、そういう意味で一歩一歩進めていきたいということです。

今日の関係閣僚会議でも、「広域処理を行う災害廃棄物の精査など、被災地における搬出の準備状況を踏まえ、段階的に広域処理の実現を図る」ということと、あと私どもの議論を踏まえていただいたのは、民間事業者に対して「実現可能性が高いものについて協力要請を具体化する」というものがありますので、民間事業者に対する要請は、国としては出そうということにはしていただけるようで、これは一歩前進だと思います。

国も県も市町村も、そういう全体のシステムと申しますか、流れをきちんと見定めていくために一歩一歩努力をしている、こういう状況ではないかと思います。

ですから先程のご質問、ということで、1つ1つ片付けて乗り越えて前に進んでいるというのが現状ですから、そこのところはお汲み取りいただきたいと思います。

逆に申しますと、私は、そういうシステムも何もできもしないのに、ただただやれやれと言って、一方的に言うだけではいけないというふうには思っております。

記者 大阪府に続いて三重県が、がれきの受け入れで放射性セシウムの濃度を100ベクレル以下にするということを検討しているということなんですけれど、岐阜県として、そうした独自に基準を定めるということは考えているのかどうかをお伺いしたいのですが。
知事

100ベクレル以下というのは、そもそも放射性廃棄物でなくなるということなのですね、これまでの考え方の中では。それから今回の、先程少し申し上げた食品の基準でも、100ベクレル以下のものなら食べていいのです。

ということで放射性廃棄物ではなくなるということですから、ある意味では一番安全なところを取っておられるわけですので、それは1つの、一番安全なところでやろうということをおっしゃっておられるわけですから、放射性廃棄物でないものを引き取りますよという、言ってみればそういうことだと思いますので、それも1つの考え方、やり方だと思います。現に(静岡県)島田市ですか、あれは岩手県の北のほうの木くずを持ってきておられるのですが、これは確か測ってみたら64ベクレルと言っておられますので、そういう数値のものであれば、これはもともと放射性廃棄物と言う必要のないものですから、それは一番安全だということで、それは1つの割り切りだと思いますし。

私自身も、国を挙げて処理をしようと言っている時に、それから現地のがれきが、どこのがれきがどの程度の線量が検出されるかということがまだよく分からない中で、環境省が1つの基準を出されたわけですけれども、そういう中で一番安全なところでやってみるというのも1つの考え方だと思いますし。しかし、それに収まるがれきばかりではないかもしれませんし、その場合どう考えるか。環境省の場合には、もう少し高いところに一定の根拠で(基準を)置いているわけですけれども、その辺りをどうするかという話になりますから。

国を挙げてやろうという時に、各地域ごと、自治体ごとにばらばらでいいのだろうかという思いもありますし、それから一方で、一番安全なところから始めてみようという意見があるとすれば、それはそれで1つのアプローチの仕方だと思いますので。その辺りは県内の市町村の皆さんも、これから視察もしたりしながら、最終処分場の問題もクリアしながらやってみようという時に、一番安全なところからやってみようというふうにお考えになるのか、いやこの基準でいいとお考えになるのか、その辺りはまた市町村の皆さんとも、あるいは住民の皆さんのご意見も聞きながら考えていくことに。

私は基本的には本当に、こういう全国的にやろうという時にばらばらでいいのかという思いはありますけれども、今の100ベクレルというのはそういう意味では、最も安全なところから始めようというアプローチですから、そういう意味で、県内の皆さんがまたどうお考えになるかということは、またこれからの問題として見ております。

記者 知事ご自身の考えとしては、ばらばらでいいのかという思いがあるということは、つまり、今の段階では独自基準を設けるということは考えていないという理解でよいですか。
知事

私自身は、そもそも、最終処分場の問題が片付かなければ受けようがないのです。ですから1つ1つ片付けながら、そういう中で1つ1つ、どこのどういうがれきを持ってくるかということになった時に、100ベクレル以上の物は受け取らないというやり方を、そうすると、全国そういう市町村は、100ベクレル以下のがれきにリクエストが殺到するというようなことでもいいのだろうかですとか、がれきの中でまた差別化が起こるわけですよね、それでいいのだろうかとですとか、色々、とつおいつ、今考えているところでありまして。

