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知事記者会見(平成25年7月24日)

記事ID:0010088 2015年9月11日更新 広報課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

平成25年7月24日(水曜日)午後2時30分

知事

まず私のほうからは、3点ございます。1つはTPPですけれども、ご案内のように昨日から、正式に日本のデレゲーション(代表団)が交渉にジョイン(参加)をしたということです。

いきなり何千ページの資料をぼんともらって、多分、昨日から今日にかけては、皆さん不眠不休で、手分けして必死になって読んで分析をして、どうなっているのかと。やっとその、TPP交渉なるものがどういうものかと、どういう議論をしていて、どこまで来ているのかということの姿が見えてきたということですから。100人を超える交渉団が行っているそうですけれども、これは大変な、3年数か月遅れて入る訳ですから、交渉団も大変だと思いますけれども、しっかりと国益を追求してもらいたいというふうに思っている訳です。

昨日スタートしただけではなしに、今日の午後と明日は「ジャパンデー」と、「日本セッション」ということで、日本として言いたいことを言えということなのですが、言いたいことを言うためにも、その何千ページの資料をまず読みこなさないことには議論が進まない訳ですので、そういう意味でも、今日・明日、大変な苦労があるだろうと思いますけれども、堂々たる交渉をしてもらいたいと思っております。

またそういう中で、いよいよ渦中に入ってまいりますので、私ども岐阜県としても、この「岐阜県TPP対策本部」を立ち上げると同時に、県庁内でこの本部の事務局機能、それから庁内の総合調整という観点から、TPP対策総括監を8月1日付けで設置をしようということです。
現在の総合企画部次長の小林くんを、兼務でTPP対策総括監に任命をすると。その下にTPP対策係ということで、係長と係員ということで、合わせて3名体制でまずは対応しようということであります。情報収集、それから分析、それから岐阜県としての対応といったことを、こういう体制の中でやっていきたいと思っております。

本部の第1回は、8月の初旬にやりたいというふうに思っております。特に今回の、7月の第18回のTPP交渉団の会合で何があったのか、TPPについてのどういうことが分かってどういう議論をしたのかと、9月に第19回会合がある訳ですけれども、これに向けてどう臨むのかといった辺りについて、できる限り情報収集しながら、岐阜県としても議論していきたいと。

ただ他方で、どうも情報管制が非常に厳格になされているようでして、もう既に日本も含めて12か国ということですけれども、3年以上やっている割には、交渉のプロセスの情報がなかなか洩れてこないというかですね。
ある人が言っていましたけれども、アメリカのホワイトハウスなり、政府部内の色々な議論、議会とのやり取りは、ワシントンでニューズレター(刊行物)が出ておりますけれども、大体あれを丁寧に読んでいれば色々なことが分かるはずなのに、全く出てきていないということを、ある外交官が言っておりましたけれども。

そのくらい厳しい情報管制を敷かれているものですから、果たしてどの程度、この交渉過程の情報が、政府部内で明らかにされ、あるいは自治体に明らかにされ、そして国民に明らかにされるかという辺りも、これはどういうふうになっているか、興味のあるところであります。
そういう制約の中でもやはり、色々な機会に私も申し上げておりますし、知事会としても先だっての全国知事会でも(要請を)出しましたけれども、やはり、国益の追求と併せて、国民に対する情報提供というものは、できる限り迅速かつ適切な形でやってもらいたいということである訳でございます。一応、そういう体制を組んでいくということであります。

それからあと、商工業分野とか農林水産業分野、それぞれ、これから秋に向けて、成長・雇用戦略を議論するとか、あるいはTPPあるなしにかかわらず待ったなしの農林業対策を議論するとか、あるいは10年計画の長期構想の中間見直しをするとか、そういうことで、多くの県民の関係者の方々とも議論する場を作っていきますけれども、そういう場も、このTPPの情報交換・意見交換の場にも活用していきたいと、そんなふうに思っております。

それらの会合についてはまだ、名称・構成等々、かっちり固まっておりませんので、これも遠からず、またご案内したいと思っております。これがまず最初のTPP関係でございます。

それから2番目が「岐阜県保育士・保育所支援センター」の開設でありますが、8月1日付けで、岐阜県社会福祉協議会に委託をいたしまして、岐阜県福祉・農業会館にこのセンターを設置したいと思っております。
この趣旨は、この資料にも書いてありますけれども、ちょっと裏(の表)を見ていただきますと、これ毎年度、4月段階では待機児童数が非常に少ないのですね。例えば、昨年4月であればゼロである訳ですけれども、これが年度途中で大きくなってくると。そして年度初めにまたぐっと減ってくると。

