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永保寺観音堂[えいほうじかんのんどう]
永保寺観音堂[えいほうじかんのんどう]
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 国(国宝) |
所在地 | 多治見市虎渓山町 |
所有者 | 永保寺 |
指定年月日 |
明治34年3月27日 |
虎渓山永保寺は、正和3年(1314)、夢窓国師がこの幽寂な地を相して観音堂を建てたのがおこりで、自然の岩山を背に土岐川の渓谷を前にした仙境にある。臨済宗南禅寺派。
観音堂は心字池にかかる屋形橋を渡ったところにある。方3間、一重裳階[もこし]つき、軒反りの大きな入母屋[いりもや]、檜皮葺[ひわだぶき]屋根。妻飾[つまかざり]は大虹梁大瓶束式[だいこうりょうたいへいつかしき]、破風は若葉式鰭[ひれ]のついた三花懸魚[みつはなげぎょ]で飾る。軒は垂木[たるき]のない板張りとし、組物[くみもの]は身舎[もや]を出組[でぐみ]、裳階を出三斗[でみっと]とした亜麻組[あまぐみ]とする。柱は丸くその上部には粽[ちまき]をつけ、台輪[だいわ]をおく。裳階前面1間通りは吹き出しの広縁とし、欄間には浪連子[なみれんじ]をはめてある。身舎の前面は上半に精巧な花狭間[はなざま]をつけた桟唐戸[さんからと]をはめてあるが、欄間はおさ欄間である。内部天井は鏡天井であるが床は拭板敷とし、ここに唐様[からよう]の須弥壇[しゅみだん]をおくなど、唐様と和様[わよう]との折衷式建築である。

(写真提供:永保寺)