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御嶽山ライチョウ生息状況調査について
岐阜県には、絶滅が危惧されている「ライチョウ」が、御嶽山、笠ヶ岳、乗鞍岳などに生息しています。
ライチョウは、本州中部の高山帯にのみ生息する希少な鳥で、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づく国内希少野生動植物種に指定される他、国の特別天然記念物や岐阜県の県鳥にも指定されています。
平成26年9月に御嶽山で大きな噴火があり、ライチョウへの影響が懸念されたことから、平成28年度は御嶽山におけるライチョウの生息状況などについて調査を実施しました。
(写真:御嶽山)
調査の概要
6月から8月の3回にわたり御嶽山にて、ライチョウの生息状況等やライチョウの捕食者、その他生息する鳥獣や植生について調査をしました。
調査範囲は、継子岳方面、五の池小屋周辺、摩利支天岳方面及びサイノ河原としました。
調査結果
岐阜県側では、ライチョウの生息に噴火による降灰の影響はほぼないと考えられました。
なわばり数などについて
- なわばり数、生息数
岐阜県側の調査を行った区域で、なわばり数は15でした。これは、昭和59年と平成7年度の調査で今回と同じ地域の縄張り分布図を比較すると同程度で、最近の30年間の生息数に大きな減少はないと考えられます。 - 雛の数
今回の調査では、目視で確認できた雛の数は12羽で、1家族あたり平均3.0羽でした。
(左写真:見張り場の岩場に立つオス、中央の写真:母鳥と小さな雛、右写真:メス)
ライチョウの生息環境について
御嶽山の岐阜県側では、巣作りの環境としてのハイマツが広がり、その下層には主要な餌となるガンコウラン、コケモモなどが生えており、ライチョウに良好な植生の状態が保たれ、噴火の影響は極めて局所的なものでした。
また、調査で確認し、考えられる天敵は、ノスリ、チョウゲンボウ、ハシブトガラス、クマタカ、キツネ、テン、オコジョでした。採取したキツネの糞からライチョウの爪が発見されたり、ハシブトガラスの姿を見てライチョウが隠れるなどの行動が見られたことから、御嶽山に低標高地の天敵が侵入していることが示されました。
調査期間中に、登山道上に、登山者のごみが放置されている状況は確認されませんでした。
(左写真:サイノ河原に広がるハイマツなど、中央の写真:五の池小屋前を飛ぶハシブトガラス、右写真:キツネの糞)
御嶽山のライチョウを保全するために
今回の調査で、御嶽山のライチョウの生息数の減少や噴火による生息環境の悪化を示す結果は認められませんでした。
しかしながら、低標高地からのキツネやハシブトガラスなどの天敵の存在が確認され、今後も人により持ち込まれるゴミの管理などを徹底する必要があります。
御嶽山に入山される皆様には、高山植物の保全やゴミなどのマナーにご配慮いただき、特に7月から8月の雛づれのライチョウ家族を驚かせないよう、そっと見守っていただくようお願いいたします。