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海津市下多度地区自治会長会

「海津市下多度地区自治会長会」へのアドバイザー派遣に関する取組

 下多度地区自治会長会は、下多度小学校校下13自治会の集まりで、月1回地域の課題等について会議や勉強会が行われています。
 下多度地区の防災は、水害、地震災害を想定した体制であったが、平成23年4月に土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域に指定されたことにより地域における河川・排水路の経年変化や高齢化と核家族化等地域における生活状況等の変化により、土砂災害を想定した防災体制の再整備が課題となっています。

 「ぎふ地域の絆づくり支援センター」では、土砂災害などの防災に関する専門家から学ぶ研修会(平成30年7月28日)に、岐阜大学名誉教授で農学博士の木村正信氏を講師として派遣しました。研修会には自治会長、地区社会福祉協議会代表、地区内防災士の方々18名が参加されました。

 木村名誉教授から、「土砂災害と保全対策」と題して講演があり、土石流、地すべり、斜面崩落など近年の災害時の生映像やデータに基づいた崩落の発生要因、流木災害の拡大要因等貴重なお話は、わかり易く説得力があるものでした。
 参加者からは、質問も出され、土砂災害が発生する要因等を共通認識し、地域ぐるみの具体的防災活動につながっていく契機となりました。

講演の主な内容

  • 土砂災害は、自然現象と人間の営みとの接点で発生する社会現象であるため、我々の行動いかんで減災が可能である。
  • 土砂の動き方には、「滑り」「崩れ」「流れ」があり、土石流は「流れ」、地すべりは「滑り」、斜面崩落は「崩れ」、洪水時の土砂流出は「流れ」に分類される。
  • 深層崩壊では、移動土塊がそのまま土石流となって流れくだることや、川をせき止めて天然ダムを形成することがある。深層崩壊の技術的な対応策は現時点では見出されていない。
  • 崩壊の発生要因は、豪雨によって土壌中の間隙水圧が地下の滞水面で最大化し、土層の抵抗力が減少することによる。
  • 土砂礫は、流水の集中と局所洗掘(河床に堆積した一部が浸食される)によって再び移動する。流域では、土砂礫が堆積と洗掘を繰り返して断続的に移動する。
  • 土砂移動を抑制するには、斜面では侵食と崩壊の防止を行い、河床では土砂礫の洗掘防止を行う必要がある。
  • 砂防工事では、流下幅の拡大(水深の低下)、非侵食面の造成、河床勾配の緩和など地形の改変をおこなっている。
  • 谷の出口に堆積(人為的氾濫)域を確保し、水と土砂礫を分離すれば、人家にまで大量の土砂が流出するのを防ぎ、災害に直接関与する土砂礫の生産域を保全区域から遠ざけることができる。
  • 土石流発生時の後続流への対応として、流路工を整備して河床洗掘の防止と、合流河川までの流水を誘導できる河道断面の確保が必要である。
  • 流木災害の拡大要因には、森林整備(間伐)の手遅れ、間伐材の林内放置、民有林での渓畔域までの造林などがある。
  • 流木による災害規模の拡大と二次災害を防ぐためには、森林の整備と適切な管理が必要である。
  • 地域開発計画では、開発に先行して防災対応策を講じることが重要である。
  • 土砂災害を引き起こす自然の猛威に立ち向かうことは困難で、砂防技術だけでは限界がある。そのため、安全なうちに危険な場所から速やかに避難することが大切である。

 最後に、木村名誉教授から「今回は土砂災害の発生要因等に関する座学であったが、次回は、下多度地区の危険箇所等を視察しながら具体的防災活動を学ぶ現地研修としたい。」とお話がありました。

講演の様子(その1) 講演の様子(その2)
講演の様子1 講演の様子2
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