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ハリヨ

ハリヨ GasterosteusaculeatusleiurusCuvier 絶滅危惧I類
(環境省:絶滅危惧IA類) トゲウオ目トゲウオ科
選定理由 既知のすべての生息地で生息条件が著しく悪化しており、個体数が危機的水準まで減少している。 写真を拡大表示します
形態の特徴 全長6cmで背鰭に独立した棘を3本、腹鰭に1対の長い棘をもつ。岐阜県産と滋賀県産は体サイズ、鱗板列の発達の程度、婚姻色などに違いがある。
生息環境 湧水池や、これを水源とする小河川など、水温が20℃以下で、流れがゆるやかで、底質が泥や砂であり、水草が繁茂する場所に生息する。
生態 ユスリカ幼虫など、底生動物や浮遊動物を食べる。1年で体長5cm前後になり、成熟する。産卵期は3〜5月がピークで、雄が水草で巣を作り、雌を巣に招き入れ、産卵する。産卵後は死んでしまう。
分布状況 当県と滋賀県に分布する。国外では、ヨーロッパ、北アメリカに分布する。県内では、大垣市とその周辺の町村の湧水地に限定して分布する。 分布情報図を拡大表示します
減少要因 湧水の枯渇や、無配慮な改修工事により生息地が減少の一途をたどっている。
保全対策 湧水が安定するために、集水域の植生の保全や地下水利用の制限などの対策や湧水地の自然環境の復元が必要である。また、かつて生息していた場所に同水系のハリヨを移入するなどの積極的な対策も必要である。
特記事項 水産庁レッドデータブック絶滅危惧種。岐阜県指定希少野生生物。ハリヨは他地域のイトヨ陸封型とは遺伝的に異なっており、さらに県内の「美濃ハリヨ」と滋賀県の「近江ハリヨ」も別の分類群とみなすことができる。
参考文献
  • 森誠一(1997)ハリヨ.長田芳和・細谷和海(編)、日本の希少淡水魚の現状と系統保存ーよみがえれ日本産淡水魚ー、pp.133-143:緑書房.
  • 森誠一(1998)ハリヨ.水産庁(編)、日本の希少な野生水生生物に関するデータブック、pp.174-175:(社)日本水産資源保護協会.
  • 森誠一(2001)ハリヨ.川那部浩哉・水野信彦・細谷和海(編)、山渓カラー名鑑日本の淡水魚3版、pp.438-441:山と渓谷社.
  • 渡辺勝敏・森誠一(2003)ハリヨの系統的位置と遺伝的多様性.後藤晃・森誠一(編著)、トゲウオの自然史、pp.61-73:北海道大学図書刊行会.

文責:千藤克彦

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