本文
木造深沙大将立像[もくぞうじんじゃたいしょうりゅうぞう]
木造深沙大将立像[もくぞうじんじゃたいしょうりゅうぞう]
分類 | 重要文化財 |
---|---|
指定別 | 国 |
所在地 | 揖斐郡揖斐川町谷汲神原 |
所有者 | 横蔵寺 |
指定年月日 |
大正3年4月17日 |
本像は樟[クスノキ]の一木造である。原容は彩色されていたと考えられ、現在はわずかに顔に胡粉が残る。全体にエキゾチックな雰囲気をもち、ギョロリとした大きな目玉、太くつり上がった眉、ふくれあがった頬とカッと大きく横に開いた口など、奇怪で近寄りがたい印象を与える。
奈良東大寺や京都金剛院の深沙大将とは異なり、この像は独創的でフォルムの新鮮さが際立つ。東大寺や金剛院の像はボクシングのような形態だが、こちらの像は右腕を高く引いて曲げ、左腕は下へ伸ばしている。右足は重心をかけつつもわずかに開き、闘志はさほど露わではない。経義[きょうぎ]に従い、臍[へそ]の位置におかっぱ髪の少女の可憐な顔が表現される。現代にも通ずる表現をもつレリーフである。胸の辺りに小さい穴が幾つか残るが、髑髏[どくろ]の瓔珞[ようらく]の跡と考えられる。
深沙大将は、仏法の守護神や多聞天の化身、玄奘[げんじょう]の守護身とされている。