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知事記者会見(平成23年12月27日)

記事ID:0008484 2015年9月10日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

平成23年12月27日(火曜日)午後3時

知事 今年も最後の記者会見ということになりまして、一年間大変お世話になりましてありがとうございました。恒例ですけれども、一年を振り返ってということで、少し感想めいたことを申し上げようかと思っております。

お手元の資料に「平成23年の県政を振り返って」ということで、ある程度テーマごとに整理をして、色々やってきたことが詳しくございます。改めて眺めてみますと、色々なことがあったなという感じもするわけでありますけれども、ご参考までに、これはまた見ていただければと思います。

確か、今年の新年の記者会見で、おそらく今年は国体の準備に相当なエネルギーを割くことになるのではないかと、もう1年前の待ったなしのタイミングだというようなことを申し上げたような気がしているのですが、そういう思いでスタートした1年ではございましたけれども、終わってみますと、別の意味で激動の1年だったのかなという感じがするわけでございます。

何と申しましても、この3月11日という東日本大震災でございます。想定外という言葉もずいぶん使われましたけれども、言ってみれば、未曾有の天災と人災が複合的に組み合わさった、そういった大変歴史的な大災害であったわけでありまして、幸い岐阜県は直接の被災をしたわけではございませんけれども、この東日本大震災に岐阜県としてどう向かっていくかと申しますか、対応していくかということで、何と申しましても、人的な支援も含めまして最大限の支援をするということと、それから、「明日は我が身」ということで、この大震災から色々な教訓を学び取っていくと、そして色々な対策を前広に迅速に用意をしていくというようなことで、大変、そちらに圧倒的にエネルギーを割いた1年であったと思います。

また、秋には台風15号が来まして、去年の7月15日豪雨災害と並びまして130年に1度という局所型の集中豪雨で、まさに局所型として深刻な被害もございまして、これからの復旧・復興ということもやりました。

こういった安全・安心と申しますか、危機管理と申しますか、そういったことに一方で全力投球させていただくと同時に、他方で、この被災地での被災者の方々の、何と申しますか、冷静沈着な振る舞いでありますとか、勇気ある行動ですとか、色々な面でかえって私どもが勇気づけられました。今年1年の漢字で、清水寺の貫主さんが「絆」という言葉を使われましたけれども、まさにこういった危機的な状況の中での、人と人との「絆」ということについても、大変感じ得ることの多かった年ではないかと思います。日本全体がこの災害に対して立ち向かおうとする姿もそうですし、また世界中から、日本がんばれという声やら、色々な応援が寄せられたということで、「絆」ということを、一方で大変感じた年でもあったのではないかなというふうに思っております。

同時に、年初に申し上げました国体の準備も、比較的順調に進んできたと思います。特に、山口国体にまいりまして色々と学ぶところもございましたし、同時に「チーム岐阜」という意識が関係者の間で大変高まっているということも感じまして、大変頼もしい限りでございました。
そしてまた、おもてなしと申しますか、国体を迎えるにあたって、これは26校の高等学校が関わっていますが、高校生の書道部員が約700枚の歓迎のぼり旗を製作するですとか、あるいは36校の小学校の児童が、ぎふ清流大会に出場する約3,600人の選手に応援メッセージカードを用意するですとか、あるいは県内在住の絵手紙の作家の方を中心に、福祉施設の方々も含めて歓迎の手作りの栞を35,000枚お作りになっておられるとか、そういう類のボランタリーな動きもございます。

それから各地域の自治会ごとに、色々な具体的なおもてなしに向けての動きもございます。民泊の準備でありますとか、花飾り活動でありますとか、ミナモダンスの浸透でありますとか、色々なところで、この国体の準備を通じて地域の方々のつながりと申しますか、そういったものが再び築かれつつあると言うか、そういうことも感じてきております。

もういよいよ、1月にはスケート競技が始まりますし、総合開会式までもあと9か月というようなことでございますので、成功に向けて頑張っていかなければいけないなと思っております。

また、復興支援と、それから地域の活性化を兼ね合わせた活動と申しますか、一時自粛ムードが全国的に流れまして、このままでは日本全体が疲弊してしまうということで、例えば「ぎふを旅して日本を元気に!」というような岐阜からの観光キャンペーンでありますとか、あるいはチャリティーマラソンと銘打って、全国から1万人近くのランナーがおいでになった「第1回高橋尚子杯ぎふ清流マラソン」を開催いたしました。ちなみに第2回は今、応募をスタートしておりますけれども、もう既に全国から7,500〜7,600人の登録がなされておりまして、大変人気があるということを改めて感じております。昨年、チャリティーマラソンということでやらせていただいたことがつながっているかと思います。

