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知事記者会見(平成23年6月8日)

記事ID:0008223 2015年9月10日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

平成23年6月8日(水曜日)午後3時

知事

私から2,3ございます。お手元に資料をお配りしておりますが、1つは集落営農支援チームとサポーターの派遣ということでございます。中山間地の小規模かつ高齢化した集落で、どのようにして集落営農の組織化を進めていくかということで、5か所モデル集落を選定しまして、県の職員からなる支援チームを派遣し、組織化のためのアドバイスや提案をすると。一方で、就農希望者の方をサポーターとして派遣して、最終的にはそこでの経験を通じて、農業人材としてそこに留まっていただくことを期待するということを合わせてやろうという事業でございます。

まずは揖斐地域、可茂地域、東濃地域の3地域でスタートをいたしまして、その後、岐阜地域と飛騨地域もまもなくスタートいたします。5つの異なった場所で、地元の関係者や市町村、JA、そういったところに協力していただいて進めていこうということです。

県土の83%が中山間地域であり、農家人口の高齢化率が非常に高いということですし、また小規模・高齢化集落のだいたい9割近くが中山間地域に集中しておりますので、そういう背景の中で、まずモデル事業ということでやってみようということでございます。

具体的な絵姿についてはお手元の資料にございます。サポーターあるいは支援チームの中身はそこに書いてあるとおりですから、ご覧いただければと思います。これが1つです。

それから2番目が、「全国豊かな海づくり大会」から、大変早いもので1年になるわけでございます。陛下から御製をいただいており、これを御製碑という格好で建立いたしましたので、1周年を記念して関の文化会館で、その除幕式と子どもたちによる「清流を守り、伝える」ことを誓うメッセージを発信していただこうということです。そんな大がかりなものではございませんが、あれから1年ということで、同じ場所でこういった機会を持とうということでございます。

それから、関連ですけれども、今年から7月を「清流月間」ということにしておりますので、「清流の国ぎふ」づくりへと様々な行事をやりながら、来年の「ぎふ清流国体・ぎふ清流大会」に繋いでいくということでございます。

それから、関市としては、昨年、ふれあい交流行事として、関市の本町通りで大変熱のこもった交流行事をおやりになりました。今年は1周年ということで、環境をテーマに、展示や物販など地域としての賑わいを持とうとおっしゃっておられますので、これも協賛行事ということでやろうかと思っております。

陛下の御製は、お手元の資料に書いてあると思いますが、「手渡せるやまめは白く輝きて日本海へと川下りゆく」という碑でございます。実際に御放流されましたのは長良川でありますけれども、自ら御放流された長良川を下っていく鮎と同時に、白川村の方々にお手渡しをされて、それが白川村で、地元で放流をされて、庄川から日本海側に流れていく様も思い浮かべられながら、岐阜県には太平洋に流れる水系と日本海に流れる水系、両方ともあるのだと、そんな思いでお作りになったのではないかと思います。そういう御製碑ができるということでございます。

どうしてもと言われたものですから、私もあまりお習字をやらないのですが、ちょっと下手な字で恐縮ですけれども、書かせていただいたということでございます。

それから3番目が、海外ビジネス人材育成事業ということで、今年度の新しい政策の1つでございます。県内の企業の方々にとりまして、海外展開をしようという時に、一方で人材不足であるということがありますし、他方では学卒未就職者といいますか、学校を卒業後3年程度経った時点でまだ正社員として働いたことがないという人たちに対する雇用政策、この両方の角度から、新規事業としてこの海外ビジネス人材育成事業を立ち上げようというものでございます。

お手元に資料がございますが、意欲を持って県内企業への就職を希望する人材と、海外ビジネス人材を求める企業とを、いわばマッチングをいたしまして、その後の雇用へのスムーズな移行を促進するということでございます。

