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能装束類[のうしょうぞくるい] 附一つ書
能装束類[のうしょうぞくるい] 附一つ書
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 国 |
所在地 | 関市南春日町 |
所有者 | 春日神社 |
指定年月日 |
昭和31年6月28日 |
能装束類は、春日神社にある能舞台や能狂言面類と一体をなすもので、能用の摺箔[すりはく]1領、縫箔[ぬいはく]8領、狩衣[かりぎぬ]7領、法被[はっぴ]3領、側次[そばつぎ]5領、角帽子[すみぼうし]3領などと、狂言用の直垂[ひたたれ]6組、素襖[すおう]3組、袴3領などである。
近世初期の染織工芸資料として、この一群の持つ価値は極めて高い。縫箔とは平絹の地に金銀箔を摺り、色糸の刺繍で文様を表す技法をいう。衣装全体に広がる縫箔模様の流麗な美しさや豊かな色彩の配合は、桃山時代の文化的高みを示している。
狩衣・法被・側次の文様の裂地の中に、裂の織幅いっぱいに「袁思誠」「陸小恵」などと横に読める文字が浮織りで織り出されているものがある。これは明末の頃に舶来したと考えられ、資料的にも類例のない珍しいものである。
能装束が絹地で派手な縫や織を主とするのと比較し、狂言用の衣装はいずれも麻製の染で渋みがあって好対照をなしている。
