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知事記者会見(平成22年11月2日)

記事ID:0007635 2015年9月10日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

平成22年11月2日(火曜日)午後3時

知事

私の方からは4件ご報告させていただきます。

順不同ですけれども、まず岐阜県とイオンとの連携のお話でございます。休み明けの明後日、各務原のイオンショッピングモールで、包括連携協定を結ばせていただくということでございます。都道府県では、この種の提携を、大阪、山形、三重、それから今日宮城県が結んでいますので、全国で5番目ということになります。

これまで災害時の生活必需物資の調達とか、それから食育・環境保全とか、イオンとはいろいろと協力をしてきておりますけれども、今回は包括提携協定ということで、さらに幅の広い密接な取り組みを進めていきたいということであります。

1つの目玉が「ぎふすまいるWAON」という、言わば電子マネーで、これを12月8日から県内ではジャスコ6店舗で販売をする予定になっております。地域WAONの発行というのは、既に大阪府とか、市町村では名古屋市、県内では白川村など全国で15種類ありますけれども、今回岐阜県としては、利用額の0.1パーセントがイオンから岐阜県に寄付されてそれを福祉に充てるということでありまして、福祉目的の地域WAONというのは全国で初めてでございます。当面私どもは、特別支援学校のバス運行経費とか、そういったことに充てることを念頭に置いているわけでございます。この手の電子マネーが今急速に拡大してきておりまして、そういう意味で、イオンも自分の店舗だけではなしに、例えばコンビニのファミリーマートとか、ファストフードの吉野家とかマクドナルドとか、そういった所でも利用できるということで、大変使い勝手の良いカードが想定されております。いろいろとその他、地域のスタンプラリーとか商店街の共通ポイントカードとか、いろいろと発展する可能性がございますので、その1つのスタートとして私どもとしては期待をしているということでございます。

それから、県産の農産物を使った商品開発とか、弁当総菜の開発でありますとか、それからイオンのショッピングセンターに出ておりますテナントと、県内農産地とのマッチング商談会でありますとか、都市部のイオン店舗における観光キャンペーンでありますとか、防災啓発イベントの実施でありますとか、あるいはジャスコでの高校生のインターンシップの受け入れとか、いろんなことを予定しておりまして、別添資料のとおりでございます。

この協定を機に、ぎふ清流国体・ぎふ清流大会に向けて、オフィシャルスポンサーとしてイオンから500万円ご提供いただけるということで、有難く思っている次第でございます。

それから、この記念の催事ということで、このイオンの各務原ショッピングセンターで岐阜県フェアを開催させていただくということで、1階のショッピング売り場で『ご当地「岐阜」うまいもの』ということで、スイーツ、食品等々を集めたものを置かせていただいております。それから、1階の中央のサニーコートという所で、明日3日から岐阜をPRするパネル展『きて、みて、さわって!岐阜県の魅力再発見!』という催事を行うことにしておりまして、観光PR、それからぎふクリーン農業、国体、まちづくり支援、いろいろなところをPRしたいということでございます。

明後日の12時半から、イオン本社の岡田元也社長、岡田克也さんのお兄さんにあたるわけですけれども、おいでになりまして、協定書の調印式をやらせていただくわけでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

それから2番目が、石川県とのバイの知事懇談会ということでございまして、今週金曜日に白川村の合掌造り民家園という所で懇談会をやろうと思っております。平成20年度に郡上の古今伝授の里でやりまして、谷本知事においでいただきました。昨年は私が金沢の兼六園の方に参りまして、今回は3回目になりますが、こちらにおいでいただくということでございます。

既に、環白山観光とか、防災ヘリコプターの連携協力とか、それから白山スーパー林道の活用とか、いくつか一緒にやってきておりますけど、今回、そうした成果も踏まえながらさらに広域観光を、より一層連携を持ってやっていこうということでございます。それから口蹄疫等の対策についても協力連携をしていこうということですし、あるいは先の県議会でも議論がございましたけれども、両県にまたがる白山の遭難防止対策とか、そんなことについて意見交換をさせていただきたいと思っております。

