ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 分類でさがす > 県政情報 > 知事 > 知事記者会見 > 知事記者会見(平成22年11月10日)

本文

知事記者会見(平成22年11月10日)

記事ID:0007652 2015年9月10日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

平成22年11月10日(水曜日)午後3時

知事

私の方からは、研究開発に関する案件を申し上げたいと思います。

お手元にカラー刷りの一枚紙、横長の紙をお配りしておりますけれども、私どもとしては地域産業の成長分野への展開、あるいは地場産業の活性化ということで、研究開発という観点からいろいろと取り組んできております。特に国の大型プロジェクトも利用しながら、産学官連携で研究開発プロジェクトをやっていくということで、いろんなものがあるわけでございますが、体系的に整理したのがこのカラー刷りの紙でございます。

今日、御報告したいのは2つございまして、1つは「環境調和型セラミックス新産業創出」プロジェクトです。資料の右の方に緑の四角でお示ししておりますが、これは文部科学省の事業採択を受けて、県内の陶磁器産業の高度化・活性化を目指して平成20年度から3年計画でやってきておりまして、今年度が最終年度ということでございます。今日あちらに展示しておりますけれども、成果物の一部をお持ちしておりますので、また後で見ていただきながら御報告をさせていただくということでございます。

それから2つ目が、資料の上の方に緑色でお示ししておりますが、「ぎふ技術革新センター」というものでございまして、従来、「ぎふイノベーションセンター」という仮称で御紹介してきたかと思いますが、23年度からスタートするということで、現在整備中でございます。産学官による仕組み作りといいますか、研究開発の拠点作りということでございまして、この2つについて御報告するということでございます。

まず、第1点目の「環境調和型セラミックス新産業の創出」というのは、縦長の資料でお示ししておりますが、美濃焼は全国的に量的なシェアでは依然として第1位を保っておりますけれども、出荷額は減少の一途を辿っているということで、特に近年安い海外製品に押され続けているということでございます。そうした中で、新しい分野を切り開こうということで、研究開発と事業化を進めてきたということでございます。平成20年度から13.2億円という予算で、名古屋工業大学、岐阜大学等の大学、あるいは研究機関10機関と、陶磁器・セラミックス関連企業30社が参画してやってきておりまして、食器から始まって工業用のファインセラミックスまでいろんなことをやってきております。

今回用意して展示させていただいておりますものは、軽量強化磁器とリサイクル食器の2種類でございます。いずれも岐阜県のセラミックス研究所が中心となって研究開発を行ってきたということでございます。

軽量強化磁器につきましては、概ね従来の強化磁器の2割程度軽量化しておりまして、その一方で曲げ強度は一般の食器の2倍ということでございます。そういうものが出来上がったものでございまして、これを今後量産化していくということで、給食用、業務用等食器を大量に扱う用途での製品化を目指していこうということでございます。また、強化磁器ではありませんけれども、軽量磁器という点だけで見ますと既に技術移転が終わっておりまして、概ね従来の食器より2割軽い軽量食器が、まさに「軽量食器」という名前で土岐市のメーカーから販売が始まっているということでございます。

それから、もう1つがリサイクル食器でありますが、「GL21」というスローガンでやっておりまして、GLというのはグリーンライフという意味です。県のセラミックス研究所が中心になりまして、従来からリサイクル食器はあったわけでございますが、廃棄された食器を潰した廃材の配合量が2割くらいだったものを5割に増やすということで開発を進めてきたということでございます。それからCO2削減という観点から粘土を焼く温度を下げる方法についても研究開発をしまして、燃料の消費量を17%〜33%削減するというところまでこぎつけたということでございます。そういう意味でこのリサイクル食器は、一方で廃食器の配合量を大幅に増やし、他方で食器を焼く際の燃料の消費量を大幅に減らしたということで、実用化に向かって第一歩を踏み出したところでございます。

それから2つ目が、同じく縦長の資料でございますが、「ぎふ技術革新センター」ということでございます。私ども岐阜県長期構想において、航空機産業、環境調和型製品を製造する産業、医療機器産業といったようなモノづくり産業の振興を重点施策に掲げてきておりますが、そういったことを踏まえて、関市にある岐阜県の機械材料研究所の敷地の中に新たに「ぎふ技術革新センター」というものを作ります。そこを産学官の活動の拠点として、共同研究、あるいは人材育成、それから40種類にわたる機器の共同利用といったようなことをやろうということで、プロジェクトとしては19億円の規模のものでございます。