また、今年から7月を「清流月間」ということで、「清流の国ぎふ」づくりの1つのシンボリックなキャンペーン月間をスタートしたわけでございます。色々な行事やら試みもございましたし、また、新たな「岐阜の宝もの」の認定というようなことで、全体として岐阜県の魅力アップのための仕事もさせていただいたということかと思います。

それからリニア中央新幹線につきましても、大まかな駅の位置、それから駅の費用負担の問題も、ひとつ区切りになりました。また、ドクターヘリの運行も開始をいたしましたし、それから今年の上期の企業誘致の伸びが全国1位というような、明るい話題もございました。

そうした中で大変残念でありましたのは、このところいくつかの不祥事がございました。改めて職員の服務規律徹底でありますとか、あるいは平成18年度に制定しました「県政再生プログラム」の再検証でありますとか、改めて気を引き締めて、信頼回復への道をしっかりと進んでいきたいと思ったような次第でございます。

それから、そういったこととは別に、私個人としては、何と申しましても今年の夏に、生まれて初めてと言ってはちょっと言い方が正しいかどうかですが、私にとってこういったことがなかったのですけれども、初めて長期間入院をするというような怪我をしましたものですから、大変ご迷惑をおかけしたり、ご心配をおかけいたしました。その間も副知事以下、職員の皆さんがそれぞれの業務で十二分に仕事をしていただきまして、時折病室が一杯になるくらい人が来て、相談をしたり議論をしたことがありましたけれども、何とかそういった職員の皆さんの頑張りで、長期間入院したり車いす生活をしましたけれども、何とかここまでやってこれたということで、改めて感謝とお詫びの気持ちを持っているわけでございます。

他方で、これも個人的にも大変ありがたかったことは、今年新年早々にサルコジ仏大統領から手紙が来まして、「レジオン・ドヌール勲章」を6月にいただきました。自分としましては、20代の頃からのいわばライフワークと申しますか、どこでどんな仕事をしていても、やはりフランスあるいはフランス人との交流をずっと続けてまいりましたので、そういうことについて、どこかで誰かが見ていてくれたのかなということで、個人的には大変ありがたい思いをいたしました。

しかし、何と申しましてもそれ以上に、この怪我でご迷惑をかけたことの方が、今年の私自身としては一大の不覚でございます。こういうことの二度とないように、気を引き締めてやっていきたいと思っている次第でございます。

それから先週、休み中になりますか、来年度の政府予算(案)についてコメントを出させていただきました。今、細かいところを色々精査しておりますし、それから来年度予算の編成に向けて更には詰めていきますけれども、総じて地方の立場から見ますと、交付税も含めた一般財源総額もそれなりの配慮をしていただいたとか、一括交付金も総理指示の8,000億円、まあ当初1兆円と言っていたのが8,000億円になりましたけれども、最終的には8,300億円台ということで、メニューも金額も一定の進展があったということでございます。もちろん精査をした上で、色々とまた課題については指摘をしたいと思っておりますし、運用上の問題もあろうかと思いますが、一定の進展が見られたと思います。

それから、期限切れとなる様々な、どうしても行政をやっていく上で不可欠な基金の類も、3次補正、4次補正、そして来年度予算という中で、かなり延長をするということになってきております。これも議会その他色々なところで懸念の声がございましたが、配慮していただいたというような印象でございます。これからもう少しきちんと細かく分析をし、精査をしながら、我々の予算に反映すべき点、更に国に対して議論していく点、そういったことについて進めていきたいと思っております。

少し散漫になりましたけれども、1年を振り返った感想ということで、今日は申し上げさせていただくということでございます。

記者 予算のことをお聞きしようとしていたのですけれど、おっしゃっていただいたので、今年色々とあったと思うのですが、敢えて知事が一番記憶に残っている県政のことはどれになりますか。
知事 やはり、お手元の資料の冒頭にも「東日本大震災を踏まえて」ということで書いてありますけれども、東日本大震災に対して、積極的な支援ということで、岐阜県からは4,000人を超える職員あるいは警察、消防、それから医者、看護師、その他色々な方々に現地で頑張っていただきました。

