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検討結果(乗鞍環境保全税(仮称)の骨格)

記事ID:0005475 2015年8月27日更新 税務課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

7.乗鞍環境保全税(仮称)の骨格

以上のような状況を踏まえ、法定外目的税を導入するとした場合、最も望ましいと考えられる税の骨格を検討した結果は次のとおりである。

(1)課税の趣旨

  • 中部山岳国立公園内にある乗鞍岳周辺は、ライチョウなどの希少生物の生息や貴重な高山植物の自生などがみられるため、規制の厳しい特別保護地区に指定されている。
  • 当該地域には、岐阜県側からは乗鞍スカイラインを利用して、長野県側からは県道乗鞍岳線を利用して、車で直接入り込むことができるため、気軽に貴重な自然を楽しめる場として人気を集めているが、人の入り込みによる自然環境に及ぼす影響がかねてから危惧されてきた。
  • 平成15年6月に乗鞍スカイラインが無料化されることにより、自動車の流入量が激増し、自然環境に悪影響を及ぼすことが懸念されるため、地元市町村を中心に検討が進められ、無料化後はマイカー規制を実施し、過度な自動車利用を抑制することとされている。
  • 県では、マイカー規制を契機としてに新たに積極的な環境保全施策を実施することとしたものであり、そのための財源を原因者に求める方法として、乗鞍環境保全税(仮称)を導入するものである。
  • 原因者に一定の負担を求めることにより、環境保全意識の向上も期待できる。

(2)税の名称

乗鞍環境保全税とする。
【考え方】
税の名称は、課税の趣旨から「乗鞍環境保全税」とすることが適当である。​

(3)課税目的

乗鞍地域の環境保全に係る施策に要する費用に充てるため。
【考え方】
乗鞍地域の環境保全に係る施策に要する費用に充てるための法定外目的税とすることが適当である。

*対象区域
乗鞍地域とは、「中部山岳国立公園乗鞍鶴ヶ池集団施設地区及びその周辺地域」をいう。
【考え方】​

  • 乗鞍への来訪者は、ほとんどが車で山頂にある畳平駐車場又は鶴ヶ池駐車場(以下「乗鞍スカイライン山頂駐車場」という。)まで上がり、そこで降車して周辺を散策するという行動をとっており、その行動範囲を具体的に示すものとして、自然公園法第23条第1項の規定に基づき指定され、告示されている(昭和39厚生省告示第560号)「中部山岳国立公園鶴ヶ池集団施設地区」(面積36.4ha)及び「その周辺地域」とすることが適当である。
  • 対象区域を乗鞍スカイライン沿線等に広げるべきであるとの意見も出されたが、後述のとおりこの税は、原因者負担の趣旨から一定エリアの環境保全施策を目的に課税すると構成しており、対象区域を広げることは困難であるとの意見が大勢を占めた。

(4)課税客体

乗鞍スカイライン山頂駐車場へ自動車を運転して自ら入り込む行為、又は他人を入り込みさせる行為
【考え方】​

  • 乗鞍地域へ入り込む「人」は、ほとんどが乗鞍スカイライン山頂駐車場に自動車によって入り込み、ゴミの持ち込み、踏み荒らし等の行為により​当該地域に環境負荷を与える。そこで、「乗鞍山頂駐車場へ車によって入り込む人」に着目して税を課すことが適当である。
  • 徒歩等自動車以外の方法によって乗鞍地域へ入り込む者については、自動車により入り込む者に比べて極めて僅かであること、そのすべての動向を把握することが現実的に困難であることから対象としないことが適当である。しかしながら、徒歩等によって入り込む者も乗鞍地域に環境負荷を与えることには変わりはなく、課税することはできなくても任意の協力金を求めることなどを検討すべきであるとの意見も出された。
  • 「車によって入り込む人」一人一人に対して課税し、徴収するべきであるとの意見も出されたが、課税客体の確実な捕捉及び徴税のためのコストが税収に比して著しく大きくなること、自動車を利用することによって大勢の人が短時間に乗鞍地域を訪れることが可能となっていること等を勘案し、人を自動車により運んでくる行為を課税客体として、自動車の運転者に課税することが適当であると考えられる。なお、入り込み客の環境保全意識の向上が図られるよう、税の趣旨の周知などに努める必要がある。

(5)納税義務者

乗鞍スカイライン山頂駐車場へ入り込む自動車を運転する者
(自動車の運転者が、運転者以外の者の行う事業に従事して当該自動車を運転する場合にあっては、事業を行っている者とする。)

