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翁舞附人形頭と面[おきなまいつけたりにんぎょうかしらとめん]
分類 | 重要無形民俗文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 中津川市付知町 |
技芸団体 | 付知町翁舞保存会 |
指定年月日 | 平成9年1月7日 |
「翁舞」は、千歳・翁・三番叟の三体の文楽人形が能「翁・三番叟」を新年や祭礼日などの祝事として舞い、祝福を与えるものとされる。舞いは露払い役の千歳の舞いに始まる。千歳の頭は娘かしらにも見え、中世神楽や早乙女信仰の残存も窺うことができる。次に、長寿・悪疫退散・天下泰平・五穀豊穣・国土安穏を祈って翁が舞う。最後に三番叟が鈴等の採り物を持って大地を踏み鎮め、種を蒔き、豊作祈願を舞い、そして納めるのである。この中で、翁などは途中面を付け、変身するが悪疫に対して特別な力を持って舞を行った古風な形態を残している。また、人形が浄瑠璃ではなく、能の曲目で踊る姿にも浄瑠璃伝播以前を感じさせ、興味深いものである。頭は三寸二分の小振りのもので、現在ほかの文楽に使用されているものと比較すると小さく、古風であることが確認されている。
翁舞は天和2年(1682)、淡路人形芝居が付知村に興行した折り、庄屋田口忠左衛門慶寛が発願し、村内の四社を巡祭することにより、翁舞を付知村の祭礼に取り込み、また、尾張藩並びに村役の許可を得て始めたと伝えられている。当時、付知村では寛永19年(1642)の大飢饉などにより多数の餓死者があったと伝えられており、発願が単に娯楽のための人形芝居を行ったとみるより、悪疫退散・死者供養の目的として行ったと考えられる。