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大学生等への公的な給付型奨学金制度の創設等を求める意見書
奨学金を利用する学生等の割合は年々増加傾向にあり、独立行政法人日本学生支援機構の平成26年度学生生活調査結果によると、半数を超える学生等が何らかの奨学金を利用している。その背景には、大学の初年度納付金の大幅な上昇や、家庭収入の減少等により、奨学金等の経済的支援がなければ、進学が困難な学生等が増加しているという状況がある。
現在、国においては、意欲と能力のある学生等が、経済的理由により高等教育段階への進学を断念することがないよう、無利子奨学金事業の拡充や、国立大学・私立大学等の授業料減免の充実を図るなどの経済的な支援を行っている。
また、本県においては、学生等の県内への定着・回帰を促進するため、県外の大学等を卒業後、一定期間、県内で就業、居住した場合に、奨学金の返還を全額免除する制度を平成28年度から創設したところである。
しかしながら、我が国の公的な奨学金制度の中心である独立行政法人日本学生支援機構が行う奨学金事業は貸与型であり、その約3分の2が有利子による貸与となっている。そのため、将来負担の大きい制度となっているほか、不安定雇用や低賃金により、卒業後の返済に苦労する若者が増加し、延滞者数が平成26年度末で約33万人となっている。
家庭の経済状況にかかわらず教育の機会均等を確保するという奨学金の制度趣旨を鑑みると、このような状況は早急に是正されるべきである。
よって、国におかれては、安心して学業に専念できる環境を整備するため、次の事項の実現を強く求め、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
記
1 大学生等を対象とした給付型奨学金制度を早期に創設すること。
2 無利子奨学金を一層充実させるとともに、返還額が卒業後の所得に連動する、より柔軟な所得連動返還型奨学金制度を創設すること。
平成28年6月30日
岐阜県議会議長
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