12名の就職希望者を選考しまして、この16日からスタートいたします。これは、国の緊急雇用創出基金を使い9か月間雇用する、そのうち6か月間は海外での研修、そのうちの4か月間は上海ないし香港で、中国語ないしは英語の語学訓練を受けてもらうということでございます。こうした海外での研修プログラムを含んだ雇用創出基金の活用というものは、全国でも初めてのケースではないかと思います。

岐阜県出身者だけに留まらず、県外の方も含めて、とにかく岐阜県の企業に就職したい、活躍したいという方々を人選させていただいたということでございます。また、企業のほうでも26社から応募がございました。

結果的に、雇用という側面と岐阜県企業の海外進出の促進と、この両面がスムーズにいけばいいのではないかと思っております。

それから、お手元に資料をお配りしておりませんけれども、もう1つご報告は、昨日も総決起大会を開催したわけでございますが、いよいよ国体も近づいて参りました。そういう中で、東日本大震災の支援というものと、ぎふ清流国体あるいはぎふ清流大会の推進というものを、色々な形でつないで、最近私もあちこちで言っておりますけれども、来年の「ぎふ清流国体・ぎふ清流大会」が日本再生のシンボルとなるようなものにしていきたいということでございます。

色々な試みがあろうかと思いますが、今回は、被災県から「ぎふ清流国体・ぎふ清流大会」に来年参加していただく選手・監督に対する支援ということで、「東日本大震災被災地選手支援募金」といったものを始めようということでございます。国体の推進事務局でプランを練っておりまして、被災県から参加される選手・監督への参加経費の補助ということで、募金をしようということでございます。

ちょうど今年の春の全国選抜高校野球大会の1回戦で、宮城県の東北高校と本県の大垣日大高校が試合をいたしましたけれども、両校が全力で最後までしっかり戦ったということで、全国の方々に大変感動をもたらしたというふうに思っております。

そういったことを念頭に置きながら、被災県で国体を目指す選手の方々が、色々とご苦労をしておられるということも聞いておりますので、そういったことにお力添えをして、そして「ぎふ清流国体・ぎふ清流大会」に参加していただいて、さらにその選手と県民の交流が深まればと、そしてより多くの笑顔が生まれればと、こういう思いで1つ考えております。

なお、東日本大震災の時に色々なアスリートの方々がメッセージを発せられましたけれども、その中でもかなり評判になりました、世界陸上ヘルシンキ大会銅メダリストの為末大選手、短距離障害の選手ですけれども、この方が「国体をトップアスリートの集う国内最高峰の大会にしたい」という熱い思いで、岐阜県に対して応援をしたいという思いをお持ちでございまして、ぎふ清流国体を、被災地を含む日本中の選手が参加できる、そういう環境をつくっていきたいということでございます。

実は、為末選手は東日本大震災の直後から、一般社団法人アスリートソサイエティを通じて募金活動を行っておられるわけですが、その中で、岐阜県の「東日本大震災被災地選手支援募金」の専用サイトを立ち上げて応援したいと言っておられますので、この辺りも一緒になって進めていければというふうに思っております。

今後、募金活動だけではなく、たとえば被災県選手と岐阜県選手との交流試合ですとか、色々なことで交流を深めながら、国体が日本再生につながるような場にしていくという思いを表現していけたらということでございます。

記者

リニアの中間駅の件なのですが、中津川市に設置するという候補地案が示されました。昨日正式に、なぜ中津川なのかという会見がJR東海からありまして、地質上のことや住宅密集地ではないということなど様々な理由を挙げられた上で、中津川しかないという判断をされたということですが、知事として改めて、中津川に設置するという位置の妥当性についてどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

候補地の中にはどうして中津川なのかという思いを抱いている自治体もあるようですが、知事ご自身として、中津川に立地するというJR東海側の説明についてどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせください。

