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山県市自治会連合会

山県市自治会連合会(山県市)へアドバイザーを派遣しました

 山県市自治会連合会では、少子高齢化が進む中、少人数の自治会が多くなり、災害時の共助の活動に大きな支障がでてくると懸念されています。
 そのため、自治会連合会では、自治会連合会員を対象に、単位自治会の適正規模について検討を進めていきたいとし、昨年度、懇談会を開催しました。その中の講演で教示いただいた内容を再度確認し、今後の具体的な取り組みを検討するため、懇談会を7月15日(木曜日)に開催しました。

 「ぎふ地域の絆づくり支援センター」では、「岐阜県地域の課題解決応援事業」により、この懇談会に講師として、NPO法人せき・まちづくりNPOぶうめらん 代表理事 北村隆幸氏を派遣しました。

 当日は、「自分たちの地域は自分たちの手で!」と題し、北村代表理事の講演があり、その後意見交換が行われました。

主な講演内容

 自治会の再編も含め、よりよい自治会のあり方ついて、取り組もうと思ってもらうこと。今年度、何に取り組み、そしてまず何に取り組むのかを本講演の目指す姿とした。

  〇自治を変化させる必要がある社会変化

  • 現在、標準世帯「夫婦と子供2人の4人世帯」は減少し、無業の一人世帯が増加しており、家族で支える時代から、地域で支えあう時代へと変化してきている。
  • 人口増の中で、多くのイベントを作ったが、その時できた組織が、人口減になっても残ってしまった。組織を運営する担い手が少なくなった現状では、組織とイベントの最適化をしていかなくてはならない。

  〇山県市の現状を知る

  • これまでの20年は65歳以上の人口が増え、高齢化がかなり進んだ。しかし、少子高齢化と言われながら、次の20年は高齢者の数が減り始める。中でも元気高齢者と呼ばれる65歳から74歳の人口が最も減り、自治会長など一番の担い手世代の減少により後継者不足に拍車がかかる。逆に75歳以上や要介護3以上が4人に1人といわれる85歳以上の人口はゆるやかに増加し、支えの必要な世代が増え続けるなか、支える世代は減少に転じる。
  • 高齢者が少なく子どもが多い地域では、子育て支援に取り組み、高齢者が多く子どもが少ない地域では、お年寄りの生活をいかに守るかに取り組むなど、地域で課題が異なるため、それぞれの地域で取り組む体制を作っていく必要がある。

  〇自治会の役割とは何か

  • 市町村合併による行政機能の集約、住民減少、高齢化といった流れのなか、行事から問題解決、生活充実、環境・設備維持に活動をシフトしていかなければいけない。
  • 基本的に市から自治会へ依頼していることは全て外し、命を守る(防災、交通安全)・環境を守る(ゴミ、環境維持)・誇りを持つ(文化伝承)の3つの役割に絞る。残った課題解決などは、まちづくり協議会などと連携しながら、役割分担をし、自治会長の負担軽減を進めていく。
  • 行事を減らして、事業を増やし、暮らしと命を守る事。

  〇山県市の自治会として取り組まなければならないこと

  (1)地域住民の困りごと、求める事を理解する

  • 住民の困りごとも変化してきているので、数字として見ていく事も重要である。
  • 本当に困ってることは何なのかを把握する事が重要。年代別の課題を知る必要がある。                                                            
  • 地域を知り、何に取り組むべきかを示すことが大切である。

  (2)組織の見直しをする

  • スリム化をして必要な事に力を注げるような体制づくりをする。
  • 組織の適正な規模が重要ということでは、自治会の役割を果たせる人数×距離を見定める必要がある。暮らしと命を守ることを考えたとき、見守りができ、災害時の助け合いができ、暮らしの助け合いができる人数や距離でなければならない。人数が少なくなっても、物理的に機能が果たせる距離でないと困難である。組織の再編で必要なのは、組織から入るのではなく、機能から考えることである
  • 行事、組織、会議の棚卸しをする。地域内で行事が重なっていたり、メンバーが同じの場合、会議を合わせたり、活動を減らしたり、隔月にしたりして、重複事業を減らしていく。
  • 自治会だけで課題を解決できない地域が増加し、解決策として、小規模多機能自治組織(まちづくり協議会など)が全国で広がっている。サイトや研修会を設けて内閣府、総務省、国土交通省をはじめ様々な支援措置がある。岐阜県内でも多くの地域で進められている。
  • 新たな担い手をどうするかが大事な視点。新しい人材を巻き込まないと活動が成り立たない。子ども、若者、女性を主体に巻き込んでいく必要がある。

  (3)困りごとを解決する事業をする

   他地域の取組事例の紹介(できる人ができる事をする)                                           

  • 移動困難者を助けるため、週3回予約制でボランティア移動サービスを町内会で実施している。
  • 通学路の危険個所をなくすため、まず、まちづくり協議会がPTA、自治会、市関係部署等からなる地域円卓会議を開催し、危険個所を共有した。次に、できる人ができる事をする方針のもと、通学路沿線の自治会が草刈りを行う等の対応をした。

  〇学び合いの場を設ける 

  • テーマを決めて、それに取り組む自治会などから発表を聞き、学び合い、良いことはやってみる。

 講演後、北村氏から「自治会に人数が少なくなると最後に何が困ると思いますか?」「自治会で必要な機能を3つあげるとしたら?」「自治会の組織を考えるとしたら、何に取り組むと良いと思いますか?」の問いに、自治会連合会役員の方全員が答えられ、意見交換がおこなわれました。

  • 困ることと必要な機能は共通しているため、人数の少ない地域は必要な機能が何かを考える。
  • 取組むと良いことの中で、組織の見直しという点は、距離の問題も含め、その地域の人がどう考えているのかを聞く必要がある。(自治会に必要な機能として防災や見守りがあるが、実際に困っているのか、災害時の助け合いはどうなっているのかなどを聞く)

 人数が少なくなった地域などで、ワークショップを開くなどし、それを土台にしながら、今後どうしていくのかを議論できるとよいですねと締めくくられました。

 当日は、自治会連合会役員の方、9名が参加されました。
 北村代表理事には、山県市のデータを利用した具体的でわかりやすいお話とともに、他地域の具体的な取り組み事例を多く紹介していただきました。
 山県市自治会連合会では、組織再編に対して必要な取り組みについては集約したため、次は自治会ごとに必要な取り組みを整理し、まず何に取り組む必要があるのかを検討されるとのことです。

講師の北村代表理事 講演後の意見交換の様子(1) 講演後の意見交換の様子(2)
講師の北村氏 講演会の様子 講演会の様子