それから、被災者の方も800人を超える方々が岐阜においでになって、今も400人を超える方が岐阜に留まっておられますけれども、こういった方々に対する支援をしながら、同時にそこからどういう教訓を学んで、どのように岐阜県として危機管理体制をしっかりしていくかということで、もう夏休みまでには、提言をもらおうではないかということで、かなりスピーディーに震災対策検証委員会をやっていただきまして、110の提言をまとめていただきました。

その辺りの東日本大震災に対する対応、またそこから教訓を学び取っていくということについて、職員を含めて全力投球をさせていただいたということが一番大きいのではないでしょうか。1つの点ではありませんけれども、この震災を巡る色々な県庁としての対応、これはまだまだ進行中でありまして、来年も続く話であります。

それから昨日発表された、政府の事故調査・検証委員会の畑村委員長のレポート、これは本文が500ページで、資料が200ページで、概要版だけでも数十ページありまして、どれを読むかということなのですが、かなり生々しいことも率直に書かれているようです。畑村先生の危機管理の本は、つとに定評があるわけなのですけれども、率直に色々と、これまでの備え、初期動作、それからその後の展開の中での在りよう、そして各プレーヤーごとの連携のあり方、色々な論点を提供してくれていますので、これは引き続き、年末年始の読み物として休みに読ませていただいて、そしてまた、さらに我々もしっかりとした体制づくりに活かしていきたいと申しますか、勉強させてもらいたいと思っております。

記者 来年の国体なのですけれど、常々知事は、東日本の再生となるような、そういったシンボル的な大会にしたいとおっしゃっていたと思うのですが、正直、岐阜と被災地はちょっと離れていて、なぜ岐阜なのかと思ったりもするのですけれど、具体的にどんなふうに国体を震災復興のシンボルとしていくのでしょうか。
知事 「岐阜」対「被災地」ということよりも、国体という行事、岐阜県を会場としてやらせていただく国体という行事を通じまして、被災地との連帯と申しますか、絆を深めていけるような、そういう形に持っていけたらというふうに思っております。

端的にはこの間の、天皇誕生日の宴の後の流れで、岩手県知事も私も東京の都道府県会館に戻りましたものですから、その時にお渡ししましたけれども、県内で、冬季大会に来られる被災地の選手団への募金が一定の金額集まりましたので、それを私から岩手県知事にお渡しいたしました。あと、宮城県と福島県には新年早々、渕上副知事が行ってお渡しすることになっております。

そういう募金というものも1つですが、開会式その他の進め方の中に、そうした「日本再生」というメッセージ、あるいは東日本に対する支援というメッセージを、どういう形で込めていったらいいのだろうかですとか、それから特に秋の競技につきまして、それまでの間に被災県のチームとの色々な交流試合、練習試合ですとか、色々な機会を考えてみてはどうだろうかなど、色々と今、岐阜県の関係者あるいは、国体は日本体育協会など色々な方々が絡みますので、ご相談をしたりしてやっております。ある程度イメージができましたら、また申し上げたいと思っております。

記者 県の地域防災計画についてお聞きします。110の提言を受けて防災計画を見直した一方で、今日、内閣府の有識者会議が開かれて、東海・東南海・南海地震について震源域を約2倍とする中間報告が出ましたけれども、それを受けてさらに計画を見直す考えというのはあるのでしょうか。
知事 私自身、震災対策検証委員会をやりました時の思いは、できるだけ早い時点で、東日本大震災にまず我々として学ぶことは何かということで、我々なりに「オール岐阜県」で色々な立場の方々に集まっていただいて、色々な角度から東日本大震災を分析、検証していただいて、岐阜県として何をなすべきかということで提言をまとめてもらいました。これが8月早々でございます。

これは、私どもとしてはこういう作業の第1弾というように考えておりまして、そこでまとまったこと、110の提言については9月の補正予算ですとか、色々なところでどんどんやっていこうと。恐らく国の防災計画の見直しもありますし、色々なところで色々な議論が行われてくるだろうと。そういうものを睨みながら、この110の提言にさらに新しいものを足していくですとか、110の提言そのものを見直すですとか、色々なことが当然あり得るということで、この第2弾、第3弾と申しますか、そういうものがむしろあるという前提で考えております。

したがって、畑村先生のレポートもございますし、今おっしゃったような、想定の前提を広げるという議論もありますし、それから昨日、中部地方整備局が事務局になって、オール中部で一種の検証委員会がありました。あれは岐阜県の震災対策検証委員会の中部版でございます。それが昨日開かれまして、何をどう議論し、どうするこうするとやっておりますけれども、こういうものもあるでしょうし、色々なものが出てきます。