知事

昨日私も、宇野取締役からJR東海としての考え方をざっと伺いましたし、それを受けて色々な反応も伺っておりますけれども、実は明日、このプロジェクトの「リニア中央新幹線建設促進岐阜県期成同盟会」の総会がございます。そこには、このプロジェクトに関心を寄せる県内の多くの市町村が入っておられますので、明日その同盟会の場で、JR東海のほうからできるだけ詳しく、直接、関係する関心のある市町村に対してご説明いただいて、またそれに対する市町村からの質問も受けていただきます。

それから、これから約1か月パブリックコメントに付すわけでございますから、昨日の提案に対して、関係市町村の意見も踏まえて、県としてどのように対応していくかということをこの1か月の間によく議論をし、また必要に応じて、一定の頻度でJR東海の方々にもおいでいただくこともあるかと思いますけれども、議論をしていきたいというふうに思っております。

昨日ないし今日の時点では、まずはJR東海の考えをとりあえず承ったと、明日はさらに踏み込んだ説明を伺ってそこから色々議論をしていく、それから同盟会としても協議をしていくと、こういう流れになりますので、それを1つ1つこなしていきたいと思っております。

記者 駅ができる特定の市だけではなくて、それ以外の周辺自治体にも負担を求めていくという理解でよろしいでしょうか。
知事 リニア中央新幹線は広域的に活用していくものだと思っておりますので、現に同盟会には、今までの議論からするとおそらく駅はできないだろうと思われる市町村も入っておられます。しかし、リニアを積極的に地域の活性化のために活用していきたいという思いで入っておられると思いますし、そこを中心に誘致活動を行って参りましたので、そこをまずはベースにしながら、議論を進めていくということかと思っております。
記者 確認なのですが、知事としての率直なご感想をお聞かせください。。
知事 まだ時間はございますし、それから各市町村の思いもしっかりお聞きしたいと思いますので、そういったことの中で議論を深めていくということで整理をしていこうと思っておりまして、今の時点でいきなりどうこう言うというよりは、むしろ皆さんと一緒に議論を深めていきたいということでございます。

ただ、車両工場・車両基地を岐阜県に設置していただけるということは、かねてからずっと要望してまいりましたけれども、その要望についてはしっかりと受け止めていただいたので、これは非常に良かったのではないかと思っております。

記者 地元負担の件ですが、知事は明日開催される同盟会を軸に考えていくというお話でしたが、基本的には同盟会の中で負担をしていくというお考えなのでしょうか。もしくは、同盟会の枠にこだわらず、さらに同盟会以外のところにも負担を求めることもあるということなのでしょうか。
知事

まずこのプロジェクトに関心を寄せる市町村、商工会議所、商工会も含めて、同盟会に名を連ねておられて、これまでずっと一緒になって誘致活動をしてきたわけですから、このプロジェクトを進めていく上では、この同盟会というのは基本的な母体だと思っております。その基本的な母体たる同盟会の総会が明日あるわけですし、そこで話も聞くわけですから、負担の問題もどういうあり方がいいのか、まさに同盟会でよく議論をしたうえで対応していくというのがいいのではないかと思っております。

従って、まさに同盟会の議論になるわけでございまして、予め同盟会以外からどうするとか同盟会だけだとか、そういうことではなしに、まだ負担の話はそもそも全額地元負担というところがJR東海としては基本ラインになっておりますので、これについても、国交省の審議会の答申でもよく地元と協議をするようにと、必要があれば国も乗り出す用意があるというようなくだりがあります。

これを1つ1つ、まず全体として、改めてどういう金額でどうやるのがいいのかということをまず議論しながら、そしてその中で、またどういうふうに今度は県内の負担関係をどうしていくかというようなことになっていきます。そういったステップを、1つ1つこれから順に踏んでいくということですので、そのステップを踏んでいくプロセスとしては、やはり同盟会での議論を基本にしていきたいと思っております。

