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岐阜市社会福祉協議会 鏡島支部
「岐阜市社会福祉協議会 鏡島支部」へ アドバイザーを派遣しました
岐阜市社会福祉協議会 鏡島支部は、地域住民及び福祉組織・関係者の協働により地域生活課題の解決に取り組み、地域住民が安心して暮せる地域作りを目指しており、主に高齢者を対象に「いきいきサロン」、「小さな支え合い活動」を中心に活動している。その中で、高齢者向けの防災知識の向上を図るため、令和7年9月20日に講演会が開催されました。
「ぎふ地域の絆づくり支援センター」では「岐阜県地域の課題解決応援事業」により、この講演会に講師として、清流の国ぎふ女性防災士の会 会長伊藤三枝子氏を派遣しました。
主な講演の内容
 熊本地震における建物の倒壊や土砂崩れなどによる「直接死」は50人、災害時負傷や避難生活等における身体的負担による疾病での「災害関連死」は221人であり、能登半島地震における「直接死」は228人、「災害関連死」は425人とされている。※   
 「災害関連死」を防ぐためには、避難所等の生活において避難者が命と暮らしを守れるように準備をしておく必要があると説明を受けた。
避難所での生活は、我慢を積み重ねるのではなく、普段の暮らしに近づけた環境で生活が出来るように、日頃から事前準備や訓練をすることの大切さについて学んだ。
※2020年9月 毎日新聞 及び 2025年8月21日 NHKwebより
「知識」としてではなく、「体で覚える」防災準備
・避難場所とは
地域の集合場所的な意味合いであり、スーパーの駐車場や運動場のような延焼火災などから「一時的」に身を守る場所のこと。
・避難所とは
災害によって住宅を失うなど、被害を受けた人や被害を受ける可能性のある人が「一定の期間」避難生活をする場所。
被災生活を衛生的に過ごすための既存トイレを用いた、簡易トイレの設置と使用方法の説明を受けた。
【準備時】
・トイレにベースとなるビニール袋をかけ、ズレないように四隅を養生テープなどで止める。   
 (既存のトイレには、水が残っているので処理用のビニール袋等が浸からないようにベースとなるビニールを設置)
・その上に、用便を処理する黒いビニール袋(汚物処理用)を装着する。
・そのほかに、使用したトイレットペーパーを入れるビニール袋も準備する。
【使用時】
・便座をおろして使用する場合、便座等をアルコール消毒する。
・用を足した後に、凝固剤を振りかける。(凝固剤が無い場合は、新聞紙などで吸収する)
・次に使用する人のために、A4サイズにカットした新聞紙を汚物の上に敷く。
・ウエットティッシュ等で手を消毒をする。
・用便を入れた黒ビニール袋が一杯になったら、空気を抜いて小さくして、空き段ボール箱などに移す。
・参加者の設置体験
講師から実際の避難所での気づきを踏まえたアドバイスとユーモアを交えた表現での説明をいただきながら、和やかな雰囲気の中で、参加者にトイレの設置の体験をしてもらった。
 用を足した後に使用する凝固剤を節約する方法として、100円ショップで購入した調味料入れに凝固剤を入れておき、使用時にスプーンですくって振りかける方法の説明を受けた。この方法であれば、スプーン2杯で十分固まるうえ高齢者でも簡単に作業が出来る。
 除菌シートについては、アルコールタイプとノン・アルコールタイプの2種類を用意して、トイレ設備の除菌とお手拭きと使い分けると良いとアドバイスをいただいた。
・凝固剤の体験
 コップのお茶に実際に凝固剤を入れて、凝固の体験も行った。参加者からは「もう、固まっている」、「思った以上に重たくなる」との声が聴かれた。  
 避難所のトイレにセットした黒ビニール袋は、7~8人分でもかなり重くなるので、後々の清掃まで考慮すると45Lサイズのような大きなのビニール袋の場合は、袋の下の部分を縛って限界まで使わないように工夫することも必要であると説明を受けた。
・持ち出し袋とは
災害発生直後、安全な場所へすぐ避難するための最小限の持ち物をまとめたもの。
・防災バックとは
生活を数日間支えるための備えとなる食料や水、衛生用品、トイレ用品、防寒グッズなど生活全般に必要なもの。
 持ち出し袋と防災バックでは、その目的が異なる。持ち出し袋には、500mlの水、懐中電灯、充電器などイメージとしては1泊旅行程度のもので、避難時にすぐに持ち出し出来るものを入れておく。  
 持ち出し袋の置き場所は、枕元、玄関、車庫、自家用車の中などいろいろ考えられるが、自分にとって一番見つけやすく持ち出し易い場所を考えると良い。防災バックと違い、1人1個の用意が必要であり、各自が避難する時に持ち出せるように準備しておく必要がある。
地域の防災訓練に参加するときには、実際に持ち出し袋を持ち出してみて、体で覚える方法を提案いただいた。
防災準備は、「答え」を教わるのではなく、「考えるヒント」を教えてもらい自分で考える
質疑応答では、ペットと一緒に避難する場合の予防接種や移動ゲージに慣れておく必要性について、避難場所から避難所へ移動する場合の自ら出来ることは自分で対応するという心構など多岐に渡る解説をいただき活発な意見交換が行われた。
最後に、防災準備は他の人から答えを教わるのではなく、考えるヒントを教えてもらい自らに合った準備を、自らで考えることが大切であるとのお話をいただき講演会を終了した。
| 講演の様子 | 避難所でのトイレ説明 | 凝固剤の使い方説明 | 
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