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北方町ハイタウンA2.A4棟自治会

「北方町ハイタウンA2.A4棟自治会」へ アドバイザーを派遣しました

 北方町ハイタウンA2.A4棟自治会は、月2回コミュニティサロンを開き交流を行っています。同自治会は、このサロンで、住民一人一人の防災意識を高め、皆で学ぶ為、令和6年2月7日講演会を開催しました。

「ぎふ地域の絆づくり支援センター」では「岐阜県地域の課題解決応援事業」により、この講演会に講師として、清流の国ぎふ女性防災士の会 会長伊藤三枝子氏を派遣しました。

主な講演の内容

“みなさん、自分が災害にあうと思っています?”

伊藤氏は講演の冒頭、参加者に問う。参加者の中から返答があった。

“地震が来るかもしれないことは、わかっている。でも、怖いから自分は大丈夫だろうと思いたい。”

 令和6年元旦に発生した石川県能登半島地震により被災した穴水町に伊藤氏はボランティアとして入った際の実話をもとに、災害は他人事ではなく自分事であることを伝えた。そして、地震はいつ起こってもおかしくないという現実を受け入れることと、突然何でもない日常を壊す災害のことは“考えたくない”という思いの距離が、災害時の対応の遅れに繋がることを説明した。

災害の備えは日常の中の小さなことから

 いつ起こるか分からない未来のネガティブなことに備えるというより、防災を日常化し、プラスになることを小さなことからやってみる。周りと共有する。

 伊藤氏は、東日本大震災をはじめ9か所ほど災害現場の避難所の立ち上げなどに関わった経験をもとに「災害時にこんなことが起きる」というリアルを伝え、家に帰ったらすぐできる備えを紹介した。

●ハザードマップの確認

 普段から、どういう場所が避難所なのか確認することが必要。もし自分が災害にあったら、どこに「避難所」、「避難場所」があるかを確認すること。

<避難所と避難場所との違い>

避難所:災害のため自宅で過ごすことが困難になった時、一定の期間、避難生活をする場所。屋根があるところ。

避難場所:火災などが起きた時に逃げる広い場所。

●防災グッズ:懐中電灯

 夜、トイレに電気はない。ヘッドライト、もしくは首から下げれるよう懐中電灯を準備にしておくとよい。

●防災グッズ:笛

 実際に自分の準備している笛を一度吹いてみることが大切。遠くまで音が届く笛か、すぐに粉塵が詰まってしまわないか、力が足りるか、笛を吹くことができない際は、ライトなどで助けが呼べるか、実際に確認すること。

●防災グッズ:下着

 避難生活はストレスが多い。自分の体を締め付けるようなものはお勧めしない。実際、避難所では大きなサイズのニーズが多かった。

避難所での生活

 災害はストレスの塊。今後の生活不安と共存し、想像以上のストレスを抱えることになる。避難所は集団生活で慣れないことばかり。避難所に行ったら何とかなるわけではない。避難所を運営するのは、行政や建物の管理者ではなく地域の皆である。いつも仲良しの仲間で生活できるわけもなく、観光客も出張で来ている人も困っている人皆を受け入れ、知らない人でも助け合うという人道が大切。避難所で、自分にはなにができるかわからなくても、“何でも手伝いますよ”という気持ちが必要である。

 避難所での実際の生活は、皆自分のことで必死なので、対人トラブルも生じやすく、衛生面を保つのも一苦労、避難所は、縮小や合併が多く、引っ越しだらけ。我慢ばっかりだ。でもその中で、少しでもストレスを減らす為に大事なことは、“日常の生活に近い生活を取り戻すこと”である。

1:衛生面

・トイレ

衛生的な避難所はまずトイレから。避難所は一晩でトイレが汚くなる。掃除のときに、防護服、手袋を装着する。この防護服や手袋からの菌を持ち込まないように着脱する方法も知っておくとよい。

→実際に着脱方法を紹介

・土足禁止

余震がある中で、皆、靴を脱ぎたくない。シューズカバーの存在を知っていると知らないでは大きな差がある。

→伊藤氏の地域で利用するシューズカバーを紹介

2:まわりとのコミュニケーション

 地域の避難所に行く可能性は大きいので、常日頃からご近所の方とのコミュニケーションを大切にするとよい。また、避難所では、力がある人が決めてしまうのではなく、何事もしっかり話し合い、意見を出し合うことが大切である。

(下記のような状況を想定し、小さなことでも意見が食い違う可能性があることを伝えた。)

 避難所に入っている人の名簿を作るために白紙を準備。名前・住所、年齢、連絡先、持病などを記入する。複数人集まると、連絡先1つでも、本人の連絡先なのか、家族の連絡先なのか複数考えられるため疑問が生じる。非常時には小さな問題も混乱に繋がるので皆で確認が必要である。また、それぞれ事情をかかえて生活している人もいる。個人情報を開示してもいいかを確認することを忘れてはいけない。個人情報の開示は、状況によっては命の危険も潜んでいることを認識する必要がある。

3:安心

 避難所では、プライバシーが守られない状況が長く続く。また、性暴力を含む多様な暴力や性被害が発生する。避難所だから、刺激的なピンクを着ないようにという呼びかけは間違い。みんなが日常を取り戻せるようにする必要がある。

 

 避難所に行ってどんな生活になるか、少しでも知っておくことが、もしもの時に、自分の為、みんなの為になることを伝えた。

 

知っておくべき”災害時トイレの使い方”

 災害時でも、トイレに人は向かう。避難所だけでなく、家で過ごす場合も、トイレは一晩で荒れ果てる。けれど皆が、使い方を知っておくことで、衛生面を保つことができる。

 トイレ掃除は誰もが好んではいない。実際、被災した避難所では、悲惨な状況のトイレをボランティアが綺麗にし、地域住民に受け渡すことが多い。避難所のトイレは1日5回掃除すると綺麗に保てる。

(ポータブルトイレ実演)

・便座をあげて便器にポリ袋をかぶせる。

・便座をおろして、その上から携帯トイレの袋をかぶせる。

・排出物を固める凝固剤入れる。

・新聞を入れる。

 今回用いたトイレで1回セットしたゴミ袋分で、使用できるのは7人分。7人目は、袋を取り換える。まだいけると考え8人目が入れると、重さが重くなり取り換えが困難。あふれ出てしまったら、掃除が大変である。

 また、排出物は「可燃ごみ」として処分される場合が多い。事前に処分の仕方を市区町村に確認しておくとよい。災害時は、ごみの収集が滞ることが予想される。臭い等配慮し、「箱」に入れるとよい。災害時に運ばれる2L水6本入りの箱がサイズとしてよい。また、他の可燃ごみとは分け、汚物とわかるように表記する等具体的に説明した。

 

 参加者からは、「実際にどのようにやればいいのか学べて本当によかった」と感想がありました。この日、感じたことや講演でメモしたことを周りの人に伝え、皆で勉強し続け防災に強い町になってほしいです。

講演の様子
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