記者 負担を求める際の考え方なのですが、負担をするからにはそれなりのメリットがないと出す側もなかなか納税者への説明も果たせないと思うのですけれども、やはり何らかの効果なりメリットが、負担するからにはあるという前提と考えればよろしいでしょうか。
知事 もともと岐阜県内に2つも3つも駅ができるとは誰も思っていないわけですので、東濃は1つということで東濃に1駅ということで、この同盟会で議論してきたわけですから、そういうことで、関心があるということで参加してこられたわけなので、そういう方々の集まりが同盟会であるというふうに思っておりますので、そういう方々の中でこれからしっかり議論をしていくということかと思います。
記者 確認ですが、基本的にはやはり何らかのメリットがあるということでしょうか。
知事

別に私が決める話ではなく、同盟会に入るということは、関心がなければ入らないでしょうから、関心があってお入りになっておられるのではないでしょうか。

同時に、同盟会をベースに、この東濃に1つという駅を、どう今後の東濃の発展、岐阜県の発展に活かしていくかという基本戦略を議論し、それからこの基本戦略を踏まえて、各論的な戦略をやっていこうと、そのためにどういう政策が必要かとか、地域としてどのような取組みが必要かとか、まだこれから色々な議論が進んでいくわけですから、駅をつくっておしまいというわけではありませんし。

そういうことも含めて、皆さん議論に参加していただいておりますので、それぞれのご関心、メリットを最大限にしていくために、これからも議論を続けていく必要があるのではないかと思っておりますので、そこの場を私としては大事にしていきたいということでございます。

記者 リニアの話で、JR東海から提示されたのは直径5kmの範囲でしたが、その範囲内において、県あるいは同盟会としてこの辺りにしてほしいというようなJR東海との間の話し合いの仕組みというものはあるのでしょうか。それとも、あくまでJR東海がここだと決めたら、それについて賛成なり反対なりと、そういうものなのですか。
知事

それは別に、既に予め決められた、何かかちっとしたものがあるわけではありませんけれども、JR東海も逆に、この時点でなぜこのある種のエリアといいますか、ゾーンで提示したかというと、次のステップは環境アセスメントなのですね。環境アセスメントをやりながら、それを見ながら具体的な設計作業をしていくということです。設計に入ったらこのルートはここというふうになってしまいますので。

しかしそこに入る前に、ある幅の中で環境アセスメントをやりながら考えていくということですので、当然この環境アセスメントのプロセスの中で、私どもも議論をしていく過程になると思います。そういう中で議論していきたいと思います。

まずは、なぜこのゾーンなのか、なぜこのエリアなのかということについては、やはり多くの市町村が関心がありますので、明日を皮切りにしっかりとした説明も伺い、議論もさせていただくと。それから、1か月間のパブリックコメントの期間がございますので、その中でまた色々な意見をおっしゃる方も出てくるでしょうし、そういうことを踏まえて、まずゾーンが確定するかどうか、確定すると今度はゾーンをベースにアセスメントをやっていくと、そしてアセスメントの中で徐々に選択が狭まっていくと、そこでまた色々な意見のやり取りがあると、このような流れになるのではないかと思っておりますし、そこは特に齟齬はないと思っております。

記者 地元負担の中間駅の350億円なのですが、全額は厳しいということを知事は何度もおっしゃっていますが、大体いくらくらいなら県なり同盟で呑むことができるのか、おおよその目途があるのかということと、その金額というのは予算の編成上いつ頃までに決めないといけないと考えておられるのか、その2点をお聞かせください。
知事

まだ、駅の具体的な構造ですとかコストですとか、色々なことはまだこれからですから、大体こんなものだろうという話として数字は伺っておりますので、まだ、いくらならいいとか悪いとか、そういうところにはまだ入りきらないと思います。

それから、いつ頃までにというのは、環境アセスメントが終わって、工事計画ができて、工事計画の認可を受ける辺りになりますと、かなり具体的に、どういう工事でどんな施設をということが詰まってきますから、その辺りでは、かなり議論はより具体的に進んでくるのではないかと思います。

環境アセスメントが始まるのが、JR東海の見通しでは今年の12月で、それから2年くらいかかると言っておられますので、そういう中で、コスト計算も含めて具体化していくのではないでしょうか。

