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日坂[ひさか]の面[めん]
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 揖斐郡揖斐川町日坂北尾佐 |
所有者 | 春日神社 |
指定年月日 | 昭和60年10月25日 |
日坂の春日神社に伝わる能面は、狂言面を含め21面が保存されている。今日では能楽を継承する人もないまま所蔵されているが、その昔は村人達によって能や狂言が演じられたにちがいない。なお、面の保存状態は良好である。
材質は、桂材が半数以上で14面、檜材は7面である。仕上げは、胡粉下地に彩色を行うもの等で、黒色尉だけは、表面に漆を染みこませて黒色に仕上げている。眼球に金冠をかぶせるものは鬼神面のうち5面と、怨霊面[おんりょうめん]のうち怪士[あやかし]の6面である。
翁面の3面(白色尉[はくしきじょう]・父尉[ちちのじょう]・黒色尉)は、顎部を切り離して、口元に穴を開けて、紐で結ぶ、いわゆる切顎式で、白色尉の顎部は欠失している。
鬼神(飛出[とびで])面の額裏側に「イセキ□」の刻銘がある。この銘は近江の住人井関の作で「片仮名イセキ」の銘で知られる、秀作が多いとされている。
制作年代は室町から江戸時代で、中でも翁面や怨霊面は優品である。