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西田自治会

 西田自治会では、少子高齢化、人口減少が進む中、出かける手段を持たない高齢者の外出が問題となっています。現在、有志による外出ボランティア(病院、スーパー等への送迎)を行ってはいますが、事故発生時の保険や、ガソリン代の負担等、様々な課題を抱えています。そのため、地域の高齢者の方々が、気兼ねなく安心して外出できる仕組み作りを自治会として考えるため、地区の自治会等の役員、地域住民を対象に、送迎サービスの状況、実施方法等を学ぶための研修会を1月29日(水曜日)に開催しました。

 「ぎふ地域の絆づくり支援センター」では、「岐阜県地域の課題解決応援事業」により、この研修会に講師として、NPO法人全国移動サービスネットワーク理事遠藤準司氏を派遣しました。

 当日は、まずはじめに「地域における自家用自動車を用いた移動支援について」と題し、遠藤理事の講演があり、その後、質疑応答を行いました。

主な講演内容

  • 移動・送迎サービスとは
    • 移動・送迎サービスは、何らかの制約によって、一般の公共交通機関の利用が困難もしくは、不可能である高齢者・障がいのある人に対して提供される外出支援のことで、1970年代後半から自家用自動車を利用したサービスが開始されており、比較的歴史のあるサービスである。
    • サービス提供者には、NPOなどの非営利市民団体、社会福祉協議会、タクシー等営利事業者、介護保険事業者等がある。
  • 高齢者の移動手段の確保を巡る動き
    • 2016年に高齢運転手が関わる重大事故が多数発生したことから、「高齢者の移動手段の確保」をテーマとした、国の関係閣僚両会議が開催された。
    • 2017年3月に国土交通省内に設置された「高齢者の移動手段の確保に関する検討会」が、同年6月に中間とりまとめを公表した。
  • 中間とりまとめの概要
    • 地方バス路線の廃止増、運転者不足の深刻化等、生活交通の縮小化に歯止めがかからず、公共交通だけで地域の足は確保できないことから、法律の枠外で「許可・登録を要しない輸送(互助による輸送)」について、白タク行為とは切り分け、ルールを明確化
    • 「許可・登録を要しない輸送」は、道路運送法上の規制の対象外で利用者保護が担保されていないことから、安全上の取り組み(輸送の安全及び利用者の保護のための措置)について、自主的に取り組むことが重要
  • 運行管理について
    • 「輸送の安全及び利用者の保護のための措置」とは、運転者の健康管理、運行記録、運転者に対する指示等の「運行管理」のことである。
    • 運行管理の例
      <運転ボランティア(ドライバー)の役割>
      体調や車両の管理、免許証有効期限の確認と携行、体調不良時の中止の判断と利用者への連絡、守秘義務(個人情報)、利用者体調
      不良時や事故時の対応、自動車保険加入・更新や車検証の確認
      <コーディネーター(組織)の役割>
      利用予約の確認、免許証の確認、運転ボランティアや代替ボランティアのスケジュール調整、悪天候時の判断基準や運転手の定年基準
      の整備、事故時の対応、自動車保険やボランティア活動保険加入の把握、車検証の確認等
    • 運行管理は、ドライバーとコーディネーターが二人三脚で協力しながら行うことが大切である。
    • ICT(情報通信技術)やタブレット等を活用した労力軽減が、運営の継続において重要である。
    • 運転者研修をしっかり実施してほしい。
      (例)全国移動サービスネットワークでは、運転技術ではなく、個人情報の保護を含めた接遇を最重要視した研修(半日程度)を実施
    • 「高齢者の移動手段を確保するための制度・事業モデルパンフレット(2019年10月国土交通省発行」は、注意事項について詳しく説明されており、大変わかりやすいので参考にするとよい。
      (例)許可・登録を要しない運送として認められる事例
      任意の謝礼、会費制、野菜・地域通貨等換金性の乏しい財物、ポイント制による相互提供制、ガソリン代実費、市町村等が提供する車
      両で実施、自家輸送(介護保険のデイサービス等)、家事身辺援助等サービスとの一体型、利用者所有車両による送迎等
  • 事故発生時に備えて
    • 助け合いの活動の範疇で行う場合は、事業用の自動車保険への加入や保険会社への告知義務はない
    • 移送サービス時に事故が発生した場合、自分の自動車保険を利用せず、加入した保険にスイッチする保険等、事故発生に対応した保険も出てきた。
    • 自家用自動車を活用した地域の移動支援は、国による事務連絡の発出や保険の対応等、環境が整いつつある。
    • 地域のことを一番よくわかっている地域にこそ、その地域に合った移動サービスの実現のための課題を解決する力がある。
    • 担い手の高齢化が進み、移送サービスを実現できなかった事例もあることから、実施のタイミングを逃さないことが大事である。

当日は、自治会、社会福祉協議会等の役員や地元住民の方など、32名が参加されました。
参加者からは、国の移動サービスへのルール変更、実際に開始するときの注意点等具体的に学ぶことができた等のご意見をいただきました。
西田自治会では、今回の講義を受け、自治会内で話し合いの場を広げていくことになりました。

講師の遠藤理事 研修の様子(1)

研修の様子(2)

遠藤理事 研修の様子1の画像 研修の様子2の画像
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