環境アセスメントをしていく中で、地質や用地買収など色々なことをやっていく中で、当初の見積もりとは違う議論もあるかもしれませんし、そういう流れの中で駅についても、どういう構造でどういうところにどういうコストがかかっているということがまた積み上げられていくと思いますので、それを1つ1つ詰めていくということだと思います。

確か整備新幹線は、国とJRと地元と一定の分担関係でやっています。ただ、今回は整備新幹線とは違いますので、JRがJRのプロジェクトとしてやっていきますので、同じではないのですが、いずれにしてもやはり、JRと地元と国との間でこれから議論が始まるということですから、予めいくらということを私の方からまだ言うべき時期ではないと思っております。

記者

リニアの地元負担の件でお伺いしたいのですが、先ほど、関心があるから同盟会に入っているのではないかというお話がございましたが、我々が取材していても自治体によってはかなり温度差があり、中津川市に設置されることに対してほとんどメリットを感じていらっしゃらない自治体も正直あります。

同盟会に入っているところに対しては、全ての自治体に負担を求めるというお考えなのか、それとも、同盟会に入っていてもあなたはいいよという自治体が可能性としてあり得るのか、その辺りについてはいかがでしょうか。

知事 これは県が強制的に決める話ではありませんし、同盟会にも強制的に入ってもらっているわけではありませんので。関心があるからこそお入りになって、基本戦略の議論にも参加しておられるわけですから、これから皆さんと色々議論を深めていく中で、決めていくということではないでしょうか。
記者 少なくとも、東濃5市以外の市町には負担がかかる可能性があるということでしょうか。
知事

皆で、同盟会で議論していったらいいのではないでしょうか。皆さん関心があるわけですから。東濃5市以外でも、近隣の市町でも関心のあるところも結構あるのではないでしょうか。

場所が決まった途端に、この議論を皆さん一生懸命おっしゃるのですが、もともと東濃に駅は1つだということは分かっているわけですし、その1つできる駅をどう活かしていくか、東京とその駅が30分で繋がるわけですから、これをどう活かしていくかというふうに考えながら、地域の発展、岐阜県の発展に活かすためには、駅ができた、ではさらに何が必要かとか、色々なことが出てくるのではないでしょうか。アクセスの問題もあるでしょうし、どのくらいの頻度で停まるのか、運用ということもあります。まだ何もない中で、ようやく場所がここと言った途端、金、金・・・という議論が、今日の質問もそうですけれども。

まだやるべきことはたくさんありますし、何のためにというと、まさに岐阜県にとって首都圏と30分で繋がるというメリットを最大限にしようではないかということで戦略を練っているわけですから、是非その戦略の中に参加いただいたらいいと思います。別に強制しているわけではありませんので、ということしか、今の時点では申し上げられません。

記者

政府の社会保障改革に関する集中検討会議が、社会保障改革案を提示しており、その中では、2015年度までに段階的に10%消費税を引き上げるということを言っているのですが、まずそれについてのお考えをお聞かせください。

それから、改革案では地方消費税を除く消費税の使途について、高齢者や少子化など4経費に限っていて、地方の単独事業については反映されていない、地方に冷たいような内容になっているのですが、もし仮に増収増税が実現したら、増収がほとんど地方に回らないのではないかという見方もできるのですが、それについてのお考えをお聞かせください。

知事

社会福祉、社会保障というのは国と県のコラボレーションで成り立っているわけですので、それぞれがどういう役割分担をしていくのが適当か、そういう中でこれから増嵩していくコストをどのように賄っていくのか、そのための財源をどうするかということで、国の仕事、地方の仕事、それから3分野4分野に限らず、福祉というものを広く捉えて議論したいということでして、今まで1回ヒアリングをやっていただきましたが、知事会のほうから、国との協議を申し入れているわけでございます。国と地方の協議の場という、法律に基づくものができましたので、そこでも議論したいなど、色々お願いしているところですので、そういった立場で、むしろこれから議論を深めていきたいというふうに思っております。