それから、白川村の荻町集落に「長瀬家」というのがありますけれども、ここを今回、一緒に視察をしようということになっております。この白川村の長瀬家というのは三代目の当主が加賀藩の藩医であったということで前田家に大変引きたてられて、約500年前の壮麗な仏壇や、蔵を丸ごと一棟譲り受けたということで、石川県ゆかりの、加賀藩ゆかりの長瀬家もちょっと見ていただこうということです。それから、しばしばこの場でもお話しておりますが、iPhoneをかざすと、そこに観光スポットやいろんな紹介等情報が出てくるという、セカイカメラというものがありまして、これを今回この白川村で、実演といいますか、それを見ながら一緒に回るということも考えております。金曜日の2時から4時まで一緒に懇談をし、回らせていただくということでございます。

それから、3番目がグリーン・ツーリズムです。都市と農村の交流を深めるということで、グリーン・ツーリズムというのはいろんな所で行われておりますけれども、中山間地振興策の1つの柱ということで、私ども考えているわけでございます。今回、別添資料にありますように、全国グリーン・ツーリズムネットワークの第9回大会がありまして、岐阜と三重で、いわば共催という格好でやることになります。分科会をそれぞれの県でやって、そして各県ごとに全体会をやって、最終的には岐阜市で総合全体会をやるという3日間の段取りでございます。

私どもとしては、このグリーン・ツーリズムの指導者の人材育成とか、それから体験交流施設の整備、支援でありますとか、それから農家の民宿といったような体験施設の登録制度でありますとか、いろいろこのグリーン・ツーリズムの受け皿作りをやってきております。それから、「ぎふ一村一企業パートナーシップ運動」といいますけれども、農村と企業、大学、NPOが交流を進めるということで、そうした取り組みを行う企業等を登録しようという制度を今進めさせていただいております。すでに高山市とか郡上市は10年以上の受け入れ実績がありまして、全国的に見ても先進地でありますけども、ずいぶんと県内の裾野も広がってきておりますので、この第9回全国グリーン・ツーリズムネットワーク岐阜・三重大会を契機に、さらにこうした取り組みを強化したいということです。別添資料にもありますけれども、「受入体制づくり」と「情報発信力の強化」というこの2つが大事でございまして、そういう観点からいくつか政策も考えているということでございます。この1枚紙にその辺の政策関係が書いてありますのでご覧いただければと思います。

それから、最後に4番目ですが、最近よく「龍の瞳」のPRをさせていただいておりますが、今日は「龍の瞳」ではありませんで、新しい「ハツシモ」を今年から販売することになったということでございます。岐阜県における作付け品種はハツシモ36%、コシヒカリ32%、ひとめぼれ8%等々ということでございまして、最も作付されているこの「ハツシモ」という品種は、他県ではほとんど栽培されておりません。岐阜県のオンリーワン品種でございまして、県の農業技術センターでいろいろと品種改良してまいりました。いろんな調査、チェックを経て、このたび品種改良された「ハツシモ」が生まれたということで、60年ぶりのリニューアルということでございます。この秋、本県で収穫され、販売される新米の「ハツシモ」は、全部新しい「ハツシモ」、新しい品種になるわけでございます。清流国体のミナモをあしらった米袋を作成いたしまして、大いにPRしたいということでございます。大粒で、味が良くて、それから炊いた後冷めてもおいしいということで県民には親しまれているわけでございますが、生産面では縞葉枯病という病気に弱いものですから、収量が安定しないという欠点がありました。その欠点を克服して、今までの「ハツシモ」の味、特性を維持するということでできあがったのが、「ハツシモ岐阜SL」という新しい品種でございまして、いろいろとテストをやってきた結果、いけると、かつ試食をお願いしても従来のものよりも高い評価を得たということで今年からフルにこの新しい「ハツシモ」が登場するということでございます。

この米袋のミナモのデザインは、県内で応募しました作品の中から、小学校5年生の臼井美羽さんという方の作品で、先日農業フェスティバルでも表彰させていただいておりますが、ミナモが法被を着ている様子が、お米の販売イメージにあって大変いいのではないかと、そんな評価をいただいております。

