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岐南町社会福祉協議会

岐南町社会福祉協議会(岐南町)へアドバイザーを派遣しました

 社会福祉協議会では、地域づくりの推進役として町内の活動団体を支援しています。岐南町における地域活動は、地域づくりにおいて重要な役割を果たしていますが、今後は地域課題を地域住民が解決していくための人材の育成が課題となっています。そのため、社会福祉協議会では、地域づくり実践者や地域づくりに興味のある方を対象に地域アセスメントの必要性と具体的な方法を学ぶ講演会を、6月10日(木曜日)に開催しました。

 「ぎふ地域の絆づくり支援センター」では、「岐阜県地域の課題解決応援事業」により、この講演会に講師として、岐阜協立大学経済学部公共政策学科准教授 後藤康文氏を派遣しました。


 当日は、「岐南がもっと好きになる!!~地域アセスメントからはじめる地域づくり講座~」と題して後藤康文氏に講演いただきました。

主な講演内容

1.コロナ禍の地域住民活動

2.「地域を知ること」の意義

3.地域を知る方法

4.地域を知り、地域を創る

 

1.コロナ禍の地域住民活動

  (1)コロナ禍で地域住民によるボランティア活動はどうだったか。

  ・緊急事態宣言(2020年4月7日~5月25に日)中は、活動ができず思考停止の時期であった。

  ・6月頃からは、感染予防対策を行い、今までの活動を見直したうえで、今求められる新しい活動が再開され始めた。                                               

  (2)早期に活動を再開した住民団体の特徴(ヒヤリング調査)

  ・コロナ禍での活動には、感染リスクの観点から批判を受けやすいことから、理由を説明することが重要だと考えた。

  ・「なぜ私たちはこの活動をするのか」を確認した。

  ・感染対策をしたうえで、再開することが、地域から認められる活動になると考えた。

  (3)ボランティアをしない自由とは。

  ・ボランティアは、勤労奉仕や滅私奉公ではない。

  ・ボランティアをする側と支援を受ける側ひとりひとりの自由意志を大切にすること。

  ・ボランティアをしない人に同調圧力をかけてはいけない。コロナ禍で活動するときは、一人ひとりの事情や不安に配慮すること。

  (4)コロナ禍における住民活動の実践事例  

  (事例1)NPO法人らいおんはーと(江戸川区)

・学校などを会場にイベントや子ども食堂などの活動を地域ぐるみでしていた。対象を不特定多数から自宅で満足に食事が取れない少人数にして活動を継続した。         

 (事例2)カツメシ未来チケット実行委員会(葛飾区)

 ・コロナ禍、地元の飲食店を応援するクラウドファンディングで、一部は子ども食堂・居場所づくりネットワークにも寄付された。

(事例3)見守り活動(下呂市)

・外出自粛要請により、外出できない一人暮らしや高齢者のみの世帯に安否確認を兼ねて困りごと聞きとり調査と消毒液の配布をした。

  (5)事例にみる住民活動の共通点  

  ・支援が必要な人を見捨てない。活動継続の根拠や使命が見いだせる。

  ・感染予防対策など従来の活動を状況に合わせて変化させる。

  ・連携や協力を進める。つながりを途切れさせず維持・構築する。

 

  2.「地域を知ること」の意義

  ・「地域を知っていること」とは、生活課題を抱える人(住民)や地域団体(地域資源)の居場所、状況を知っていること。

  ・活動対象の存在と状態を把握する事が大切。  

                                                                                                

       3.地域を知る方法                                                    

 (1)数字・数値で知る地域(量的把握) 岐南町の統計データより15年前と今を比較する。  

 〔比較結果〕

  ・人口、世帯数は増加したが、一世帯当たりの人数は減少。

  ・年少人口(0~14歳)減少 生産人口(15~64歳)減少 老年人口(65歳以上)増加 

  ・老年人口(65歳以上)の中でも前期高齢者(65~74歳)より後期高齢者(75歳以上)の伸びが著しい。

 〔結果から推測されること〕

  ・一人暮らしか高齢者だけの世帯が増えているのではと考えられる。   

  ・高齢者だけの世帯には後期高齢者だけで暮らしている人たちが多いのではと考えられる。

  ・何らかの支援(福祉・介護サービス・生活支援サービス)の必要性が高いのではと考えられる。

 (2)状況から知る地域(質的把握)

   質的な把握とは、言葉(会話)や観察などによって把握されるもので、課題の複雑さや個々の独自さを整理し明確化できるもの。

  (1)居住者としての感覚を活かした情報収集

  ・サロン参加者と会話をする(プログラム進行だけに気を取られない)

  ・暮らしの行為に着目した話題にする(行きつけの店の有無、切れた蛍光灯の取替、荷物が重いなど)

  ・当事者の人間関係に注目する(家族との接触・連絡、定期的に出かける場や出会う人々など)

  (2)得られた情報の共有化

  ・活動が終わった後に参加者との会話から得られた情報を活動仲間と話し合う。

  ・住民の立場では対応が難しそうなことは専門機関・専門職に連絡・相談する。 

  (3)当事者との会話で気をつけること

  ・本人の気持ちを尊重する    (些細な事も本人には重要かもしれない)

  ・審判者にならない       (他の人と比べない)

  ・言葉にしないことにも着目する (遠慮をして言わないこともある)

  ・難しそうな課題は伴走する   (専門機関の窓口へ一緒に行くなど)

 

  4.地域を知り、地域を創る

    地域を創るとは「つながりを」創ること

・我々は、主体的に地域で暮らすと同時に客体として、サービス(社会資源)を活用し、生活が成り立っている。ボランティア活動も支援される側、支援する側だけでなく(主体と客体)入れ替わる。それを意識しながら地域を見ることができれば、地域活動は素晴らしいものになっていく。

 

 地域を知る、地域をアセスメントするということは、、地域がもっと素敵になる第一歩であり、その方法として量的に見る、質的に見るという二つがある。そのような視点で地域活動を振り返り、新たな視点で地域を見るヒントになればと講演を結ばれました。

 当日は、地元住民の方々や社会福祉協議会の関係者など39名が参加されました。社会福祉協議会では、今年度中に11回のワークを実施し、地域アセスメント、地域課題の把握と解決についての議論を重ねられます。

講師の後藤准教授 講演会の様子

講演会の様子

講師の後藤准教授

講演会の様子 講演会の様子