形態の特徴 |
全長6cmで側線は不完全で胸鰭上方までしか達しない。雌雄とも体側の縦帯がないか、あっても不明瞭である。産卵期の雄は、黒ずんだ体色となり、頭部に追星が出る。 |
生息環境 |
山地が迫ったため池、平野部のため池、流れの緩い用水路に生息する。モツゴよりも深い場所に生息するとされている。 |
生態 |
産卵期は4月〜6月。卵が孵化するまで雄が保護する。産卵期には、雄同士で縄張り争いの喧嘩をおこなう。孵化後は、動物プランクトンなどを捕食し、秋には3cm程に成長する。翌年には繁殖に参加する。 |
分布状況 |
当県、愛知県、三重県に生息するが、その分布は極めて局所的である。国外からの報告はない。飛騨地方には生息しない。県内での生息地は非公表とする。 |
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減少要因 |
圃場整備や埋め立てによるため池や、自然豊かな水路の消失による生息場所の減少と、外来魚による食害が減少の主要因である。また、近縁種であるモツゴの侵入が本亜種の減少に関連している可能性もある。 |
保全対策 |
人工繁殖個体の放流などが行われているものの、外来魚の密放流や、生息場所が消失しないように注意が必要であり、今後は放流場所を含めた生息環境の維持・管理が重要となる。 |
特記事項 |
岐阜県指定希少野生生物。水産庁レッドデータブック絶滅危惧種。 |
参考文献 |
- 細谷和海(2000)コイ科.中坊徹次(編)、日本産魚類検索第2版、pp.253-271:東海大学出版会.
- 前畑政善(2003)ウシモツゴ.環境省自然環境局野生生物課(編)、改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物-レッドデータブック-4汽水・淡水魚類、pp.38-39:財団法人自然環境研究センター.
- 中村守純(1969)日本のコイ科魚類:資源科学研究所.
- 大仲知樹・佐々木裕之・長井健生・沼知健一(1999)絶滅危惧種ウシモツゴ集団に見られたmtDNADループ領域の著しい単型性.日本水産学会誌、65:1005-1009.
- 内山りゅう(2002)ウシモツゴ.川那部浩哉・水野信彦・細谷和海(編)、山渓カラー名鑑日本の淡水魚3版、pp.308-309:山と渓谷社.
- 内山隆(1987)ウシモツゴPseudorasborapumilasubsp.の形態と生態.淡水魚終巻号:74-84.
- Watanabe,K.andS.Mori.2008.Comparisonofgeneticpopulationstructurebetweentwocyprinids,HemigrammocyprisrasborellaandPseudorasborapumilasubsp.,intheIseBaybasin,centralHonshu,Japan.Ichthyol.Res.55:309-320.
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