  • 課税客体の考え方に基づき、納税義務者は自動車を運転する者とする。【考え方】
  • 当該自動車の運転者が被雇用者の場合は雇用主を納税義務者とする。

*課税免除
緊急車両等については課税しない。
【考え方】​
 本税の課税の趣旨から、次のような車両については課税しないことが適当であると考えられるが、現在、「乗鞍自動車利用適正協議会」で検討されているマイカー規制の内容との整合性を図ることが必要である。

  1. 緊急車両ー消防、警察、救急、災害、自衛隊車両等のいわゆる緊急車両は高い公共性と緊急性を有しており、課税しないことが適当である。
  2. 管理車両ー「乗鞍地域」にある施設を整備、管理、又は運営するために使用する自動車については、その目的が入り込み客を運ぶことではないことから、課税しないことが適当である。
  3. 身障者用車両ー身体障がい者等が運転又は同乗している車両については、環境保全との因果関係はないものの、身体障がい者等の社会参加の促進を図る観点から、課税しないことが適当である。

(6)課税標準

乗鞍スカイライン山頂駐車場に自動車で進入する回数​
 課税客体の考え方に基づき、課税標準は乗鞍スカイライン山頂駐車場に自動車で進入する回数とする。

(7)税率

観光バスを運転する者:1回につき3,000円
マイクロバスを運転する者:1回につき1,500円
一般乗合用バスを運転する者:1回につき2,000円
普通乗用車等を運転する者:1回につき300円

【考え方】

  • 税率決定にあたっての基本的な考え方は次のとおりとすることが適当である。
    1. 本税が、「車で入り込む人」に着目した税であることから、1人あたりの金額を決めたうえで、車種毎の平均乗車人数を勘案して設定する。
    2. 1人あたりの金額は、課税の目的である乗鞍地域の環境保全に係る施策に要する費用と入り込み客数を勘案して設定する。
    3. 利用者に過重な負担をかけることがないよう、現在の料金水準とのバランスにも配慮する必要がある。
  • 一般乗合用バスについては、実乗車人数の把握が容易であることから、事後に平均乗車人数との差を精算するべきではないかとの意見も出されたが、一般乗合用バスのみ異なる扱いをすることは困難であると考えられる。以上の考え方にもとづき、試算した結果は下記のとおりである。
  • この試算結果については、環境保全意識を高める税として1人100円では低すぎるのではないかという意見が多く出される一方、使途との関連を考えるとやむを得ないとの意見も出された。
  • 税率設定については、県において、使途との関係、実際の納税義務者となるバス事業者等の負担、現在の通行料金水準とのバランス等を総合的に判断して決められるものであると考える。

<税率の試算>

1.乗鞍地域の環境保全に係る施策に要する費用
項目 費用概算
自然環境影響調査 3千万円
乗鞍環境パトロール員設置
ネイチャーガイド設置
植生回復に対する技術的支援
2.年間入り込み客数の予測(単位:千人)
平成9〜13年までの年平均(推計) マイカー規制後の予測
マイカー客 その他 合計 マイカー客 その他 合計
320 154 474 176 154 330

*推計(予測)方法
ア:平成9〜13年までの年平均(推計)

岐阜県観光リクリエーション動態調査結果による。
平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 5ヶ年平均
448 452 481 520 468 474

 「マイカー客」と「その他」については乗鞍スカイライン利用台数を参考にして推計。

イ:マイカー規制後の予測

  • 「マイカー客」については平成12年8月に乗鞍山頂で実施したアンケート結果を用い、45%減少すると予測。
  • 「その他」については現状維持と予測。

3. 1人あたり額の算出
施策に要する費用3(千万円)÷入り込み客数330(千人)=90.9 → 100円/人

4.税率及び税収見込みの試算
区分 平均乗車人数(人) @100
(円)
税率
(円)
見込み台数
(台)
税収見込み
(千円)
観光バス 30.56人 3,056円 3,000円 3,500台 10,500千円
マイクロバス 15.00人 1,500円 1,500円 1,000台 1,500千円
一般乗合用バス 23.00人 2,300円 2,000円 10,000台 20,000千円
普通乗用車等 2.91人 291円 300円 1,000台 300千円
合計       15,500台 32,300千円

*平均乗車人数は、岐阜県道路公社が平成13年5月、6月に調査を行ったものである。

5.現行通行料金とのバランス
区分 税率 山頂駐車場
利用料金(仮)
合計 現在の通行料金
(往復)
観光バス 3,000円 5,000円 8,000円 11,020円
マイクロバス 1,500円 2,500円 4,000円 3,140円
一般乗合用バス 2,000円 2,000円 4,720円
普通乗用車等 300円 2,000円 2,300円 3,140円

