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坂下の花馬(さかしたのはなうま)

分類 重要無形民俗文化財
指定別
所在地 中津川市坂下
技芸団体 坂下花馬保存会
登録年月日 平成20年9月24日

坂下の花馬

 中津川市坂下の坂下神社の例祭時に行われ、毎年10月の第2日曜日に(幕末から明治33年までは8月15日)に、諸祈願(豊作・安産・家内安全・武運長久等)の成就を願って(あるいは感謝して)、氏子の下組、合郷組、町組が、同神社に花馬を奉納する行事。花馬行列や「花奪り(はなどり)」(神社で参拝客が激しく馬の鞍に立てられた花串を奪い合うこと)が見どころとされ、近隣から多くの見物客を集める。
伝承では、木曽義仲が平家追討祈願や官位を賜ったお礼に坂下神社に馬の鞍に幣を付けた矢を奉納し、村落内を行列を組んで回ったことが最初とされているが、歴史史料にはこれを裏付けるものはない。隣接する地域で行われている花馬に関する古文書は、17世紀の前半のものが最も古く、坂下の「花馬」もほぼ同時期には成立していたことが類推できる。
花馬神事は、郡上市の「長滝の延年(国重要無形民俗文化財)」にも通じる農耕に関する予祝行事の性格を有し、かつては美濃地域中・東部の木曽川流域に広く濃密に分布した岐阜県の代表的な習俗である。現在はほとんどの地域において消滅あるいは変形、簡略化されているが、幸い坂下の花馬には初期の形態をうかがわせる形式が良好に伝承されており、その民俗学的価値は極めて高い。

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