あるいは国会は国会で、また検証委員会というか調査委員会を設けておられますし、ですからそういうものはどんどん足していくと申しますか、何が言いたいかと申しますと、ベースを1つ作っておきませんと、たとえば国の防災計画ができるまで県の防災計画の見直しは待っていますと言ったら、いつ終わるのかわからないわけです。

ですから、人様がおやりになることを待っていては、それから色々なことに手を付けていたのではどうしても遅れますので、まず我々でできること、我々で感じたこと、我々でこうしたいと思うことをまず先に見定めて、どんどんやっていくと。やっていく中で、今度は他の色々な組織や機関が色々なことを言ってきたことを、それを充実するものとしてどんどん足していけばいいと、こういうスタンスでやってきておりますので、当然、そういうことも参考にしながら、膨らませていくということになると思います。

記者 知事は記者会見の冒頭で、東日本大震災に関して、未曽有の天災と人災が複合的に組み合わさった災害だとおっしゃっていましたが、どのようなものが人災だと知事はお考えでしょうか。
知事 私自身も、自分の目でと申しますか、全てを検証したわけではありませんが、例えば昨日の畑村先生のレポート1つを取りましても、かなり人災の面にウェイトが置かれています。ですからそういう意味で、例えば想定外という議論がよくございましたけれども、本当に想定外ということで検討しないままで放っておいてよかったのかですとか、これはいくつもあるのではないでしょうか。

そういうことの反省も含めまして、私どもは今年の夏の震災対策検証委員会での議論もいたしましたし、これからも、明るみに出てきたことに照らして、我々として、明日は我が身としてどのように備えていくかということを詰めていきたいと思っております。

それからSPEEDIの問題につきましても、データがどう使われ、どう連絡されていったのかと、これ1つを取りましても人の動きでございます。

つい最近、SPEEDIにつきまして、岐阜県も対象に含めるというお話が出ました。そうなると岐阜県にSPEEDIのためのモニタリング施設をどこに置いて、それから岐阜県が用意するデータをどこにどういうふうに送りこんでですとか、あのSPEEDIのシステムの中に岐阜県の体制が織り込まれるわけですから、それはそれでやっていかなくてはいけないわけです。

同時に、夏の検証を受けまして、それとは別に一定の条件の下で、こういう地震が、例えば福井の発電所の事故が起こった時に放射性物質がどのように広がっていくかという想定シミュレーションを、これはこれで今やるということで予算も用意しております。

これもやはり、そういう備えをするということが、まさに東日本大震災で起こったことに学んで、いざ起こった時に今どうなっているかというシミュレーションがSPEEDIなのですが、我々としては、こういう条件の下ではどんなことが起こるだろうかという想定をすることもやはり、予めやっておく必要がありますし、その想定を踏まえた防災訓練というものにつなげていくということも大事でしょうし、色々とそういう意味では課題はたくさんあると思いますので、1つ1つこなしていきたいと思っております。

記者 関連なんですけれどよろしいでしょうか。SPEEDIの件なんですけれども、これは、そうすると岐阜県としても、全額国費でやってもらえるということですが、受信端末を設置するという理解でよろしいでしょうか。
知事 そうです、そのつもりでおります。
記者 そうしますと、現在やられておられるシミュレーションとの関係なんですけれども、これはどうなっていくのでしょうか。
知事 SPEEDIというものは、例えば今の気象条件ですとか、モニタリングで取られた様々なデータですとか、そういうものを総合的にシミュレーションして、今、大体こんなふうになっていると申しますか、放射能の広がり具合というものを地図に置き換えて、この程度の濃度でこの程度で広がっているというのを出すものです。それはそれとして、いつ何時でも、特に事故の直後などというのは大事でございます。一定の時間ごとにそれをやりますから、どういうふうに広がりが、どんどんどちらに向かってどう広がったかということが分かるわけであります。

逆に、岐阜県がやろうとしておりますシミュレーションは、そういうことではなしに、全くの1つの想定なのです。こういうことが仮に起こったらどうなるか、という計算をやってみるものです。ですから、例えば一番分かりやすいのは、福島第一原子力発電所事故と同じことが福井で起こり、そして気象条件も仮にこういう、通常の季節のですとか、北西からの風の強い時期にどうですとか、一定の要件を当てはめまして、それで計算上どうなっていくかというのがシミュレーションですから、ちょっと違いますので、それぞれ私は意味があると思います。しっかりやっていこうと思います。