この理由なのですけれども、やはり、年度途中に子どもを保育所に預けて働きたいという保護者の方々が、じわじわと増えてくるということもありますし、それから年度途中で保育士さんが、やはり労働環境が厳しいということやら色々な事情でお辞めになるケースがかなりあると。急いで補充しようということで追加募集しても、なかなかすぐには間に合わないということで、このギャップが開いていくということで、10月、1月辺りは、場合によると三桁までいく年もある訳であります。

この辺りの流れを見ながら、潜在保育士の就職支援と言いますか、そういったことを、あるいは短時間勤務の希望が多い潜在保育士と、フルタイムを求める保育所のニーズをどう調整するかですとか、そういう間に立って、保育所の求人情報の仲介とか、あるいは潜在保育士の発掘とか、そのようなことをまずやっていただこうと。

ちなみに、本県の保育士登録者数なのですが、昨年4月1日の数字なのですけれども、20,586人ということでございまして、一方、県内の認可保育所に勤務する保育士の数が6,759人ということでありまして、13,827人が、登録はしたけれども(県内で)保育士として仕事をしていないと、こういう状況でございます。
そういったことで、いわゆる潜在保育士の方々はかなりおられるはずであると。そして、年度途中にこういうギャップが生じてきているということでございますので、このセンターを活用して、そこの調整ができないかということと。

それから保育士の方々も、年度途中で辞めるにあたって、結婚・出産、それから大変厳しい労働条件、対人関係ですとか、色々な事情でお辞めになる訳ですけれども、そういった方々に問題解決のアドバイスをするということで、離職をできるだけ少なくしていくというようなことも、そういう意味での、保育士からの相談対応というものも、このセンターの仕事として考えております。
そのようなことで、コーディネーターが常駐して、こうした就職支援・相談対応といったことをやっていただこうということでの、センター開設でございます。

それから3番目が「環境保全モデル林の選定」ということでありまして、これは昨年度から、環境保全モデル林というものを県内5箇所くらいを目指して選定をしてきておりまして、昨年は美濃市の「古城山(こじょうざん)」を対象にして色々なことをやって来ました。
今年は可児市の「我田の森(わがたのもり)」という、これは花フェスタ記念公園のすぐお隣でありますけれども、美濃地域の典型的な里山林ということです。ただこの「我田の森」は全部が私有林でございまして、その所有者の方々とも相談をしながら、そしてまた地元のボランティアグループ、可児市ともご相談をしながら、このモデル林としての環境保全活動をこれから展開していこうということであります。

再来年の秋の開催ということで、全国育樹祭の準備を今、しているところでございますけれども、その育樹祭に向けての1つのテーマが、里山林の保全・活用ということでございまして、そういったことで(モデル林)第2号を選定をするということでございます。私からは以上でございます。

記者 2問、質問をさせていただきます。1問目が今のTPP対策の関係なんですけれども、それは県内へのTPPに参加することによる影響とか、そういうものの試算とかは何か出したりとか、そういうこともされるのでしょうか。
知事

これはかねてから申し上げておりますけれども、TPPで一体何をやっているのか全く分からない状態で、今この時点で試算をするということはどうかなと。今まで色々な試算値が出ておりますけれども、要するに全部が関税ゼロになって、日本の言い分が全く通らなかったと、それからその場合に、政策的にサポートする対策も何もやらないと。要するに何にもしない、全てやられっぱなしという時にどうなるかという数字が出ておる訳でありますけれども。

もういよいよ交渉も始まった訳でありますし、そういうことではなしに、まずは状況を見極めるということですね。
ただ、ある程度こう見えてくれば、さてそれは、この部分は一体岐阜県にどういう影響があるのだろうかということは、やはりこの対策本部、それからTPP対策総括監のところで議論をしていくことになるというふうに思っております。

記者 もう1問が、参院選が終わりまして自民党が大勝したのですけれども、なかなか知事のお立場からでは答えにくいかもしれないのですが、結果を受けてどういう印象を持たれたのか。
知事

別に答えにくいことはないですけれども。1つは、この結果について申しますと、何といってもデフレからの脱却というか、アベノミクスと言われている、そういう経済再生への1つの期待の大きさというものがあったのではないかという気がします。

それから、やはりかねてから言われていた、決められない政治と申しますか、ねじれ現象の中で色々な国会の意思決定が頓挫してしまうという中で、やはりねじれの解消ということについても、多くの意見がその方向で流れたのかなと、こんな感じもしておりますけれども。
そういう意味では、決められる政治に向かって国会が機能していくことが一方で期待される訳ですけれども、ただ他方で、選挙を通じて色々な争点が、議論が深まっていったかと言うと必ずしもそうではなくて、かなり慎重サイドの、あるいは色々なことを次から次へと争点化しないような選挙戦であったような印象もあります。