お手元の資料の中に、「素材成形」から「品質評価」までありますが、特に素材、部材の一連の製造工程について、一貫した評価設備といいますか、製造・加工・評価設備を備えているというのが特徴でございまして、こういったものを活用して県内産業の技術力向上を支援するということでございます。このプロジェクトは、産業の中核が川崎重工業、産学の学の中核が岐阜大学、それに県ということで、三者で既に今年の4月に基本協定を結んでおります。この三者を中心に、このセンターの運営協議会ということで、他の大学ないし研究機関、あるいは他の企業等々にご参加をいただくということで準備を進めてきているということでございます。それから、全体会合に加えて、テーマ、技術を絞った技術研究会も年内には設置して、具体的な研究活動に入ろうと、そんなことでございます。

9月1日に東海三県一市の知事・市長会議がございましたが、そのときにもこうした各自治体の研究開発拠点を相互利用するということで、広域連携という話も出ておりました。私自身も積極的にやりたいということで申し上げておりますけれども、そういう意味で、相互連携のテーマとしてもこの拠点を活用していけるのではないかということでございます。

私の方からは以上でございます。

記者 まず、昨日政府が閣議決定しましたTPPについてお伺いしたいのですが、改めてなんですが、TPPへの参加への是非について知事としてどう考えるのか。それからその影響、農業のみならず、県内産業への影響についてどう考えるのか、見解をお伺いしたいのですが。
知事

このTPPについて昨日の閣議決定というのは、情報収集のための協議を始めるということを中心に、関係国との協議を開始するということでございまして、総理も開国と農業再生を両立させるんだと、こういうことをおっしゃっておられるわけです。私自身も前回申し上げましたけども、大きな流れとして、この日本が貿易立国の国として、こうした流れの中で関わっていくというのは、一つの方向性だろうというふうに思っております。

それと同時に、こういうものはまさに、交渉して合意をして成り立っていくものですから、100か0という話ではありません。やはり国内の影響を十分見極めながら慎重に取り組むべきところは慎重に取り組み、交渉の中ではいろんな条件とか留保とかいうこともあろうかと思いますが、そういったこともやっていく必要があるだろうと思いますし、積極的に評価できるところは評価していくということだろうと思います。来年の6月を目処に方針を決めるということでございますけども、なんといっても懸念されるところは、おっしゃるとおり農業分野かと思いますので、自給率の向上を掲げている我が国として、このTPPについてどういう影響があるか、そのために農業政策をどう展開していくのか、日本の農業の強化策、構造改革をどうしていくのかとか、そういったことを十分に議論しながら考えていく必要があるのではないかと思います。大きな流れとしては、私はその方向にあるのではないかと思いますけども、やはり一つ一つ、そういった影響を慎重に見極めながらやっていくということが大事なのではないかというふうに思っております。