記者 SPEEDIも含めて、かなり幅広に支援のメニューが国の予算の方で認められたのですけれども、来年度これについては、県としては全て活用して準備を進めるということでよろしいですか。
知事 まさにそういう防災予算も含めまして、原子力関係もそれ以外も色々とありますので、国の予算で活用できるものは、最大限活用させていただこうということでございます。我々としてどのくらい国からいただけるものなのか、それから我々自身としてどの程度のものを用意するのかですとか、あるいは場合によっては市町村との連携もありますし、その辺りは予算編成の段階で細かく議論していくということでございます。

それからもう1つ言い忘れましたけれども、SPEEDIは、原発を中心に置きまして、100km×100kmの正方形を描きます。中心に事故現場があるというものです。したがいまして、どこの原発を取るかで、浜岡を取ると岐阜県がどこまで入るのか、100km×100kmの正方形ですから多分入りません。福井ですとこちらの方は入りますけれど。(SREEDIは)その入ったところについてのシミュレーションができるのですが、私どもがやろうとしております想定シミュレーションは、岐阜県全域を念頭に置いて考えておりまして、これも少し違いがございます。

記者 現段階で、そのSPEEDIをどう活用されていこうと考えておられますか。滋賀県ですと、結構独自のシミュレーションシステムみたいなものを作って、SPEEDIを関連させてやっていくようなのですが。
知事 滋賀県もある種の想定をしたわけでございまして、我々と似ているといえば似ているのですけれども、少し聞いたところでは、むしろ私どもの考えているものの方が、もう少し精査する、きめ細かいものを準備しているような印象を受けます。考え方は同様だと思います。
記者

長良川河口堰の件なのですけれども、先日、日本魚類学会の方が、生態系への影響は非常に大きいということで、開門調査を支持する声明を各県知事に送られて、古田知事もお読みになられたと思いますけれども、これについてどう受け止められましたか。岐阜県への影響はかなり大きいと思いますが。

知事

実はこれは、今日正式に文書をいただいております。もちろんそういうご意見として受け止めさせていただきますけれども、日本魚類学会のお考えというものは、いわば、元に戻すという流れですよね。

つとに申し上げておりますように、この河口堰の問題で一番デリケートなのは、塩害というものをどういうふうに予測をして、そういうことの被害を生じないようなやり方としてぎりぎりどこまでが可能で、どの限度を超えると塩害の恐れがどの程度あるかと。塩害を起こしてはならないという前提で、その辺りのところをきめ細かに議論をする必要があると思います。

それから、万々が一、起こったらどうするのかということも、想定外と言って片付けるわけにはいきませんものですから、そういったある意味では、既に県議会も決議が出ておりますし、海津市の市議会も意見書も出ておりますし、あるいは三重県でも色々な議論が出ておりますけれども、この一番デリケートなところですね。

岐阜県は河口堰の弾力的運用ということで、着実に国土交通省なり独立行政法人水資源機構に話をしまして、開門の頻度を高めてきているわけでございます。そこの一番デリケートなところを意識しながら、徐々に頻度を高めて評価をし、また高めて評価をし、というように進めてきているわけでございます。

日本魚類学会の文書を拝見しますと、その部分については全く触れられておりませんものですから、そうなりますとやはり、近隣の農業者ですとか、この水を使っておられる方々も含めまして、色々なご心配に対してはどういうふうにお考えになっておられるのか、よく分かりません。そこのところが一番ポイントだと思いますので、その部分がないものですから、どういうお考えかなと思いながら眺めております。

やはりそこのところをクリアにしませんと、岐阜県にせよ、三重県にせよ、愛知県にせよ、この水を利用している方々にとっての心配はなくならないのではないでしょうか。

記者

声明が指摘している生態系への影響については、知事ご自身はどうお考えでしょうか。生態系への影響については納得できる部分があるとかですね。

知事

元に戻りましょう、河口堰のない状態に戻りましょうと、そのことによって回復しますよ、河口堰によってもたらされた色々な弊害が回復しますよという議論に聞こえるものですから。河口堰自身が、洪水被害と申しますか治水対策ですとか、色々な要素を含んで、あるいは水の利用ということも含めてやってきているものでして、そうした色々な目的に照らして、色々な検討が行われて決断されてきたということであるものですから、元に戻ればいいのではないかというだけでは、なかなか議論が先に進みにくいのではないかという、そういう意識でございます。

それでは、お名残り惜しいですけれども、よいお年をお迎えいただいて、また新年お世話になりますがよろしくお願いいたします。

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