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新たな外国人材の受け入れの円滑な実施に向けた意見書

記事ID:0019139 2018年12月20日更新 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

 本年6月15日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」いわゆる「骨太の方針」では、「新たな外国人材の受け入れ」が明記され、過日、12月8日、改正出入国管理・難民認定法が可決された。現在、来年4月の施行を目指し、受け入れ業種や人数、外国人労働者の生活支援などの制度の細部について、基本方針や政省令により決定すべく検討が進められている。
 少子高齢化が未曾有のスピードで進行し労働人口が減り続け、人手不足が深刻化する我が国において、「新たな外国人材の受け入れ」は、今後の我が国の持続的な経済成長の実現や福祉サービス等を維持していく上で、大きな意義を持つものである。
 しかしながら、新たな在留資格の創設により、政府は、単純労働で初めて外国人の就労を認め、対象14業種について、2019年度から5年間で最大34万人余りの受け入れを見込んでおり、これら外国人材の急激な受け入れは地域社会に非常に大きな影響を及ぼし混乱を招くことが懸念される。
 また、先行する「外国人技能実習制度」については、長時間労働や賃金不払いなどの労働関係法令違反等の不法行為などにより失踪者が多数出ており、見直しも含めた制度の適正な運用が必要である。
 よって、国におかれては、新たな外国人材の受け入れにあたっては、次の措置を講ずることを強く求め、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  1. 外国人材を雇用する企業が増加することで、国内の日本人労働者の雇用や処遇に影響を与える可能性があることから、外国人材の受け入れにあたっては、人手不足となっている業種における労働力不足の原因を十分に把握し、併せて、ロボットや情報通信技術(ICT)などの設備投資による生産性の向上を図るとともに、女性の活躍、高齢者の就業促進を検討すること。
  2. 現行の社会保障制度は、国際化に十分対応した仕組みにはなっておらず、外国人材の受け入れ拡大により、現行の医療保険や雇用保険等の社会保障制度の運用に支障を来す恐れがあることから、混乱を招かないよう、制度運用を十分に検討すること。
  3. 昨今の外国人技能実習生の失踪問題などを踏まえると、経済的・社会的に困窮する外国人が増加することにより、治安の悪化を懸念する声もあることから、制度運用にあたっては、外国人労働者の雇用の安定が確保されるよう、十分配慮すること。
  4. 外国人に対する日本語学習支援や生活習慣の理解促進については、これまで地方自治体、地域で日本語教室を運営するNPO法人及び日本語学校が主として担ってきたが、新たな外国人材の受け入れにより、今後、さらなるニーズの増大が見込まれることから、国の責任において、外国人労働者やその子弟に対する支援の充実などの受け入れ環境整備や財政措置を行うこと。
  5. 外国人技能実習制度については、低賃金や長時間労働、安全教育の不足による労働災害等が問題となっていることから、十分な検証を行った上で賃金水準や労働環境を見直し、制度の適正な運用を図ること。

平成30年12月20日

岐阜県議会議長

(提出先)
 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、法務大臣、外務大臣、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、内閣官房長官、国家公安委員会委員長、警察庁長官