そういう意味で言うと、逆に選挙が終わったということで、待ったなしの課題が目白押しという状況でありまして、この待ったなしの課題にこの国会がどう取り組んでいくのか、どう動いていくのか、もちろん政府の判断、政府の対応もある訳でありますけれども、待ったなしの課題に国会がどういう機能を発揮していくのかというところが、これから直ちにポイントになってくるというふうに思う訳です。

例えば、まさにアベノミクスの成長戦略、この秋の臨時国会は"成長戦略実現国会"というふうに与党の方々はおっしゃっておられますけれども、どういう政策手段をどういうふうに用意をして、成長戦略実現国会にしていくのかということは直ちに問われる話でありますし。そういう中で税制改正は通常、年末にやる訳ですけれども、それを前倒してという議論もありますし、それから来年度予算の骨格もありますし、それから消費税をどうするのか。

それから税と社会保障の一体改革、第三者委員会の意見が8月中にはまとめられるということでありますけれども、あまり議論が進んでいるようにも思えませんし、与野党の議論もあまり進んでいるようにも思えませんし。これを短期間の間にどう、持続可能な社会保障制度、そして消費税をどう対応するかといったことについて、どう結論を出していくかと。

それから原発の問題、さらにはエネルギー政策の問題、これもまだようやく原子力規制委員会が動き出しておりますし、審査も始まっておりますけれども、色々な面でまだ未定の部分がある訳でありまして、そういった面も待ったなしでありますし。

その他、憲法をどうするかとか、それからもういよいよ始まったこのTPPを、大変幅の広い交渉ですから、政府として国会としてどういうふうに、既に相当進んでいるはずのTPP交渉に取り組んでいくのかとか、色々な課題が目の前に下がっておるのではないかと思います。
そういったことにどう果敢に、スピーディーに取り組んでいけるかと、結論を出していけるかと、こういったことをこれから注目したいと思っております。

記者 ちなみに、自民党が大勝したことについては。
知事

自民党の、とりわけ日本の経済再生ということで、昨年の12月以来、安倍内閣が取り組んできたことに対する、やはり期待の大きさということもありますし、それから野党の足並みの連携の問題もあるでしょうし、その他、この間の色々な要素が組み合わさって今のようなこともありますし、場合によっては候補者の選定の遅れもあったかもしれませんし。与党・野党それぞれ色々な要素があって、ああいう結果になったのではないでしょうか。

ただ、私自身も物心ついてから色々な選挙を見てきましたけれども、これほど与党が大きく勝った選挙というのはあまり記憶がないですね。そういう意味では、非常に国民の選択と申しますか、意思がかなりはっきり現れた選挙であったのかなという気がします。

記者 参院選に関してなんですけれども、他県でも全国的にも流れとしてあると思うのですが、投票率が今回、過去最低ということでなかなか歯止めがかかっていない状況があると思います。県選挙管理委員会でも色々取組みはされていたと思うのですが、国政選挙は今後近くないと思うので、何か県として、このたびのことを踏まえた課題等はどのように考えていますか。
知事

投票率で言うと、私は自分自身の3回の選挙で、史上最低記録を3回にわたって更新しておりますので、あまり偉そうなことは言えないのですけれども。
やはり1票1票の大切さというのは、もっともっとアピールをしていかなくてはいけないのではないかと思いますし。県政でというよりは、これは選挙管理委員会であったり、色々な意味で政治のあり様として、政策やそれぞれの主義・主張をどういうふうに国民に伝えていくかと。

今回ネット選挙も導入された訳ですけれども、あまり目立って、こういう手法でこういう成果があったということは、あまり聞こえてこないものですから、これについてもどうだったのかと。特に若い人が参加しやすくなるという期待があった割には、もうひとつであったような気もいたしますし。そういったことも含めて色々と分析をしながら、この1票の重みというものをアピールをしていかなくてはいけないのではないかなという感じがしております。大きく落ちたと言っても、52%台ですよね。私はこの間33%ですからね。

それから、このところ県内の首長選挙を見ましても、やはり投票率は下がり気味ですよね。結構若い候補者が出ても下がり気味ですよね。
ということはありますので、これをどう食い止めていくのかというのは、まずやはり政治のアピールということのやり方なのでしょう。そういう意味で、色々な選挙制度も含めて分析もし、それからアピールもしていかないといけないと思っています。

