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可児市自治連絡協議会

「可児市自治連絡協議会」へのアドバイザー等派遣に関する取組

   可児市自治連絡協議会は、「地域の防災・減災に関する検討委員会」を設置し、災害時に備えた自治連合会及び自治会の取り組み「共助」や、「自助」の必要性等について、情報交換や意見交換を行い、研修会の開催や啓発チラシの作成など、地域の課題解決に向けた取り組みを行っています。
 同協議会では、特に自治会における防災(減災)に対する継続的な取り組みが重要との考えのもと、令和5年5月27日に、自治会長と自治連合会役員が共に学ぶ研修会を開催しました。

 「ぎふ地域の絆づくり支援センター」では、「岐阜県地域の課題解決応援事業」により、この研修会の講師として、岐阜大学地域減災研究センター特任准教授 村岡治道 氏を派遣しました。

  当日は、自治会長及び自治連合会役員120名が参加し、「自治会が取り組む「共助」、災害への「備え」について」と題し、講演が行われました。

主な講演内容

   講演は、「新型コロナウイルスにより禁欲生活のような3年間が明けた今、みなさんは何がしたいですか?」という問いから始まり、

・なにか楽しいことをやってみよう。自治会活動でなにかしてみよう。

・防災を“自分ごと”にして興味を持ってもらおう。

・地域における「共助」の具体的な活動の提案。

という内容で進められました。

 

【 まずはやってみよう 】

  新型コロナウイルス感染症の影響により、自治会活動が衰退している地域が多い中、新しいことを始めてもよし、復活させるもよし、何か楽しいことを織り交ぜて活動を再開してはどうか。来た人だけでもいいので、“いい取り組みだった”、“またやってね”に繋がる活動成功例を作ることが大切だと伝えた。

 

【 自発的に「防災しないと!」と考えるようになる”5分のアイデア” 】

  防災に取り組んでもらうために必要なことは、“いつ来るかわからない地震”から“いつ来てもおかしくない地震”へと認識を変え、自分の生活を見直して防災について興味をもってもらうことである。

<5分で防災意識を持ってもらう方法>

  地域住民が集まる場で活用できる、5分間で「これはまずい!」と気付かせる方法の一例を示した。

 必要なものは、白紙の紙1枚とペン1本。紙に自分がよくいる部屋の間取りを描いてもらい、その中から家具、照明、窓ガラスなどの危険個所をマーカーして、地震が来た時にそれらがどのように危険となるかを具体的にイメージさせ、防災対策を促す。

 この方法は、一度に大勢を集めて説明会をする必要がなく、家族や小規模な地域住民の集まりなどでも行うことができることから、地域住民によって少しずつ浸透していく効果が期待できる。

 

【 災害に備える防災対策と共助 】

  ”災い防いでこその防災” 

 自助でできないことを賄う共助

  講演では、地域での共助として次のような具体的アイデアの提案があった。

1:家具の固定

 家具の固定は、力、技術、そして正しい知識が必要である。例えば、石膏ボード壁への家具の固定は、壁の内側にある柱にネジや杭を打ち込まなければ、地震の大きな揺れに壁は耐えられない。

 家具の固定における共助として、地元の大工や日曜大工の得意な方、防災士などが力を合わせ、自身で家具の固定作業のできない住民宅へ出張作業を行うといった活動を提案した。

 

2:家具の移動

 地震では、家具の下敷きとなって亡くなる方も多い。このため、下敷きにならないために家具を移動させるのも防災対策の一つである。

 家具の移動における共助として、力仕事を任せられる人を集め、自治会長、役員、民生委員が仲介役となって、お年寄りのお宅などを訪問し、対策を一緒に検討、家具移動作業を行うという活動を提案した。

 

3:ガラス対策

 地震によりガラスが飛散する映像を見て、ガラスの危険性を認識してもらった。家具のガラスをはずす、飛散防止フィルムを貼るなどの作業は、一度やれば半永久的に効果が持続する防災対策である。
(※使用する飛散防止フィルムによる)

 ガラス対策における共助として、自治会主導で“飛散防止フィルム貼ります”といった取り組みや、“空気を入れないように飛散度防止フィルムをきれいに貼る講座”などを開くなどの活動を提案した。

 

4:火災対策

 地震発生時だけでなく、電気復旧時に破損した電気器具や電気コードなどから火花が飛び散り火災になるという可能性が考えられる。これは、阪神淡路大震災の時の教訓だ。よって、感震ブレーカーを付けることは火災対策の一つである。

 火災対策における共助として、自治会による感震ブレーカーの共同購入、取り付けを行う活動を提案した。

 

5:トイレ対策

 水道、下水、電気等を使うトイレに関わる防災対策は極めて重要である。講演では、災害時のトイレ対策方法を示す動画をいくつか紹介した。

 トイレ対策における共助として、自治会にて、動画紹介など防災知識の情報共有を行うのはどうかと提案した。

 

6:非常持ち出し袋の準備

 非常持ち出し袋の中身は、各家庭の家族構成や生活スタイルによって必要な物や数量が異なるため、各家庭で中身を考える必要がある。

 非常持ち出し袋に関する共助として、自治会の総会や地域の清掃活動といった行事の際に、地域住民に自宅の非常持ち出し袋を持参してもらい、みんなで中身の点検などを行う活動を提案した。有効期限のチェック、非常袋の衣替えをする機会や、自分に必要なものを考えたり相談したりする情報交換の機会を作ることは、防災対策として効果的な活動である。

 

<講師からの提言>

講演では、上記の各説明とともに、次の3点を提言した。

●防災・減災の活動は、自治会全体を一度に大きく動かす必要はない。
  できる場所、できることから少しずつ。

→いつ起こってもおかしくない地震への危機感を持つことは、防災対策の第一歩。自分のことから考えることを促してみよう。

 

●防災・減災における共助とは、災いが起こる前に日常から地域での助け合いについて備えること。
  今、何ができるか学ぼう。

→阪神淡路大震災以降、共助とは災害時、災害後に円滑に助け合うという印象が強いが、災害が起こった後ではなく、家具の下敷きにならないよう、火災に巻き込まれないよう、救助される必要がないよう、今から災害に備える共助が大切。

 

●紹介した防災・減災の対策アイデアは半永久的に防災効果の持続が可能。
  マネできることからやってみよう。

→求められるのは、災いが起こった時の命の安全確保。一度家具の配置の見直しやガラス対策、火災対策をすれば、いつかのもしもの時に役に立つ。

<最後に>

講師から「可児市は、防災士という防災の勉強をしている方が大勢いる。(多い地域だと1地域に80人ほど)また、可児市防災の会という組織も存在する。そういった方の力も借りて、楽しく、防災効果が持続する取り組みをしてほしい。」と話しがありました。

 

講義

質疑応答

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