しかし先程申し上げましたように、一番安全なところから手を付けていこうという、そういうアプローチも理解できないでもないということでありますので、そこは、焼却炉を持ち、住民と対話をしていかれる岐阜県内の市町村のご意向も聞きながら、整理をしていくということかなと思います。

記者 関連なんですが、先程まだ最終処分場で受け入れていいと言われたところが1件もないというお話でしたけれど、結局これはどうして、これだけ受入要請がある中で、最終処分場の自治体が受け入れたくないというふうに言っているのか、それは知事はどのように分析されていますか、何が原因だと。
知事

1人1人、1か所1か所、事情が違いますから、私も理由を聞いて回っているわけではありませんので。ただ状況によっては、行政ベースで考え方を聞いてみるという場面も、あるいは出てくるかもしれませんけれども、それぞれの地域ごとに処分場を造った経緯ですとか、それぞれの持っておられるキャパシティですとか。

例えば、西濃の大野町長さんや瑞穂市長さんが言っておられましたが、長野の飯山という所ですか、そこへ行ってみますと、岐阜県からの、西濃からのごみについては10年契約なのです。要するに、10年単位で全国各地から受け入れて、そして計画的にやっておられるわけです。そういう中で、満杯になるとまた場所を次々と開拓していく、広げていくといいますか。

ということで、そこの現地も行ってこられたそうですけれども、かなりかちっとした計画の下で長期的に、「第1期はここをやってユーザーはこれだけ、岐阜県からはこれだけです、10年間」と契約を結ぶ、そしてこれが一杯になったら「次は第2期はここでこうする、ここで10年間」というふうにそこの場合、よそは知りませんが、10年単位で物事を決めていっているので。そういう中に、緊急とは言え追加的に、しかもどの程度の量かということも、またこれもどういう議論になるか分からない中で、それに対する抵抗があるのではないかというのが市長さんたちの感想でした。

それからこの前、環境省の官房長が説明に来られた時は、2割混ぜて混焼と言っていましたね。この灰のうちの2割はがれきから来たものですと言って、そうすると2割増えるわけですよね。そうしますと、10年間の契約とは違った形になりますし、それをまた全国からわっと一斉に来られてみると非常に、そうするとそこの処分場としての色々な長期計画の中でどうだろうかとか、そのようなことを市長さんたちは感想として、かなり計画的にやっておられるので、そこは非常に抵抗があるのではないかとの印象だということでございます。

それから、自治体のほうにアポイントを申し込んだけれども、「お会いする必要はありません」と言って門前払いだったそうです。それは要するに、一切議論するまでもないという意思表示かなと思って帰ってきました、という話でした。

私も1つ1つ事情を聞きながら、状況によっては自治体ベースで事情を聴いてみることもあるのかなと思っておりますけれども、これもまたステップ・バイ・ステップで考えていこうと思っております。

記者 現在の国が示している基準に対する不信感であるとか、そもそも国が今、受け入れてほしいと言っていることそのものに対する自治体側の不信感みたいなものが、根底にはあるのではないかと思うのですが。
知事

そこは分かりませんね。それぞれの自治体ごとに、それから処分場ごとに、最終処分場というものは1つ造るのにも結構時間をかけて、地元との色々な合意の下に手順を踏んでやってきておられますから、それぞれに私は事情があるのではないかと思います。

それ以上、私も根拠のないことは申し上げられませんので、聞いた話として申し上げますと、先程のようなことでした。

記者 最終処分場問題ですけれど、やはり国が、受け入れ自治体とか処分場を持っている自治体とかへの説得なり協力が必要だというのは、首長さんなり組合の関係者もおっしゃっていますけれど、そんな中で今朝の関係閣僚会議でも、最終処分場問題とか別に話も出なかったと。そういう現状がある中で、知事として、国のそういう今の姿勢や今の現状への思いや注文や要望みたいなものは。
知事