ただ当然、国の福祉だけを念頭に置いて、財源論、あるいは何を対象にということだけが先行するのは好ましくないと思っています。

岐阜県だけで単純に捉えましても、だいたい毎年自動的に、福祉の分野というものはやめたというわけにはいきませんので、今の制度を前提にして高齢化が進む中で、毎年ざっと50億円近く当然増があります。その財源は、これまでのところは色々やり繰りをしながら捻出してきておりますが、これがずっと続いていくと、今の財源状況の中ではとても難しいということでございます。このことは、私自身もかつて、与謝野経済財政担当大臣が主宰しておられる財政研究会、これは自民党時代ですけれども、そういう場でも絵姿をお示しして申し上げたことがありますが、やはり地方にとっても、この財源問題は避けて通れない問題だと思います。

しかし何よりも、日本の福祉制度−国は何をやる、地方は何をやるか、そのことについてどれだけの財源がこれから見込まれるか、そういう中で今の財政状況を念頭に置いて、どういうふうに財源を用意するかというふうに議論を組み立てていくべきではないでしょうか。

それは国と地方の協議の場で議論する、当面ホットイシューだと思いますので、是非そういう場を実現していただきたいと思っております。新しい全国知事会長も、熱心にそうしたことを政府に要望しておられますので、私どもも同じ気持ちでおります。

記者 消費税から地方交付税に繰り入れる比率を引き下げるという報告も出ているようなのですが、それについてはいかがでしょうか。
知事

それは財源論としてですか?今の消費税は、地方が受け取る部分は特定財源ではありませんよね。国のほうは一定の目的に使うということになっています。その消費税の使い道が、国と地方では若干異にしております。これから消費税をめぐる財源論をやっていく時に、例えば増税分をどういうふうにどう回すかという時に、そういった辺りの議論も出てくるとは思いますけれども。

そもそも、大事なのはとにかく、社会福祉ということについて、これから高齢化社会の中で大変な勢いでコストが増えていく、これをどういう形で、国も地方も持続的な安定的な制度としてやっていくために財源を考えていくかというところが、あくまで出発点だと思いますので、そこからきちんと議論を重ねていったらいいのではないかと思います。

記者

今日また愛知県のほうで、以前から大村愛知県知事が言われていた長良川河口堰について、開門調査に向けての意見集約をやるという話があります。

知事のお考えは以前からお聞きしていますが、まず、愛知県の動きについてどのように見ていらっしゃるかということと、今後、県としてそういった動きに対して、何らかの反対意見なりのアクションを起こしていくことを考えていらっしゃるのかということをお伺いします。

知事

岐阜県の立場は前から申し上げているとおりですが、愛知県はここでこういうことに踏み切られたということですから、愛知県としての利害と言いますか、どのようにお考えになって、それについてこの調査の中でどのように検証していかれるのか、どのように議論をまとめていかれるのか、これは愛知県としての考え方を整理するためにおやりになるわけです。私どもとしては、議論の状況をしっかりと見守っていくということでございます。

まだ特に、岐阜県に対して、特段意見もおっしゃっておられませんし、愛知県は愛知県として、考え方を整理する上で、プロセスを経られるということについては、いちいち私の方からどうこういうことでもありませんし、よく見守っていきたい、フォローしていきたいということに尽きるのではないでしょうか。

記者 リニアの先ほどのお話で、そういった負担の話を議論する枠組みは、基本的にまず同盟会でやられるべきだということでよろしいでしょうか。例えば、もう少し広げて市町村会でやられるとか、その辺りをお聞かせください。
知事

まずは明日、同盟会の総会もありますし、JR東海から考え方を聞く場も同盟会としてやっているわけですから、まず同盟会で皆さんがどのようにお考えになるのかを聞いた上で、その同盟会の考え方を整理しながらその次に移っていくということです。

