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松本家住宅[まつもとけじゅうたく]
松本家住宅[まつもとけじゅうたく]
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 国 |
所在地 | 高山市上川原町 |
所有者 | 高山市 |
指定年月日 |
昭和46年12月28日 |
高山市は明治8年に大火によって多くの町家が焼失したが、松本家住宅はこの類焼をまぬがれ、市内にある町家の中では最古のものに属する。主屋の建設年代は、主屋裏手にある漬物蔵窓框に「文政九年戌四月廿七日出来」の墨書がみられることから、その頃と推定される。
松本家は高山近郷の旧灘村松本の出身で、弘化年間に高山に文掌して後、蝋燭業を営んだ。現住宅は明治45年に薬種商の原三右衛門より譲り受けたという。この住宅は、主屋のほか背面北に米蔵、西に漬物蔵があってそれぞれ前庇が連なり、また主屋の通り庭から漬物蔵に両下造の通路がつくられ、コの字状に主屋裏の中庭を囲んでおり、近世末の高山の標準的町家の屋敷構えが完存している。
主屋は切妻造[きりづまづくり]2階建、正面には「ノレンカケ」を下げるむくり屋根の小庇や出格子などがみられ、高山の民家の典型的な外観を示す。内部は通り庭に沿い、「ミセ」の裏に奥行2間の「オエ」「ダイドコロ」が広舗上に設けられるので、小屋裏までが吹抜けになり、梁組をそのままみせる。奥の部屋は表側に「オクミセ」、続いて「カズキ」「ブツマ」「ザシキ」と4室並ぶ配置で、前後の部屋に1間の食い違いが生じている。
松本家住宅は、主屋の年代が19世紀初期にさかのぼる数少ない高山の町家であり、また、標準的な屋敷構えがのこっており、その価値は高い。