そういう意味で私も、関係閣僚会議の報告を受けて一番残念なところはその点でございます。ですから、引き続き環境省ともよく議論していきたいと思っております。

それから先程申し上げましたように、今度19日に視察団が行ってまた話をしてくると思いますけれども、この間の3人の首長さんたちの現地訪問で、3人ともびっくりされたのです。仮説の処分場は造られているけれども、そこから出てくる灰はまだ、どこでどう処分するのか分かりませんというそういう答えだと、えっ現地もそんな状態かとびっくりされたということで、ますますこの最終処分場の問題というものは非常に深刻だということを痛感をされたと。

ですから、条件が整えばということで考えていましても、一方で自分たちが処理している処分場でも断られるし、最後はがれきを受け取って燃やして、また現地へ捨てるということもあるかなと思っていたその選択肢も、どうもはっきりしないということで、ますますそこは非常に難しい感じがしたということを、3人とも異口同音におっしゃっておられるものですから。19日のミッションでもよく議論してもらいたいと思っておりますけれども、私はこの点は強く国に対しては申し上げなければいけないと思っております。

記者

たびたび同じ質問で申し訳ないんですけれども、大飯原発の再稼働についてなんですけれど。昨日もちょっとそういった話がありましたが、今日また京都府と滋賀県で、知事が共同で、再稼働についての注文というか提言というか出されていましたけれども、今回の再稼働について知事としてどのように評価されているのか。

滋賀なんかですと、拙速というようなことを嘉田知事はおっしゃっていましたし、今回の再稼働について同意を得ることといった注文もありますけど、知事として今回、どういうふうに見てらっしゃるかということと、どういうふうに対応されていかれるかということをお願いします。

知事

この再稼働の問題もそうですし、ストレステストを導入する、しないという議論の時もそうですけれども、今、この原発に関しまして色々な分野で、この再稼働もそうなのですが、法とルールに則って、手順を踏んで物事を進めていくという世界ではないですよね。ある方は超法規的と言い、ある方は政治判断、政治決断だと言い、何と申しますか、それだけこの問題について、なかなか難しい問題であると皆さんが悩んでおられるということは分かるのですが。

今、法とルールが、あるいは手続き・手順が、あるいはシステムが空白の状態の中で、これを急いで再構築しなければいけないということで、国も色々やってはおられるのでしょうが、現時点で申しますと、そこがはっきりしない中で、今やれることは何かということで、議論しておられるわけですね。

この再稼働の基準の問題につきましても、これは前から全国知事会でも申し上げております。とにかくルールを明らかにすべきであると。その何が基準であるか、どういう基準に照らして、どう判断するのかですとか、それから誰が判断するのかですとか、そしてその手続きとしてどうなるのかですとか、それから再稼働だけではないですよね。他の点でもそうですけれども、そういうことで、1つ1つルール化されていく流れを、もちろん国民にも説明をし、理解を得ながらやっていかなければいけないと思いますけれども、それをもっともっと進めていきませんと、何年経ってもまだルールはありませんと、毎回政治判断ですということではまずいのではないかと思います。

それでまあ1つ、この1年数ヶ月、色々なことに照らして、基準が大きく3つのカテゴリーで、緊急的にやるべき基準、それから将来的にやらなければいけない基準ということで整理されたということで、基準というものが俎上に上ってきたと。これも正直申し上げて遅いなと思いますけれども、もっとスピーディーにやって欲しいなと思いますけれども、これも出てきたと。それから、原子力規制庁ですか、これも本来なら4月1日からスタートしているはずが、まだ国会での目処が立っていないと。これもその制度化・ルール化していく上で、今やむを得ず保安院がやっているという形になっていますよね。それから原子力安全委員会の役割も今、何だろうかと、少し不透明なところがありますし。それから一方で、国や議会の、国会の事故調査委員会の、国のほうは中間報告が出ましたけれども、まだ最終報告は出ていないと。議会のほうも報告が出ていないと。