今日から県内のイオン、生協等の主な量販店で販売を開始いたしますし、秋でございますので、各地域で農業祭等いろんなイベントがありますが、そういった機会をとらえて販売をしていくということでございますので、ご紹介をさせていただきました。

私の方からは以上でございます。

記者 資料以外になるんですが、先日政府が事業仕分けの第3弾ということをやられて、4特会8事業を廃止するということでした。今回の第3弾の事業仕分けの評価と、廃止された事業について県に何か影響があるのかという点についていかがでしょうか。
知事

一般会計が92兆円、特別会計が176兆円という、これだけの規模の特別会計についてその必要性とか、特定財源で特定歳出というシステムが本当にふさわしいのかとか、あるいは不要な資産、隠れ借金がないのかとか、本当に国がやる必要があるのかと、いろんな観点から今回議論が積極的になされたということで、こういう特別会計にも切り込んでいくということはそれはそれでよかったんではないかと私は思っております。

そういう中で、私どもへの影響という意味では社会資本整備事業特別会計について、廃止し一般会計化するということが決まっておりまして、特に治水事業と道路整備事業については、要求額の1割ないし2割圧縮する、一般会計に移した後圧縮するという結論になっております。従来、社会資本整備事業特別会計では治水事業、道路整備事業とも、大規模な国の事業についてやっていたわけなので、例えば東海環状自動車道の西回り区間の整備もここから出ているわけなんですね。ということで、一般会計に移してかつ圧縮するということで、さて私どもが期待しております西回り区間の整備とか、あるいは東海北陸自動車道の4車線化とか、こういったことがどういう影響を受けるのかというところに大変関心がありまして、少し心配をしております。

先だって馬淵国土交通大臣のところへお邪魔しました時ですが、ちょうどこの結論が出た直後に大臣室に入りましたので、今こういうことになったそうですが、と言って私から切り出しましたら、大臣もちょうど聞いたばかりのようでして、ちょっとこう、なんといいますか苦い顔をしておられました。何もおっしゃいませんでしたけれども、私の印象としては苦い顔をしておられましたし、国交省のスタッフの方々も皆さん一様に苦い顔をしておられました。これからこれがどのように影響するのかをよく注視しながら、真に必要な社会資本整備という観点から、必要に応じて意見も言っていきたいと思っております。

それから交通安全対策特別交付金勘定、これは交付税・譲与税配付金特別会計の中の一勘定ですが、これを廃止して一般会計に統合すると言っておるわけです。今までは交通反則金納金、これを財源にして交通安全対策ということで、全都道府県に交付して、信号機とか道路標識とか、つまり交通違反のお金でこういう信号機、道路標識をつくってきたという流れでありますので、さてこれを一般会計に統合するのはいいんですけれど、こういうきめ細かな交通規制にかかわる必要な予算というのがどうなるかと、これもよく見極めていく必要があると考えております。

それから、県に直接ではありませんけれども、瑞浪市に超深地層研究所があります。その関係で、瑞浪市とそれから瑞浪市に隣接する恵那市、土岐市、可児市、御嵩町、八百津町といったところに、今年度でいいますと総額で16.6億の電源立地地域対策交付金というのが交付されております。これも諸々見直す中で、1,2割を目途にして予算を圧縮という結論になっておりまして、そうすると現行の交付水準が維持されるのかどうか、金額的な心配があるということで、そこら辺が当面私どもがざっと見て影響が懸念されるところでございます。

記者 あともう一点なんですが、8日に笠松競馬の運営協議会が開かれる予定なんですけれど、県側としては先日おっしゃっていたどんなシナリオを提起する予定でしょうか。
知事