記者 TPPの対策室の絡みなのですが、情報収集自体がすごく、こういう国家の交渉事は難しいと思うのですが、現段階で知事のイメージとして、どのような手法で情報を取っていこうというふうにお考えなのかというのが1点と、この新しい組織の新設の主旨みたいなものですね。
恐らくTPPなりで、極論かもしれませんが、産業構造の変化がみられるケースになってしまうかもしれないのですけれども、いわゆる交渉過程を把握して、産業育成なりもしくは農林業のサポートなり、そういうのを県政に反映していくというような認識でよろしいのかという、その2点をお聞かせください。
知事

これも今回の第18回といわれる交渉セッションが終わって、100人を超える日本の交渉団が帰ってきて、まずどういう説明をされるのかと。政府部内での議論、あるいは自治体ないしは世の中にどういうふうに、どこまで情報開示されるとかいうことがまず1つありますので、そこを着目するということと。

それから、各県ばらばらで御用聞きに長けたところがたくさん情報を取って、それをしないところは情報が来ないというのもおかしな話ですので、全国知事会でもこの情報の開示ということはずっとつとに言ってきていることでありますから、やはり国に対しては可能な限り情報開示を求めるということで、システマティックに国から地方へ情報が流れるような、そういうやり方を求めていきたいなというふうには思っております。

それから、まずは情報収集から始まる訳ですけれども、おっしゃるような政策転換と申しますか、政策面には当然繋がってきますので、ただこのTPP対策総括監のところでいきなり政策論をやるというよりは、先程少し申し上げましたように、長期構想の見直しなり、あるいは新しい成長・雇用戦略づくりなり、そういったことを、これから秋に向けて多くの関係者の方々と議論する場を作っていきますので。
ついこの間は「清流の国ぎふづくり推進県民会議」をスタートしましたけれども、ああいった格好で、細かくテーマごとにというところまではいきませんけれども、大きく商工業分野とそれから農林畜水産業分野など、大きく把握して政策を議論する場も作っていきますので、そういうところで本格的な政策論はやるのかなと思っております。

もう1つは、私が心がけているのは、市町村との連携もありますので、私どもの得た情報を市町村にシステマティックに流していくような仕組みも併せて考える必要があるのかなと思います。

記者 渡辺直由前美濃加茂市長がお亡くなりになりましたけれど、何か個人的なお付き合いなどはあったりしたのですか。
知事

渡辺さんとは、私が着任した今から8年半前ですか、ちょうど教育委員かつ教育委員会の教育委員長をやっておられまして、当時渡辺さんとはそういう面で、色々な教育論議と申しますか、岐阜県の教育行政について色々とご尽力いただいたというのが、まず最初の出会いでありました。

それから直近で申しますと、この4月に、既に彼が退陣を表明した後でしたけれども、東京のソニーの本社へ行って、ソニーEMCS美濃加茂サイトの閉鎖問題ですね、雇用の創出や跡地をどうするかとか、意見交換なりこちら側の色々な申し出をしようということでお声がけしたら、彼から「自分自ら行く」ということをすぐおっしゃってこられました。

ちょうど私は横に座って、本当にこの仕事は自分が最後まで見届けるんだという、そういうお気持ちがありありで、しっかりとした質疑をしておられましたものですから。私としては、彼が最後の最後まで、この地域に対する情熱を持って仕事をやっていかれるという姿に非常に感銘を受けたのが、これが実は最後に結果的になってしまった訳ですので。

そういう意味で申しますと、退任されてから、私としてはそういう懸命に取り組んでおられる姿を見ておりましただけに、できるだけ早い回復を祈っていたところでございますけれども、こんなに早く残念な結果になったというのは、本当に私としても驚いておりますし、本当に痛恨の極みです。
ただ、渡辺さんがそういうことで地域に注がれた情熱と申しますか、そういうものを、私どもも学んでしっかりと引き継いでいきたいなという思いです。

あとは、市長になられてから、やはり多文化共生と申しますか、美濃加茂市は岐阜県では外国人の居住者が一番多いところでしたし、このところ、リーマンショック以降、少し減ってきましたけれども、ピーク時で確か人口の12~13%くらいまでいった時期があるのです。ですから多文化共生ということで、外国人の方々の雇用、待遇、生活をしていく上での言葉の問題、文化の問題、それからお子さんたちの教育の問題、色々な面で全国でも先進的な取組みをやっておられたことが印象的でした。

それからちょうど私が着任した頃は、例の合併話が頓挫した直後でしたけれども、これを踏まえて、定住自立圏のコンセプトの下で加茂郡の市町を束ねていこうということで、色々なプランもお作りになったりして、非常に積極的にやっておられたのも大変印象に残っております。

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