(8)徴収方法

  • 駐車料金を徴収する自動車
    駐車場料金徴収者を特別徴収義務者と指定し、駐車料金に上乗せして、特別徴収の方法により徴収する。
  • シャトルバス、路線バス等月ごとの申告納付の方法により徴収する。

【考え方】​
地方税法には法定外目的税の徴収方法として、普通徴収、申告納付、特別徴収及び証紙徴収の4つの徴収方法が規定されているが、本税の場合は、納税者の利便性、課税客体の確実な捕捉、徴税コスト等を勘案して、次のとおりとすることが適当である。

  1. 山頂駐車場で駐車料金を徴収する自動車(観光バス等)については、駐車場料金徴収者を「当該法定外目的税の徴収の便宜を有する者」として特別徴収義務者に指定し(地方税法第733条の15第1項)、駐車料金に上乗せして、特別徴収の方法により徴収する。
  2. シャトルバス、路線バス等については、月ごとの申告納付の方法により徴収する。

(9)税収の使途

乗鞍地域の環境保全施策に充当する。

  • 課税目的にしたがって、税収から徴税費用を控除して得た額を乗鞍地域の環境保全施策に充当する。【考え方】
  • 具体的な環境保全施策としては、「人」に着目している課税の趣旨から、人が入り込むことによってもたらされる環境負荷の低減策(環境パトロール員やネイチャーガイドの設置等)とその影響調査などが考えられる。

(10)施行期日

総務大臣の同意を得た日から起算して6月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。
(乗鞍スカイラインが無料化される日からの施行を予定)

【考え方】​
本税は、乗鞍地域の環境保全のために課税するものであり、本来乗鞍スカイラインの料金徴収の有無には関係しないが、乗鞍スカイラインの通行料金との二重負担を避けるため、施行期日は乗鞍スカイラインが無料化される日(平成15年5月15日を予定)とすることが適当である。

(11)課税期間

3年を目途として必要な見直しを行う。
【考え方】​

  • 平成14年5月7日付けの総務省通知によれば、「法定外税の課税を行う期間については、社会経済情勢の変化に伴う国の経済施策の変更の可能性等​にかんがみ、税源の状況、財政需要、住民(納税者)の負担等を勘案して、原則として一定の課税を行う期間を定めることが適当である。」とされている。
  • 本税に大きな関係のあるマイカー規制が、3年毎を目途に検討し見直すこととされていることから、それと合わせることが適当である。

(12)その他

環境に配慮した低公害車の税率を軽減すべきか否かについても検討し、地元のバス会社が積極的に導入を進めており、何らかの配慮が必要であるとの意見もあったが、「人」に着目している本税の趣旨と整合性が図れないことから軽減しないことが適当であるとの意見が大勢を占めた。

 以上の結果をまとめると次表のとおりである。

<乗鞍環境保全税の概要(案)>
項目 内容
名称 乗鞍環境保全税
課税目的 乗鞍地域の環境保全に係る施策に要する費用に充てるため(「乗鞍地域」とは、「中部山岳国立公園乗鞍鶴ヶ池集団施設地区及びその周辺地域」をいう。)
課税客体 乗鞍スカイライン山頂駐車場へ自動車を運転して自ら入り込む行為、又は他人を入り込ませる行為
納税義務者 乗鞍スカイライン山頂駐車場へ入り込む自動車を運転する者
(自動車の運転者が、運転者以外の者の行う事業に従事して当該自動車を運転する場合にあっては、事業を行っている者とする。)
*緊急車両等については課税しない。
課税標準 乗鞍スカイライン山頂駐車場に自動車で進入する回数
税率 観光バスを運転する者:1回につき3,000円
マイクロバスを運転する者:1回につき1,500円
一般乗合用バスを運転する者:1回につき2,000円
普通乗用車等を運転する者:1回につき300円
徴収方法
  • 駐車料金を徴収する自動車駐車場料金徴収者を特別徴収義務者と指定し、駐車料金に上乗せして、特別徴収の方法により徴収する。
  • シャトルバス、路線バス等月ごとの申告納付の方法により徴収する。
税収の使途 乗鞍地域の環境保全施策に充てる。
施行期日 総務大臣の同意を得た日から起算して6月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。
(乗鞍スカイラインが無料化される日からの施行を予定)
課税期間 3年を目途として必要な見直しを行う。