今いろいろと精査をしておりますけれども、改めて見てみますと、平成16年度まで一貫して赤字基調で、特に12,13,14,15,16、この辺5年間くらい、構造的に5億円前後の赤字を毎年垂れ流してきたということです。そういう赤字体質の中で、17年度から若干の黒字になってきておりまして、17,18,19,20と4年間は若干の黒字になって、それで基金も少しずつですけれども積み増しをしてきております。21年度は例の地主さんの訴訟がありまして、過去に遡って和解した金額で土地代を払いましたものですから、それが億のオーダーを超えておりましてマイナスになっておりますけれども、そういう問題よりも、ややトレンドとして馬券の売り上げが落ちてきているということで、特に今年度に入って落ち込みが大きくなっています。こうしたここ数年間の財政構造を見て、17年度以降なんとか黒字にしてきたのはどういうことでやってこられたのか、どういう工夫をしてやってこられたのかというようなことの分析をしたうえで、今年度もう10月末まで一応終わっているわけですから、残り11月以降、5か月間をある幅の中で見込むとどういう収支になるかということです。今、財政補填のための基金としては、6,500万円ですから、その基金で賄えるのか、賄えないのか。賄えないとすれば、これからあと5か月でありますけれども、どういう収支改善策が取り得るのか。ぎりぎり今年度末乗り切れるシナリオが書けるのかどうかということで、そういう試算みたいなものを、こうするんだという結論とか案をお出しするのではなしに、このままいくとこうなります、それを乗り切ろうと思ったら、歳入歳出、こんな所でこんな努力をしないとやっていけませんねと、さてどうお考えになりますか、という問題提起としての試算値をお出ししようかということです。

それから、あわせて23年度についても、どういう馬券の発売収入を見込んで、どうなればさらにどの程度、対策を深掘りしなければいけないかと。その対策の深掘りとしては、どんな事が考え得るのか、それで果たして間に合うのかどうかと。なけなしの財政調整基金で対応できるのかということで、これまた同様に、これだけの事をしないとやっていけないが、さあどうしましょうかと、どうお考えですかということで、色々な改革のお知恵をいただきたいと思います。歳出カットといっても、本当にどこまでやっていけるのかということもあるでしょうし、この協議会は、ほとんどありとあらゆる立場の方々に入っていただいておりますので、率直に、ざっくばらんに、そういう試算値を見ながら、22年度の乗り切りの見通し、23年度の見通し、色々な角度から議論をしたいと思っております。8日は、そういう議論をまず率直にさせていただいて、どんなふうなご意見が出るか、見極めた上で、その次の段階の議論を、またそこで考えたいと思っております。

いずれにしましても、何と言っても今年度乗り切らないことには、その先は無いわけなので、あと5か月ですし、目先の事ですから、そこはきっちりやっていきたいと思っております。

それから農水省にも、制度見直しとかいろいろ言っていますけれども、法律改正がいるものはすぐにはできませんので、今年度はそういう事をあてにしてはできません。今年度乗り切るために確実にできるものは何かというところを見定められればというふうに思っております。

それから23年度は、厳密に言えば、12月から1月にかけて、23年度予算の編成をするわけです。そして、その上で運営推進協議会にお諮りするわけで、運営推進協議会でも議論し、競馬組合の議会でもお諮りするわけなので、厳密に言えば作業の中に入っていきますけれども、今回、危機感の中で、22,23年度と両方あわせて議論させていただこうということです。もちろん24年度以降もあるんですけれども、まずはちょっとそこまで先へ進むほどの余裕が無いものですから、間近なところから1つ1つ乗り切り策を考えていくというイメージになろうかと思います。ですから結論ありきではありませんし、A案、B案、C案という提案をするわけではなしに、試算値とそれに則ったシナリオをご提起して、それについて、その試算の仕方、シナリオのあり方も含めて、ありとあらゆる議論をしていただこうと、こんなふうに考えております。

記者 先週木曜日ですけれども、経済産業省に行って、御嵩町の陥没に関する要望をしてきたと思うんですけれども、その時の感触というか、手応えと今後の展望について、お聞かせください。
知事

先週、大臣が東アジアサミットに、総理と一緒にベトナムにお出かけになる直前で、非常にお忙しい中でしたけれども、相当ご無理をお願いして、朝8時から時間を分けていただきまして、御嵩町長と一緒に出かけました。そう意味では、経産省も非常に重要視している姿勢はうかがえました。それから今回、事故が起こった翌日、直ちに経済産業省として特定鉱害の認定をされました。それですぐ復旧のための作業が始まっておりますが、被害の翌日に認定というのは滅多にないことなんです。そういう意味でも、積極的に取り組んでいただいているということは感じたわけであります。