そういうものが、ですから何と言うのでしょうか、今回の事故に照らして分析をしていく、何が起こったか、何が問題であったかということを整理していく作業と、それを踏まえながら、そのできるだけスピーディーに制度化していくというか、ルール化していくというか、そういう流れに持っていく必要があるのではないかと思っております。そういう意味では、歩みとしては大変のろいのではないかと、遅いのではないかと思っております。

ただそういう中で、今回安全基準の話がかなりここへ来て急速に出てきて、その安全基準を踏まえて関電の工程表もすぐに出てきて、それを踏まえたその4大臣の判断もすぐに出て、それを福井県に持って行ったということで、この流れだけを見ますと非常に、まあ色々なことをおっしゃる方がおられますけれども。

私どもとしては、そういう基準が出てきて、それに照らして物事が動き出したという流れの中で、岐阜県としましても、大飯原発から県境まで58km、UPZ(緊急時防護措置準備区域)の30kmではありませんけれども、地形や風向きを考えますと色々な影響が危惧されるわけですし、西濃の方々も心配されておられますので、私自身としましては、この今の流れを岐阜県なりに分析・評価をしながら、必要な意見を申し上げていこうと。幸い、UPZ(緊急時防護措置準備区域)30kmということにつきましては、兼ねてからの私どもの主張が認めていただけましたので、この法案が通れば、私どもはその前提で、敦賀や美浜という話になりましたら、相当踏み込んだことを申し上げたいというふうに思っております。

この大飯原発につきましても、今回の安全基準は他のものにも適用するですとか、将来法制化することも考えているなどとおっしゃっておられますので、私どももこれは丁寧に検討したいと思っております。原子力防災室ができ、担当の副統括監がおり、そしてまた原子力のアドバイザーの先生方も任命をし、そしてまた震災対策検証委員会の原子力分科会もありますので、組織的にきちっとスピーディーにやっていきたいと思っております。

ただ、今のその流れの中で、私なりの感想を申し上げますと、そういう意味での、何と申しますか、法とルールの下で物事を進めていく、大きなこうシナリオと申しますか、工程表と申しますか、それはどこかできちんとお示しいただく必要があるのではないかと。それから、この再稼働の安全基準は他の原発の再稼働にも適用されますと、いずれ法制化しますと言っておられますが、それはどういう法制化になるのか、どんなイメージなのかですとか、そういうことも要りますし。それから、やはり事故調の最終報告がない段階で、それから原子力規制庁などの制度的な改革が宙に浮いている段階で、ここで急がなければいけない理由は何かと。一番あり得るのは需給の問題なのでしょうけれども、その需給の問題がどこまで県民、住民、市民にとって説得的なものかと、この辺りも詰めていく必要があります。

それから、安全基準と言われているものの中で、過去に緊急対策としてかなり具体的に取られたものについては、かなり具体的になっていますけれども、将来講ずべきものについては計画があればよいということになっていますが、では計画なら何でもよいのかですとか、将来講ずべき少し時間のかかる、しかし骨太な対応措置について、どういう評価、どういう判断基準、場合によっては数値目標的なものも入れるのか入れないのかですとか、その辺りは論点になるのではないかと思っております。

私もそういうような感想の中で、県の今の色々な検証委員会の分科会もありますし、色々なところで諸先生方とも議論をしていきたいと思っております。

それから今回の滋賀県、それから京都府の提案は、もっと広くですよね。エネルギー政策ですとか、SPEEDIですとか、避難体制の問題ですとか、もうとにかくこう幅広く包括的に、その大飯の原発再開だけではなしに再処理も含めて、全部きちっとした議論をしてよと、こういうことをおっしゃっておられるわけです。

これもまあ、私が申し上げますところの、どういう法とルールに基づいて、どういう工程で、しかるべき体制に持っていくのかと、今は過渡期だということで、政治判断だ何だとそれも分かりますけれども、その辺りの大きな見取り図の中で、この大飯原発の個別の判断の議論も、その位置付けを見届ける必要があるという意味では、私は非常に理解できる点だと思います。ただ、これが例の合意ですとか同意ですとか、色々言っておられましたよね。あの話とどういう関係になるのか、ちょっと私はよく分かりませんけれども。そのようなところでしょうか。

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