記者 それに関して、県内農業または産業への影響の試算というのは県としてやっているのですか。
知事 国の試算もいろいろあります。今出ているものは各省バラバラで、どういう計算をしているのかということで根拠を聞いているところですが、まだちょっと定かではないものですから、国のやり方、数字のはじき方も参考にしながら、私どもも考えていかなければいけないなと思っております。現時点ではまだ具体的な数字は持っておりません。
記者 続いてもう1点ですが、先日8日に開かれた笠松競馬の運営推進協議会で、賞金・手当の40%削減案を提案されました。この案について、受入れの可能性を、知事としてどう考えているのかと、交渉の進展具合はどうなのか、そこの点をお聞かせください。
知事 あれは提案というよりは試算というふうに申し上げておりますけれども、要するに税金投入はできないということでございますので、競馬の収入の範囲内で、どういうふうに収支を均衡させていくか、現時点で明らかになっている歳入対策、歳出対策をずっと並べていった中で、一番大きな固まり、赤字を補っていく上で必要な固まりとして、諸々の人件費を含めた諸経費、あるいは賞金代というものがありますので、1つの試算として、4割カットすれば、こういう姿になりますよ、ということを申し上げたわけです。そういう中で、それがどうしても難しいということになれば、他にどういう手だてがあるのかということで、いろいろな御意見も、この間いただいたわけであります。短期的にすぐ効果が出るとはなかなか思われないものもありますし、まずはやってみてもいいのではないかという御提案もありますし、今ちょっとそこの整理をして、そして個々のジャンルごとの関係者の方々と、いろいろ担当ベースで御相談をしていこうというふうに考えております。その上で収支として、辻褄の合うプランが出せるかどうかという所を見極めていくということで、そうした流れになろうかと思います。タイミング的には、いくつかの改革について、12月から実施というものもございますので、何とか今月一杯には補正予算案という形でお出しできればという、そんなスケジュール感覚で、これから精力的にやっていきたいと思っております。
記者 行政委員の報酬の事で、お伺いしたいんですけれども、4月の時、知事会見で見直したいというような方針を示されましたが、その後の進展具合というか、現状はいかがでしょうか。
知事 私どもとしては、来年度からスタートできる形で、見直しの結論を出したいというふうに思っております。そうなりますと、条例改正が必要になりますので、12月議会か、あるいは3月議会か、いずれかにお諮りできるような形で、見直す作業をしておりますので、そのどちらかになるか、ちょっと現時点では申し上げかねますけれども、全体を見直す作業は進んでいるということです。その結果として、目標として、4月1日から見直した結果に沿って適用できるような形に持っていきたいと、条例改正を持っていきたいというふうに思っております。
記者 見直しの方向としては、日額も視野に入れるというか、その方向だったかと思うんですけれども、4月1日からの体制としては、現状の月額ではなくて、日額という方向ということでしょうか。
知事 委員会ごとに実情も違います。それからその後のいろいろな判例も出ておりますけれども、月額を認めるタイプの判例がこのところ幾つか出ているわけです。そういった判例も見ながら、私どもとしては、それぞれの委員会の状況に応じて、どちらがふさわしいのかということで見極めていきたいと思っております。全部一律に片方に寄せるということには多分ならないと思います。
記者 行政委員の報酬に関して、月額がおかしいのではないかと提訴されていますけれども、行政委員についてはそのどちらになりそうかという見通しはもう立っていますでしょうか。
知事 ですから行政委員の性格、紛争処理的なものとか、あるいは危機管理的な事も含めて、いろいろな場面で、単に行政委員会という会議をやるだけではなしに、恒常的に仕事をしていただくというか、資料を読んだり、判断をしたり、打合せをしたりというようなものとか、いろいろございますので、全部日額の方がいいとは必ずしも言えないのではないかというふうに思っております。そこら辺はよく見極めたいということであります。逆に、明らかにこれは日額の方が実態に即しているのではないかというものについては、やはり日額の方で考えていくということで、どのあたりで線を引くかということです。ただ、いずれにしてもどの委員会も、委員会を開く日だけ仕事をしていて、あとはやっていないということはありませんので、いろんな打合せやら、いろんな面で会議の事前事後にも煩わせるところもあるわけですので、そういったことをどう判断していくかということだと思います。もうちょっと結論はお待ちいただければと思います。
記者 笠松競馬に関してなんですが、仮に、示されたいくつかの試算のうちの一つを前提とした改革をやっていくという判断をした場合、早いものなら12月から賞金の削減等々が始まると思うんですが、それを採択した場合というのは、当面の間、少なくとも笠松競馬については存続、少なくとも今年度もしくは来年度については存続させるという意思決定という理解でよろしいでしょうか。
知事

私としては対策が遅れれば遅れるほど事態が厳しくなると考えておりますので、この間お出ししたものも含めてコンプリヘンシブな(包括的な)補正予算案という形で12月の競馬開催から適用できるようにするのが一番望ましいと思っております。もちろんそれぞれの方の御意見もありますから、そこは丁寧に議論していかないといけないと思っております。

これから限られた時間の中で、今年度の12月開催以降の補正予算作りをして、それでその補正予算が成り立てば、それで今年度はやっていけると。やっていけないような補正予算は作れませんので、これならやっていけるというギリギリの補正予算をできるだけ早く作って12月から実施していきたいと思っております。今年度の話は、もちろん12月、1月、2月、3月と、事態が急変することも万が一ないとは限りませんので、それはそれで慎重に見ていく必要があります。事情の変更があればまたそれに合わせて見直していくということもあろうかと思いますが、4か月という期間がありますから、おそらく補正が終わったら、今度は、23年度はどうするかという作業に本格的にかかっていくということになるのではないかと思っております。

時間も限られておりますので、まずは22年度補正予算というものがどこまでギリギリ作成可能かというところを追究していくということだと思います。

記者 TPPに関して、先程、農業への影響とか、参加した場合の試算はまだこれからということですが、農業に限らず製造業も含めていろんな業種を県内抱えていらっしゃる訳で、総合的に色々判断しなければいけないと思いますが、いろんな部局に関わる話だと思うので県庁として検討組織とかの立ち上げを考えていますか。
知事 国自身が今、情報収集と言っているわけで、昨日発表された方針のもとで事務方の会合に初めて顔を出した訳です。すでに手を挙げている方々のインナーサークルでどんな議論がなされているか、初めて顔を出したというのが昨日の段階ですから、そこをスタートにこれからいろんな議論が始まるでしょうし、その場でいろんな注文も出るかもしれません。そういう中で国からの情報を積極的にフォローしながら、県内でどう考えていくのか、あるいは県の立場として国にどう申し上げていくかというようなことを検討していくということなので、ちょっとまだ直ちに本部をつくって、どうしてこうしてというよりは、国の収集する情報を、まず私どもとしては収集しなければいけないと。例えば昨日どんな議論をされたのか、どんな程度のことをやっているのか、今は全く分かりませんので、いわば、協議の熟度をよく見極めたいと思っております。そこから始めると思います。
<外部リンク>