私どもの方から、状況を詳しくお話すると同時に、対策として、今の復旧事業制度に基金がありますが、その運用に非常に堅いところがありまして、例えば公共事業による原状回復以外には一切お金を使えないということなものですから、そこに住んでおられる方々のお気持ちを汲んで、もう少し柔軟な使い方ができないか、金銭補償も含めて柔軟な使い方ができないかというお願いをしてまいりました。それから今度の事故はちょっと過去にない規模の事故でして、これまでは毎年、多い時は10件前後、少ない時でも2,3件ずつ陥没があるんですけれども、この5億円の原資の金利の範囲内で復旧事業を賄えてきたわけです。今回はまだ厳密には確定しておりませんけれども、おそらく億のオーダーで、復旧事業費がかかるということでございますので、金利ではなしに、原資を取り崩さなければいけないものですから、そうするとその先の事について非常に不安が生ずるということで、この基金について、十分な資金の確保をお願いしたいということが2番目です。

それから3番目に、事故が起きて原状回復ということに、この基金を使うことになっておりますが、一気にすべてをということは言っておりませんけれども、学校とか、病院とか、避難所とか、公共的な重要性の高い施設について、廃坑が確認され、非常に危険があるという場合に、予防的な地盤対策事業を、この基金制度の下で実行できるようにしていただけないかということ。そうなると、そのためにも、基金の充実というのがさらにまた出てくるんですが、一応その3点をお願いしました。

大臣の方からは、今回の事故については、大変心を痛めているということと、ご出身が茨城県で、常磐炭坑をめぐって色々な出来事も十分承知されておられますので、そういう意味で、私どもも申し出の主旨はよく分かると、よく理解できるということですが、さて具体的に、今度は要求内容について、1つ1つどこまで何ができるかということは、検討させてくれと、十分検討したいと、こういう話でございました。そういう意味で、ボールをしっかりと経産省にお渡ししてきましたので、私どもとしてはできるだけ早急にしっかりとした結論をいただきたいというふうに思っております。今ちょっとお待ちしているところです。

記者 ちょっと前の話ですが、広域連合についてお伺いしたいんですが、関西で広域連合が発足する予定でして、ただ中部ではこういう動きは今のところ無いかと思うんですけれども、広域連合の必要性について、知事はどのようにお考えでしょうか。
知事

今、関西では広域連合ということですね。それから、九州は広域連合ではなしに、もう少しフレキシブルな、現行の地方自治法で規定するものとは別の協議体といいますか、連携組織みたいなものを作ろうかという議論をしておられます。今の民主党の地域主権推進という中で、出先機関を原則廃止して、大幅に国から地方に権限を譲っていこうということになりますと、県単位、市町村単位で受けられる仕事もありますが、もう少し広域的な、国の出先機関がやっておられるような県境を越える広域的なものについて受け皿がなければ権限移譲ができないではないかと、あるいは出先機関の廃止もできないではないかという議論に対して、どう対応していくのかというのが基本的な問題意識であります。しかし、こういう動きが出てまいりますと、道州制とどういう関係になるんだとか、思い、思惑はどうなっているんだとか、それから広域連合というのは地方自治法に認められた制度でありますけれども、広域連合の議会があり、代表者がおり、それから広域連合特有の予算を編成するということになるので、かえって手続きや意思決定が、より重層的になるというか、重たくならないかという議論もあります。知事会で議論をしますと、今、制度がそうなっているからそれを活用するということではありますけども、この広域連合という仕組みは、手続き的に非常に重たい、手間ひまのかかる仕組みなものですから、もうちょっと皆さん、柔軟にやりたいという思いはあるんですが、関西は関西で踏み切られたと。しかし、そうは言っても奈良県、三重県、福井県は参加をしないとか、鳥取県、徳島県は部分参加と、ちょっと複雑になっていますし、政令市は今のところ手を挙げておりませんので、その部分も抜けております。どんなふうにやっていくのかというところで、別に広域連合と言わなくても、県境を越えた連携でかなりのことができるのではないかということもあります。先ほど石川県との連携というお話をしましたけれども、岐阜県は富山県などいろんなところと連携した取組みをやっておりますが、そういうように、いろんな議論があります。今ここで起こっている根っこのところは先ほど言いましたように、地域主権で国から広域的な権限を受け取る受け皿をどうするかということです。