そこで、同盟会としてどういう議論、コンセンサスになるかで、また次の展開があるということではないでしょうか。

記者 では同盟会が、もっとたくさんの市町村、全県的に負担してほしいというような話になれば、それはそういった議論をしていくということでしょうか。
知事 そういった議論が出たら出たで、それでいくかどうか、まさに、まず同盟会として議論したらいいのではないでしょうか。
記者 同じ、費用負担の話でお伺いしたいのですが。
知事 場所が1つ決まっただけで、まだこれからです。この350億円という話もずいぶん前から出ている話ですし、急に何か切羽詰まった話ではありませんので。昨日今日、突然生じた話のような議論をされるのはいいかどうか、こういうプロジェクトは徐々に詰めていくものだと思います。
記者 先が見えてきたということですので。
知事 見えてきたといっても、環境アセスメントにまだ2年かかります。
記者 東濃の首長から、中津川は愛知県や長野県に隣接するので、他県の市町村なり、他県も戦略的に巻き込んで負担を求めていくべきだという意見が出ていますが、そうした他県を巻き込んだ枠組みというのは可能なのでしょうか。また、そういう腹積もりは、知事なり同盟会の会長としておありでしょうか。
知事 他県といっても、長野県は長野県で駅1つどこにするか、山梨県はどこにするかと、今までの流れの中でやっているわけです。
記者 現実的ではないということでしょうか。
知事

東濃は1つ、東濃に1駅ということで議論してきたわけでございます。今の議論は、私などから見ると、いいとか悪いとか言う前に、突然、突如出てきた議論というか。

前から申し上げておりますように、この費用負担の話というのは前々からあるわけでして、急に話が変わるわけではありませんので、これも含めてよく議論したらいいと思いますが、ただ、ずいぶん突然な議論というのが正直な感想でございます。

各県単位で同盟会をつくり、横の連絡も取りながらやってきているわけでございます。それから、他県と言った場合にどこまでを考えられるのか、誰がどこで線を引くのか、私はちょっと唐突な印象を受けます。

ここに至るまでにも、ずっと長い歴史があるわけでございます。各県ごとに同盟会があり、ついこの間、全国といいますか、愛知県知事を会長とする沿線の期成同盟会を東京で開催いたしましたが、そういう中でも一切、愛知県からも長野県からも山梨県からも神奈川県からも東京都からも一切、今のような話は聞いておりません。各県連携しながら、ずっとこれまで何年もやってきているわけですから、そういう議論は議論として承りますけれども、ひどく唐突な感じがいたします。

記者 他県ではなくて、国に対してなのですが、JR東海は昨日の会見でも、全額地元負担を求めるという考えに変わりはないとおっしゃっています。一方で、国に対しては、今回のリニアに関して、これはやはり一定程度の負担はすべきだと知事はお考えでしょうか。
知事

今のお話にも関連しますが、地元負担の問題は、岐阜県対JR東海の話だけではありません。これは沿線各県共通の問題でもありますし、そういう意味では、全体を通じてどう考えるかという議論が常にございます。

そういう意味では、国の先だっての答申は、先ほど申し上げましたように、まず地方とよく議論しろ、地域とよく議論しろ、場合によっては国も議論に入るという話でございますので、そういう流れで理解しております。

それから、国に対してはつとに、全額地方負担というのはとても無理な話だ、難しいということは、JRに対して申し上げるのと同じように申し上げております。ただ、そこから先、では直ちに国として何をしてくれですとか、そういったことは今までにまだ申し上げておりませんので、これから議論が深まっていくプロセスの中で、色々な機会に我々の立場は申し上げていきたいと思います。

それから、この費用負担の問題は、何となく市町村対県ということで、今日などは議論がありますが、それもさることながら、岐阜県、長野県、山梨県、神奈川県が連携しながら、地元負担とJR東海の負担の問題ということで議論を深めていかなければならない面もあります。そちらの側面もあるということも大事だと思います。

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