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池田町区長連合会
池田町区長連合会へアドバイザーを派遣しました
池田町区長連合会では、それぞれ自治会活動を行っていますが、加入率の低下、役員の担い手不足、高齢化などの課題を多く抱えています。このような状況において、自治会はどのように存続させていくべきかを考えるため、令和7年10月7日に講演会を開催しました。「ぎふ地域の絆づくり支援センター」では、「岐阜県地域の課題解決応援事業」により、この講演会に講師として、岐阜協立大学経済学部経済学科准教授の菊本舞氏を派遣しました。
当日は、「人口減少時代の地域コミュニティ」と題して菊本氏に講演いただき、自治会長等50名が参加しました。
期待されてます!自治会!
時代の変化の中で、この先数十年にわたって人口が減少し少子高齢化が続く中で、自治会、町内会、区会などの地域コミュニティが持っている機能について、大きく期待されている。
・いざという時を支える「地域代表性」機能
自治会は、災害時において、地域住民を代表して外部と折衝を行う機能が非常に高い。
能登半島地震では、避難所における生活環境についての意見を、自治会が自治体へ要望して改善した事例がある。
・高齢者の暮らしを支える「互助」機能
隣近所や一定範囲の地域で、地域の暮らしを日常的に支え、いざという時に助け合える「互助」機能。
長野県の事例として、救急車の到着に何十分もかかる地域では、何かあった時にヘルパーの専門資格を持っている人が、救急車が到着するまでの最初の手助けになれるように、お互いに支え会える仕組みを作っている。その結果、住民の 1割近くがヘルパーの資格を取得している。
現実の運営では、こんな声を頻繁に耳にする
・地域の行事への参加率が低い。
・役員の成り手が居ない。
・参加者が、いつも同じ顔ぶればかり。
・アパートに住んでいる人との交流がない、自治会に加入してくれない。
運営に参加しない人たちは、どんな風に感じているのか
・自治会に加入せずアパート等に住んでいる場合は、自治体の広報誌も届かない。
・自治会費が、何に使われているか分からないので、会費が高く感じる。
・自治会で、何やってるか分からない、加入のメリットも分からない。
・そもそも、自治会はどのように加入するのか。何処に問合せたら良いか分からない。
・仕事が忙しく、勤務先が遠いため地域に関わる機会がない。
・子育てに携わっているので、夜間の会議は参加できない。
解決事例としては
自治体が加入勧誘のチラシ作って、積極的に働きかけているような地域もある。また、「〇〇地域の教科書」を作成して、未加入の世帯やアパートに住んでいる世帯に働きかけている地域もある。
会議方法は、オンライン会議や子ども同伴の会議があるなら、もう少し関われるという意見も聞かれる。
地域社会の変化と課題
働く場所が地元の地域から離れていて、単身で高齢になってしまった場合に、孤独化するリスクが増大している。
地域の活動への参加者の減少・固定化、加入率の低下、構成員の固定化などは、地域における運営を担う人々の高齢化の進行につながっている。
顔を合わせたり、会話を交わしたりする日常的なやり取りの減少により、非常時におけるリスク対応力が低下している。
地域社会の変化の背景
20年程前には、大手企業において定年退職者に「地域デビュー講座」を行っていた。定年退職者が、仕事で得たノウハウと活動的なパワーを、退職後に地域で生かすにはどうしたら良いかを学んでいた。
この20年で人口が減少傾向に入り、労働力不足の対応策としての企業の定年延長や公的年金の受給の開始年齢、上限の年齢の引上げを背景にとした再就職があり、結果的に「地域デビュー」のタイミングが遅れている。
社会全体の働き方の問題としては、自営業者が減少して、勤め人が増加している現状がある。このことは、例えば消防団に加入している人が、昼間に火事が発生しても、他の地域で働いているため消防団の活動に関わることが出来ないケースも多く見られる。また、日常的に居住する地域にいる時間が少なくなるので、地域に対する無感心が高まっている。
地域コミュニティの事例紹介
・自治会加入率100%の事例
自治会に対して意見のある人に役員として参加をしてもらい、自治会の中で活躍をしてもらうことを徹底的に進めて、加入率100%を達成した事例。
・やりたいことを、出来る人が、出来る範囲で行う「ミニマム町内会」方式の事例
自治会は任意の組織として、必要最低限のことのみ行う。
・新たな協議会型の組織を設立する事例
自治会連合会を中心に、各種地域団体やボランティア等を構成員としたまちづくり協議会を設立し、地域のポータルサイトを構築するなど広報媒体のオンライン化を行っている。
・小規模多機能自治の事例
交流センターを活動拠点にしながら、交流センターの管理と人的雇用。
水道メータの検針事業を受託して、検針訪問時に高齢者世帯の見守り活動を同時に行う。
情報提供の同意を得た住民の情報を書き込んだ「住民福祉カード」を作成して、誰が誰を助けるのかを事前に相談して、災害時の迅速な退避・安否確認の体制を整える。
地域コミュニティのあり方
・人口減少・少子高齢化のトレンドが変化しない限り、これまでのやり方を続けていくことは難しく、仕組みを変えていくことを考えなければならない。
・今後の地域の方向性について、それぞれの地域で大事にしたいことを話し合う機会を持ちながら進められるとよい。
ポイント(1) 様々な住民が参加できる
ポイント(2) 大切だと思えることを自由に意見することができる
ポイント(3) どのようにすれば守れるか、維持できるかを検討することができる
自営業者が減っているのであれば、地域の企業やその地域で勤務されている人との連携も考えるべきである。地域の喫茶店で、地域稼働の「ふれあい生き生きサロン」などを行うことで、喫茶店がいざという時の頼り処になってくれる。
地元の工務店が、子ども向けの仕事体験、職業体験のようなイベントを開催することでつながりを作ることができる。
今後のコミュニティの存続方法は、ひとつでない。
何をもって、どのように維持するかは、各コミュニティ自体が選択しなければならない。
子どもたちとの関わり
講演の最後に、少子化時代の中の子どもたちとの関わりについてお話しいただいた。
「全国的に中学生の居場所が無いと指摘される中、地域の拠点になるような場所に、自主学習が出来る場所を設けることも中学生の居場所づくりとなる。更に、施設の留守番や電話番など活躍出来る機会を提供することで、地域との関わりが深まり、中学生が地域のイベントや行事にも、積極的に参加をしてくる傾向が見られる。
また、地区の運動会で、小学生、中学生がアナウンス進行などに取り組んでいる自治会もある。子供たちが、単に行事に参加するだけでなく、活躍する場を増やすことによって、保護者世代のつながりが出来て、顔が見える関係を作ることになる。それにより、新たな現役世代のつながりが見えてくる。」
| 研修の様子(1) | 研修の様子(2) |
菊本講師 |
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