そうすると、中部地域で言いますと、中部圏知事会議というのがあって、中部9県、今回、関西に入られた滋賀県も入っています。それから三重県、長野県も入っています。このような中部9県がありますし、一方、北陸という圏域もありますし、それから東海三県という括りもあります。治山治水事業であれ、道路であれ、いろんな国の事業をみてみますと、中部圏の場合には、テーマごとに関連する県が複雑に絡み合っていまして、こういうふうに括って、中部圏で連合体を作れば全ての受け皿になりますよというようにはなかなか言いにくいというところがあります。一体どういう権限を国からもらえるのか、取っていくのか、それにふさわしい受け皿は何なのかと言った時に、ケースバイケースでもいいじゃないかという議論から、広域連合という堅い組織はどうかという議論までかなり幅がありまして、まだ今中部圏、東海も含めて正面切って議論はなされていないというのが現状であります。バイの知事懇談会の機会にお目にかかったりしておりますし、それから中部圏知事会議も11月下旬にありますし、おそらくこれからもう少し、この受け皿論議に我々の地域としてどう対応していけばいいのか、ということについて、知事のベースで、あるいはもう少し事務方のベースでも議論が進むんではないかというふうに思っております。それから、それと並行して国の方では一括交付金化の議論もありますけれども、出先機関の見直し、権限委譲というのは議論が進みますので、そこを睨みながら、どうやるのが一番ふさわしいのかこれから議論していくということではないでしょうか。私としては、そういう意味で何のために、何をやる、それにふさわしい仕組みということを率直に議論すればいいのではないかと思っています。

記者 御嵩町の亜炭廃坑の陥没の件について聞きたいんですが、知事も言われているように、5億円の原資では不十分だと思うんですが、新年度予算に向けて結構大詰めになってきているんですけども、何らかの措置を要望されるのか、そのことについてはいかがお考えでしょう。
知事 新年度予算と言わず、何予算と言わず、今回、間違いなく、これまでの金利で賄うやり方ができなくなって原資が減ることはほぼ間違いがないことなので、この減っていく原資をどうするかということについて、きちっと議論する必要があると思っておりまして、そういう意味で申し入れをしたわけです。今の原資は、国9割、県1割というバランスで積んできておりますので、国としてどう対応されるのか、私どもとしてはとにかく積み増しをとお願いしておりますので、どういうふうにお考えになるのか、順番に議論していくということだと思います。ただ、国としては全国いろんな地域もありますし、そういう横並び的なことも含めて、今のこの制度が出来上がってきた過去の経緯も含めていろんな角度から検討したいとおっしゃっています。まず、ボールは向こうにありますので、どういうボールが返ってくるか、そこから議論を始めようかと思っています。
記者 TPPへの参加についてですけども、県内の農業への影響も含めて、知事としてどのような考えをお持ちか聞かせていただけますでしょうか。
知事 このTPPについては、この間の10月議会で、全党一致で、県議会としては意見書を出されまして、安全安心な食の確保、あるいは農業の多面的な役割を維持できるように、きちんとした対応をして欲しいとおっしゃっておられますけれども、私もTPPそのものは、日本が貿易国家として、国際社会で国際交流の中で生きていく以上、これに完全に背を向ける、最初から背を向けるということは、なかなかそうはいかないのではないかと思います。これから事務レベル会合が始まり、今月中に閣僚会議が始まり、それから交渉会合が始まるということですが、すでにシンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリが連携協定をやって、それに、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアと続いてきているわけです。そういう流れの中で、どういうふうにその流れに関わっていくか。交渉ですから100か0では無いわけで、日本の国益を考えて、そしてまた、農業は国にとっても岐阜県にとっても重要な産業でありますし、農業の意義というのは繰り返すまでも無いわけで、自給率向上ということも国策として挙げているわけですし、県もやっておりますから、そういういろんな要素を考えながら、慎重にこのTPPというものに日本としてどのように関わっていけるのか、どのようにものを言っていくのかということを、慎重に検討して頂きたいというふうに思っております。
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